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第8部 晴れた空の下手を繋いで…
STAGE.3ー17 買い物をしている筈が…
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「きれいなドラゴンさんでしたねー」
「古代種だしな、ドラゴンとはまた違うぞ」
「そうなの?」
「違うよー古代種様は龍ー」
《ホウラク》の北の遺跡にいるベルン一行、千年祭の中でもこの日にしか公開されない神聖な場所とされる場所を歩く、観光客や住民達が数多く遺跡の中を歩いていた。
入場料1,000ログ決して安い金額ではないが特別な場所だ、ベルンとシアが嬉しそうに探検か気分で遺跡を歩く。
崇幸との通話を切り宙に浮くラピスとニトに抱えられたエルダーとカタンが、古代種龍皇イシュターレジェイドチラーグケイオスの事をそう告げる。
「ドラゴンの最上位!千を超え万を生きる偉大なる龍だよー」
「そうなんだーすごいねー」
得意げにシアが話しベルンとトイが感心する、トイの背中におんぶされたカルンは指をおしゃぶりしながら静かに天井を眺めていた。
「あーうヴ」
「ベルさん、お腹空いたんだ。どこか休憩できる所あったよね?」
『この先の突き当り左に休憩所があります』
「ありがとう、タイタン。行こ」
トイと手を繋いでいたベルが肩のヒヨコを加えたのでベルンが休憩しおやつを食べる場所を探す、タイタンはベルの前のリュックの中でニアが造った黒いゴーレム…崇幸がプロメテウスと名付けたゴーレムとセットで収まっていた。
昨日シアが連れて来たプロメテウスはどうやらタイタンが気に入ったようで、勝手にベルのリュックに入り込み一緒にくっついている、タイタンがベルの負担になるから小さくなるよう伝えてタイタンもプロメテウスもいつもの大きさの半分になっていた。
「ちょうど空いているし、良かったね」
巨大な岩で出来た遺跡の中、休憩所に椅子は無いが広場の様になっていてシートを引いておやつを出していく。
「タイタンープロメーなにたべるー?」
『クッキー下さい、プロメテウスと食べます』
「あいー」
「僕たちはドーナツと果物と燻製チーズにミルクにしよー」
「そうだねー」
「カルンもミルクを飲もうね」
ニトが千眼と崇幸が作ってくれた哺乳瓶でカルンにミルクを飲ませる、離乳食も食べさせるようになり頬がふくふくとしているが、相も変わらずベルン達が離れない限り泣く事もない大人しい子だった。
「燻製チーズ美味しいね」
「うん、今度チーズ工房作るから楽しみー」
「ナイルのドーナツおいしー」
「クッキーもおいしいぞ!」
わいわいと穏やかなおやつタイムをしている、シアはそうそうにおやつを食べ終わり休憩所の隅々を眺めている。
「はあー楽しいねー」
「俺もこんな大きな遺跡見れて楽しい」
「ここは祭事を行う祭壇を祀っている場所だからな、空気が澄んでいるぞ」
「うん、気持ちの良い場所ですね」
ラピスもトイも居心地が良さそうだ、タイタンとプロメテウスもリュックから出れば、ヒヨコとおりがみも出てきて、クラークラックもクッキーや木の実とミルクを食べている。
「あうー」
「ベルさん、ごちそうさまですね」
「あーヴ」
ニトに口元を拭いて貰い、食べ終わったタイタンとプロメテウスにヒヨコ達もリュックに戻して満足そうにしている。
「ラピスが教えてくれた、祭壇がこの遺跡の目玉です!行こう」
『はーい』
シアが張り切きって遺跡観光の目玉に向かう、休憩所を抜ければ人々もがやがやとしていた。
「祭壇に三つ目の女の人の像だね」
「ここに供物をささげ安寧を諮るんだな、《ホウラク》の始まりは三つ目族から始まった」
