あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~

深楽朱夜

文字の大きさ
上 下
313 / 867
第8部 晴れた空の下手を繋いで…

STAGE.3-11 ぬいぐるみ露店

しおりを挟む
「おはよーみんなの礼装持ってきたついでに人形工房の通りに今日もいくよー後、直したゴーレムね」
「おはよ!旦那達!」
「おはようございますぅ」
レストランで朝食を食べている早起きチームにテトラがフルーフとリプを抱えてやって来る、崇幸に直したゴーレムを渡し聖魔石とカルナラー石を入れ傀儡魔法を掛ければ、しゃきしゃき動き出した。
「おはよ、ありがとうテトラ!」
「ありがとうございます!」
「皆でいつか行くだろうから用意してたー、グリとイザラはシンプルに黒いシャツとズボンねー舵と崇幸のもどうぞー合わない所は直すから言ってねー」
「お、助かる!さっそく着てみよう」
「テトラちゃん良いものをありがとう」
「いえいえ、昨日行った人形工房とか見てくるからまた後でね」
「あ、俺も行く」
「僕も行きたいです」
「じゃ、晴海と率行こ」
「テトラっち朝は食った?」
「うんー今日はナイルが持って来てくれたからーナイルは先に龍皇国にいるってーチグリスは今日中に来るようにって」
「まだ寝てるよ」
「だろうねー」
皆に礼装を渡しテトラは晴海と率を連れて人形工房通りに向かい、試着を大部屋で行った後は崇幸と千眼、ラジカはチーズと燻製工房造りに、綴と懐記は燻製作り、大河と千歳とチグリスは…起きたら何かしようという感じだった。

「おはよ~テトラ達じゃん。どこ行くの?」
「おはよう、トラング。こんな朝からとは珍しいー」
「仕事終わりのお風呂後~どこいくの~」
「人形工房!」
「へぇ~おもしろーカジノの景品によさげー俺もいく~」
「カジノの景品ならば私もご一緒させて欲しい」
「良いですよ」
「行こう」
「悪さしないでねー」
「よろしく!旦那達」
「よろしくですぅ」
ホテルのロビーで風呂上がりのトラングとカトゥーシュカと会い共に人形工房街に行く事にし、ホテルの入り口は屋台に並ぶ人々で溢れ賑わい、ホテルに泊まる客も中へ入って行く、賑わいがあり従業員やおりがみの子達が働いていた。

「どうも~」
「昨日は沢山買ってくれてありがとうございます!どうぞ見ていって下さい」
テトラに案内されたのは人形工房の通りの1番奥の奥の露店。
中には客はいない、小さいクリクリとした栗色の髪と目の青年が出迎えてくれた。
「わ、かわいい。この白い動物…これもしかしてぬいぐるみ?」
「人形?これぬいぐるみですよね?」
「ぬいぐるみ?お恥ずかしい話し、師匠に破門され工房を追い出されてしまい…趣味で作ったこの人形達を売っているんです。僕はネスと言います」
「俺は晴海!」
「僕は率といいます」
「俺はトラング~」
「私はカトゥーシュカと申します」
「ここの人形、縫製が綺麗だし。着てる服も凝ってるから、気に入ったのー昨日崇幸と別れてこの辺見てたら見つけてー昨日も色々買ったよー」
「確かに丁寧な仕事ですね…動物に服を着せて丸くさせるのは子供が喜びそうだ」
自己紹介しつつカトゥーシュカが動物のぬいぐるみをマジマジと見ている、服も只布を合わせているだけでなく脱げる様にボタンが付いていた。
「うちの景品にはちょっと可愛いすぎかな~面白いと思うけど」
「ですよね、千年祭で人出があるから売れたら良いなーと」
「こんな奥では余り人も通らないのでは?」
「はい…場所も無いですし、破門されてからは同業者からはそっぽ向かれているんで…」
「俺は好きだよー可愛いよねー」
「可愛いぞ!小さいの買うぜ」
「僕ぅも一緒にナフおカフ達も喜んでますぅ」
声を萎ませるネスにテトラ達か励ましの言葉を掛ける、ネスが元気付けられ笑った。
「このぬいぐるみ、リュックみたいに出来ないかなー。ベルさんずっとタイタン持ってるからリュックにして頑丈にすれば両手あくよね?収納袋を中に入れれば重く感じない?」
「それ、良いね!作って貰いましょう!」
『リュック?』
「えっとね紙今出すよーナップサックの形が複雑なやつなんだけど」
晴海がナップサックと紙とペンを出して率と書き込んで行く、ネスとテトラ達が覗き込んでいる間、トラングとカトゥーシュカはぬいぐるみの丁寧な仕事に感心していた。
「随分と丁寧に縫い上げているねー」
「中々の出来だ、これなどエキューシカだな。随分あの凶暴なやつを可愛いくした物だな」
「とうの本人も随分可愛い見た目しているけど~」
カトゥーシュカが角が付いた鹿をモコモコの毛にしたような丸いぬいぐるみを持ち、トラングはちらりとネスを見た。
「人型でいる時は互いにその正体を暴かないという暗黙の規則があるが…見事な物だ」
カトゥーシュカも視線をネスに向け、他のぬいぐるみも色々見て過ごした。

