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第8部 晴れた空の下手を繋いで…

STAGE.3-13 ニアのゴーレム…??ん?ゴーレム? 

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「ゴーレム沢山修繕出来たね!」
「うん、崇幸さん達喜んでくれるかな…」
「…俺が直したゴーレム?動いているんですが」
「空…飛んでますね」
「ニアさんが直したゴーレムだから…」
「みんなー」
「こんにちはー」
「あ、率くん崇幸さん」
「やあ」
《ガルディア》の住民達の住居区画の広場で、ニアとアシュー、サウにルオとネオや他の住民達が、仕事の合間を縫ってゴーレムの修繕をしていた。
既に崇幸に動かせるようにして貰ったゴーレム達は、食事の手伝いや掃除の手伝いなどしていた。
ポップコーンの屋台が増え《ガルディア》の街にも店を一軒出してニア達も忙しくしている、アシューやサウは絵画や彫刻の仕事をしながらニアの手伝いやゴーレムの修繕と忙しく過ごしている。
「率さん…崇幸さん…俺が直したゴーレムなんですが…」
グローリーに負けず劣らずの無表情だが、ニアの方まだ分かりやすく困っていて崇幸が首を傾げた。
「ニア君?どうした?何かあったのか?」
ニアが背に隠したゴーレムを崇幸の前に出すと…黒い丸い頭にずんぐりとした胴体、背中にはコウモリの様な小さい翼を生やしたゴーレム?がニアの手に乗せれていた。
「あれ…このゴーレム目と口がないな」
崇幸がじっくりゴーレムを見て口と目をが無い事を指摘すると、にまーと口を大きく開けギザギザの歯と真っ暗な口の中が覗く。
「お、動いた。ニアは傀儡魔法使えるんだな」
「使ったつもりはないです…」
「ゆき…おそらくニアの固有スキルにある…何かで産まれた物だ」
「千眼さん」
崇幸の左胸にいた千眼が現れニアが造ったゴーレムを見つめる、ステータスは読めないニヤリと口を大きく開けてじっとしていた。
「飯くえるのか?」
黒いゴーレムがコクコクと頷き崇幸の首の後ろ、肩車のされた子供みたいに収まる。
「ん?俺とくるか?ニアこいつ貰っても良いか?」
「はい、お願いします」
「また、直してくれ」
「良いんですか?」
「ああ、もちろん。頼むな」
「はい」
黒いゴーレムがコクコク頷きニアから貰い受け、またゴーレムを直してくれと言われて嬉しそうにしていた。
「アシューくんこの子達が身体に絵を描いて欲しいって」
「この子の身体なの絵…綺麗、僕が描いて良いんですか?」
アシューが絵を描いて欲しいゴーレムに聞くともじもじしながら頷くので絵を描いて欲しいゴーレムを預かる、タナトスに絵を描いて貰ったゴーレムが斜めかけの収納袋から雑誌を取り出して花を指す。
「綺麗な花だね、綺麗に描くからね」
「あ、率さんこっちの子達に爪を作ったんです、良ければマニュキュアを塗ってくれませんか?」
「あ、本当だ小さい爪。じゃこちらへどうぞ、好きな色選んで下さい」
率がサウが削った手足の爪を見て微笑み、テーブルの上にゴーレム達を乗せて収納からマニュキュアを出してゴーレム達に色を選んで貰った。
それを見た黒いゴーレムがパタパタサウの元へ飛んでいき、口を大きく開けている。
「どうやら…爪が欲しいようだ」
「分かった、少し削ったりするけどいい?」
コクコク黒いゴーレムが頷く、サウも道具を出して手足部分を削った。
「俺は皆が直したゴーレムを動かすよ」
「ゆき…私も手伝う」
「ああ」
千眼と2人で皆が直したゴーレムに魔石を入れて傀儡魔法を掛けていく、ニアはその様子を見て皆に飲んで貰おうとお茶の準備をした。