「おーぼっちゃん達小さいのにしっかりしているなー、《ホウラク》の始まりは岩ダンジョンと三つ目族の長この像の女性…ストナテウナ様から始まったんだ。彼女が最初のゴーレムを産み出したゴーレムの母なんだよ。三つ目族と各地から集まった難民達が彼女の死後にここを造ったのさ。ゴーレムと岩ダンジョンのお陰でこの街は豊かになった…」
腰が曲がった老人がストナテウナの像を見つめ教えてくれる、シアたちも老人の話しを聞きながら遺跡をじっくりと眺めて外に出た。
「面白いねー遺跡」
「奥が深いと言えばいいのかな?」
『くみゅ』
「あ、ロックスさんが遺跡の先の広場で住人や旅人が不用品や品物を売ってるって教えてくれたんだ。行こう」
「行くー」
「ううー」
『ベル様がお眠なようです』
「カタンもー」
「なら、僕とエルダーとタイタンとプロメテウスで広場の木陰で休むから、シア君とベルン君とラピス君、トイさんは4人で見て来るといいよ」
「じゃ、後で僕がニト君と交代しますね。シア君とベルン君ははぐれないように手を繋ごうね」
『はーい』
少し歩き広場に着くとトイが背負っていたカルンを受け取り、広場のすぐ側の木の下でシートを広げて待つことにした。
「わー沢山の人が品物を売ってるー」
みんな適当の茣蓙敷いてご家庭や旅で手に入れた物を適当に売る…フリーマーケットのような物が開催されていて、賑わいを見せていた。
「色々あるねーあ、本だ!大河さんのお土産にしようボーナス全然使ってないからね!」
「じゃ全部買おう、代金半分こ」
「僕も出しますよ、お世話になっているから」
「俺も出すぞ!」
「すみません、ここの本全部くださいー」
「あらまあ、とっても賢い子達なのねー、ちょっと高いわよ?」
『大丈夫ですー』
恰幅の良いおばさんが茣蓙に並べた本を渡してくれる1冊2,000ログ程、高めだが本はそもそもが高く十分安い金額だった。
本を受け取り一番年上に見えるトイの収納袋にしまい料金をベルンがまとめて支払い他を見る、使わなくなった子供の玩具や服を買い、シアは野外で魔力で明かりが灯る年代物のランタンを買う。
「ありがとねー良い子に貰われたなー俺も少し前は旅人だったが足を悪くしてここが俺の旅の終わりさ、次は君の旅に連れて行って貰おう、代金はいらん連れていってくれ」
「はい!ありがとうございます!」
壮年の男がそう言って笑う、トイがお礼にとカウンの酒を1瓶渡して手を振った。
「わーこの木彫り可愛いーこれ下さい。後この木彫りの人形も」
「あいよー大分昔の職人の物らしい、爺さんが亡くなっちまってなー家の物を処分していてな。君ら代金はこれで良いから木の細工物全部貰ってくれんか?」
「いいんですか?」
「おお、貰ってくれー」
ベルンが可愛い動物の木彫りとタイタン位の木彫りの人形を買おうと思うと、中年の男がニカっと笑うので有難く引き取る事にし、トイがお礼にカウンのお酒を1瓶渡した。
「この家具いいですねー」
「テントは幾らでも増やせるからなー」
「食器並べるのに良いのにいいねー」
「沢山あるもんねー」
広めの場所をとってるのは家具を置いている所だった、持ち主はどこかどんよりとした青年だった。
「いらっしゃい…」
「この食器棚可愛いですねー」
「この棚もー」
「小さい2人用のテーブルも可愛いー」
「うう…男と逃げた結婚予定だった恋人と選んだ家具ですうー」
『あ…』
膝を抱えて泣いている青年に4人が声を合わせる、気まずいが家具は殆ど使ってない物なので幾つか購入する。
「え、えと…これ良ければ飲んで下さい、あと果物もどうぞ」
「うう…ありがとう…」