「な、なるほど!僕のぬいぐるみを置物ではなく活用するんですね!分かりました!でも強度を作るのには革が必要ですが生憎と此処には…」
「それなら、あるよー作るの手伝うよー」
「手伝うぞ!」
「僕も手伝いますぅ」
「ほ、本当ですか!?」
パアッとネスの表情が明るくなり早速率が作業しやすいようにテーブルとイスを並べて、小腹が減った時用におやつとお茶の準備もしておく。
「ネスとリュック作るから、皆は他の買い物するといいよ」「他の人形工房を見てくるよ、あ、ネスせんここのぬいぐるみ全部下さい」
「え、えぇ!?」
「今色々な人達と繋がって色々な事をしているんです、小さい子や赤ちゃんもいるので是非売って下さい」
「あ、ありがとうございます!」
露店に並んだ大小30体のぬいぐるみを晴海と率が買い、収納に納めて代金を支払うとネスがとても嬉しそうにしていた。
「人形工房に行くなら《タルタン工房》が高目の高級品を販売しています、街に戻る途中の緑の看板の3階建てのお店です」
「どうもー行ってみるーありがと」
トラングが手を振り、ネスに深々頭を下げられ見送られた。
「後でラジカさんに相談して商業エリアに店を出せるか聞いてみましょう」
「さんせーい」
「んーどちらかと言うとカジノのディーラーで雇いたいね~」
「えー」
「そうなんですか?トラングさん」
「見た目に騙されちゃダメだよ~あれはラードルラーダー《牙剣》と呼ばれる種族よー。なんなら俺よりヤバいーでも亜種だろうね~」
「弱いとみなされ群れから出されのだろう…今思ったんだが、あのぬいぐるみの素材…」
「彼の毛だよ~」
『え?』
「あ、いや、ラードルラーダーとしての毛だよ。多毛の様だから素材としては良い…物だ…筈」
「そうなんだ…可愛いからいっか」
「うん、可愛いから良いですね」
ネス自身も小さくて可愛いらしいし、ぬいぐるみも可愛いく作られているので良いかと《タルタン工房》に向かった。

