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第09部 魔王たちの産声 歪
第09話 《オルン》の町の弱者
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「へへ、良い金になったな!リーダー様々だ!」
「これから森へ行って草探してこい!明日もあそこへ行くぞ!リーダーも金になる奴隷を捕まえたもんだ」
「また草探してきたら飯やるよ!」
「そんなの置いてこの金で飲みに行きましょ!」
商業エリアから出て《オルン》に戻った冒険者達、蒐集家の店で売った薬草の金を奴隷の少年から巻き上げ飲み屋に向かった。
少年は何も言わず無言で外に出て暗くなりつつある森へ足を運ぶ、後をついて来たゴーレムとヒヨコはボロ屋の壁の隙間からそれを見ていて少年の後ろを歩いていく。
ぐうう…お腹はいつも空いていて、お腹を触れば骨と皮のみ靴も切れ端を足に巻いて紐で縛っただけだった。
「いつかお腹いっぱいお肉とか食べたいなー」
冒険者達の住処から少し歩いた先の森、少年は薬草を探しながら食べられる葉っぱや実を食べて糊口を凌ぐ。
「奴隷だから…やっぱり結局死ぬまで奴隷かな…」
少年は夜目が効くもう暗い森でも容易く薬草を見つけられる、せっせと薬草を摘んでいればツンツンと何かに肩を叩かれ振り返れば頭にヒヨコを乗せたゴーレムが間近にいて、思わず腰を抜かして地面に座り込んでしまった。
「へ、あ…ゴーレム?もしかしてあのお店の?」
薬草を10万ログで買い取ってくれたあの店にいたゴーレムだ、頭に黄色い鳥?を乗せていたから間違いない。
「あ、あの?」
ゴーレムはコクコクと頷いて、巾着袋からシートとパンとお茶と干し肉を並べてどうぞと少年に差し出した。
「え?もしかして…食べていいの?」
ゴーレムがコクコク頷いてヒヨコが頭から降りてちぎったパンをつついてゴーレムもパンと干し肉と干した果物を食べ始めた。
少年がゴクリと唾を飲み込みパンと干し肉を両手に持ちガツガツと食べて、涙を浮かべゴーレムからお茶も貰いまだまだ食べていく、ゴーレムもまたパンを出して干し肉も出してくれ、少年が夢中になって自分が食べ終わった後も静かに待っていた。
「……聞きたい事がある」
「どうぞ?」
「俺と以前会った事があるだろう?日本で」
「ありません」
大河の問いに間髪いれずに答えを返す、まともに答えるとも思っていないから想定内の答えだが恐らく会った事があると確信を得た。
「俺達と同じように徐々に記憶から消えていったのか、そういうスキルを使ったのか」
「答える義務はないでしょう?」
「そうだな、日本はつまらなかったか?」
森の陰から少年とゴーレム達を見ていた2人、大河からの純粋な質問に蒐集家は少年達より遥か先を見ているような視線を浮かべる、瞳の色は相も変わらず見えないがグローリーの言う凍え程の寒い夜空から降る雪のような瞳を見てみたいと思った。
「私には窮屈で狭い世界だった、娯楽、快楽、生きる喜び、楽しさ、死が遠く感じられ……つまらなかった訳じゃない、戻りたいと思った事もない。何1つあの場所に未練も悔いもない」
「そうか」
「帰りたいんですか?」
「いや、それより敬語止めろ」
「お断りします」
「そうか、あの子供普通の子供の様だが」
断られた事を意に介さない大河はゴーレム達と食事する少年を鑑定する、奴隷:土魔法としか出なかった。
「では、そうなのでは?戻ります」
「ゴーレム達は?」
「暫くすれば戻りますよ」
