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第8部 晴れた空の下手を繋いで…
第23話 千年前の話しとまた明日…
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「救世主達…いま此処にいる者達…千年前に私の身に何が起きたのか聞いて貰いたい」
カジノから戻りホテルの大部屋で詠斗達、ラジカ、ジラ、チグリス、ナイル、千眼、千華がベッドに腰かけイシュターの話しに耳を傾けた。
「神々もこの話を|《神の庭》で聞いている、私は千年前に序列第12位蒐刻魔王と戦い敗れ…魔力廻廊を奪われ魔力の制御が出来ずにあの状態となった」
その言葉にその場にいた全員息を呑む、龍たるイシュター《アタラクシア》において最強とも言うべき存在龍皇イシュターレジェイドチラーグケイオスが敗れた相手…、蒐刻魔王の顔色の悪い姿とそして…《名もなき島》にいた面々は彼の少年の姿を思い出す。
「千年前にあの魔王は私の元を訪れ、試しに戦ってみたいと告げた…」
「それはどちらの姿かな?青年それとも…」
「最初は顔色の悪い男だったが、私が了承した所で子供が現れた」
「少なくとも千年以上前から彼が存在していた事になりますね」
千歳の質問にイシュターが淀みなく答え、ラジカが考え込む。
「男を下がらせ、子供が私と戦ったが…強かった。そして正々堂々と互いに死力を尽くした結果私は敗けた、互いに満身創痍だったが最後の一手、子供…いや子供の姿をした、魔王すら超越した存在に翼を撃ち抜かれ墜落し心臓を…抉り取られた」
イシュターが自分の左胸に手を当てその時の事を鮮やかに思い出す、歪に笑うあどけなさが残る少年、互いに魔法や剣技を繰り出し本気で戦った。
「三夜…戦い続け、空が荒れ狂い海が乱れたが…戦う事を承諾する条件を私が設けた」
「三夜…長いな、そして条件とは?俺達が逢ったあの12位はの少年は自分をその2だと言い、他人を捨て駒の様に扱っていた」
「千年前と変わらないか…他の生物種族の命を巻き込まない事だ…あの子供はそれを了承し空で戦った」
「彼はどんな魔法や力を使うのかな?」
大河があの少年を思い出し顔を顰める、千歳があの知識と持っている戦力と頭脳、どれをとってもどの魔王よりも優れているのは分かる。
「全ての属性と腐食魔法、そして異界の魔法…」
「《異界渡り》が出来る魔王は序列1位と13位のみな筈…そして膨大な魔力を必要とする筈…その魔法も複雑で難解です。神々が13名で皆さんを召喚した儀式に近い物です」
「《異界渡り》を行わなくとも異界の魔法知る手段はある…視たのだろう…それより厄介な事がある…」
千華が首を振り有り得ないと言う、千眼が真っ直ぐにイシュターを見つめた。
「古代種である私の膨大な魔力を制御する廻廊が奪われた事だろう、私は敗北したのだ言うべき立場ではないが…」
「ねぇ、《異界渡り》って他の世界へ行く事が出来るの?」
「行けますが…行ける世界はこの空が繋がっている世界だけです、皆さんの世界とは空は繋がっていないので行けませんよ。本当に複雑な魔法で行きたい世界に行ける保障もありません、我々も知識だけしかなくどういった魔法を使うのか一切知りません」
「そう…」
晴海の質問に千華が困った表情を浮かべる、地球には行けるのかという事に否定せざる負えない。
「狡猾且つ残忍であり冷酷でいて攻撃の範囲が広がらないように結界を生み出し、冷静な判断で私を追い詰めた…敗けた事に対して恨むという感情は千年経った今も出ては来ないが…私の廻廊の一部はあのカタンの元にいる心を破壊された…人工生物の心臓として動いている…」
『なっ!』
「それってベルさんの事ですか!?」
「そうだな」
「え、何!ベルちゃんて一体」
人工生物という言葉に綴と舵が立ち上がる、嫌な話しだ…。
「それはベルの心臓をイシュターに返さなければならなという事か?」
「いや、救世主達のお陰で新たな廻廊が私の内に産まれた…必要はない…そしてあのゴーレム達のマスターになったお陰で個として成立している」
「大丈夫って事だよ、舵さん」
「なら、良いけど…人工生物…」
「そう…ですか…ベルさんはベルさんですから…」