「いやーみなさん、このホテルと屋台すごい評判で噂になってますよー」
「嬉しいですね」
「そこで我々《エンディミー商会》を是非商業エリアに加えていただけませんか?ズィーガー殿から教えて頂いたので」
「構いませんよ」
ホテルのロビーでルガンダが千歳とラジカの姿を見掛け商業エリアの件を持ち掛ける、千歳もラジカもあっさり受け入れて祭りが終わったら契約をする事にした。
「うちの支配人も近々こちらにくるのでその時は紹介させて下さい」
「ええ、是非」
「はい、お願いします」
そう告げて慌ただしく外へ向かうルガンダ、ズィーガー達の商会ものんびり祭りを楽しむ暇は無く動き回っているようだ。
「もうそろそろ、夕食かな」
「そうですね」
「その前に少し祭りに出掛けよう」
「良いですね、行きましょう」
千歳がラジカを祭りに誘いラジカが了承し、少しの時間祭りへと赴く。

「広場は色々劇とか大道芸をしているようだね」
「ええ、人形劇をしていますね」
「見て行こうか」
「はい」
広場に行くと大道芸や演劇が行われその内の1つの小太りの男の人形劇の前で足を止める、子供達が座りワクワクした目で見ていた。
『ここから南の遠いと遠い場所でとある国の偉大なる魔法使いの物語』
魔力で動かす人形達、朗々とした小太りの男の声で語られていく物語。
『偉大なる魔法使いはとても真面目で人を愛し、人々もまた魔法使いを深く愛した。魔法使いはもっと人々を豊かにしたい、笑っていて欲しいという願いと思いで黄金魔法を産み出した』
小太りの男が指を鳴らし、景色に小さな黄金の城が現れ子供達からわぁと歓声が上がった。
『魔法使いは黄金の城を作り、人々を中に招き好きなだけ黄金を渡した。魔法使いが愛した人々は大層喜び生活が豊かになった』
魔法使いの人形が人々の人形に黄金を配る、小太りの男は声に抑揚があり目が離せない。
『だが、人々の欲にきりが無くなってしまった…黄金の次は時間…時間の次は若さ…そう彼らはとても貪欲になり魔法使いに次から次へと願いを伝えます…でも今度は魔法使いに時間がありません。いつまでも魔法使いは人々の願いを叶え続け老いてしまっていたのです、人々は大いに嘆きます。魔法使いが息を引き取った後黄金の城は魔法使いの墓となり誰も入れなくなりました…でもそのお城に入る事が出来る者が現れたらその時、黄金のお城は全てその者の物となる…今迄数々の冒険者が挑んだ《黄金城》まだ誰も入った者はいない…《黄金城》へ入れるのは未来の君達かもしれない…』
小太りの男が指を鳴らし小さい黄金の城が砂となり風に流され、子供達がわぁと歓声を上げて拍手を送った。
「そんなお城本当にあるのかい?」
「あるよ」
ラジカが千歳の問いに千歳の隣にいつの間にかいた、フードを被った小柄な人物が面白そうな声で答えた。
「本当に黄金の城なんですか?」
「そうだよー金ピカピカだよー」
「そこには魔法使いのお墓もあるんですか?」
「面白い事聞くね、どんな黄金があるのかじゃない気になるのは」
「生憎お金には困ってないので」
「羨ましいー魔法使いのお墓あるよー」
千歳がフードの人物を鑑定してみるが、???:鑑定不可と出る、ラジカも無言でその人物を注意深く探っている。
「南の南に聳えているから綺麗だよー見に行ってみてごらん」
「あ、千歳さんとラジカさんだー」
「詠斗君、晴海君」
「詠斗さん、晴海さん」
偶然こっちに来た詠斗達に呼ばれ、同時にフードの人物から目を離しもう1度視線を戻せば忽然と姿を消していた。
「悪いものでは無さそうです」
「そうだね、僕は人々に望まれるままに人生を捧げた魔法使いが最後何を思ったのか気になる位かな」
「またすぐ転生するからと、《黄金城》は転生した自分しか開けられないようにしていると私は思っています」
「なるほど、まだ転生してないって事かな」
「そうだと思います」
「千歳さんとラジカさんも一緒に向こうの小動物を売っているお店行かない?」
「可愛いんだってー」
「へぇ、行こうか」
「そうですね」
詠斗達に誘われ広場を離れる前に千歳が小太りの男の帽子に10万コイン入れて男が驚く、面白い物を見たのでと笑って伝えれば男が深々頭を下げて見送られ、晴海達に案内されて向かった。
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