あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~

深楽朱夜

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第09部 魔王たちの産声 歪

STAGE.4-11 毒ドク動物

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「そろそろ結界?」
「そうですね」
『間も無く毒ダンジョンの封印された森に入ります、入った後は周囲の確認と毒ダンジョン迄のルートを決める為暫し停車します』
「少し、外出るか」
「俺もー体動かす」
「俺も」
「出るよ…」
「私もどんな生物が進化したのか気になるので」
「俺もだ」
『きゅ!』『ぱしゃ』
「では、念のため大河さんと私は待ちましょう」
「ああ、モニターで見ている」
ラジカと大河は留守番、それ以外の面々は結界を抜けて停車して森に降り立つ。

「なんか、むずむずする」
「うん」
「その程度ですね、まともな生物ならここに入ってすぐ即死です。浄化していかないと思ったより濃度が深いですね」
イデアとイザラの反応に蒐集家が周囲を見渡す、気配はするがこちらを伺っている様な、直ぐにでも襲い掛かって来そうな多種多様な感情が伺えた。
「タータイルクッガ、美味いか?」
『きゅ!』
早速きゅうが毒々しい色の草を食べ始め、デュスノアが尋ねれば満足そうに答える、毒の密度が濃い本来なら触れれば腐食する程だゴーレム達も食べている。
「ん、来るな」
「お、やるぞ!」
「イシュターの剣…」
「あの3人がいればいいな」
「ですね、私は採集します」
「3人頑張って」
ジラが向かってくる魔物の気配にゲータライフラフテスの剣をイデアと共に構え、イザラもイシュターの剣を構えれば、バキバキと木を薙ぎ倒しながら巨大な体躯の禍々しい色を帯びた鱗に覆われたサンショウウオのような魔物が迫って来た。
「わ、可愛い!な、親父!あれ飼っていい?」
『かわいい?』
「……ちゃんとお世話出来る?」
「うん、する!」
「……いいよ」
「いや、駄目だろ?毒性魔物だろ?イデアの言葉に魔剣と聖剣やらコイツが引いてるぞー」
「コイツはベーダードートの毒属性か」
イデアがグローリーの服の裾を引く、イデアとグローリー以外は目の前の毒性魔物が可愛いかと疑問に思うがグローリーは了承し、ジラが聖剣達の感想を伝えた。
「えー可愛いじゃん、大きくて鱗と爪とか」
「良いアイデアです、解毒可能か調べましょう。捕獲します」
「なら、俺に任せろ。得意だ」
デュスノアが収納ポーチから鞭を出す、戦闘態勢のベーダードートに鞭を打つ。
『クォオォー!』
「うわ、似合うわー。動画撮って舵見せてやろ」
「喜びそう」
スーツ姿の美形が鞭で魔物を痛ぶっている姿にジラが呑気に動画を回し、イザラが同意した。
「あ、可哀想じゃん」
「こういう場合はどちらが優位か決める必要がある」
「そうです、片足握り潰しますか」
「おいおい、足は可哀想だろう?その尾を砕けばいい」
「おや、優しい。きゅうさん?ああ、食べてみたいそうです、尾を砕きましょうか」
『きゅ!』
『く、くぉ…』
愉しそうに嗤うデュスノアと蒐集家、鞭で打たれ後退るベーダードートに更に追い討ちを掛けるようにきゅうが前に出た。
「ひどい事すんなよ、きゅうも」
『きゅ』
『くぉぉ…』
きゅうを止めたイデアに感謝したのか、イデアの後ろにその巨体を隠して怯えている、ドラゴンにタータイルクッガに魔人に古代種に得たいの知れない強さが伝わる生物……挑む前から敗北は決まっていたがベーダードートに理由がある。
「んな、怯えんなよ。俺んち来るか?」
『くぉぉ…』
「仲間がいるのか?お前1体で仲間の為に来たのか?」
「偉い、かっこいい」
「へぇ、漢気があるな」
「仲間も…呼んで。連れていくよ?」
「お前何くう?肉?」
「ベーダードートは肉食だが、成る程この毒ダンジョン周囲の森の魔物が強すぎて草食になったのか」
「それは興味深いですね、ベーダードートが弱い…ですか」
『クォオォー!クォオォー!』
他にも仲間がいるが仲間達を守る為に単身乗り込んだベーダードートがグローリーの了承を得て仲間達を呼ぶ為に吠えれば、至るところから魔物達が集まって来る。
「スパンダーにダーシュモグラ、ウォンドーにベーダードートですか、毒ダンジョン限定のコミュニティですね」
四つ目のコロコロした蜘蛛達、チワワ程の大きさのモグラ達、オウム程の大きさの爪が鋭い鳥達にベーダードート達…どれも禍々しい色を放ち此方を伺って、イデア達を囲んでいた。
「わあ!可愛いなー!」
『かわいい?』
イデアがはしゃぎグローリーが頷く、他は疑問が浮かんだ。
「みんな来る?」
「神々に頼んで解毒した方が早いですね」
『くぉぉ』
『きゅ!』『ぱしゃ』
群れの長らしいベーダードートときゅうとふーが説得し、全員ついて行く事に決めたようだ。
「大きくね?小さくならないのか?コイツら」
『きゅ!』『ぱしゃ』
きゅうが右前足を挙げ、魔法を発動させれば皆チワワ程度の大きさへと姿を変えた。
「きゅう、ありがとう」
『きゅ!』
「じゃ、車戻ろう」
全員連れて車に戻れば成り行きを見ていた大河とラジカが出迎えてくれ、「洗うぞ」の一声で全員で魔物達を洗う事にした。

『け、なんだぁ!あいつらたかがドラゴンやらタータイルクッガや魔人ごときに平伏すとか。弱い奴らはこれだから、弱いんだよ。古代種やまあアイツは別格だがな』
事の成り行きを遠くで視ていた影、黄金と銀色の輝きを放ち毒々しい果物を食い漁り食べ滓を地面に放ればお零れに預かる魔物達がせっせと奪い合う、それを上から眺めてケタケタ嗤っていた…。
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