あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~

深楽朱夜

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第09部 魔王たちの産声 歪

第011話 1日経てば

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「おはよう、ゴーシュ。戻らなくて良いのか?お前結構上の立場だろう?」
「ん?ああ、へーきへーき」
『平気じゃないのね~ゴーシュは皇国の皇帝に次ぐ権力者なのね~早く戻るのね~』
「なら、お前も帰るぞ」
『帰らないのね~行かないのね~』 
「じゃ、俺も帰らない帰らない」
ゴーシュがコォンん膝に乗せて先程から同じような事を繰り返し、どちらも譲らない。
大河はゴーレム達に用意して貰ったパンと目玉焼き、サラダを食べてお茶を飲んでそんな2人を置いて立ち上がり蒐集家の個室をノックした。
「どうぞ」
「何かやる」
「ああ、ではそこの薬草をすり鉢で細かくして瓶に種類ごと入れて下さい」
「ああ、魔人はどうだ?」
「眠っていますよ、後でグローリーさんが来たら血を採って貰います。少ししたら外に採集に行きますから」
「そうか、俺も行く」
「どうぞ」
中はゴーレム達も手伝いをしつつ、蒐集家が作業をしていた。
魔人が寝かされている部屋にはモニターがどうやら付けられ、机に置かれたタブレットからそちらの部屋の様子が確認出来るようになっており魔人の部屋にもゴーレム達がいる様だった。
大河は指示に従い薬草を磨り潰す、読書も良いが多少は動きたいので単純作業は助かる、無心で薬草を磨り潰していった。

「トゥナーちゃん、野菜ありがとう」 
「いえ、すぐ育つので貰って下さい」
カーテス達がトゥナーの畑でマンドランドやお化け野菜達と1日で成長した大きい野菜を毒の森にいたベーダードードー達の為に収穫しに来ていた。
毒ダンジョンから戻ったマンドランドとお化け野菜達は、皇国で毒草も育て(苦味がくせになったらしい)る事にし張り切っている。
「ありがとう」
「はい。また植えるので来て下さい」
「うん、みんなー感謝して収穫してね」
『はーい』
「ぅぇーん」
「よしよし」
イザラとイデアと晴海、エクトとセレネが泥だらけになりなが野菜を収穫し、グローリーの眼から産まれた赤ん坊はカーテスにおんぶされ愚図ればカーテスがあやす、ウォルゾガは他のマンドランド達と一緒に種まきをし、トゥナーは野菜たっぷりのスープを懐記と率と一緒に作っていた。
穏やかな時間がゆっくり過ぎる、詠斗と崇幸はイザラとイデアのご褒美を持ってそろそろ来るだろう、2人の驚く顔を見るのが楽しみだ。

「君が番外個体魔王だね、初めまして僕は穂高 千歳です」
『知っているのね~第3位と第4位なのね~』
「本当にダ●ボのようだね、写真とっても良いかな?ぬいぐるみとか作ったら子供たちが喜びそうだね」
『好きにすればいいのねぇ~』
「ぬいぐるみ?人形みたいなものか?可愛いだろうな、俺も作って貰うか。ま、お前が1番可愛いけど、写真撮る撮る」
『ゴーシュには私がいるから必要ないのね~』
「そんな事ないぞ?お前の姿の物ならいくらあってもいい」
そう言ってスマホでコォンの写真を撮りまくるゴーシュ、なすがままのコォンに千歳、大河、千眼の思考は追い付かない、別に追い付かなくてもいいそんな感じだった。
『……………』
「みんな来ていたの…どうしたの?」
『いや、別に』
そんな中グローリーが転移し様子かおかしい場に首を傾げるが、3人とも口を揃えて首を横に振った。
「グリくんお疲れさま、魔人の血を採取しに来たんだよね、こちらは番外個体魔王のコォン君に挨拶しに来たんだ」
「うん」
「魔神皇…赤子は?」
「元気…良く泣く、ミルクを飲む」
「そうか…」
「ああ、来ましたか?個室に寝かせてます、来て下さい」
「うん」
「俺も行こう」
グローリーを蒐集家が奥の寝かされている個室へと大河と3人で向かう、千歳が後で空間歪曲を使いカジノタワーとこの車の中を繋げる事になっている。
「色々聞きたい事はあるけれど、皇国にいるならゆっくり聞く事にするよ」
『私はないのね~』
「ステータスに魔王を冠しているのに冷たいね」
『数ありと無しは違うのねぇ~ん』
「……それ程重要か?お前は強い番外個体だ…」
『そうよ~強いのよ~でも所詮数無しなのね~』
「それがお前の答えか…」
千眼の真っ直ぐな視線にゴーシュの腕の中で眼を閉じ、それきり沈黙を貫いた。
「今日はこれで戻るとしよう、千眼さん」
「ああ…」
「ゴーシュさん、コォン君をお願いします」
「ああ!」
千歳が大河に扉越しに挨拶をし、空間を繋げて千眼と詠斗達の元へと戻って行った。

「どのくらい血が必要?」
「この試験管半分程で」
「分かった」
眠る魔人の指先をしゃがんだグローリーが取り、蒐集家から渡されたナイフで切り試験管に指定された量を収めるが傷は治らず血が流れる。
「治癒能力は意識なければ発動しないという事ですね」
「……体は生きているのに…」
蒐集家が回復薬で傷を癒し試験管を受けとる、グローリーは眉根を僅かに寄せて仮死状態の魔人の顔に指を這わせれば酷く冷たい。
「グリ、生きていくには本人の意思も必要だ。様子をみていこう」
「うん…」
大河がグローリーの肩を叩き立たせる、人らしい表情や感情を浮かべるようになりつつある、そんな彼に大河もまた笑みを浮かべた。
「今日はここに泊まって彼の側にいても良い?」
「イザラ達はいいのか?」
「お願いする」
「それならいい」
「ありがとう」
「茶でも飲もう…酒にするか?」
「…少しだけ」
「なら、カウン酒を出す。お前も飲むか?」
「頂きます」
「ゴーシュ達も誘って飲むか」
大河が蒐集家も誘い食堂に行き、ゴーシュとコォンも誘い酒盛りを始めた。

『カウン酒しかもそのままなのね~魔王でも酔う代物なのね~』
「うまいうまい」
「んー濃い」
「氷や炭酸等で割って飲むと美味ですよ」
『興味あるのね』
「どうぞ」
コォンが炭酸のペットボトルを受け取り蒐集家と同じように真似をして氷を生み出し炭酸水を注ぎカウン酒を注ぎ、ゴーシュにも同じ物を用意して渡す。
ついでだからとツマミやら軽食やらを用意し早目の夕食も兼ね、ゴーシュは何処までも嬉しそうに笑っていた…。 
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