あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~

深楽朱夜

文字の大きさ
上 下
325 / 867
第8部 晴れた空の下手を繋いで…

第21話 古代種様の収納

しおりを挟む
「賑わいと活気がある」
「ええ、下にはカジノ上は泊まる所とラウンジと今度ダンジョンが出来ますよ」
「ラウンジは昨日ジラに連れて行って貰ったな、酒が旨い」
「おう、今日はカジノに行くか?」
「カジノ?」
「遊ぶとこーチグリスは来るか?」
「寝る…」
「千歳は?」
「そうだね、遊ぼうかな」
「いいね」
「チグリスは来ないのか?」
「ん…楽しんで父上…次はいく」
「ああ」
商業エリアに転移しイシュターが興味深く辺りを見渡せば千歳が説明をしてくれる、チグリスに来ないか尋ねるイシュターの顔は微かにぎこちない。
「じゃ、砂糖とトウモロコシとかついでに散策しようか。毎日店が増えるし奥の情報ギルドで軽く食べようか?」
「行く…」
「じゃ、ミルク屋に行くか」
「そうだね」
馴染みの《トイタナ》の露店でトウモロコシモドキを在庫分全て購入、香辛料屋を周り在庫を全て購入していく。
「お、トイ君の酒屋は今日もこんでいるね」
「カノリとカウンの酒か…」
「お、ボトル追加しよ。ちょっと買ってくるから先行ってくれ」
「馳走になったのだから、私が…」
「ん?別にいい、おごったもんだ」
「なら、私も買うとしよう」
「金あんの?じゃ、懐記達先行っといて」
「後で」
「ん…」
「収納にある、千年前のコインだが使えるようだ」
「へぇ、古代種の収納か面白そう」
「見るか?」
「お、いいの?」
列にジラとイシュターが加わり懐記とチグリスと分かれる、傭兵王と龍が酒を買う為に並ぶとは目立つちはするが馴染んでいる、ジラの顔馴染みもいるようで周囲と挨拶を交わした。
「大した物はない」
「なんか、面白そうなもんあったら買い取るぞ~。カジノの景品にもいいかもな」
「鱗なら沢山ある」
「アンタの?」
「ああ、他のドラゴンの物もある。骸も」
「骸はいいけど、鱗は後で見せて」
「わかった」
会話は尽きない、列に並ぶ時間もあっという間に過ぎていった。

「千歳…おやつ」 
「はい、これを食べて」
情報ギルドに向かう途中にチグリスからおやつを最速され、千歳が指に棒付きの琥珀色の飴の中に果物を閉じ込めた飴を手品のように出してチグリスに渡す。
「……これは?」
「クローダーさん達が作った蜂蜜飴、子ども達と舵君に大人気で明日のお祭りで売る物だよ」
「………足りない」
「噛み砕いたら駄目、舐めて食べてみるといいよ」
「……」
今まで何が出ても黙って食べていたチグリス、出された飴は見た目面白いが腹の足しにはならないが言われた通りに舐めてみる、美味しいは美味しい…まるで子どもになった気分だ。
父である古代種が復活し、すぐ側にいるのが不思議で仕方ない、驚きもした嬉しさもあるだが、もう子どもの時は過ぎ去ってしまった。
千歳や詠斗達な側にいても友人としていたいが、何故だか崇幸の側にいると無性に子どもに還りたくなる、一緒に遊んでくれおやつをくれ、手を繋いでくれる存在が潜在的に欲しかったのかとチグリスは気づく。
「もう、食べ終わった?」
「ん…」
「おかわりするかい?」
「ギルドに着いたら食べる…」
「まだ沢山あるから食べたかったら言って」
千歳が笑う、また今度貰うかと残った棒を燃やした。