トイが収納からカノリのお酒とカウンのお酒にカノリを渡す、泣きながら受け取り…この青年を慰めに来た長さ馴染みの女性とお酒の美味しさで盛り上がり数年後結婚するのは…全く関係ない話し…。
「良い物沢山買えたね!」
「うん!みんなオマケしてくれるし」
「その分トイが渡している酒は…まあ良いか…」
「みんな喜んでくれると良いなー」
「…喜ぶだろう…」
1本300万ログ(それでも安い)もする代物だ…騒ぎになるのは面倒だとラピスは思う、市から離れて奥へ行くと茣蓙も引かない子供が座って品を並べていた。
「子どもだけなのかな?」
「見てみようか」
「あれは…見てしまったから仕方ない」
「何か背筋がぞわとします」
「トイ、無理なら此処で待て」
「い、いえ平気です。ほっておけません」
子ども達の元へ駆けていくベルンとシアにトイとラピスが続く、子供は3人共少年で5歳、3歳、草の上で転がっている赤ん坊がいた。
「こんにちは見ても良い?」
「こんにちは見せて下さい」
「ん!どぞ!!」
5歳の少年は片言でニコニコ笑っている、3歳の男の子は指を咥えてシア達を見ている、赤ん坊は土と葉っぱを付けながら転がっている。
「あ、あのお父さんとお母さんは?」
「うん?」
「うー?」
「きゃはー」
子供達はそれしか言わない、5歳の男の子が置いている商品を指す、見ろという事だろう。
「そいつらは多分捨て子だ、最近住み着いているんだ。冒険者ギルドに知らせるとすばっしこくて何時の間にかいなくなるんだ。この辺は旅人や、ま、俺らみたいな貧乏人が多いから食い物やるくらいだな」
向かいで旅人の出で立ちをしている若い男が、旅で手に入れた物を並べて3人の子供達について教えてくれた。
「あ、そうなんですね…。このままにしておけないな」
「しておいても問題はないぞ、こいつら2人は魔人だぞ…この赤子は…まだだな」
「えっ!あ…ちょっと待って!これ《解き掛けの羅針盤》!?しかも解いているし!」
「このままって、ラピス君こんな小さい子達を放っておけないよー」
「魔人は食べなくても平気だぞーこんな小さいのは初めて見たぞ」
「うん?」
「うーうー?」
「きゃはは!!」
買わないの?みたいな顔をしている…赤ん坊は何が楽しいのかコロコロ転がって笑い声を上げている、本当に親がいないのか…靴こそ履いていないし服もボロボロだが顔色も良く表情も明るい。
「連れて帰っていいぞーどうせギルドで捕まって孤児院行きさあんたら身なり良さそうだし、まともな種族じゃないだろう?そいつらもヤバいが、だから連れて行け」
「…そういうお前も…」
「さてね」
旅人の男が肩を竦める、ラピスが男の正体に気づくが特に何も言わない。
「んーホテルに連れて行こう!僕が責任取るよ!ロックスさんにもこの子達の事聞いてみる!」
「あ、あの教えてくれてありがとうございます!今日泊まる所ってありますか?」
「んなもんないさ、何処でも寝れる」
「教えてくれたお礼にホテル…僕たちがいる宿に案内しますよー」
「おいおい、おれは子供奢ってもらう…じゃないやつもいるか…じゃ案内してもらうか。俺はウォルソガだ。どれ、店仕舞いして俺が子供抱えるか」
「うん??」
「う?」
「きゃははは!!」
蒼のロープにフードを被ったウォルソガが立ち上がり品物を収納袋に仕舞って、ニトも子供達が並べていた品をしまい、ウォルソガが5歳と3歳の子供を両脇に抱えた。
「う?」
「うー?」
「えとこの子は僕が…わ…すごい動く」
「きゃはははー」
「仕方ない、風魔法…」
「う…風が強くなった」
「俺の魔法に自分の魔力を乗せて風を強くしたぞ…」
赤子をトイが抱っこしようとすると物凄いじたばたするのでラピスが風魔法で浮かせようとすると、魔力をのせて魔法の威力を倍増させた。
「ニトさん達の所に転移しよう」
仕方ないと晴海から貰ったブレスレットの転移札を入れた石を使い、ニト達の所へ転移した。
「古代種だしな、ドラゴンとはまた違うぞ」
「そうなの?」
「違うよー古代種様は龍ー」
《ホウラク》の北の遺跡にいるベルン一行、千年祭の中でもこの日にしか公開されない神聖な場所とされる場所を歩く、観光客や住民達が数多く遺跡の中を歩いていた。
入場料1,000ログ決して安い金額ではないが特別な場所だ、ベルンとシアが嬉しそうに探検か気分で遺跡を歩く。
崇幸との通話を切り宙に浮くラピスとニトに抱えられたエルダーとカタンが、古代種龍皇イシュターレジェイドチラーグケイオスの事をそう告げる。
「ドラゴンの最上位!千を超え万を生きる偉大なる龍だよー」
「そうなんだーすごいねー」
得意げにシアが話しベルンとトイが感心する、トイの背中におんぶされたカルンは指をおしゃぶりしながら静かに天井を眺めていた。
「あーうヴ」
「ベルさん、お腹空いたんだ。どこか休憩できる所あったよね?」
『この先の突き当り左に休憩所があります』
「ありがとう、タイタン。行こ」
トイと手を繋いでいたベルが肩のヒヨコを加えたのでベルンが休憩しおやつを食べる場所を探す、タイタンはベルの前のリュックの中でニアが造った黒いゴーレム…崇幸がプロメテウスと名付けたゴーレムとセットで収まっていた。
昨日シアが連れて来たプロメテウスはどうやらタイタンが気に入ったようで、勝手にベルのリュックに入り込み一緒にくっついている、タイタンがベルの負担になるから小さくなるよう伝えてタイタンもプロメテウスもいつもの大きさの半分になっていた。
「ちょうど空いているし、良かったね」
巨大な岩で出来た遺跡の中、休憩所に椅子は無いが広場の様になっていてシートを引いておやつを出していく。
「タイタンープロメーなにたべるー?」
『クッキー下さい、プロメテウスと食べます』
「あいー」
「僕たちはドーナツと果物と燻製チーズにミルクにしよー」
「そうだねー」
「カルンもミルクを飲もうね」
ニトが千眼と崇幸が作ってくれた哺乳瓶でカルンにミルクを飲ませる、離乳食も食べさせるようになり頬がふくふくとしているが、相も変わらずベルン達が離れない限り泣く事もない大人しい子だった。
「燻製チーズ美味しいね」
「うん、今度チーズ工房作るから楽しみー」
「ナイルのドーナツおいしー」
「クッキーもおいしいぞ!」
わいわいと穏やかなおやつタイムをしている、シアはそうそうにおやつを食べ終わり休憩所の隅々を眺めている。
「はあー楽しいねー」
「俺もこんな大きな遺跡見れて楽しい」
「ここは祭事を行う祭壇を祀っている場所だからな、空気が澄んでいるぞ」
「うん、気持ちの良い場所ですね」
ラピスもトイも居心地が良さそうだ、タイタンとプロメテウスもリュックから出れば、ヒヨコとおりがみも出てきて、クラークラックもクッキーや木の実とミルクを食べている。
「あうー」
「ベルさん、ごちそうさまですね」
「あーヴ」
ニトに口元を拭いて貰い、食べ終わったタイタンとプロメテウスにヒヨコ達もリュックに戻して満足そうにしている。
「ラピスが教えてくれた、祭壇がこの遺跡の目玉です!行こう」
『はーい』
シアが張り切きって遺跡観光の目玉に向かう、休憩所を抜ければ人々もがやがやとしていた。
「祭壇に三つ目の女の人の像だね」
「ここに供物をささげ安寧を諮るんだな、《ホウラク》の始まりは三つ目族から始まった」
「おーぼっちゃん達小さいのにしっかりしているなー、《ホウラク》の始まりは岩ダンジョンと三つ目族の長この像の女性…ストナテウナ様から始まったんだ。彼女が最初のゴーレムを産み出したゴーレムの母なんだよ。三つ目族と各地から集まった難民達が彼女の死後にここを造ったのさ。ゴーレムと岩ダンジョンのお陰でこの街は豊かになった…」