ゴーレムと楽しそうに遊ぶ少年を大河は迷う、売られている奴隷ならば話しは簡単だ買えば良い、だが誰かの奴隷ならば金を出して済むのか気掛かりだが今夜はあの少年は飢えを忘れて眠れるだろう…。
「おめでとうございます」
カジノが騒がしい今や副支配人となったカトゥーシュカがフルセットの神経衰弱で負けたのだ、支配人トラングの無敗記録が敗れた今無敗を誇っていた副支配人も敗けコインが支払われる。
このカジノに新たに加わった景品、ゲーターダイルラフテスの血爪鱗で造られたかの伝説の剣星帝が所有する兄弟剣が景品として出されカジノは現在熱気を帯び客が増えていた。
懐記達の承認の元客の受け入れも増やしフロアは大いに盛り上っていた。
「今日はこれで終わりとする」
カトゥーシュカと神経衰弱勝負を行っていた男が立ち上がる、背中まである錆色の髪左眼を髪で隠した右目もまた錆色をし隙のない男だった。
「お待ちしています」
カトゥーシュカが頭を下げて見送る、ちらとトラングも男を確認するだけにし遊戯を続けた。
「今のって」
「ああ」
「ま、くるよなー」
客達は男が去ったあとひそひそと話をする、有名人らしくショーケースに飾られた景品を皆眺めた。
ゲーターダイルラフテスの剣以外にも誰もがため息を溢すアイテムが並び熱い視線を送る、景品は剣や武器等はメダルを貯めても剣や武器が認めなければ交換は認められないルールになっている、それがまた名だたる挑戦者達を燃え上がらせいた。
「さあ、本日は間も無く営業終了です。最後までお楽しみ下さい」
トラングの声で客達が盛り上がりを見せ、営業終了まで熱気を帯びていた。
「北のダンジョンの件準備が整いました」
「カジノタワーのダンジョンも、最終階層のボスを残し完成しました」
「最終階層のボスはランダムで龍皇の許可も取りました」
「風早とゴーレム達お陰で早く完成しましたね、明日会議室に何名か降りて話をしましょう」
「ラインしておくなのです」
「ふむ、蒐集家が気になる所だが…やれる事はした」
《神の庭》準備が整ったと頷き合う、明日色々と動き出すだろう…。
「これから森へ行って草探してこい!明日もあそこへ行くぞ!リーダーも金になる奴隷を捕まえたもんだ」
「また草探してきたら飯やるよ!」
「そんなの置いてこの金で飲みに行きましょ!」
商業エリアから出て《オルン》に戻った冒険者達、蒐集家の店で売った薬草の金を奴隷の少年から巻き上げ飲み屋に向かった。
少年は何も言わず無言で外に出て暗くなりつつある森へ足を運ぶ、後をついて来たゴーレムとヒヨコはボロ屋の壁の隙間からそれを見ていて少年の後ろを歩いていく。
ぐうう…お腹はいつも空いていて、お腹を触れば骨と皮のみ靴も切れ端を足に巻いて紐で縛っただけだった。
「いつかお腹いっぱいお肉とか食べたいなー」
冒険者達の住処から少し歩いた先の森、少年は薬草を探しながら食べられる葉っぱや実を食べて糊口を凌ぐ。
「奴隷だから…やっぱり結局死ぬまで奴隷かな…」
少年は夜目が効くもう暗い森でも容易く薬草を見つけられる、せっせと薬草を摘んでいればツンツンと何かに肩を叩かれ振り返れば頭にヒヨコを乗せたゴーレムが間近にいて、思わず腰を抜かして地面に座り込んでしまった。
「へ、あ…ゴーレム?もしかしてあのお店の?」
薬草を10万ログで買い取ってくれたあの店にいたゴーレムだ、頭に黄色い鳥?を乗せていたから間違いない。
「あ、あの?」
ゴーレムはコクコクと頷いて、巾着袋からシートとパンとお茶と干し肉を並べてどうぞと少年に差し出した。
「え?もしかして…食べていいの?」
ゴーレムがコクコク頷いてヒヨコが頭から降りてちぎったパンをつついてゴーレムもパンと干し肉と干した果物を食べ始めた。