「う、初めまして古代種様あー私はトラング・ハーベンダー・カゥドゥと申します、カジノの支配人を勤めております、永きの眠りからの復活お喜び申し上げます、本日は当カジノを存分にお楽しみ下さい」
「同じく、現在龍皇国預かりの身であり支配人の補佐を勤めさせて頂いております、ガーランバラーダのカトゥーシュカと申し上ます」
「固くなる必要はない、ガーランバラーダか……ここは皇国ではないのだ」
「は、はい」
「じゃ、古代種様はジラと遊んでく感じ~?」
「お、おいトラング!」
「そうさせて貰う」
酒を買い商業ギルドで軽く食べ、せっかくだからとジラとゴーレムとヒヨコとおりがみの子達が世話して風呂に入りオープン前のカジノのスタッフルームで食事していた、トラングとカトゥーシュカに顔を見せに来た。
「まだオープン前だけど遊ぶ?」
燻製肉とチーズサンドにかぶり付きながら聞けば、ジラもニヤリと笑う。
「気前いいじゃんー」
「そりゃー支配人特権使っちゃいますよ~」
「ど、どうぞお掛け下さい。召し上がりますか?」
「貰おう」
「お待ち下さい…嫌いな物はありますか?」
「いや」
トラングが椅子を引きイシュターに座って貰う、キノコソテーとベーコンサンドに燻製肉とチーズサンド、フルーツサラダをイシュターの前に素早く並べた。
「どうぞ、飲み物はどうしますか?」
「俺はカノリジュース~」
「俺はミルクー」
「ミルクを貰おう」
「はい」
グラスにイシュター、ジラ、トラングの順番で飲み物を用意し、ゴーレムとヒヨコとおりがみの子達にも食事を出してやる。
「そういや、あんたの収納見せてよ。景品にしようぜ」
「ああ」
『え?』
「ごふぅ!ジ、ジラ殿!」
食事が終わりトラングとカトゥーシュカの声が重なりカトゥーシュカが盛大に噎せる、イシュターの前の空間が開きゴーレム達がテーブル周辺を片付ける。
「私の鱗と滅んだ国《オーム》のみで使われていたコイン…定期的に宝石の涙を流す彫刻、オーガンダの瞳、主人達の血を吸い呪物に転じた剣、所有者達が次々変死する呪物の宝石…捨てても戻ってくる杖…」
『待った!』
「おーい、鱗とコインはいいけどなんで呪物ばかり?」
「呪物はちょっと~」
「景品には希少過ぎます」
「そうか?私の収納は封印も可能だからこういった類いの物が多い…」
まだまだ出て来そうな物を一旦3名で止め、もう少し穏やかな物はないのかと言うと足元でゴーレム達が手を伸ばす、どうやら欲しいらしいのでイシュターが鱗とコインを贈り残りはしまった。
「なら、こちらは?黄金の果実が成る木だあまり美味くないがな」
「あ、これはトイにやるわ。売って」
「贈ろう」
「ども」
イシュターが少し大きめな鉢にジラの腰程の高さの木に成る、黄金のリンゴモドキをジラに渡す。
「これは魔力で音を奏でる、失敗作だと渡された気紛れらしい」
「気紛れ…良ければ私に孤児院に置いて遊び道具に」
「ならば寄贈する」
次に収納から不格好な壺を出す、説明を聞いたカトゥーシュカがイシュターから受け取った。
「ありがとうございます」
「癖つよ~」
「トラング!」
「いや、こういう物ばかりだ。集まってくる」
砕けた口調のトラングに流石にカトゥーシュカが嗜めるが、イシュターは気にしていない。
「なんか景品は生活お役立ちアイテムが人気、後は酒とか?」
「酒はないが、確か…聖剣はどうだ?役立つのでは?」
「いちいち出て来るのが桁ちがいよな~でも聖剣はいいかも?売って下さいよ~」
「前の持ち主は剣聖ギャスパーだが」
『しまって下さい』
「そいつ、ソードブレイカーだったんでー」
「それが世に出ると不味いです」
「そうか…ああ、これは?食器類だ毒物を浄化する魔法が組み込まれている」
「お!いいじゃないですか!王族も客にいるしー」
「すげーいんじゃない?」
「ラジカ殿に鑑定して貰い、買い取らせて貰いますね」
「そうか…」
揃いの毒無効化の食器を本当は贈り物にしても良かったが、仕事ならば金銭を受け取るのが妥当かと頷いた。
「じゃ、カジノいきますかー」
トラングが立ち上がり、開店前のカジノを楽しむ事にした。

