あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~

深楽朱夜

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第09部 魔王たちの産声 歪

第023話 夜のお話し会始まり始まり

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「あんたがこの宿の、支配人か!俺はテュフ!よろしくな、こっちは相棒のノースだ」
『のす』
「はい、ロックスといいます。よろしくお願いします、テュフさんノースさん。さっそくですがお2人の部屋なんですが…」
「お、それなんだがノースがデカいだろう?外のあの小さい家を貸して欲しいのだが、良い雰囲気だ。店があれば俺が寝る所はどこでもいいんだ」
「あそこは俺の家で……俺と一緒で良ければ住みます?もちろんノースさんも」
『のす』
「良いのか?よろしく頼む!」
「はい!」
宿屋の入り口で待っていたロックス、ラウラスが連れて来てくれ裏にある崇幸達がロックスの家にと改築してくれた元宿がテュフとノースの目に入り雰囲気が良いとロックスに言えばロックスも嬉しそうに誘い硬い握手を交わした。
「明日の午後崇幸さん達が来ますから、酒場何処にするか決めるす」
「ノースさんがいられるように1階の奥に外席も作る感じにという事なので…案内しますね」
「外から行くす」
「ああ!頼む。また後で《島船》に行こうなノース」
「来て下さいす」
「ノースは子供が好きだからな!」
「俺も行きますよ」
「ああ!楽しみだ!」
外から回り新しく作って貰った酒場になる場所をロックスに案内して貰う、ノースがゆっくりと動く、苦楽を共にした家族だ此処では誰もノースに不審な目を向けたりはしない、それがテュフには嬉しかった。

「カイムっちは短時間で稼ぎたいなら~最近作って貰ったルーレットどう?」
「ああ、あるほど」
「シンプルにお客が賭けた色のマスに止まればお客の勝ち、入らなければこちら側の勝ち。1日のこちらの勝ち数で給料に上乗せはどうだ?」
「へぇ、いいね。それで」
「ルーレットはボタン押すだけで良いですよ、自動で止まりますから」
カジノエリアで千眼が新たに造った36マスの円形ルーレット、赤と緑マス交互のシンプルな造りをカイムは横目で見て頷いた。
「ポジションが決まって良かった!カイムさんネイルしませんか?」
「カイムっち俺の服着ない?体型近いからいけんじゃん」
「あ、率ちゃん俺も新しくして~」
「良いですよ」
「ああ、支配人のそれかじゃ頼む。服は何でもいい」
「じゃ、あげるわ」
「あ、ならカイムさんはゴーレムちゃん達にして貰いますか?今ゴーレムちゃん達にネイル教えていて」
「支配人と副支配人の爪綺麗ですよねー」
「テンテストさんもしますか?ぜひ」
「良いんですか?嬉しいー」
ゴーレム達が収納からネイルを取り出し並べていく、率はトラングに椅子に座って貰いカトゥーシュカも懐記もネイルを新しくして貰う事にした。
「よく指先を見られるからな、綺麗にしておくと印象が良いな」
「そーそ~評判よしー良く聞かれる~」
「嬉しいです、カジノにネイルサロンも作るんですよ。ゴーレムちゃん達も上手になって来たのでもう少ししたらオープンしますよー」
「へぇ」
「今率ちゃん張り切ってるもんねー」
「はい!」
ネイルを落としながらおしゃべりを楽しむ、最近は孤児院の子供達や他のカジノのスタッフ達もしていて客達からも好評だった。
ゴーレム達も道具は手に風魔法と土魔法を応用し固定化させて器用に使いこなす、見ているだけでも楽しい。
「皆さんデザインどうします?」
「俺はごてごて~」
「私は青で」
「僕は率さんみたいなのがいいです、かわいい」
「俺はいつもので頼むわ」
「好きにしろ」
「はーい」
皆様々に注文し率は嬉しそうにしている、ゴーレム達も張り切って仕事をしていた。

