あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~

深楽朱夜

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第09部 魔王たちの産声 歪

第07話 ゴーレム達の飲食店始動

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「本当みんな面白い事考えるなー、千眼さん一緒に作らないか?」
「ああ……何からにする?」
「んー、こっちは良いが。これは懐記君の出番だな」
「ん?何?」
「ゴーレム達とヒヨコとおりがみの子達とかで飲食店を作るようだが、焼き肉店は懐記君に店の内装とかのデザインは頼んでも良いかな?」
「んーオッケ、レストランに作って皇国と繋げる訳ね」
大河達が毒ダンジョンから戻り採集も終わり、それぞれの場所に戻った後、レストランで崇幸や千眼がラジカから渡された企画書を眺め、懐記も呼んで書類に目を通して貰い懐記も乗り気だった。
「風早っちー」
『はい、懐記様』
「スーパー銭湯のリニューアルオープンと一緒にゴーレムの焼き肉屋造るわ、スペースレストランと同じ広さで用意して。崇幸っち希望したゴーレム呼んで」
『承知しました』
「わかった、こっちの店のゴーレム達とニア君を呼ぶか。キッチンカーと後教室の下のフードコートと…肉と魚ダンジョンに依頼して…仕入先も準備しないとな。焼き肉屋はスーパー銭湯でクレープとアイス屋はキッチンカーで《ガルディア》か、フードコートは唐揚げ屋と肉の串焼き、魚の串焼き屋と水あめ屋とかき氷屋…祭りの時の店か。よし、ゴーレム達が来たら皆の希望を聞こうか」
「ああ…」
「俺はカルっちの所で焼き肉に必要な素材貰ってくるわ、後大河っちに雑誌借りてくるわ」
「俺も行く…」
「面白そーすね」
「多めに貰って来てこっちにも回してくれ」
「オッケ」
懐記がチグリスとラウラスを連れて鉱物ダンジョンに向かい、入れ替わりにゴーレム達とニアとアシューとサウ達がやって来た。

「採集も終わって、毒ダンジョンにも行きましたので店の準備をします」
2頭のモギ達をベルンに返し、商業エリアの店にゴーレム達と大河と戻った蒐集家が準備をしようとして大河に戻ったばかりだからと休憩にしようとゴーレム達がお茶を用意してくれ、特に断る理由も無いからと席を共にした。
「皆も休んでくれ」
ゴーレム達にも声を掛け蒐集家がお茶を準備し、ゴーレム達も手伝いを行い燻製チーズと木の実も大河が並べた。

「兵士だったみなさんは、ご家族を連れてこちらで働くという事ですね」
《島船》で綴と率が身体が回復しつつある兵士達に今後の希望を尋ね、転移札と収納袋を渡し家族を《ガルディア》か《ホウラク》に呼び暮らしていく事が決まり家族を連れて来て貰う事になった。
「こ、こんな、世話して貰って」
「け、ケガとかも治して貰って…」
「俺は本当に死ぬかと…」
「いえ、イデアく…戦場にいた少年の家族の願いですから」
綴が微笑む、兵士達は涙ながら肩を震わせこれからの事に安堵した。
「あいつに家族が見つかって良かった」
「俺の子供と年なんか変わらないのに戦場で大将の首まで落としてくれて」
「あのでかいゴーレムも最後まで足止めしてくれた」
「俺たちの英雄だ」
「ええ、彼も嬉しそうです」
ぶっきらぼうだがグローリー達の側で過ごすイデア、日々を楽しく学び過ごしている。
「良かった」
「ああ」
もう家族にも生きて会えないと思っていただろう彼ら、微笑み何度も何度も生を実感する、明日にでもイデアに顔を見せにくるよう言おうか、きっとぶっきらぼうに恥ずかしがるだろうその姿が目に浮かび綴は笑った。

「今日は2人共頑張ったから、晴海ちゃんからアイスの差し入れだよ」
「やり!」
「いただきます」
「うん!」
「うー!」
皇国の家に戻り身体を洗えば、カーテスがジュースとアイスを用意していてくれていた。
「うまー」
「美味しい」
「今日の晩飯はゴーシュ殿達と餃子作りだな、後で店に行くから」
「ぎょうざ?」
「うまいらしいぞー」
「へー」
「美味しいよ…」
「ここの飯はなんでも美味しい…」
「俺もそう思う、今まで腹なんか大して減らなかったけど飯食えたら嬉しい」
「そうだね…」
「ごちそうさま、時間までゴーレム直す」
「うーん!」
「うー」
「俺も」
「俺はゴーシュ殿の所で下準備するわ」
「はーい」
アイスの器をグローリーが片付け、ウォルゾガが立ち上がり外へと出ていき残った子供達とグローリー、カーテス、タナトスでゴーレムの修復を行った…。

「こんにちは、ここは薬屋ですか?」
「はい、まだ開店してませんが簡単な物なら用意出来ますよ」
サウが貰った粘土で看板を作り、アシューがそれに薬草の絵を貰った絵の具で描いた物を蒐集家の店にプレゼントし入り口に飾ればオープン前にも関わらず商人達が訪ねてくる。
「それは良かった、最近腰が痛いので痛み止めをいただけますか?」
「はい、こちらと塗り薬もありますよ」
「両方いただきたい」
「では、こちらの飲み薬は1日2回食後に飲んで下さい。30日分、塗り薬は1日2~3回朝、昼、晩に塗るのが良いでしょう。2つで1,500ログです」
「安いですね」
「まあ、開店記念です」
「ありがとうございます」
カウンターからビンに入った丸薬と小さな蓋付きの容れ物を並べて料金を受け取る、既に販売する物のリストは出した様で風早も何も言わない。
「すみません、仕入とかはさせて貰えますか?」
「数が必要なら数日待って貰います、後は記入してもらう書類があります。塗り薬は可能ですが飲み薬は仕入出来ませんね」
「なら傷薬と火傷に効く塗り薬を20ずつ欲しいのですが」 
「それなら3日後に来て下さい用意しておきます、1つ500ログです」
「分かりました、よろしくお願いします。《ナガン商会》です」
「はい、お待ちしてます」
木の板に挟んだ紙に記入し見送る、薬草を風魔法で乾燥させ薬草を量る手伝いをしていた大河は次々やってくる客達を眺めた。
「こんにちは、薬草の買い取りをしていると情報ギルドから教えて貰いました」
「はい、どうぞ。こちらに並べて下さい」
「はい…」
痩せた小柄な子供、ボロい服を纏い荒れた手で薬草を並べた。
「綺麗に採れてますね、珍しい。10万ログでどうです?」
「そ、そんなに!?」
「開店記念です、また採ったら持って来て下さい」
「は、はい!ありがとうございます」
小柄な子供がパアと表情を明るくし小袋に入れられたコインを抱えて駆けて行く、蒐集家がゴーレムと頭に乗っているヒヨコも手招きした。
「あの子供の後を追って下さい、転移札を…後コインと食べ物と薬が入ってますから」
小さい収納袋をゴーレムの首に下げ、ゴーレムがコクりと頷いてヒヨコと共にタタ…と少年の後ろを追った。
「風早さん、あの子は?」
『冒険者の荷物持ちですね奴隷です』
「あの子が気になるのか?」
「ええ」
「あの子が何か分かるか?風早?」
『……申し訳ありません、ここに入れるかどうかの判断程度しか私には出来ません…』
「そうか」
大河は蒐集家に聞いても話さないだろうと、風早にしても言葉を濁す感じが引っ掛かる、次に来た時に鑑定するかと作業に戻った。
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