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深楽朱夜

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第8部 晴れた空の下手を繋いで…

STAGE.3-9 お祭りはドラゴンの皆さまと

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「早かったね!おかえり!」
「私はこれで失礼して、また明日きます」
「ん」
「カル、泊まっていきなよ!ディオスと一緒に」
「そうする?ディオス」
『ぴぴ』
「泊まっていく…」
「千歳っち岩ダンジョンと鉱物ダンジョンの空間繋げてー」
「おかえり…空間魔法の札渡すから、繋げるかい?」
「あーそうするわ」
ライガルは皇国に戻りカルは詠斗に誘われディオスと部屋に泊まる事にし、ティスは風呂に向かった。
グローリー達が戻りレストランで待っていた詠斗達、ジラが風早に冒険者ギルドのマスターを呼ぶよう伝えると、あわててやって来る。
「このホテルいいな!最高だ!住みたい位だ!で、早くないか?」
「いいから、ほら。買い取りしろ。ここで見た事は言うなよ?言えばもう二度と取り引きしないからな」
「おお!俺も冒険者ギルドのマスターだ!こちらからの依頼!他言無用だ!」
「なら、出すわ」
風呂上がりの様で身体から湯気立つギルドマスターが二言はないと胸を張り、懐記が収納からドカドカドカドカと岩ダンジョンのドロップ品を出していく。
「ま、まったー!いや、今収納袋持ってないぞー!持ち帰れん!」
「それもそうだな、収納袋貸すから持ってけ」
ジラがラジカから収納袋を受け取りギルドマスターに渡す、空いた口が塞がらないが全て収納袋に入れて、冒険者ギルドに向かって駆けて行った。

「今日はどうする?帰らない?」
「…?帰りたい?」
「うん…家で寝る…」
「いいよ、みんなまた明日」
「ん、おやすみ。グリ、イザラ」
イザラがグローリーの服の裾を握り家に帰るか尋ねる、グローリーはどちらでも良かったがイザラに帰りたいか聞くと頷いたので帰る事にする、イザラの魔法で出した馬4頭はカルの方へ行ってカルの肩に乗り、ディオスも嬉しそうにしていた。
「あげる、石のお礼…?」
「いいの?ありがとう…俺とみんな行く?」
カルがニコリと笑う、ついでに崇幸から壊れたりゴーレムと、修繕道具も受け取りおりがみの子達とヒヨコに案内され部屋に向かい、グローリー達も家に帰って行った。

「おはよー」
「詠斗達も早いな」
「ニジェルガさん達!おはよう」
「今日はドラゴンの皆さん勢揃いですね」
「ええ、お祭りですからね」
「酒と風呂だ!」
レストランではニジェルガとライガル、ナイデル、アルケールにカジノの常連のドラゴン達やカークやエンフ、ラドゥやオリガやハル達が集まり朝食のトーストとスープ、ダンジョン肉と野菜のソテーを食べながら過ごしていた。
「私とアルケール様は孤児院の子供達と祭りを周ります」
「ああ!その後は屋台を手伝うぞ!」
「ありがとう!」
「ティスとゴーシュさん達は?寝てる?」
「ティータ殿も一緒に部屋でゴーレムの修繕をしていますよ」
晴海が周囲を見渡して尋ねれば優雅にトーストを食べているライガルが答える、ニジェルガは早々に食べ終わり祭りに出掛けるのを今か今かと待っていた。
「おはよう…崇幸、ゴーレム直した」
「おはよう」
「おはよう、2人共!よし、動かすぞ!」
「ゆき…聖魔石と魔鉄をいれる…」
「お、イザラのだな!」
グローリーが綺麗に修繕されたゴーレムを3体差し出す、なんだかんだ暇なのだろうタナトスが綺麗に修繕してくれ…更に追加を渡して若干顔が引きつっていたのをグローリーは見て見ぬ振りをした。
千眼が魔鉄の聖魔石をゴーレム達に入れ、崇幸が傀儡魔法を発動させる前に動き出した。
「……精度の高い…」
「元気に動けば何でも良いさ!」
「そうか…」
ゴーレム達は嬉しそうに身体を動かし、跳ねたり跳んだりしていた。
「ドワーフのガーガードさんの所に行って、今日はテトラ達と人形工房に行くか、グリ達も来るか?」
「今日は、屋台の手伝い」
「かき氷…」
「そうか!ありがとう」
既に外では屋台の準備も整い客も集まって、ホテルにも続々客が宿を取りに来ていた。
「兄上、今日はどちらに行きますか?」
「そうだな、適当に…だ」
「承知しました」
各々祭りを楽しむ為に腰を上げて出掛ける、チグリスも本日は他のドラゴン達と伴に祭を楽しむ事にし、詠斗達は屋台を手伝う事にした。