「かわいいのができたー、ナイル様また次回も来ますね」
「家でも作ろう」
「後で兄さんの所に持っていこう」
「私はカタン達に」
「ナイル殿、良ければテトラにこれを」
「テルド殿、これから渡しにいきませんか?テトラの所に、同居人が増えたんですよー是非」
テルドが躊躇いがちにクッキーをナイルに渡す、ナイルがにこりと微笑んでカクラやカナンめ頷いたのですこし考えた後一緒にテトラの所へ向かう事に決めた。
「ナイル先生…ありがとう。懐記達の手伝いしてくる」
「はい、私が作ったのも皆さんで食べて下さい。私はテルド殿と戻りますから」
「わかった」
「うん!おとたん!」
「ぱぱー」
「クッキー美味しかった?」
「うん!」
「んー」
魔人の子供達も昼寝から起きて、クッキーを沢山食べて満足しているようだった、ナイルからクッキーを受け取り収納にしまった。
「ナイル殿!燻製器売って下さい!型も!」
「こちらも!」
「こっちにも!」
「はい、並んで下さいね」
「売るのを手伝おう」
燻製器と型の即売会が始まり、カクラとカナンとテルドが手伝っているので、グローリー達は懐記達の元へ戻った。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

無能な勇者はいらないと辺境へ追放されたのでチートアイテム【ミストルティン】を使って辺境をゆるりと開拓しようと思います

長尾 隆生
ファンタジー
仕事帰りに怪しげな占い師に『この先不幸に見舞われるが、これを持っていれば幸せになれる』と、小枝を500円で押し売りされた直後、異世界へ召喚されてしまうリュウジ。 しかし勇者として召喚されたのに、彼にはチート能力も何もないことが鑑定によって判明する。 途端に手のひらを返され『無能勇者』というレッテルを貼られずさんな扱いを受けた上に、一方的にリュウジは凶悪な魔物が住む地へ追放されてしまう。 しかしリュウジは知る。あの胡散臭い占い師に押し売りされた小枝が【ミストルティン】という様々なアイテムを吸収し、その力を自由自在に振るうことが可能で、更に経験を積めばレベルアップしてさらなる強力な能力を手に入れることが出来るチートアイテムだったことに。 「ミストルティン。アブソープション!」 『了解しましたマスター。レベルアップして新しいスキルを覚えました』 「やった! これでまた便利になるな」   これはワンコインで押し売りされた小枝を手に異世界へ突然召喚され無能とレッテルを貼られた男が幸せを掴む物語。 ~ワンコインで買った万能アイテムで幸せな人生を目指します~

異世界ソロ暮らし 田舎の家ごと山奥に転生したので、自由気ままなスローライフ始めました。

長尾 隆生
ファンタジー
【書籍情報】書籍3巻発売中ですのでよろしくお願いします。  女神様の手違いにより現世の輪廻転生から外され異世界に転生させられた田中拓海。  お詫びに貰った生産型スキル『緑の手』と『野菜の種』で異世界スローライフを目指したが、お腹が空いて、なにげなく食べた『種』の力によって女神様も予想しなかった力を知らずに手に入れてしまう。  のんびりスローライフを目指していた拓海だったが、『その地には居るはずがない魔物』に襲われた少女を助けた事でその計画の歯車は狂っていく。   ドワーフ、エルフ、獣人、人間族……そして竜族。  拓海は立ちはだかるその壁を拳一つでぶち壊し、理想のスローライフを目指すのだった。  中二心溢れる剣と魔法の世界で、徒手空拳のみで戦う男の成り上がりファンタジー開幕。 旧題:チートの種~知らない間に異世界最強になってスローライフ~