「ここは混んでいるね」
「お祭りで人出が多いからね」
「じゃ、みよっか~」
「確かに上流向けの用だ」
大きな3階建てお店の前にはひっきり無しに客が出入りし、外にも品物を出して呼び込みをしていた。
「綺麗ですねー」
「うちの人形は綺麗で繊細なようで丈夫さー金は掛かるが魔石を入れて動かす事も出来るんだ。3階には動く人形も売っているよ」
外に並べられたのは小さめのキラキラとガラスの様な鉱物で出来た人型や、花、動物、家等の工芸品が多く値段もそこそこしていた。
「いいねぇーこの花のやつとこの人形ちょうだい」
「あいよー兄さん美形だね、恋人にかい?」
「んーどうかな~」
トラングが購入を決め柔らかい布の様な物で包んで貰い、カトゥーシュカが支払いを行う。
晴海達は動物の置物を購入し中に入れば、1体1体精巧に造られた人形達が出迎えてくれた。
「どうぞ、見ていってねー動く人形は3階ですよー」
「わあ」
「綺麗ですね」
「んーこの瞳が青い人形と紫の瞳の人形ちょうだい」
「ありがとうございます、今お包みしますから2階や3階をご覧下さい」
「じゃ、いこ」
トラングが1通り見終わり人形を2体購入を決め、店員の愛想も良い。
「ここは動物人形ね」
「リアルなのから可愛いのも色々」
「小さめですね」
「良く出来ているな」
2階に上がれば棚には品良く並べられた動物…生物の岩を削った物や鉱物で造られた物等目を楽しませてくれる、率と晴海は鳥の鉱物人形の置物とウィンに似た物を購入した。
「んーここはいいかな~」
「そうか、3階にいこう」
トラングは特に惹かれる物は無く、包んで貰った物を受け取り支払いをして3階に向かった。
「へぇー意外に良く動く」
「滑らかだな」
3階には大きめ人型の少女人形が優雅にお辞儀をして出迎えてくれる、服もドレスの様な物で可愛いらしい。
「すごい」
「違和感のない動作ですねー」
「いらっしゃい、お辞儀だけじゃないですよー歩きますよー。お辞儀と歩く微笑む事が出来ます」
「本当だー」
「へぇーカジノに置こうかなー」
「優雅だな」
「良いと思います」
「2体買おーんー緑の目とあー淡い青の目のやつちょうだい」
「あ、ありがとうございます!ささ、今ご用意しますのでこちらでお待ち下さい!お茶を用意しますから」
そこにいた従業員全員慌てて梱包の準備を行う、その間奥にあるソファに座りお茶を飲みながら会計を済ませる、2体で5千万ログ、カトゥーシュカがコインが入った小袋を従業員が用意したトレイに乗せた。
しばし待ち布で頑丈に梱包された人形2体を受け取り見送れ、1階で梱包が終わった商品を受け取りホテルへ
むかった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界ソロ暮らし 田舎の家ごと山奥に転生したので、自由気ままなスローライフ始めました。

長尾 隆生
ファンタジー
【書籍情報】書籍3巻発売中ですのでよろしくお願いします。  女神様の手違いにより現世の輪廻転生から外され異世界に転生させられた田中拓海。  お詫びに貰った生産型スキル『緑の手』と『野菜の種』で異世界スローライフを目指したが、お腹が空いて、なにげなく食べた『種』の力によって女神様も予想しなかった力を知らずに手に入れてしまう。  のんびりスローライフを目指していた拓海だったが、『その地には居るはずがない魔物』に襲われた少女を助けた事でその計画の歯車は狂っていく。   ドワーフ、エルフ、獣人、人間族……そして竜族。  拓海は立ちはだかるその壁を拳一つでぶち壊し、理想のスローライフを目指すのだった。  中二心溢れる剣と魔法の世界で、徒手空拳のみで戦う男の成り上がりファンタジー開幕。 旧題:チートの種~知らない間に異世界最強になってスローライフ~

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生

野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。 普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。 そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。 そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。 そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。 うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。 いずれは王となるのも夢ではないかも!? ◇世界観的に命の価値は軽いです◇ カクヨムでも同タイトルで掲載しています。

異世界へ五人の落ち人~聖女候補とされてしまいます~

かずきりり
ファンタジー
望んで異世界へと来たわけではない。 望んで召喚などしたわけでもない。 ただ、落ちただけ。 異世界から落ちて来た落ち人。 それは人知を超えた神力を体内に宿し、神からの「贈り人」とされる。 望まれていないけれど、偶々手に入る力を国は欲する。 だからこそ、より強い力を持つ者に聖女という称号を渡すわけだけれど…… 中に男が混じっている!? 帰りたいと、それだけを望む者も居る。 護衛騎士という名の監視もつけられて……  でも、私はもう大切な人は作らない。  どうせ、無くしてしまうのだから。 異世界に落ちた五人。 五人が五人共、色々な思わくもあり…… だけれど、私はただ流れに流され……

異世界召喚?やっと社畜から抜け出せる!