千歳の言葉に舵と綴が脱力する、他の面々も上手く事態が呑み込めない者の方が多い。
「おそらく私の廻廊で何かをしているのは間違いない」
「でも、アイツにどうやったら会えるのか分からないからなー」
「神々にも分からないようだしな、千年以上この世界にいる分色々上手だろう」
「何故、分かれているのかも不明だよな」
ジラが腕を組み宙を見つめる、大河も崇幸も考え込むがあの蒐刻魔王…少年と会うにはどうしたら良いのか…。
「《テンランド》に行くしかないかな」
「ま、いつかは行くしょ」
「いつかは…ね」
詠斗が《テンランド》の名を出す、最も逢えそうな確率が高い国だがイマイチ気が乗らない。
「祭りが終わり《島船》の皆さんが落ち着いたら行ってみます?」
「そん時は俺も行くぞ」
「私も行きますよ、あの国は正直行かない方が良いですがね」
ジラもラジカも頷く、アシュアもキリングも帰りを待つ者がいる…。
「俺と同じ位の年齢の子なんだよね、いきなり異世界に来て驚いただろうね。神様達とも話してないだろうし、一応魔王?なんだろうけど」
「彼は奇跡を起こした者と起こしていない者の話しをしていたね」
「奇跡…?んー?なんだろう」
「舵はなんか覚えないのか?ん………いや奇跡?…なんだなんか忘れているな…俺も歳かな?」
「えー何それ崇幸兄、奇跡なんか日本で生活していたら目にしないでしょ?」
「それはそうなんだが…なんだ…なんか引っ掛かるな」
崇幸が一番弱体化しているであろう舵に聞いている途中で首を捻る、何か肝心な事を忘れている気がするが思い出せない。
「…俺は寝る…おやすみ」
「ん…俺もー」
「ふああ、俺もおやすみなさい」
チグリスがベッドに入り込む、詠斗晴海もそれに続きベッドに入り込んだ。
「話しはここまでだわ、俺はまだ寝ないしートランち達戻って来るだろうから茶でも淹れるか」
「懐記君、ほらこれ皆で食ってくれ」
「サンキュー崇幸っち」
「私も茶を…」
「ん、行こイシュっち」
「私も行こう」
「俺は、ベルンちゃんとこ戻るわ。あの赤ちゃん寝ないし暴れるしね」
「私も手伝いましょう」
「んー」
懐記とイシュターはトラングとカトゥーシュカが帰ってくる《アタラクシア号》へ崇幸からお菓子を貰いイシュターを連れて戻る、舵と千華はベルン達のテントへ戻り、千眼は制作物の続きを行う為会議室へと向かい、それ以外の面子は各自ベッドに入りゆっくりと眠りに入った…。
「我々の把握しきれない場所で蒐刻魔王…」
「まさか長き眠りの原因が廻廊を奪われた結果だとは…」
「ふむ…膨大な魔力を廻廊が無ければ体内に留めておくのは不可能だから」
「神とは我々は無力なのですね…」
「異界の魔法というのも1位と13位のみの特権だと高を括っていれば…」
「あーなんなんだあの蒐刻魔王は!異常だろう?古代種のしかも最強の龍を相手に戦いを挑むとは!」
「何故なんですなのです、奇跡と魔王に何の関係があるのか分からないなのです」
「異常…人工生物…廻廊…」
「人工生物の産出はこの世界の知識では無理ですね」
「異界を覗き見し造ったのか…」
「それとも自力で造りあげたのか」
「我々もくまなく《アタラクシア》を視てしますが影も形もありません」
「千年もっと前から存在する魔王ですからね、我々の眼を出し抜く等簡単でしょう」
『………』
《神の庭》で神々の沈黙が広がる、神々は全てにおいて後手なのだ、《アタラクシア》が病んでいた…のを理由には出来ない程深刻だった、神々もアシュアやキリングの件には胸を痛めている。
「我々も彼ら依存し続ける場合ではないですね」
「《解き掛けの羅針盤》とあの場所も…」
神々の悩みも尽きない、《アタラクシア》の病が治癒した後の世界がこんなにも歪だとは…神々は治癒が完了し、救世主で異界人である彼らに感謝を込めてこの世界で楽しく生きてくれればと願うがそれまだ遠い…。
「…とでも思ってんだろうなぁ、あのクソ神々共」
何処かで彼の少年は嗤う、歪に下品にパーカーとダメージジーンズ、スニーカーを履いて、コンビニに買い物でも行きそうな出で立ちで何処かを何処からか見ている。
「あの龍が起きて俺のクッソつまんねぇ情報が向こうに流れた位か、あの龍も強かったが結局は《アタラクシア》での事だろうしな」
少年は嗤う、《アタラクシア》を見上げ(・・・・・)何処かの場所で巨大な鱗を持つ怪物を踏みつけにしながら、《アタラクシア》と白い月と13の星ををその瞳映した…。
カジノから戻りホテルの大部屋で詠斗達、ラジカ、ジラ、チグリス、ナイル、千眼、千華がベッドに腰かけイシュターの話しに耳を傾けた。
「神々もこの話を|《神の庭》で聞いている、私は千年前に序列第12位蒐刻魔王と戦い敗れ…魔力廻廊を奪われ魔力の制御が出来ずにあの状態となった」
その言葉にその場にいた全員息を呑む、龍たるイシュター《アタラクシア》において最強とも言うべき存在龍皇イシュターレジェイドチラーグケイオスが敗れた相手…、蒐刻魔王の顔色の悪い姿とそして…《名もなき島》にいた面々は彼の少年の姿を思い出す。
「千年前にあの魔王は私の元を訪れ、試しに戦ってみたいと告げた…」
「それはどちらの姿かな?青年それとも…」
「最初は顔色の悪い男だったが、私が了承した所で子供が現れた」
「少なくとも千年以上前から彼が存在していた事になりますね」
千歳の質問にイシュターが淀みなく答え、ラジカが考え込む。
「男を下がらせ、子供が私と戦ったが…強かった。そして正々堂々と互いに死力を尽くした結果私は敗けた、互いに満身創痍だったが最後の一手、子供…いや子供の姿をした、魔王すら超越した存在に翼を撃ち抜かれ墜落し心臓を…抉り取られた」
イシュターが自分の左胸に手を当てその時の事を鮮やかに思い出す、歪に笑うあどけなさが残る少年、互いに魔法や剣技を繰り出し本気で戦った。
「三夜…戦い続け、空が荒れ狂い海が乱れたが…戦う事を承諾する条件を私が設けた」
「三夜…長いな、そして条件とは?俺達が逢ったあの12位はの少年は自分をその2だと言い、他人を捨て駒の様に扱っていた」
「千年前と変わらないか…他の生物種族の命を巻き込まない事だ…あの子供はそれを了承し空で戦った」
「彼はどんな魔法や力を使うのかな?」
大河があの少年を思い出し顔を顰める、千歳があの知識と持っている戦力と頭脳、どれをとってもどの魔王よりも優れているのは分かる。
「全ての属性と腐食魔法、そして異界の魔法…」
「《異界渡り》が出来る魔王は序列1位と13位のみな筈…そして膨大な魔力を必要とする筈…その魔法も複雑で難解です。神々が13名で皆さんを召喚した儀式に近い物です」
「《異界渡り》を行わなくとも異界の魔法知る手段はある…視たのだろう…それより厄介な事がある…」
千華が首を振り有り得ないと言う、千眼が真っ直ぐにイシュターを見つめた。
「古代種である私の膨大な魔力を制御する廻廊が奪われた事だろう、私は敗北したのだ言うべき立場ではないが…」
「ねぇ、《異界渡り》って他の世界へ行く事が出来るの?」
「行けますが…行ける世界はこの空が繋がっている世界だけです、皆さんの世界とは空は繋がっていないので行けませんよ。本当に複雑な魔法で行きたい世界に行ける保障もありません、我々も知識だけしかなくどういった魔法を使うのか一切知りません」
「そう…」
晴海の質問に千華が困った表情を浮かべる、地球には行けるのかという事に否定せざる負えない。
「狡猾且つ残忍であり冷酷でいて攻撃の範囲が広がらないように結界を生み出し、冷静な判断で私を追い詰めた…敗けた事に対して恨むという感情は千年経った今も出ては来ないが…私の廻廊の一部はあのカタンの元にいる心を破壊された…人工生物の心臓として動いている…」
『なっ!』
「それってベルさんの事ですか!?」
「そうだな」
「え、何!ベルちゃんて一体」
人工生物という言葉に綴と舵が立ち上がる、嫌な話しだ…。
「それはベルの心臓をイシュターに返さなければならなという事か?」
「いや、救世主達のお陰で新たな廻廊が私の内に産まれた…必要はない…そしてあのゴーレム達のマスターになったお陰で個として成立している」
「大丈夫って事だよ、舵さん」
「なら、良いけど…人工生物…」
「そう…ですか…ベルさんはベルさんですから…」
千歳の言葉に舵と綴が脱力する、他の面々も上手く事態が呑み込めない者の方が多い。
「おそらく私の廻廊で何かをしているのは間違いない」
「でも、アイツにどうやったら会えるのか分からないからなー」
「神々にも分からないようだしな、千年以上この世界にいる分色々上手だろう」