少年がゴクリと唾を飲み込みパンと干し肉を両手に持ちガツガツと食べて、涙を浮かべゴーレムからお茶も貰いまだまだ食べていく、ゴーレムもまたパンを出して干し肉も出してくれ、少年が夢中になって自分が食べ終わった後も静かに待っていた。
「……聞きたい事がある」
「どうぞ?」
「俺と以前会った事があるだろう?日本で」
「ありません」
大河の問いに間髪いれずに答えを返す、まともに答えるとも思っていないから想定内の答えだが恐らく会った事があると確信を得た。
「俺達と同じように徐々に記憶から消えていったのか、そういうスキルを使ったのか」
「答える義務はないでしょう?」
「そうだな、日本はつまらなかったか?」
森の陰から少年とゴーレム達を見ていた2人、大河からの純粋な質問に蒐集家は少年達より遥か先を見ているような視線を浮かべる、瞳の色は相も変わらず見えないがグローリーの言う凍え程の寒い夜空から降る雪のような瞳を見てみたいと思った。
「私には窮屈で狭い世界だった、娯楽、快楽、生きる喜び、楽しさ、死が遠く感じられ……つまらなかった訳じゃない、戻りたいと思った事もない。何1つあの場所に未練も悔いもない」
「そうか」
「帰りたいんですか?」
「いや、それより敬語止めろ」
「お断りします」
「そうか、あの子供普通の子供の様だが」
断られた事を意に介さない大河はゴーレム達と食事する少年を鑑定する、奴隷:土魔法としか出なかった。
「では、そうなのでは?戻ります」
「ゴーレム達は?」
「暫くすれば戻りますよ」
ゴーレムと楽しそうに遊ぶ少年を大河は迷う、売られている奴隷ならば話しは簡単だ買えば良い、だが誰かの奴隷ならば金を出して済むのか気掛かりだが今夜はあの少年は飢えを忘れて眠れるだろう…。
「おめでとうございます」
カジノが騒がしい今や副支配人となったカトゥーシュカがフルセットの神経衰弱で負けたのだ、支配人トラングの無敗記録が敗れた今無敗を誇っていた副支配人も敗けコインが支払われる。
このカジノに新たに加わった景品、ゲーターダイルラフテスの血爪鱗で造られたかの伝説の剣星帝が所有する兄弟剣が景品として出されカジノは現在熱気を帯び客が増えていた。
懐記達の承認の元客の受け入れも増やしフロアは大いに盛り上っていた。
「今日はこれで終わりとする」
カトゥーシュカと神経衰弱勝負を行っていた男が立ち上がる、背中まである錆色の髪左眼を髪で隠した右目もまた錆色をし隙のない男だった。
「お待ちしています」
カトゥーシュカが頭を下げて見送る、ちらとトラングも男を確認するだけにし遊戯を続けた。
「今のって」
「ああ」
「ま、くるよなー」
客達は男が去ったあとひそひそと話をする、有名人らしくショーケースに飾られた景品を皆眺めた。
ゲーターダイルラフテスの剣以外にも誰もがため息を溢すアイテムが並び熱い視線を送る、景品は剣や武器等はメダルを貯めても剣や武器が認めなければ交換は認められないルールになっている、それがまた名だたる挑戦者達を燃え上がらせいた。
「さあ、本日は間も無く営業終了です。最後までお楽しみ下さい」
トラングの声で客達が盛り上がりを見せ、営業終了まで熱気を帯びていた。
「北のダンジョンの件準備が整いました」
「カジノタワーのダンジョンも、最終階層のボスを残し完成しました」
「最終階層のボスはランダムで龍皇の許可も取りました」
「風早とゴーレム達お陰で早く完成しましたね、明日会議室に何名か降りて話をしましょう」
「ラインしておくなのです」
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