420 / 807
第010部 魔人達に捧げる禍つ謳
第5幕 オマケ 穏やかな夜にて×STAGE.5ーオマケ ご想像に
しおりを挟む
第5幕 オマケ 穏やかな夜にて
「広くて綺麗な部屋だよな、本当に俺も住んで良かったのか?」
「ええ、勿論です」
焼き肉パーティーが終わり風呂も入り、さっぱりとしたヤハネとヴィッセ、積もる話しは沢山あるが明日以降…先の未来は分からないが一緒なのだから少しずつ話していけばいい。
「……逢いたかった…ヤハネ」
「……俺達は終わったんだ」
「それでも貴方を忘れた日はないです」
「………」
向かい合わせでソファに座る、座り心地の良いソファだ、2人の距離感を示す。
「お前は…」
「分かっています、自分の立場を…でも自分が仕える魔王に会って…あの方なら分かってくれると思いました」
「法と秩序の番人たる魔王に仕えるお前が感情で自分の主君を見るな、あれは違う」
「それも貴方に確認しようと思ってました、異界で弱体化して戻った様で魔力がほぼありませんし…何か引っ掛かります」
「それもそうだけど…魔力がほぼ無いせいか鑑定がぼやけるんだ。気になる点があるから今度確認する」
「ええ、お願いします。急ぐ…話しではありませんし舵様は今の生活を気に入っていますから」
「そうみたいだな、魔王全員揃わなきゃ俺達魔人は今の所只の魔人だし」
「そうです、大分先の話しです」
「俺達魔人ですら長いと感じる先…序列1位の魔王の弱体化が何処まで響くかだな」
「魔人の勢力が強くなっているのは間違いありませんね」
「あーめんど。もう休むわおやすみ」
「おやすみなさい、私は少し本を読んでからにします」
「んー」
ヤハネが先に立ち上がる、ヴィッセは明日の予定を立てながら読み掛けの本のページを開く、明日もヤハネは側にいる先ず大事な事はそこからだった…。
STAGE.5ーオマケ ご想像に
蒐集家とて風呂に入る、どちらかと言えば長湯を好む方だ。
広い湯船から上がり風魔法で瞬時に身体を乾かし、ゆったり目のシャツとスラックスに黒い靴下、スリッパに黒い手袋を魔法で着用し洗面台の鏡を見つめる、ジラ達が容姿だけは最上と言う蒐集家の外観、本人は生まれ持ってきた物だ造形は良いという程度の物だ。
「これだと見えるか……お前達勘が良いな」
いつもは肌をほぼ晒さない分、今夜の寝巻きのシャツから覗く蔦がシャツから見えないようにしゅるりと下がっていった。
「やった事など無いが…神と関係を持つとどうなるか面白そうだ」
蒐集家の口が大きく歪み、首に付けた鈴がちりんと鳴った。
『大河様がお見えです…お断りします』
茶と香をテーブルに置きソファで優雅に足を組む蒐集家に風早から連絡が入る、端からこの部屋に来て欲しくない風早に嗤った。
「通せ、可哀想だろう?」
『……………大河様、どうぞ』
「ああ、悪いが泊めてくれ」
「構いませんよ、どうぞ」
風早は迷いながらも大河を招く、ドアから入って来た大河は何処か顔色が悪かった。
「吐き気等は?」
「お前の薬で無いが…」
「眠れない…と」
「ああ」
「睡眠導入剤も渡しましたが…茶をどうぞ、白湯もあります」
「ああ」
出された湯飲みを大河が飲む、蒐集家も飲み落ち着いた。
「目の前で人間が炭になり、ちらつきますか?」
「…………」
図星か…なら、来なければ良かったのにと蒐集家は思う、あれ位想定内だろう。
「脆いなあ人間は、本当に脆い」
「そうだ」
「次は来ない方いいですよ?あれ位でそうなったら保ちませんよ」
「………その時決める」
「好きにしろ、さっさと寝たらどうた?明日も早い、私もだ」
「ああ、そうさせ………」
ピクリと大河の様子が変わる、目が見開き蒐集家を睨み付けた。
「何をした?」
「親切心」
「風早!」
「時間を固定させてるから干渉出来ない、神々もだ」
「は?」
「身体に影響はない、記憶を薄くするだけだ。あの部分だけを」
「まさに悪魔か…」
「違いますよ、これでも異界の神なんですよ?それもかなり上位の」
大河がふらつきながら立ち上がる、蒐集家のシャツを掴んで睨み付けはだけた部分が顕になった…。
「なんだこれは?タトゥー?」
「違いますよ」
白い肌には這うように存在する蔦、唖然とする大河に薄く嗤う。
「水でも飲みますか?」
何処までも淡々としている蒐集家に大河が腹を立て…身体の芯が疼くのを感じた。
「これは…」
「起きたら忘れますから、好きにしたら良いですよ?」
「お前…なんで」
「さあ、面白い方が良いでしょう?大丈夫明日には覚えてませんよ、この時間に何があったかも。怖かったんでしょう?人が炭になったのも首が無く身体が溶け…酷い形相でしたよね?」
「やめろ」
思い出すあの国で見た国王の顔と身体と部下の消し炭になった場面、大河は蒐集家をソファに倒す、彼はくくと心底愉快げに嗤った。
「どうぞ?時間はある」
大河は…思考止め、蒐集家の肌に手を伸ばした…蒐集家の身体は何処までも冷たかった…。
「大河君…私はとても意地悪なんです」