腰が曲がった老人がストナテウナの像を見つめ教えてくれる、シアたちも老人の話しを聞きながら遺跡をじっくりと眺めて外に出た。
「面白いねー遺跡」
「奥が深いと言えばいいのかな?」
『くみゅ』
「あ、ロックスさんが遺跡の先の広場で住人や旅人が不用品や品物を売ってるって教えてくれたんだ。行こう」
「行くー」
「ううー」
『ベル様がお眠なようです』
「カタンもー」
「なら、僕とエルダーとタイタンとプロメテウスで広場の木陰で休むから、シア君とベルン君とラピス君、トイさんは4人で見て来るといいよ」
「じゃ、後で僕がニト君と交代しますね。シア君とベルン君ははぐれないように手を繋ごうね」
『はーい』
少し歩き広場に着くとトイが背負っていたカルンを受け取り、広場のすぐ側の木の下でシートを広げて待つことにした。
「わー沢山の人が品物を売ってるー」
みんな適当の茣蓙敷いてご家庭や旅で手に入れた物を適当に売る…フリーマーケットのような物が開催されていて、賑わいを見せていた。
「色々あるねーあ、本だ!大河さんのお土産にしようボーナス全然使ってないからね!」
「じゃ全部買おう、代金半分こ」
「僕も出しますよ、お世話になっているから」
「俺も出すぞ!」
「すみません、ここの本全部くださいー」
「あらまあ、とっても賢い子達なのねー、ちょっと高いわよ?」
『大丈夫ですー』
恰幅の良いおばさんが茣蓙に並べた本を渡してくれる1冊2,000ログ程、高めだが本はそもそもが高く十分安い金額だった。
本を受け取り一番年上に見えるトイの収納袋にしまい料金をベルンがまとめて支払い他を見る、使わなくなった子供の玩具や服を買い、シアは野外で魔力で明かりが灯る年代物のランタンを買う。
「ありがとねー良い子に貰われたなー俺も少し前は旅人だったが足を悪くしてここが俺の旅の終わりさ、次は君の旅に連れて行って貰おう、代金はいらん連れていってくれ」
「はい!ありがとうございます!」
壮年の男がそう言って笑う、トイがお礼にとカウンの酒を1瓶渡して手を振った。
「わーこの木彫り可愛いーこれ下さい。後この木彫りの人形も」
「あいよー大分昔の職人の物らしい、爺さんが亡くなっちまってなー家の物を処分していてな。君ら代金はこれで良いから木の細工物全部貰ってくれんか?」
「いいんですか?」
「おお、貰ってくれー」
ベルンが可愛い動物の木彫りとタイタン位の木彫りの人形を買おうと思うと、中年の男がニカっと笑うので有難く引き取る事にし、トイがお礼にカウンのお酒を1瓶渡した。
「この家具いいですねー」
「テントは幾らでも増やせるからなー」
「食器並べるのに良いのにいいねー」
「沢山あるもんねー」
広めの場所をとってるのは家具を置いている所だった、持ち主はどこかどんよりとした青年だった。
「いらっしゃい…」
「この食器棚可愛いですねー」
「この棚もー」
「小さい2人用のテーブルも可愛いー」
「うう…男と逃げた結婚予定だった恋人と選んだ家具ですうー」
『あ…』
膝を抱えて泣いている青年に4人が声を合わせる、気まずいが家具は殆ど使ってない物なので幾つか購入する。
「え、えと…これ良ければ飲んで下さい、あと果物もどうぞ」
「うう…ありがとう…」
トイが収納からカノリのお酒とカウンのお酒にカノリを渡す、泣きながら受け取り…この青年を慰めに来た長さ馴染みの女性とお酒の美味しさで盛り上がり数年後結婚するのは…全く関係ない話し…。
「良い物沢山買えたね!」
「うん!みんなオマケしてくれるし」
「その分トイが渡している酒は…まあ良いか…」