アルテミス
ファンタジー
第13回ファンタジー大賞に応募しました。応援してもらえると嬉しいです。 ->最終選考まで残ったようですが、奨励賞止まりだったようです。応援ありがとうございました! ーーーー ヤンキーが勇者として召喚された。 社畜歴十五年のベテラン社畜の俺は、世界に巻き込まれてしまう。 巻き込まれたので女神様の加護はないし、チートもらった訳でもない。幸い召喚の担当をした公爵様が俺の生活の面倒を見てくれるらしいけどね。 そんな俺が異世界で女神様と崇められている”下級神”より上位の"創造神"から加護を与えられる話。 ほのぼのライフを目指してます。 設定も決めずに書き始めたのでブレブレです。気楽〜に読んでください。 6/20-22HOT1位、ファンタジー1位頂きました。有難うございます。

はずれスキル念動力(ただしレベルMAX)で無双する~手をかざすだけです。詠唱とか必殺技とかいりません。念じるだけで倒せます~

さとう
ファンタジー
10歳になると、誰もがもらえるスキル。 キネーシス公爵家の長男、エルクがもらったスキルは『念動力』……ちょっとした物を引き寄せるだけの、はずれスキルだった。 弟のロシュオは『剣聖』、妹のサリッサは『魔聖』とレアなスキルをもらい、エルクの居場所は失われてしまう。そんなある日、後継者を決めるため、ロシュオと決闘をすることになったエルク。だが……その決闘は、エルクを除いた公爵家が仕組んだ『処刑』だった。 偶然の『事故』により、エルクは生死の境をさまよう。死にかけたエルクの魂が向かったのは『生と死の狭間』という不思議な空間で、そこにいた『神様』の気まぐれにより、エルクは自分を鍛えなおすことに。 二千年という長い時間、エルクは『念動力』を鍛えまくる。 現世に戻ったエルクは、十六歳になって目を覚ました。 はずれスキル『念動力』……ただしレベルMAXの力で無双する!!

『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる

農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」 そんな言葉から始まった異世界召喚。 呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!? そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう! このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。 勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定 私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。 ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。 他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。 なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。

ペットたちと一緒に異世界へ転生!?魔法を覚えて、皆とのんびり過ごしたい。

千晶もーこ
ファンタジー
疲労で亡くなってしまった和菓。 気付いたら、異世界に転生していた。 なんと、そこには前世で飼っていた犬、猫、インコもいた!? 物語のような魔法も覚えたいけど、一番は皆で楽しくのんびり過ごすのが目標です! ※この話は小説家になろう様へも掲載しています

世界最強で始める異世界生活〜最強とは頼んだけど、災害レベルまでとは言ってない!〜

ワキヤク
ファンタジー
 その日、春埼暁人は死んだ。トラックに轢かれかけた子供を庇ったのが原因だった。  そんな彼の自己犠牲精神は世界を創造し、見守る『創造神』の心を動かす。  創造神の力で剣と魔法の世界へと転生を果たした暁人。本人の『願い』と創造神の『粋な計らい』の影響で凄まじい力を手にしたが、彼の力は世界を救うどころか世界を滅ぼしかねないものだった。  普通に歩いても地割れが起き、彼が戦おうものなら瞬く間にその場所は更地と化す。  魔法もスキルも無効化吸収し、自分のものにもできる。  まさしく『最強』としての力を得た暁人だが、等の本人からすれば手に余る力だった。  制御の難しいその力のせいで、文字通り『歩く災害』となった暁人。彼は平穏な異世界生活を送ることができるのか……。  これは、やがてその世界で最強の英雄と呼ばれる男の物語。

処理中です...