「知っている、かつて俺はアンタと会った事がある」
「ええ、かつていつかの何処で…」
大河は蒐集家の顔に顔を寄せ、吐息が交わる距離で話しをする…睦言にしては色気の無い物だった…。
「広くて綺麗な部屋だよな、本当に俺も住んで良かったのか?」
「ええ、勿論です」
焼き肉パーティーが終わり風呂も入り、さっぱりとしたヤハネとヴィッセ、積もる話しは沢山あるが明日以降…先の未来は分からないが一緒なのだから少しずつ話していけばいい。
「……逢いたかった…ヤハネ」
「……俺達は終わったんだ」
「それでも貴方を忘れた日はないです」
「………」
向かい合わせでソファに座る、座り心地の良いソファだ、2人の距離感を示す。
「お前は…」
「分かっています、自分の立場を…でも自分が仕える魔王に会って…あの方なら分かってくれると思いました」
「法と秩序の番人たる魔王に仕えるお前が感情で自分の主君を見るな、あれは違う」
「それも貴方に確認しようと思ってました、異界で弱体化して戻った様で魔力がほぼありませんし…何か引っ掛かります」
「それもそうだけど…魔力がほぼ無いせいか鑑定がぼやけるんだ。気になる点があるから今度確認する」
「ええ、お願いします。急ぐ…話しではありませんし舵様は今の生活を気に入っていますから」
「そうみたいだな、魔王全員揃わなきゃ俺達魔人は今の所只の魔人だし」
「そうです、大分先の話しです」
「俺達魔人ですら長いと感じる先…序列1位の魔王の弱体化が何処まで響くかだな」
「魔人の勢力が強くなっているのは間違いありませんね」
「あーめんど。もう休むわおやすみ」
「おやすみなさい、私は少し本を読んでからにします」
「んー」
ヤハネが先に立ち上がる、ヴィッセは明日の予定を立てながら読み掛けの本のページを開く、明日もヤハネは側にいる先ず大事な事はそこからだった…。
STAGE.5ーオマケ ご想像に
蒐集家とて風呂に入る、どちらかと言えば長湯を好む方だ。
広い湯船から上がり風魔法で瞬時に身体を乾かし、ゆったり目のシャツとスラックスに黒い靴下、スリッパに黒い手袋を魔法で着用し洗面台の鏡を見つめる、ジラ達が容姿だけは最上と言う蒐集家の外観、本人は生まれ持ってきた物だ造形は良いという程度の物だ。
「これだと見えるか……お前達勘が良いな」
いつもは肌をほぼ晒さない分、今夜の寝巻きのシャツから覗く蔦がシャツから見えないようにしゅるりと下がっていった。
「やった事など無いが…神と関係を持つとどうなるか面白そうだ」
蒐集家の口が大きく歪み、首に付けた鈴がちりんと鳴った。
『大河様がお見えです…お断りします』
茶と香をテーブルに置きソファで優雅に足を組む蒐集家に風早から連絡が入る、端からこの部屋に来て欲しくない風早に嗤った。
「通せ、可哀想だろう?」
『……………大河様、どうぞ』
「ああ、悪いが泊めてくれ」
「構いませんよ、どうぞ」
風早は迷いながらも大河を招く、ドアから入って来た大河は何処か顔色が悪かった。
「吐き気等は?」
「お前の薬で無いが…」
「眠れない…と」
「ああ」
「睡眠導入剤も渡しましたが…茶をどうぞ、白湯もあります」
「ああ」
出された湯飲みを大河が飲む、蒐集家も飲み落ち着いた。
「目の前で人間が炭になり、ちらつきますか?」
「…………」
図星か…なら、来なければ良かったのにと蒐集家は思う、あれ位想定内だろう。
「脆いなあ人間は、本当に脆い」
「そうだ」
「次は来ない方いいですよ?あれ位でそうなったら保ちませんよ」
「………その時決める」
「好きにしろ、さっさと寝たらどうた?明日も早い、私もだ」
「ああ、そうさせ………」
ピクリと大河の様子が変わる、目が見開き蒐集家を睨み付けた。
「何をした?」
「親切心」
「風早!」
「時間を固定させてるから干渉出来ない、神々もだ」
「は?」
「身体に影響はない、記憶を薄くするだけだ。あの部分だけを」
「まさに悪魔か…」
「違いますよ、これでも異界の神なんですよ?それもかなり上位の」
大河がふらつきながら立ち上がる、蒐集家のシャツを掴んで睨み付けはだけた部分が顕になった…。
「なんだこれは?タトゥー?」
「違いますよ」
白い肌には這うように存在する蔦、唖然とする大河に薄く嗤う。
「水でも飲みますか?」
何処までも淡々としている蒐集家に大河が腹を立て…身体の芯が疼くのを感じた。
「これは…」
「起きたら忘れますから、好きにしたら良いですよ?」
「お前…なんで」
「さあ、面白い方が良いでしょう?大丈夫明日には覚えてませんよ、この時間に何があったかも。怖かったんでしょう?人が炭になったのも首が無く身体が溶け…酷い形相でしたよね?」
「やめろ」
思い出すあの国で見た国王の顔と身体と部下の消し炭になった場面、大河は蒐集家をソファに倒す、彼はくくと心底愉快げに嗤った。
「どうぞ?時間はある」
大河は…思考止め、蒐集家の肌に手を伸ばした…蒐集家の身体は何処までも冷たかった…。
「大河君…私はとても意地悪なんです」