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生

野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。 普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。 そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。 そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。 そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。 うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。 いずれは王となるのも夢ではないかも!? ◇世界観的に命の価値は軽いです◇ カクヨムでも同タイトルで掲載しています。

異世界へ五人の落ち人~聖女候補とされてしまいます~

かずきりり
ファンタジー
望んで異世界へと来たわけではない。 望んで召喚などしたわけでもない。 ただ、落ちただけ。 異世界から落ちて来た落ち人。 それは人知を超えた神力を体内に宿し、神からの「贈り人」とされる。 望まれていないけれど、偶々手に入る力を国は欲する。 だからこそ、より強い力を持つ者に聖女という称号を渡すわけだけれど…… 中に男が混じっている!? 帰りたいと、それだけを望む者も居る。 護衛騎士という名の監視もつけられて……  でも、私はもう大切な人は作らない。  どうせ、無くしてしまうのだから。 異世界に落ちた五人。 五人が五人共、色々な思わくもあり…… だけれど、私はただ流れに流され……

異世界召喚?やっと社畜から抜け出せる!

アルテミス
ファンタジー
第13回ファンタジー大賞に応募しました。応援してもらえると嬉しいです。 ->最終選考まで残ったようですが、奨励賞止まりだったようです。応援ありがとうございました! ーーーー ヤンキーが勇者として召喚された。 社畜歴十五年のベテラン社畜の俺は、世界に巻き込まれてしまう。 巻き込まれたので女神様の加護はないし、チートもらった訳でもない。幸い召喚の担当をした公爵様が俺の生活の面倒を見てくれるらしいけどね。 そんな俺が異世界で女神様と崇められている”下級神”より上位の"創造神"から加護を与えられる話。 ほのぼのライフを目指してます。 設定も決めずに書き始めたのでブレブレです。気楽〜に読んでください。 6/20-22HOT1位、ファンタジー1位頂きました。有難うございます。

はずれスキル念動力(ただしレベルMAX)で無双する~手をかざすだけです。詠唱とか必殺技とかいりません。念じるだけで倒せます~

さとう
ファンタジー
10歳になると、誰もがもらえるスキル。 キネーシス公爵家の長男、エルクがもらったスキルは『念動力』……ちょっとした物を引き寄せるだけの、はずれスキルだった。 弟のロシュオは『剣聖』、妹のサリッサは『魔聖』とレアなスキルをもらい、エルクの居場所は失われてしまう。そんなある日、後継者を決めるため、ロシュオと決闘をすることになったエルク。だが……その決闘は、エルクを除いた公爵家が仕組んだ『処刑』だった。 偶然の『事故』により、エルクは生死の境をさまよう。死にかけたエルクの魂が向かったのは『生と死の狭間』という不思議な空間で、そこにいた『神様』の気まぐれにより、エルクは自分を鍛えなおすことに。 二千年という長い時間、エルクは『念動力』を鍛えまくる。 現世に戻ったエルクは、十六歳になって目を覚ました。 はずれスキル『念動力』……ただしレベルMAXの力で無双する!!

『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる

農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」 そんな言葉から始まった異世界召喚。 呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!? そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう! このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。 勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定 私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。 ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。 他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。 なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。

ペットたちと一緒に異世界へ転生!?魔法を覚えて、皆とのんびり過ごしたい。

千晶もーこ
ファンタジー
疲労で亡くなってしまった和菓。 気付いたら、異世界に転生していた。 なんと、そこには前世で飼っていた犬、猫、インコもいた!? 物語のような魔法も覚えたいけど、一番は皆で楽しくのんびり過ごすのが目標です! ※この話は小説家になろう様へも掲載しています

処理中です...