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第8部 晴れた空の下手を繋いで…
第11話 買い物は楽しいね
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「懐記から~300万ログ貰ったからそれでカジノの景品適当に買って来てッてー」
「いいじゃんいいじゃん、色々買おう」
「いいですね、中々手に入らない物がいいですよね」
「役立つ物も良いと思います」
こちらはトラング、カトゥーシュカ、ゴーシュ、ティータチームで街の市場の路地裏に入り店を探す、ドラゴンとバウンドランドトーカだ何が起きても問題なしと、躊躇わずに進んでいく。
「お、この店行こ!」
「なんの店~?」
「ここは…何でもありのようですね」
「暗い…」
小さな薄暗い店にゴーシュがウキウキと入っていく、中は雑然としていてごちゃごちゃとしていた。
「いらっしゃい…おやドラゴンと狼と海からのお客様ですかね、どうぞごゆるりと」
「そういうアンタは、ま、やめとくか。見せて貰うぞ」
「どうぞどうぞ、お茶でも淹れましょう…」
奥からゆるりとフードを被った老人が出て来て、ゴーシュ達をじっと見て茶の準備を始める、ゴーシュは店主を見て目を細めたが特に気にもせず店を見ている。
「あ、《解き掛けの羅針盤》じゃんこれまだ数ある~?」
「ええ、66個程。全部まとめて2,000ログでどうです?」
「貰うわ~」
「毎度~」
「このナイフ装飾が美しいな、トラング殿景品にどうだ?」
「いんじゃない~」
「1万ログです」
「この細工されている箱綺麗ですね、幾らです?」
「5,000ログですよ」
「おい、店主安すぎじゃないのか?」
「こちらにあるのは全て一度誰かの手に渡った物、その持ち主がどうなったかは…内緒」
綺麗な宝石が散りばめられた宝石箱をティータが手に取り、値段を聞けばかなり安い代物、ゴーシュが訝しげに店主に尋ねればそんな答えが返ってくるので肩を竦めた。
「呪物があるな…」
「お客さん、古代種のなりかけかい?」
「ああ、もうすぐ」
「なら、プレゼントに店にある物1つあげようか」
「へぇ、何でも?」
「どうぞどうぞ」
「じゃ、お前」
「おや?」
「くれるんだろ?くれくれ」
「いいですよ」
「ゴーシュ殿~そういうのが好み?」
「だから今ままで…」
「それぞれに好みというものがありますから…」
「お前ら…こいつが何に見えてんだ?もっと眼を鍛えろ」
「今まで見破られた事は無いのですがね」
店主がフードを取ればそこには光の加減によって色が変わる髪、大きな赤、黄色、橙色で彩られた瞳の青年が現れた。
「妖精?」
「ゴーシュ殿~まともに買い物も出来ないわけ~」
「これは失礼を…しかし妖精の領域で正体を見破るのは…」
「ま、何かくれるっていうからな」
ティータが呟きトラングが呆れ、カトゥーシュカが慌てて目を妖精から逸らす、ゴーシュは平然としていた。
「妖精のいたずらなんですがねー色々便利な品物とかあるんですよー」
「いい、この店の中で一番価値が高いのはお前だ、名前名前」
「トーリカと呼んで下さい」
「じゃトーリカ行くぞ」
「仕方ない」
妖精のトーリカが手を叩けば店が無くなり外に出てしまう、引き続きゴーシュは何食わぬ顔で買い物を続けた。
こちらは懐記、グローリー、ティス、ライガルチーム、市場の中央を見て回っていた。
「面白そうなのカジノの景品にするからよろー」
「ここお茶屋か、ここの茶葉5キロずつちょうだい」
「あいよ!沢山買ってくれてありがと、オマケするから!」
「どうも」
懐記がそれぞれに声を掛け近場で自由に買い物をしている、ティスは茶場を買い込みライガルは小物屋を除き、グローリーは香辛料の店を眺めていた。
「グリ、なんか気になるのある?」
「料理…皇国の家でする…懐記がくれるの物も良いけどこういうの使ってみたい…」
「いんじゃない、俺も使うわ。おにーさん俺達この国始めてきたんだけどおススメのってある?」
「お、兄ちゃん達《ホウラク》へようこそ!おすすめはこれだ!男は黙って辛いやーつ!」
店の店主の男性が2人に赤い小さな実を見せる、2人はまじまじそれを眺めた。
「これは、干せば干すほど辛みが増す実だぞ、これは収穫したばかりたからな磨り潰してスープや煮込みに入れるんだ。この実を使った煮込みはこの市場の名物の1つだし、千年祭は赤が縁起の良い色だからな!」