「知っている、かつて俺はアンタと会った事がある」
「ええ、かつていつかの何処で…」
大河は蒐集家の顔に顔を寄せ、吐息が交わる距離で話しをする…睦言にしては色気の無い物だった…。
0
お気に入りに追加
294
あなたにおすすめの小説
元万能技術者の冒険者にして釣り人な日々
於田縫紀
ファンタジー
俺は神殿技術者だったが過労死して転生。そして冒険者となった日の夜に記憶や技能・魔法を取り戻した。しかしかつて持っていた能力や魔法の他に、釣りに必要だと神が判断した様々な技能や魔法がおまけされていた。
今世はこれらを利用してのんびり釣り、最小限に仕事をしようと思ったのだが……
(タイトルは異なりますが、カクヨム投稿中の『何でも作れる元神殿技術者の冒険者にして釣り人な日々』と同じお話です。更新が追いつくまでは毎日更新、追いついた後は隔日更新となります)
勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。
今日も聖女は拳をふるう
こう7
ファンタジー
この世界オーロラルでは、12歳になると各国の各町にある教会で洗礼式が行われる。
その際、神様から聖女の称号を承ると、どんな傷も病気もあっという間に直す回復魔法を習得出来る。
そんな称号を手に入れたのは、小さな小さな村に住んでいる1人の女の子だった。
女の子はふと思う、「どんだけ怪我しても治るなら、いくらでも強い敵に突貫出来る!」。
これは、男勝りの脳筋少女アリスの物語。
やさしい異世界転移
みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公
神洞 優斗。
彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった!
元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……?
この時の優斗は気付いていなかったのだ。
己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。
この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。
リリゼットの学園生活 〜 聖魔法?我が家では誰でも使えますよ?
あくの
ファンタジー
15になって領地の修道院から王立ディアーヌ学園、通称『学園』に通うことになったリリゼット。
加護細工の家系のドルバック伯爵家の娘として他家の令嬢達と交流開始するも世間知らずのリリゼットは令嬢との会話についていけない。
また姉と婚約者の破天荒な行動からリリゼットも同じなのかと学園の男子生徒が近寄ってくる。
長女気質のダンテス公爵家の長女リーゼはそんなリリゼットの危うさを危惧しており…。
リリゼットは楽しい学園生活を全うできるのか?!
転生してしまったので服チートを駆使してこの世界で得た家族と一緒に旅をしようと思います
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
俺はクギミヤ タツミ。
今年で33歳の社畜でございます
俺はとても運がない人間だったがこの日をもって異世界に転生しました
しかし、そこは牢屋で見事にくそまみれになってしまう
汚れた囚人服に嫌気がさして、母さんの服を思い出していたのだが、現実を受け止めて抗ってみた。
すると、ステータスウィンドウが開けることに気づく。
そして、チートに気付いて無事にこの世界を気ままに旅することとなる。楽しい旅にしなくちゃな
転生貴族の移動領地~家族から見捨てられた三子の俺、万能な【スライド】スキルで最強領地とともに旅をする~
名無し
ファンタジー
とある男爵の三子として転生した主人公スラン。美しい海辺の辺境で暮らしていたが、海賊やモンスターを寄せ付けなかった頼りの父が倒れ、意識不明に陥ってしまう。兄姉もまた、スランの得たスキル【スライド】が外れと見るや、彼を見捨ててライバル貴族に寝返る。だが、そこから【スライド】スキルの真価を知ったスランの逆襲が始まるのであった。
異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。
sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。
目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。
「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」
これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。
なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる