あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~

深楽朱夜

文字の大きさ
上 下
348 / 867
第09部 魔王たちの産声 歪

第05話 集団遠足

しおりを挟む
「……多いですね?」
「あーいやあ」 
「良いですよ、開けた場所で採集をお願いします。ピクニックに最適な場所がありますから。これで全員ですか?」
蒐集家と大河も訪れ大人数での遠足となり、崇幸が気まずそうにしていたが蒐集家は特に気にもしていない様子だった。
「わるいなー」
「助かりますよ、移動しても?」
「ああ、おーい、移動するぞー」
『はーい』
蒐集家が周囲にいた面子を確認し、転移魔法を発動させてた…。

「わあ、白い葉っぱだー」
「動物が食べても良いですし、サラダにしても美味しいと思いますよ。人も来ないですからどうぞお好きに」
「いんじゃない、昼飯にしよ」
懐記が開けた草原を見渡しシートを広げたり、詠斗達ががテーブルを出したり、モギ達やきゅうやハル達にクラークラックや動物はむしゃむしゃと葉っぱを食べていた。
「この葉も栽培しますから、後で穫りましょう」
「弁当とコンビニのパンと…サラダと…揚げ物でもするか」
「オッケ、鍋用意して」
「手伝うぞ」
「僕も手伝うよ」
ウォルゾガとカーテスも手伝い唐揚げを揚げまくる事にし、天ぷらも用意し大河がライガルとニジェルガにナイルとチグリスも連れて戻ってくる。
「良かったら、ドーナツ作ったのでどうぞ。懐記さん私も手伝いますよ」
「わあ」
皿に山盛りのドーナツをナイルが置いてくれ、子供達から歓声が上がる。
『いただきまーす』
交代で揚げ物をする事にし、昼食を食べ始めた。

「ライガル先生、今日はよろしくお願いします」
「はい、イデアさんもよろしくお願いしますね」
「うっわ、すげぇ品の良い美形」
「俺の自慢の弟だ」
「兄上…」
グローリー、イザラ、イデアとニジェルガ、ライガルの卓でこの後の毒ダンジョンの話しをしている、イデアがライガルの品の良いスマイルをそう評しニジェルガがクックと肩を震わせ笑う。
「折角だ、《黄昏の瞳》としてダンジョンで遊ぼうとしよう」
「兄弟?似てないけどどっちも美形じゃん」
「ドラゴンだからだろう」
「カッコいい…」
「だそうだ、ライガル?」
「嬉しいですよ、ありがとうございます」
イデア、イザラ、グローリーから賞賛され優雅に微笑む、ニジェルガは楽しそうだ。

「……」
「久しぶりの外はどうだ?」
「特には、うるさいだけです」
「そう言わすにほら、食べて。タナトスちゃん」
「…………」
「うん?」
「うー?」
一方こちらはウォルゾガ、カーテスとエクト、セレス、ゴーシュ、タナトス卓、無愛想なタナトスにウォルゾガが話し掛けるが茶を飲んで素っ気ない、カーテスが唐揚げやパンを並べてニコニコしつつ子供達の世話もしていた。
「ふふ、沢山食べてね」
「ほら、お前もくえよ?」
「………」
タナトスが小さくパンを口に運ぶ、こんな賑やかな場所にこうしている自分が違和感でしかない、部屋に戻ってゴーレム達に囲まれて作業していた方が良い。
あの蒐集家もいて更に居心地は悪い、早く帰り……そう思う自分の思考に嫌気が差した。
「たまには外に出とけ」
「大きなお世話です、優遇しても喋る事はないですから」
「ま、そういう事にしておく」
「………」
早くこんな時間が過ぎれば良い、タナトスはウォルゾガからの視線から背を背けた。

「はい、ではこの辺りの草を摘んで下さい。この白い葉は根っこまで、それ以外は葉を摘まんで下さい。この辺りの植物は薬にどれも使えます。必ず大人と行動し離れないようにお願いします」
『はーい』
「私達が毒ダンジョンから戻って来るまでお願いします」
『はーい』
『………』
「モギですか…なるほど来ますか?」
『………』『きゅ!』『ぱしゃ』
「ベルンさんこのモギ2頭が毒ダンジョンに挑戦したいようです、こちらは解毒スキル、こちらは毒喰いスキル…きゅうさんも毒喰いですか、素晴らしいスキルですね。是非北の毒ダンジョンにも来て欲しい」
収穫家が説明し終わると、モギ2頭ときゅうとふーが何やら毒ダンジョンに行きたいとアピールし、蒐集家がベルンに確認を取る。
「え?いつのまに?」
「珍しいスキルだぞ!」
ベルンとラピスがモギを見つめるが、横長の瞳孔の瞳で静かにしていた。
「行きたい?」 
『………』
「うん、わかった。蒐集家さんお願いします」
「はい、では行く面子は私とグローリーさん達、陛下とライガル殿、ラジカ殿とジラ殿…」
「俺も行く」
「大河さんとモギ2頭ときゅうさんとふーさんですね、では行きましょうか」
蒐集家が転移を発動し、皆に見送られて南の毒ダンジョンへ向かった。

「ここが毒ダンジョンです、皆さんは状態異常無効がありますから特に気にする事はありません。敵は炎系か氷系に弱いのでイザラさんとイデアさんの魔法の練習に向いていると思います、飛行系の魔物が多いのでそれだけ気をつけて下さい」
「しつもーん」
「どうぞ」
「ここの最終階層のボスはなんですかー?」
「おや、傭兵王ともあろう方がネタバレをご希望とは」
「なに?ねたばれ?」
「重要な部分や物語の結末を暴露してしまうとかに使うが、この場合は必要な情報だ」
「お前性格本当に悪いな、お前しか攻略者のいないダンジョンなんだろ。情報寄越せ」
陰鬱とした森の奥の洞窟の前で蒐集家から説明を受ければ、肝心なボスの話しが出ない、ジラが質問すれば肩を竦めた返しに大河が返し、ジラが蒐集家を指指し口を尖らせた。
「面白くないので答えません、どうせ倒すでしょ。行きましょうか」
「相手にするだけ無駄ですよ、まともな思考の持ち主なら毒しかドロップしないダンジョンなど来ません」
「まるで私が異常だと?」
「貴方がまともだというなら、この世界に異常な物などない」
「あっはは!面白い」
何が面白いのかラジカの台詞に蒐集家が弾けたように笑う、ラジカの眉間にシワが刻まれた。
「2人とも…行こう…なにが出ても攻略して…北の毒ダンジョンへ…」
「お、そうだな。さすがリーダー」
「私とした事が、行きましょう。ここは前座ですから、本命は北の毒ダンジョンです」
「先生!魔法!」
「俺も」
「はい、では気を引き締めて行きましょうか。グローリーさんの魔法は禁止です。すぐ終わりますから」
「子供達に花を持たせてやれ」
「…はい」
グローリーの静かな声と闘士、ラジカとジラも気を引き締める。
イデアとイザラがライガルに授業を頼み、グローリーに釘を差しニジェルガも口添えして一歩暗い洞窟に足を踏み入れた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

黒の創造召喚師

幾威空
ファンタジー
※2021/04/12 お気に入り登録数5,000を達成しました!ありがとうございます! ※2021/02/28 続編の連載を開始しました。 ■あらすじ■ 佐伯継那(さえき つぐな)16歳。彼は偶然とも奇跡的ともいえる確率と原因により死亡してしまう。しかも、神様の「手違い」によって。 そんな継那は神様から転生の権利を得、地球とは異なる異世界で第二の人生を歩む。神様からの「お詫び」にもらった(というよりぶんどった)「創造召喚魔法」というオリジナルでユニーク過ぎる魔法を引っ提げて。

無能な勇者はいらないと辺境へ追放されたのでチートアイテム【ミストルティン】を使って辺境をゆるりと開拓しようと思います

長尾 隆生
ファンタジー
仕事帰りに怪しげな占い師に『この先不幸に見舞われるが、これを持っていれば幸せになれる』と、小枝を500円で押し売りされた直後、異世界へ召喚されてしまうリュウジ。 しかし勇者として召喚されたのに、彼にはチート能力も何もないことが鑑定によって判明する。 途端に手のひらを返され『無能勇者』というレッテルを貼られずさんな扱いを受けた上に、一方的にリュウジは凶悪な魔物が住む地へ追放されてしまう。 しかしリュウジは知る。あの胡散臭い占い師に押し売りされた小枝が【ミストルティン】という様々なアイテムを吸収し、その力を自由自在に振るうことが可能で、更に経験を積めばレベルアップしてさらなる強力な能力を手に入れることが出来るチートアイテムだったことに。 「ミストルティン。アブソープション!」 『了解しましたマスター。レベルアップして新しいスキルを覚えました』 「やった! これでまた便利になるな」   これはワンコインで押し売りされた小枝を手に異世界へ突然召喚され無能とレッテルを貼られた男が幸せを掴む物語。 ~ワンコインで買った万能アイテムで幸せな人生を目指します~