「なあ、懐記。新しい肉料理おしえてよー」
「んー?どんな感じの?」
「最近肉ダンジョンにくるドラゴンが増えてさー料理ばっかりしてたら、もっと出来る料理増やしたくなって」
「魚料理も教えて下さい」
レストランの厨房で懐記、ラウラス、カーク、エンフに肉ダンジョン仲間達が屋台の下拵えを手伝いながら肉料理について話しをしていた。
「ミートボールにハンバーグにハンバーガー、煮込みとか、ピザの肉盛りとかさー」
「色々作ってるねーそっちも」
懐記の家の料理本と千眼から眼鏡を借りて、肉料ダンジョンで料理し差し入れまでしているカーク達、ナイル同様に皇国で料理教室まで開いているらしい。
「カークさん達のお肉料理美味しいですよね…あ、さっき僕のスキル雑貨店に燻製器が入荷されたんですげどやってみます?」
率が屋台の追加の肉串を貰いに来て、ちょうど良いと懐記に尋ねた。
「へぇ、燻製いいわ。どうせみんな食うでしょ、神様ズも、率っち燻製器とりま40台売って」
「はーい、ホテルの裏にだしときます」
「よろーじゃ仕込み終わったら外行くわ」
収納に率が肉串の追加を入れて屋台に戻る、カーク達はそれを楽しみに下拵えを手伝った。

「祭りはどこも活気があるな」
「ライガル…あの肉串買って…」
「分かりました、すみません肉串20本お願いします」
「ありがとうね、ちょっと待っててー」
「はい」
大人数で動くと目立つという理由でニジェルガ、ライガル、チグリス、大河という面子で祭りを楽しむ事にした。
ゴーシュ、ティス、ティータはホテルに籠りゴーレムの修繕作業を行い、オリガとラドゥはハル達と市場巡り、アルケール、ナイデル、アゲイルとレグ達は《トイタナ》の店の手伝いが終わり次第孤児院の子供達と街を散策する事にしている。
カラクとカタンは祖父のカクラと共にベルン達一行と祭りを見て周っている、ドラゴン達も各々大陸を渡った都市の祭りを楽しんでいた。
「お待ち、オマケ入れといたから!」
「ありがとうございます」
ライガルが葉包まれた肉串を受け取り、チグリス達に渡していく。
「うまいな」
「少し辛みがあって美味しいですね」
「おかわり…」
「どうぞ」
「向こうに細工屋があるな、食ったら行こう」
チグリスがライガルからおかわりを貰い、ニジェルガが気になる店を見つけて足を運ぶ。
「いらっしゃい、ゆっくり見ていって。お茶を出すから」
妙齢な女性がにこやかに大河達を出迎え、茶器でお茶の準備をしている。
「石細工…」
「ええ、1点物ばかりよ。お守りの意味合いが強い商品ばかりだけど」
「だから対になっている物が多いんだな」
「ええ、そうよ」
石細工のメダルの様な物を半分にした物に穴を開け紐を通した物が多く並ぶ、せっかくだからと大河はグローリーとイザラにとデザインを選ぶ…いや3にしとくかと考え直した。
「ライガル、ティスにどうだ?」
「受け取ってくれますか?」
「受け取るさ」
「では、兄上は何か選びますか?」
「そうだな、あれにしよう。店主あの黄金の王冠の守りを揃いで」
「では、私はあの剣の守りを揃いで下さい」
「俺はあの青い鳥の守りを3つ貰おう」
「はいはい、ありがとうね。さ、お茶を飲んでいって。そこの素敵な赤いお兄さんは?如何?」
「渡す相手はいない…」
「そう?勿体ない、私が後10年若ければねぇ」
店主が心底ため息を吐いて茶を渡してくれる、チグリスの方が遥かに年上だがチグリスは何も言わす茶を飲んだ。

「さて、ベルンちゃんから貰った給料で何を買おうかな」
「カタンおかしかうーナイルにあげるー」
「いつも貰ってばかりだからな!」
「あーぅ」
こちらはベルン一行、大人数だが広場で大道芸や演劇を見て過ごしていた。
カルンは眠くなったようでカクラの腕の中でうとうとし、ベルはタイタンを抱え空いた手は舵と繋いではしゃいでいた。
「本当、賑やかだねぇ」
「祭りというのも良いものですね」
「皇国ではお祭りしないの?」
「あるにはあるが静かだな!後、皇国は飯は不味い!」
「カラク…」
「なら、今度皇国の適当な広場借りてお祭りしようよ!」
「舵殿、それはいいですね。陛下に進言しましょう」
「わあーい!」
「ミルク売るよ!」
「ドラゴンの皆さんがいるならお酒も売りたいですね」
「さっそく皆にラインしよっと」
「あう?」
ベルン達が盛り上がり、舵が皆にラインを送る…後にこれが龍皇国の歴史を大きく変える事になるとは……それはまた別の話し…。

「ニジェルガ、今度皇国の適当な広場貸してくれ」
「それは構わないが」
「舵さん達が今度皇国で祭りをしたいそうだ」
「そうか、それは戻って早速計画を立てよう」
「良いですね、是非行いましょう」
「…………」
大河が舵からのラインを確認し、ニジェルガとライガルに許可を取る、チグリスは何故だか嫌な予感がすると思いながら干し肉を齧った…。
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