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第09部 魔王たちの産声 歪
第013話 最初のギフト
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「おはよう…」
「おはよう!グリ、魔人はどうだ?」
「もう目覚めるよ…」
「そうか、そしたら皆で皇国に戻ろうな」
「うん…」
「おはよう、グリ」
「おはよう大河」
先に起きて朝食の準備をしていたグローリーがコォンを抱えたゴーシュとそれに続く大河に挨拶し食卓にサラダを運ぶ、ミルクとチーズを混ぜたオムレツは最近イザラ達のお気に入りでグローリーも練習がてらみんなに振る舞う、それにベーコンと腸詰とキノコソテー、トーストしたパンには甘さを控えたジャム、トマトによく似た野菜をベースにした赤いスープを並べて蒐集家も顔を出した。
「おはようございます、こちらへ」
「はい…あ、あの」
「そうか起きたのか」
蒐集家の後ろには痩せた青白い頬の青年がゆっくりと歩いてくる、少しおぼつかなく危うげだが眼は生気を帯びていた。
「おはよう、目覚めたばかりだから…」
グローリーとゴーレム達が別に用意したミルクと野菜たっぷりの粥と温かい果実の香りのするお茶に果実を磨り潰した果物のスープを用意し椅子に座らせた。
「はじめまして…グローリーです」
「俺は大河だ」
「俺はゴーシュだゴーシュ!」
『私はコォンなのね~』
「私は蒐集家です」
「あ…僕は…」
「カヌイ…あなたの名はカヌイ…」
強くきっぱりと言い切るグローリー、魔人の青年は今を持ってカヌイと名を魔神皇…グローリーから授かりカヌイと成った。
「よろしく、カヌイ」
「はい!よろしくお願いします!」
「ご飯食べたら帰ろう…会って欲しい人達が沢山いるから」
「お前もなコォン、退屈から遠い場所に連れて行ってやる」
『好きにするのね~』
「ああ」
4名の遣り取りに大河も笑う、収まりのいい結果になったようで良かった、蒐集家は予定通り浄化が終わるまで採集を続けるとの事なので大河も同行する事にした。
食事が終わりカヌイが風呂に入り着替え身支度を整え、皇国へと転移したのを見送り蒐集家の指示で食後の運動がてら身体を動か採集を開始した。
「た、崇幸!本当にこれいいの?」
「すごい…嬉しい」
「崇幸さん!俺も良いの!?」
「ああ、今回のご褒美と公園づくり頑張ろうなって意味を込めて…だけど条件があるからな」
《ガルディア》の広い土地、イザラとイデアと晴海が管理を任された場所で崇幸と千眼と詠斗がバイクを並べて3人が目を輝かせていた。
「今はカジノダンジョンだけでしか乗らないように」
『はい!』
「ヘルメットは必ず着用!」
『はい!』
「しっかりルールを守って乗る事!」
『はい!』
崇幸から言われた事に声を揃えて背筋を伸ばす、イザラに黒と赤のカラーデザインのバイク、イデアには暗い緑にカラーデザインのバイク、晴海にはきゅうの甲羅カラーの海色のバイクを崇幸が造ってくれた。
「はいはい、みんなバイクの前に並んで並んで!写真を撮るから!」
『はーい』
バイクのカラーデザインと同じヘルメットを持ちバイクの前に並んで、詠斗が何枚も写真を撮っている。
操縦の仕方は崇幸と詠斗と風早が指導し、合格すればダンジョンへの許可を出す流れとなる、はしゃぐ3人に崇幸達も嬉しそうだった。
「綴先生!これみんなで作ったよー」
「これは…ハンカチ?可愛い刺繍が入っていますね」
「ユラヴィカちゃんに教えて貰ったのー他の先生達にも上げたの!」
「みーんな筋が良くてすぐ出来るようになりましたわ」