異世界ソロ暮らし 田舎の家ごと山奥に転生したので、自由気ままなスローライフ始めました。

長尾 隆生
ファンタジー
【書籍情報】書籍3巻発売中ですのでよろしくお願いします。  女神様の手違いにより現世の輪廻転生から外され異世界に転生させられた田中拓海。  お詫びに貰った生産型スキル『緑の手』と『野菜の種』で異世界スローライフを目指したが、お腹が空いて、なにげなく食べた『種』の力によって女神様も予想しなかった力を知らずに手に入れてしまう。  のんびりスローライフを目指していた拓海だったが、『その地には居るはずがない魔物』に襲われた少女を助けた事でその計画の歯車は狂っていく。   ドワーフ、エルフ、獣人、人間族……そして竜族。  拓海は立ちはだかるその壁を拳一つでぶち壊し、理想のスローライフを目指すのだった。  中二心溢れる剣と魔法の世界で、徒手空拳のみで戦う男の成り上がりファンタジー開幕。 旧題:チートの種~知らない間に異世界最強になってスローライフ~

手乗りドラゴンと行く異世界ゆるり旅  落ちこぼれ公爵令息ともふもふ竜の絆の物語

さとう
ファンタジー
旧題:手乗りドラゴンと行く追放公爵令息の冒険譚 〇書籍化決定しました!! 竜使い一族であるドラグネイズ公爵家に生まれたレクス。彼は生まれながらにして前世の記憶を持ち、両親や兄、妹にも隠して生きてきた。 十六歳になったある日、妹と共に『竜誕の儀』という一族の秘伝儀式を受け、天から『ドラゴン』を授かるのだが……レクスが授かったドラゴンは、真っ白でフワフワした手乗りサイズの小さなドラゴン。 特に何かできるわけでもない。ただ小さくて可愛いだけのドラゴン。一族の恥と言われ、レクスはついに実家から追放されてしまう。 レクスは少しだけ悲しんだが……偶然出会った『婚約破棄され実家を追放された少女』と気が合い、共に世界を旅することに。 手乗りドラゴンに前世で飼っていた犬と同じ『ムサシ』と名付け、二人と一匹で広い世界を冒険する!

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生

野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。 普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。 そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。 そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。 そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。 うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。 いずれは王となるのも夢ではないかも!? ◇世界観的に命の価値は軽いです◇ カクヨムでも同タイトルで掲載しています。

異世界へ五人の落ち人~聖女候補とされてしまいます~

かずきりり
ファンタジー
望んで異世界へと来たわけではない。 望んで召喚などしたわけでもない。 ただ、落ちただけ。 異世界から落ちて来た落ち人。 それは人知を超えた神力を体内に宿し、神からの「贈り人」とされる。 望まれていないけれど、偶々手に入る力を国は欲する。 だからこそ、より強い力を持つ者に聖女という称号を渡すわけだけれど…… 中に男が混じっている!? 帰りたいと、それだけを望む者も居る。 護衛騎士という名の監視もつけられて……  でも、私はもう大切な人は作らない。  どうせ、無くしてしまうのだから。 異世界に落ちた五人。 五人が五人共、色々な思わくもあり…… だけれど、私はただ流れに流され……

異世界召喚?やっと社畜から抜け出せる!

アルテミス
ファンタジー
第13回ファンタジー大賞に応募しました。応援してもらえると嬉しいです。 ->最終選考まで残ったようですが、奨励賞止まりだったようです。応援ありがとうございました! ーーーー ヤンキーが勇者として召喚された。 社畜歴十五年のベテラン社畜の俺は、世界に巻き込まれてしまう。 巻き込まれたので女神様の加護はないし、チートもらった訳でもない。幸い召喚の担当をした公爵様が俺の生活の面倒を見てくれるらしいけどね。 そんな俺が異世界で女神様と崇められている”下級神”より上位の"創造神"から加護を与えられる話。 ほのぼのライフを目指してます。 設定も決めずに書き始めたのでブレブレです。気楽〜に読んでください。 6/20-22HOT1位、ファンタジー1位頂きました。有難うございます。

はずれスキル念動力(ただしレベルMAX)で無双する~手をかざすだけです。詠唱とか必殺技とかいりません。念じるだけで倒せます~

さとう
ファンタジー
10歳になると、誰もがもらえるスキル。 キネーシス公爵家の長男、エルクがもらったスキルは『念動力』……ちょっとした物を引き寄せるだけの、はずれスキルだった。 弟のロシュオは『剣聖』、妹のサリッサは『魔聖』とレアなスキルをもらい、エルクの居場所は失われてしまう。そんなある日、後継者を決めるため、ロシュオと決闘をすることになったエルク。だが……その決闘は、エルクを除いた公爵家が仕組んだ『処刑』だった。 偶然の『事故』により、エルクは生死の境をさまよう。死にかけたエルクの魂が向かったのは『生と死の狭間』という不思議な空間で、そこにいた『神様』の気まぐれにより、エルクは自分を鍛えなおすことに。 二千年という長い時間、エルクは『念動力』を鍛えまくる。 現世に戻ったエルクは、十六歳になって目を覚ました。 はずれスキル『念動力』……ただしレベルMAXの力で無双する!!

処理中です...