あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~

深楽朱夜

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第09部 魔王たちの産声 歪

STAGE.4-5 不穏な男

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晴海が目を覚まし周囲を見渡す、エクトが腕の中で寝息を立てていたので起こさないようにゆっくり身体を起こしイザラもイデアも寝ていて、セレネがお腹を出していたので掛け布団を掛けて居間に向かった。
「おはよう、ウォルゾガさん、グローリーさん、カーテスさん」
「おはよう…」
「おはよう」
「おはよう、晴海ちゃん眠れた?」
「うん!朝ご飯手伝うよ」
「お客だろ?座ってろって」
「お茶を出そうか?ジュース飲む?」
「おはよう」
「あ、イザラおはよう」
「おはよう、イザラもお茶かジュース飲む?」
「俺はお茶ー」
「ジュース…」
グローリーとウォルゾガとカーテスが朝食の準備を行い、晴海が手伝うと伝えるとカーテスが座るように言いイザラも起き出して飲み物を貰った。
「イザラ、今日はカジノダンジョンだね!応援してる!服も楽しみ」
「ん、さっさと攻略する…毒ダンジョンが肝心だ」
「そうだよね、明日が本番だもんね」
「ん、ナイルさんがおやつとか沢山作ってくれるって!」
「へーいいじゃん、おはよ」
「おはようイデア」
「おはよう」
「イデアちゃんは何飲む?」
「ミルク」
イデアも起き出して晴海の隣に座る、いつもの朝はこんな感じらしい。
「タナトスさんは?」
「起きてる…ご飯になったらくる」
「そうなんだ、タナトスさんが直したゴーレム綺麗だねー」
「最近絵を描いて欲しいってゴーレムやヒヨコ達がくるからなー」
ウォルゾガとグローリーがトレイに山盛りの腸詰めを焼いた物、魚ダンジョンの塩焼きこれも山盛り、サラダは各自、白米、味噌汁が置かれおかずを各自自由に取って食べるスタイルだった。
「タナトス、飯できたぞー」
「……」
「おはようございます」
「……おはようございます」
「いつもはエクトとセレネも起こすけど、今日は3人がダンジョンに行くから先食べようね」
「衣装合わせがあるって言ってたからな、早目に来てくれって言ってたぞ」
「よくわかんねーけど、嫌な響き」
「戦闘に使えるならいい」
「うん、明日の為の今日…皆…必ず連れてくる…」
「グローリーさん…」
朝食を食べながら静かに決意を固める、グローリーはいつも程よい量しか食べないが今日はいつもり多めに食べる。
イザラとイデアもお代わりをして、先に4人でカジノタワーの控え室に向かった。

「……お前からあいつの匂いがするな、あいつわざと付けたな」
「あ、あのご、ご主人様…」
「行くぞ」
朝ボロ屋でゴーレム達と寝ていると男が帰ってくる、いつも少年などいないように、いたとしても適当に金を渡すか食い物を投げるか最低限以下の扱いしかしない錆色の男が少年に近付き冷ややかな視線で少年の服の下にある物の存在も把握し腕を引いて商業エリアに向かった。

「おはようございます」
「早いな」
「今日は出来たばかりのダンジョンに行けるので」
「そうか」
「これからカジノタワーに向かいますがお茶でも飲みますか?」
「貰う」
「はい」
蒐集家が手早く茶を淹れる、表情はいつもと変わらないが何処か楽しそうだ、外も店が始まり賑やかな声が聞こえる。
「来るとは思いましたが…」
「何がだ」
大河にカップを渡し薄ら笑いを浮かべてその時を待つ、自分も然別今や大陸で最も注目されていると言っても過言ではないカジノタワーだ魑魅魍魎基おかしな人物達がやってくるのは必然のような物だった。
ドカ…扉を蹴破る激しいと共に錆色の髪の男と男に引き摺られた奴隷の少年が現れ、不躾に店へと入ってくる。
「借り物なので丁寧に扱ってくれません?」
「おい、俺は客だ。言う事があるだろ?なぁ、蒐集家よ」
「いらっしゃいませ」
「自白剤、麻痺毒、痺れ薬、麻酔、不眠薬、解毒剤、それと北の毒ダンジョンに耐えうる薬を寄越せ、お前も連れていく」
少年を放り大河の隣の椅子に座りテーブルに足を乗せ、ちらと錆色の左目で大河を見て反らした。
「おい、北の毒ダンジョンに何の用だ」
「ああ、救世主か?蒐集家、お前、こっちと手を組んだのか?」
「組んでいません、カジノにも来たそうですね」
「ああ、ゲーターダイルラフテスの剣が欲しいからな」
「貴方に必要だと思いませんが」
「いや、毒ダンジョンには必要だ。それで《ラズライール商会》のラジカもいるな?あいつにも用がある呼べ、今日中には向かう」
「残念ですが、明日北の毒ダンジョンに向かいます。本日はこれからここのカジノダンジョンで腕試しです」
慇懃無礼な男に大河が眉を潜める、蒐集家は涼しげな表情で淡々とした顔をしているし、奴隷の少年は怯えていた。
「なら、俺も混ぜろ。どうせ行くのは同じだ」
「私では決められません」
「なら、誰に聞けばいい?あの場所はお前無しでは行けないからな」
「なら、その子供と引き換えに参加させてやる」
「お前つまらん男だな」
「よく言われるな」
「その目にこれがどんな風に見える?」
「怯え、痩せた子供に見える」
「蒐集家、お前の目には?」
「狂気放つ彷徨う……此処までにしておきます」
やはり蒐集家は不穏な笑みを浮かべて口を閉ざす、鑑定した所で何も出ないのは明白…蒐集家もまともに答えそうにない。
「神々から許可を貰え、それなら渡す」
「…分かった…俺だ…今いる子供だが……そうか…分かった…神々は俺に任せるそうだ。君来るか?こちらへ、そのゴーレムとヒヨコもずっと一緒だ」
大河は薄く笑う普段不愛想で無口だがその整った顔立ちもあり、少年が顔を赤らめ見惚れていた。
「良いんですか?手を離して」
「お前らしくない言いようだな、彼らに感化されたか?」
「まさか」
男も薄ら笑いを浮かべ少年を見ているがその錆色の瞳は遥か遠くを見ているように見え、蒐集家も首を振った。
「お前とこの子の名は?」
「俺はデュスノア、それはエニューだ」
「エニュー来るか?」
「………俺奴隷だから…」
「行けばいい、首輪は外すな」
「……えと…行きます」
「そうか…ならまずは服と家と食事だな…俺達はこれからダンジョンに行く、君は俺の大事な人達に託すから行きたい場所を選んでくれ」
「は、はい…」
「では、行きましょう。貴方も良いんですよね?大河さん?」
「ああ…行くぞ」
3人とゴーレム達を連れて大河はカジノタワーダンジョンの控室に向かう、大河はどこか不安げなエニューの頭を撫でてやり少しでも不安を取り除いてやった。
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