教室の授業が終わり皆で昼食作りをという前に、生徒…子供達から綴にプレゼントが渡される、白いハンカチにきゅうとふーの刺繍入りの物が渡され綴の顔が綻ぶ、詠斗達にもとハンカチを渡されユラヴィカが誇らしげな顔を浮かべていた。
「上手ですね、ありがとうございます。大事にしますね、みんなにも渡します」
「みんなで刺繍したの!またあげるからね!」
「はい」
「あ、あの綴先生…」
「ライル君どうしましたか?」
「こ、これをあの…ラシュさんと二ジャルガさんに…最近会えないので…」
「アシュア君…分かりました必ずわたしますね」
「はい!」
もじもじとしたライルが言いづらそうに綴にハンカチを2枚渡す、どちらも見事な黄金のドラゴンの刺繍が施されたハンカチを綴が見つめ、そういえば最近忙しいとアシュアの顔を見に行けないと嘆くラインが来ていたので私に行くがてら顔を見に行こうかと思い、昼食の支度をみんなで行う。
今日はミートパスタとサラダとデザートはミルクアイスだ、みんなエプロンを付けて手をしっかり洗い準備に取り掛かった。
「えと…塩と砂糖と…」
「あ、珍しいキノコですね…キノコ栽培良いかも」
「もートイはすぐ仕事に結びつけるー」
「あはは、職業病だねトイちゃん」
本日は商業エリアで生活用品の購入に来ていたニトとトイと舵、トイの背中にはカルン、舵はベビーカーに赤ん坊を乗せて会話をしながら露店を巡っていた。
「いらっしゃい!スープにすると美味いよ!」
「あ、いいね!下さい」
「あいよー」
肉厚なキノコが並び愛想の良い店主がキノコを収納袋に入れてくれる、その隣りの馴染みの香辛料屋で塩と砂糖を購入した。
「今日の夕ご飯はカレーだから…後は」
舵がキョロキョロと周囲を見渡す、沢山の人々が行き交い賑やかな雰囲気に顔を綻ばせ、後は情報ギルドでお茶そして帰ろうとギルドへ向かった。
なんだか情報ギルドが騒がしい…、そういえば試験的に今日から職業紹介所を設けてみると千歳とラジカが言っていたなと思い出しながら向かった。
「おはよう!グリ、魔人はどうだ?」
「もう目覚めるよ…」
「そうか、そしたら皆で皇国に戻ろうな」
「うん…」
「おはよう、グリ」
「おはよう大河」
先に起きて朝食の準備をしていたグローリーがコォンを抱えたゴーシュとそれに続く大河に挨拶し食卓にサラダを運ぶ、ミルクとチーズを混ぜたオムレツは最近イザラ達のお気に入りでグローリーも練習がてらみんなに振る舞う、それにベーコンと腸詰とキノコソテー、トーストしたパンには甘さを控えたジャム、トマトによく似た野菜をベースにした赤いスープを並べて蒐集家も顔を出した。
「おはようございます、こちらへ」
「はい…あ、あの」
「そうか起きたのか」
蒐集家の後ろには痩せた青白い頬の青年がゆっくりと歩いてくる、少しおぼつかなく危うげだが眼は生気を帯びていた。
「おはよう、目覚めたばかりだから…」
グローリーとゴーレム達が別に用意したミルクと野菜たっぷりの粥と温かい果実の香りのするお茶に果実を磨り潰した果物のスープを用意し椅子に座らせた。
「はじめまして…グローリーです」
「俺は大河だ」
「俺はゴーシュだゴーシュ!」
『私はコォンなのね~』
「私は蒐集家です」
「あ…僕は…」
「カヌイ…あなたの名はカヌイ…」
強くきっぱりと言い切るグローリー、魔人の青年は今を持ってカヌイと名を魔神皇…グローリーから授かりカヌイと成った。
「よろしく、カヌイ」
「はい!よろしくお願いします!」
「ご飯食べたら帰ろう…会って欲しい人達が沢山いるから」
「お前もなコォン、退屈から遠い場所に連れて行ってやる」
『好きにするのね~』
「ああ」
4名の遣り取りに大河も笑う、収まりのいい結果になったようで良かった、蒐集家は予定通り浄化が終わるまで採集を続けるとの事なので大河も同行する事にした。
