あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~

深楽朱夜

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第010部 魔人達に捧げる禍つ謳

第016話 率達のお店プレオープン開始

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「おはようございます!午後からお店始めるから遊びに来て下さいね!ナイルさんは夜のドラゴンさん達の時間に来て下さい、千眼さん達も」
「はい、楽しみにしてます。おやつを持っていってみなさんで食べて下さい、ミルクプリンとドーナツです」
「後でいこう…」
「沢山お買いものしますね」
「はい!行ってきまーす」
「いってらー」
畑で懐記の次に起きた率が焼きおにぎりと梅のおにぎり、だし巻き玉子にダイコンのお味噌汁を食べ、ナイルからおやつを預かりお店に向かった。

「エピシュちゃん、これお昼のサンドイッチ。ベルンちゃん達がゲットした卵で作ったタマゴサンドだよー。俺達もお店行くけど先に渡すねー」
「ありがとうございます、舵さん」
朝、ベルン達がお店に向かうのに合わせて舵、フォン、トイ、ニトで朝食と昼食の準備を行い、ベルン、エピシュがカルン達にミルクを飲ませ、カタンとラピスが外でモギのミルク屋の準備をしていた。
「今日もみんなと行くよー孤児院にも配ったりするから」
「俺もついていくいく」
ゴーレム達とお茶の支度をしていたユインがへらへら笑い、準備が終わり戻ったカタンとラピスも座って、朝食が始まった。
『いただきます』
「このジャム美味しい」
「甘さを抑えてよかった」
「朝から甘いもんかと思ったが悪くない」
大量に実った桃と柿と梨の3種類のジャム、フォンも気に入ったのかパンをお代わりしている。
「これ、カヌイちゃん達とチナスちゃんに渡して」
「はい!」
「夕方にいくよー」
「楽しみです」
「ネイルは暫くやらないんでしょ?」
「はい、もっと練習してからという話しです。あ、そろそろ行きますね」
『いってらっしゃい』
「いってきます」
千歳に空間を繋げて貰い、奥の扉を潜れば…お店だ。

「卵ダンジョンの卵美味しいねー」
「今日もエクトちゃん達は教室が終わったら行くって」
「黄金の卵とるんだよな」
「頑張れ、俺が連れて行く…」
「今日は率ちゃんのお店行くからグリちゃんよろしくね、テスカちゃん達も張り切っていたもんね」
「俺達も手伝いに行く」
「忙しそうだな」
「楽しみ」
グローリー宅、テスカ、カヌイ、キート、エツィアは先にお店へ千歳に繋いで貰ったテスカ達の部屋の扉から朝も早く向かった。
山盛りの目玉焼きと腸詰めソテーに、魚を焼いてキノコの炊き込みご飯と具沢山味噌汁を皆でもりもり食べている。
食事が終われば晴海達が身支度を整え、ウォルゾガがタナトス達の仕事部屋に朝食を運ぶ、最近はイビヤ達赤ん坊がいない時間はタナトスの元で仕事を手伝っている。
「行ってきまーす」
「行ってくる」
「また後で」
「後でおにぎり持って行くから」
『はーい』
晴海達もグローリー達に声を掛け、晴海の転移で率達の元へと向かった。

「今日は夕方辺りに率達の店行こうぜ」
「そうですね、顔を出しましょう。私はラジカ殿と仕事の手伝いがありますから後で合流します」
「まあ、いいけど。カフェの準備してから行く」
「俺は買い取りギルドの手伝い」
ヴィッセ宅、昨日たまごダンジョンのお裾分けを貰いゴーレム達に料理して貰ったスクランブルエッグとベーコンと腸詰めソテーにトーストとサラダのワンプレートディッシュ、3種類のジャムとミルク、果物が並ぶ、静かな朝でテーデには心地良かった。
「卵うまいな」
「ええ、魔人の子供たちは皆良い子ですね」
「………………」
テーデはなんとも複雑だ、何せ彼らの事を長く見ていたせいかなんとも言えないが、彼らがテーデも食べてと伝えてくる位だ感謝はしているのだろう。
「魔人は恩は忘れないぞテーデ」
「知ってる」
ヤハネがテーデの内心を知ってか笑う、テーデはミルクを飲んで小さく呟きその様子を見たヴィッセは微笑んだ。