「はい、皆さん本当は新しい先生達とウォルゾガさんといくつかに分かれてパン作りをしましょう。今夜の魚のフライとスープは《島船》の皆さんが作ってくれますからお返しに美味しいパンを贈りましょう」
「食事が終わって入浴が済んだらお話し会ですからね」
『はーい』
ナイデルから今夜の予定が発表され、エプロンとバンダナを付けた子供達が手を挙げていそいそ慣れた手つきで準備を始めていく、野菜や魚、最近はカジノダンジョンの浅い所にも行くようになり自分たちで食材の調達調理も行い皆好き嫌いがなく健やかに育っている、好き嫌いが多いのは我が儘なゴーレム達の王子様のベル位だった。
「パン作るの楽しい」
「うん!」
「焼き立てはすごく美味しいからね!」
「おいしいよー」
「香りが良いぞ」
皇国から来たドラゴンの教師達とシア、エニュー、ヒビカ、ベルン、カタン、ラピスのグループは中にチーズをたっぷり入れた固めのパンを作る。
「おーカラクの子供かー俺はパンなんか焼いた事なんかないから、ま、頼むわ」
「ナギターよろしくねー」
「よろしくお願いします」
「よろしくお願いします!先生!」
「お、お願いします」
「おねがいします」
「おーかわいいなー」
カタンがナギタと言ったドラゴンは子供達に顔を綻ばせる、龍皇国で元騎士団団長であり、剣術指南で呼ばれたナギタだが子供には剣よりもこっちの方が良いなと思った。
他のグループでも実習として来た教師はどの面子も専門分野に特化し、パン作りに四苦八苦していた。
「ぼ、僕…パン屋さんやりたいなあ。毎日パン作りたい」
「僕も!弟達と動物のパン屋さんをやりたい」
「わーいいね!」
エニューとヒビカが生地を混ぜ、カタンとラピスも同様に生地を混ぜベルンは次の小麦粉を振るいに掛けてシアはチーズを切っていく、ナギタが肉も混ぜてくれと言うのでナギタには肉を細かくして貰う、沢山焼けば他のグループとも交換出きるので張り切って作業を行った。

「赤ちゃんはパワフルだね」
「疲れ知らずですねー」
「あ、イビヤとカルンが寝た」
「ベビーカーに乗せよ」 
「うぇぇ」
「うー」
《島船》に新たに儲けられた乳幼児~4歳迄向けのキッズスペース、スタッフはかわいいエプロンを付けたゴーレム達とおりがみの子達とスカーフを巻いた動物達、小さい滑り台や角の無い積み木とおもちゃや絵本が置かれ、《島船》の小さい子供やカルン達が遊んでいたが…イビヤとカルンが寝てしまったので持参したベビーカーに乗せようとすれば直ぐに愚図るので抱っこにすれば泣き止む、すっかり抱き癖が付いてしまった。
舵とニトとカーテスが保護者として見守りながら、元気に遊ぶ赤ん坊は疲れ知らずだと感心していた。
『皆様、お食事の準備が整いました。食堂へお集まり下さい』
「行こう」
「はい」
「そうだね」
風早の館内放送で片付けを行い、まだ遊びたがる子供達を連れて食堂へ向かった。

「はーいでは、お話し会始めますよー」
『はーい』
夕食が終わり《島船》の中で最も大きい広間に住民や子供達が布団を持ち込み、皆寝間着に着替え子供も大人も寝る準備が整っていた。
広さがあるのでマイクと大画面を設置し、ナイデルが司会進行を勤めた。
「今日は何かな?」
「『ヘンゼルとグレーテル』かな」
「『3匹のこぶた』がいい」
「『白雪姫』よ!」
「はい、今夜は『大きなかぶ』をやりますよー。お手伝いはマンドランドとお化け野菜達がしてくれます」
『わあ』
子供達から歓声が上がる、お話し会始まり始まり。
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