食事が終わりカヌイが風呂に入り着替え身支度を整え、皇国へと転移したのを見送り蒐集家の指示で食後の運動がてら身体を動か採集を開始した。
「た、崇幸!本当にこれいいの?」
「すごい…嬉しい」
「崇幸さん!俺も良いの!?」
「ああ、今回のご褒美と公園づくり頑張ろうなって意味を込めて…だけど条件があるからな」
《ガルディア》の広い土地、イザラとイデアと晴海が管理を任された場所で崇幸と千眼と詠斗がバイクを並べて3人が目を輝かせていた。
「今はカジノダンジョンだけでしか乗らないように」
『はい!』
「ヘルメットは必ず着用!」
『はい!』
「しっかりルールを守って乗る事!」
『はい!』
崇幸から言われた事に声を揃えて背筋を伸ばす、イザラに黒と赤のカラーデザインのバイク、イデアには暗い緑にカラーデザインのバイク、晴海にはきゅうの甲羅カラーの海色のバイクを崇幸が造ってくれた。
「はいはい、みんなバイクの前に並んで並んで!写真を撮るから!」
『はーい』
バイクのカラーデザインと同じヘルメットを持ちバイクの前に並んで、詠斗が何枚も写真を撮っている。
操縦の仕方は崇幸と詠斗と風早が指導し、合格すればダンジョンへの許可を出す流れとなる、はしゃぐ3人に崇幸達も嬉しそうだった。
「綴先生!これみんなで作ったよー」
「これは…ハンカチ?可愛い刺繍が入っていますね」
「ユラヴィカちゃんに教えて貰ったのー他の先生達にも上げたの!」
「みーんな筋が良くてすぐ出来るようになりましたわ」
教室の授業が終わり皆で昼食作りをという前に、生徒…子供達から綴にプレゼントが渡される、白いハンカチにきゅうとふーの刺繍入りの物が渡され綴の顔が綻ぶ、詠斗達にもとハンカチを渡されユラヴィカが誇らしげな顔を浮かべていた。
「上手ですね、ありがとうございます。大事にしますね、みんなにも渡します」
「みんなで刺繍したの!またあげるからね!」
「はい」
「あ、あの綴先生…」
「ライル君どうしましたか?」
「こ、これをあの…ラシュさんと二ジャルガさんに…最近会えないので…」
「アシュア君…分かりました必ずわたしますね」
「はい!」
もじもじとしたライルが言いづらそうに綴にハンカチを2枚渡す、どちらも見事な黄金のドラゴンの刺繍が施されたハンカチを綴が見つめ、そういえば最近忙しいとアシュアの顔を見に行けないと嘆くラインが来ていたので私に行くがてら顔を見に行こうかと思い、昼食の支度をみんなで行う。
今日はミートパスタとサラダとデザートはミルクアイスだ、みんなエプロンを付けて手をしっかり洗い準備に取り掛かった。
「えと…塩と砂糖と…」
「あ、珍しいキノコですね…キノコ栽培良いかも」
「もートイはすぐ仕事に結びつけるー」
「あはは、職業病だねトイちゃん」
本日は商業エリアで生活用品の購入に来ていたニトとトイと舵、トイの背中にはカルン、舵はベビーカーに赤ん坊を乗せて会話をしながら露店を巡っていた。
「いらっしゃい!スープにすると美味いよ!」
「あ、いいね!下さい」
「あいよー」
肉厚なキノコが並び愛想の良い店主がキノコを収納袋に入れてくれる、その隣りの馴染みの香辛料屋で塩と砂糖を購入した。
「今日の夕ご飯はカレーだから…後は」
舵がキョロキョロと周囲を見渡す、沢山の人々が行き交い賑やかな雰囲気に顔を綻ばせ、後は情報ギルドでお茶そして帰ろうとギルドへ向かった。
なんだか情報ギルドが騒がしい…、そういえば試験的に今日から職業紹介所を設けてみると千歳とラジカが言っていたなと思い出しながら向かった。
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