「準備出来たね!みんな可愛い!カッコいい!写真撮ろう」
「あ、僕のスマホにも」
「こっちも撮りたいです」
「僕のスマホにもー」
「待ち受け…にしてもいい?」
「私もしたいです」
「僕が撮りますよ」
「チナスさんも入って下さい」
『みんな~素敵よおーもう!最高!』
『皆様、本日サポートさせて頂きます。宜しくお願いします』
準備が整った率達、テトラ達に頼み制服も準備し髪も各自セットアップが完了し褒め合い写真を沢山撮って盛り上った。
ゴーレム達に集合写真を撮って貰い、全員で挨拶を交わしてお店の看板を『オープン』に変えれば最初のお客様は詠斗達だった。
『いらっしゃいませ!』
率達が笑顔で声を掛ける、緊張と嬉しさと少しの恥ずかしさでお客様を出迎えた…。

「お兄さん、どう?」
「結構です、探している方がいます」
「ふぅん」
何処かの町にて昼間なのに薄暗い路地裏、細身過ぎる男が無防備に歩く。
薄着の薹が立った女がすげなく男に断られつまらなそうに、どんな奴か尋ねた。
「この辺りを仕切っている頭です」
「あはは、その冗談笑えないわぁ」
「冗談ではないですよ、これをどうぞ。逃げた方がいい、お子さんもまだ小さいでしょう。大丈夫です、やり直せます」
「……この先の壁の先よ」
「ありがとうございます」
男は女に小さな革袋を渡して受け取り中を見れば、娼婦の女が一生掛かっても得られない程のコイン、女はそっと囁き急いで走って去って行った。

「あーはは!いいぞー殺しあえ!あーはは!」
先ほどの男が探していたとある町の裏を仕切る男が大笑いをしながら薄暗い場所で殴り合いをさせ、両腕に唇を噛みしめ悲痛な表情を浮かべる女性達を抱えて悦に入っていた。
涙を流しながら戦う2名は奴隷達、血を流しながら理不尽な命令に心を磨り減らす、暇潰しという名の命令、頭の手下共も煽る、勝っても負けても家畜以下だ、もういっそ殺してくれと祈っていたそんな壁が壊れ1人のやる気もなければ生気も無く、肌も白すぎる痩せすぎた男がふらりと現れた。
「なんだ!」
「てめえなにもんだ!?」
「依頼を受けたどこにでもいる只の冒険者です」
「頭!こいつ頭おかしいすよ」
「冒険者ギルドが俺らに依頼を掛けるわけねぇ」
「そうですね、賄賂を贈って買収していますから。冒険者ギルドからではないです」
手下達が狼狽えるが現れた何処からどう見ても全く強そうに見えないが、何処か不気味さを放つ男に武器を構えた。
「《裏ギルド》か…」
「ご想像にお任せします」
男は抑揚も感情も無い声で答える、頭の大男は両腕の女達を突飛ばし傍らに置いていた大剣の鞘を抜いた。
「いくら積まれた?俺はその倍払うから見逃しちゃくれないか?」
「いくら?0ログですが。生憎お金は有り余っているので」
痩せすぎた男に頭は大剣を向けるが何故か剣先はカタカタと震え本能は逃げろと囁く、隙だらけの男は首を傾げた。
「はは、ヤバいヤバいヤバい」
『頭!?』
頭は男の答えに万に1つも自分が此処から生きて出られない事を悟り、大剣を男に振り上げた。
「うん、正当防衛ですね」
「は…」
大剣は粉々に砕け頭の首が胴から切り落とされ床に転がり、胴体が倒れた、血は出ない綺麗な切れ目だった。
「あわわわわ、頭」
「ひぃい!頭!」
「ひぃ、た、たすけ」
「仲間の方達は、ここの皆さんにあげます。依頼は頭の討伐なので、皆さん怪我をしている方や病気の方、体調不良の方は僕の前に来て下さい」
「ほ、ほかにも奴隷の…」
「連れて来て貰えますか?動かせないなら行きます」
「つ、連れてくる」
「はい、お願いします」
頭を失い手下達が逃げようとするが男が魔法で縄を使い縛り上げ、周囲にいた奴隷達に声を掛け怪我をしている者達に回復魔法で傷を癒していく。
他の場所にいた奴隷達も状態が酷く、男が治療していった。
「あ、ありがとう」
「いえ、僕はこれで行きます。依頼は終わりましたから、それと先立つものが無いと不安になるでしょう。ここの頭の財産とそれと…」
男が収納空間からログコインを大量に吐き出し、周囲を唖然とさせた。
「これを使って下さい、失礼します」
「あ、あの!」
男は振り返りもせず空間に消えていく、残された奴隷達は頭の財産と男が残したログコインを均等に分け…そして手下達を見せしめにそのまま放置し餓死させた…。
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