「何故、分かれているのかも不明だよな」
ジラが腕を組み宙を見つめる、大河も崇幸も考え込むがあの蒐刻魔王…少年と会うにはどうしたら良いのか…。
「《テンランド》に行くしかないかな」
「ま、いつかは行くしょ」
「いつかは…ね」
詠斗が《テンランド》の名を出す、最も逢えそうな確率が高い国だがイマイチ気が乗らない。
「祭りが終わり《島船》の皆さんが落ち着いたら行ってみます?」
「そん時は俺も行くぞ」
「私も行きますよ、あの国は正直行かない方が良いですがね」
ジラもラジカも頷く、アシュアもキリングも帰りを待つ者がいる…。
「俺と同じ位の年齢の子なんだよね、いきなり異世界に来て驚いただろうね。神様達とも話してないだろうし、一応魔王?なんだろうけど」
「彼は奇跡を起こした者と起こしていない者の話しをしていたね」
「奇跡…?んー?なんだろう」
「舵はなんか覚えないのか?ん………いや奇跡?…なんだなんか忘れているな…俺も歳かな?」
「えー何それ崇幸兄、奇跡なんか日本で生活していたら目にしないでしょ?」
「それはそうなんだが…なんだ…なんか引っ掛かるな」
崇幸が一番弱体化しているであろう舵に聞いている途中で首を捻る、何か肝心な事を忘れている気がするが思い出せない。
「…俺は寝る…おやすみ」
「ん…俺もー」
「ふああ、俺もおやすみなさい」
チグリスがベッドに入り込む、詠斗晴海もそれに続きベッドに入り込んだ。
「話しはここまでだわ、俺はまだ寝ないしートランち達戻って来るだろうから茶でも淹れるか」
「懐記君、ほらこれ皆で食ってくれ」
「サンキュー崇幸っち」
「私も茶を…」
「ん、行こイシュっち」
「私も行こう」
「俺は、ベルンちゃんとこ戻るわ。あの赤ちゃん寝ないし暴れるしね」
「私も手伝いましょう」
「んー」
懐記とイシュターはトラングとカトゥーシュカが帰ってくる《アタラクシア号》へ崇幸からお菓子を貰いイシュターを連れて戻る、舵と千華はベルン達のテントへ戻り、千眼は制作物の続きを行う為会議室へと向かい、それ以外の面子は各自ベッドに入りゆっくりと眠りに入った…。
「我々の把握しきれない場所で蒐刻魔王…」
「まさか長き眠りの原因が廻廊を奪われた結果だとは…」
「ふむ…膨大な魔力を廻廊が無ければ体内に留めておくのは不可能だから」
「神とは我々は無力なのですね…」
「異界の魔法というのも1位と13位のみの特権だと高を括っていれば…」
「あーなんなんだあの蒐刻魔王は!異常だろう?古代種のしかも最強の龍を相手に戦いを挑むとは!」
「何故なんですなのです、奇跡と魔王に何の関係があるのか分からないなのです」
「異常…人工生物…廻廊…」
「人工生物の産出はこの世界の知識では無理ですね」
「異界を覗き見し造ったのか…」
「それとも自力で造りあげたのか」
「我々もくまなく《アタラクシア》を視てしますが影も形もありません」
「千年もっと前から存在する魔王ですからね、我々の眼を出し抜く等簡単でしょう」
『………』
《神の庭》で神々の沈黙が広がる、神々は全てにおいて後手なのだ、《アタラクシア》が病んでいた…のを理由には出来ない程深刻だった、神々もアシュアやキリングの件には胸を痛めている。
「我々も彼ら依存し続ける場合ではないですね」
「《解き掛けの羅針盤》とあの場所も…」
神々の悩みも尽きない、《アタラクシア》の病が治癒した後の世界がこんなにも歪だとは…神々は治癒が完了し、救世主で異界人である彼らに感謝を込めてこの世界で楽しく生きてくれればと願うがそれまだ遠い…。
「…とでも思ってんだろうなぁ、あのクソ神々共」
何処かで彼の少年は嗤う、歪に下品にパーカーとダメージジーンズ、スニーカーを履いて、コンビニに買い物でも行きそうな出で立ちで何処かを何処からか見ている。
「あの龍が起きて俺のクッソつまんねぇ情報が向こうに流れた位か、あの龍も強かったが結局は《アタラクシア》での事だろうしな」
少年は嗤う、《アタラクシア》を見上げ(・・・・・)何処かの場所で巨大な鱗を持つ怪物を踏みつけにしながら、《アタラクシア》と白い月と13の星ををその瞳映した…。
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