「みんな喜んでくれると良いなー」
「…喜ぶだろう…」
1本300万ログ(それでも安い)もする代物だ…騒ぎになるのは面倒だとラピスは思う、市から離れて奥へ行くと茣蓙も引かない子供が座って品を並べていた。
「子どもだけなのかな?」
「見てみようか」
「あれは…見てしまったから仕方ない」
「何か背筋がぞわとします」
「トイ、無理なら此処で待て」
「い、いえ平気です。ほっておけません」
子ども達の元へ駆けていくベルンとシアにトイとラピスが続く、子供は3人共少年で5歳、3歳、草の上で転がっている赤ん坊がいた。
「こんにちは見ても良い?」
「こんにちは見せて下さい」
「ん!どぞ!!」
5歳の少年は片言でニコニコ笑っている、3歳の男の子は指を咥えてシア達を見ている、赤ん坊は土と葉っぱを付けながら転がっている。
「あ、あのお父さんとお母さんは?」
「うん?」
「うー?」
「きゃはー」
子供達はそれしか言わない、5歳の男の子が置いている商品を指す、見ろという事だろう。
「そいつらは多分捨て子だ、最近住み着いているんだ。冒険者ギルドに知らせるとすばっしこくて何時の間にかいなくなるんだ。この辺は旅人や、ま、俺らみたいな貧乏人が多いから食い物やるくらいだな」
向かいで旅人の出で立ちをしている若い男が、旅で手に入れた物を並べて3人の子供達について教えてくれた。
「あ、そうなんですね…。このままにしておけないな」
「しておいても問題はないぞ、こいつら2人は魔人だぞ…この赤子は…まだだな」
「えっ!あ…ちょっと待って!これ《解き掛けの羅針盤》!?しかも解いているし!」
「このままって、ラピス君こんな小さい子達を放っておけないよー」
「魔人は食べなくても平気だぞーこんな小さいのは初めて見たぞ」
「うん?」
「うーうー?」
「きゃはは!!」
買わないの?みたいな顔をしている…赤ん坊は何が楽しいのかコロコロ転がって笑い声を上げている、本当に親がいないのか…靴こそ履いていないし服もボロボロだが顔色も良く表情も明るい。
「連れて帰っていいぞーどうせギルドで捕まって孤児院行きさあんたら身なり良さそうだし、まともな種族じゃないだろう?そいつらもヤバいが、だから連れて行け」
「…そういうお前も…」
「さてね」
旅人の男が肩を竦める、ラピスが男の正体に気づくが特に何も言わない。
「んーホテルに連れて行こう!僕が責任取るよ!ロックスさんにもこの子達の事聞いてみる!」
「あ、あの教えてくれてありがとうございます!今日泊まる所ってありますか?」
「んなもんないさ、何処でも寝れる」
「教えてくれたお礼にホテル…僕たちがいる宿に案内しますよー」
「おいおい、おれは子供奢ってもらう…じゃないやつもいるか…じゃ案内してもらうか。俺はウォルソガだ。どれ、店仕舞いして俺が子供抱えるか」
「うん??」
「う?」
「きゃははは!!」
蒼のロープにフードを被ったウォルソガが立ち上がり品物を収納袋に仕舞って、ニトも子供達が並べていた品をしまい、ウォルソガが5歳と3歳の子供を両脇に抱えた。
「う?」
「うー?」
「えとこの子は僕が…わ…すごい動く」
「きゃはははー」
「仕方ない、風魔法…」
「う…風が強くなった」
「俺の魔法に自分の魔力を乗せて風を強くしたぞ…」
赤子をトイが抱っこしようとすると物凄いじたばたするのでラピスが風魔法で浮かせようとすると、魔力をのせて魔法の威力を倍増させた。
「ニトさん達の所に転移しよう」
仕方ないと晴海から貰ったブレスレットの転移札を入れた石を使い、ニト達の所へ転移した。
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