「へえ、千年祭ってでかい祭り?」
「おお、この街が《ホウラク》って街になって約千年だそれを祝う祭りが3日後の昼から始まるからな!」
「そ、じゃその身10キロちょうだい」
「毎度!10日干すとそりゃもう辛くて涙が止まらなくなるからな、2,3日が良いぞ!」
「へえ、どうも」
懐記がコインを渡し商品を受け取り、店主に手を振り隣の店にグローリーと向かった。
「この革のベルトに下げる入れ物良いですね、20個程頂けますか?土産用に」
「あいよ!これはオマケね、腰に下げる入れ物に付けておくお守りみたいな物さ、無くさないようにって」
魔物の革で丁寧に縫われた腰から下げる入れ物を、景品用と土産用にライガルが購入すれば店主水色の石を編み込んだ飾り紐を2つくれる。
「なんか良いのあったのかよ?」
「これを土産と景品用に、ティス1つどうぞ」
「ふうん、いいじゃん」
「後はこれはオマケだそうです」
「似合わねーな、貰うわ」
「はい」
「隣の通路に行こ」
「入り組んでて…楽しい…」
懐記とグローリーも合流しライガルから入れ物を受け取り早速ベルトから下げる、重さも気にならないので丁度良い。
「ん、ありがと。ライガルっち」
「ありがとう…ライガルさん」
「いえ、行きましょうか」
ライガルも微笑みティスは飾り紐を入れ物に付けて、3人の後に付いて行く。
「この辺は日用雑貨と屋台とかかな」
「詠斗…あれ」
「おいしそう!行こう」
こちらは、詠斗、大河、率、チグリスチーム、詠斗とチグリスは食べ物を中心に周り、大河と率は日用品を眺めていた。
「すみません、これ20本下さい!」
「ありがとねーオマケするわー、うちのはちょっと辛いわよ」
「大丈夫です、ありがとうございます!」
肉の串焼き赤いソースに辛めな香辛料を使った匂いが食欲をそそる、おばちゃんが串焼きを焼いているとなりでスープも売っていたのでそれも持って来た鍋に入れて貰う事にし、コインを支払って暫く待つ。
「わ、この髪飾り綺麗ですね!木彫りですか?」
「おう、綺麗だろう腕の良い職人が丹精込めて掘っているからな」
「これとこれ下さい」
「ありがとなー」
露店に並べられた木彫りの細工飾りを率が千眼と千華にお土産として購入する、その隣りで大河が白い石を使って彫った花飾りをいくつか購入した。
「そっちも綺麗ですね」
「ああ、子供達にな」
「良いですねー、あっちは蜂蜜屋みたいですね!詠斗さん達と行きましょうよ」
「珍しいな、行こう」
「詠斗さん、向こうに蜂蜜屋さんがありますよ!いきましょう!」
「いいね!もうちょっと待ってて、はい2人とも腸詰の串焼き」
「美味しそうですね、ありがとうございます」
「ありがとう」
「詠斗…もう1本」
「はいはい」
肉串を待っている間に買った腸詰の串焼きを食べつつ、肉串を受け取り蜂蜜屋に向かった。
「ここの蜂蜜屋も種類豊富ー」
「いらっしゃいませ、お茶を出すのでゆっくりしていって下さい」
「どうもー」
「この白い蜂蜜美味しそう」
「ここは蜂蜜酒は無いのか?」
「ございますよ、瓶が用意出来ないので樽でし売れないんですが」
白い肌に灰色の髪、黄色の瞳の青年が柔和に出迎えてくれお茶を出してくれた。
「今樽はいくつある?」
「3つ程です」
「全部買いたいが構わないか?」
「ええ、千年祭で明日商隊が来ますから倉庫が空くのは助かります、商人の方々ですか?」
「ああ、そんな所だ」
「3日後の昼から千年祭が始まりますから、色々な国の商人達が集まって珍しい品物が沢山見れますから楽しみですよね」
「そうだな」
祭りがあるとは知らないが商人としてならば知らない訳はないだろうと、話しを合わせておくことにした。
「10日間で品物が大分変りますから、またいらして下さい」
「ありがとうございます!また来ます!」
「お茶ごちそうさまです、美味しかったです」
「蜂蜜…美味い」
「ああ、また寄らせて貰う」
倉庫に置かれた樽の蜂蜜酒を全て購入し、蜂蜜も全種類購入して蜂蜜屋を後にし奥に進む途中で露店の本屋を見かけ大河が足を止めた。
「見ましょう!」
「うん」
「……」
「ああ、店主少し見させて貰う」
「あいよー」
詠斗と率は乗り気だがチグリスは時間が掛かるなと思いながら目線を向けていると、気になる本を見つけ手に取った。
「チグリスその本気になる?買うよ?」
「……この2人知っている」
「お、兄ちゃん随分昔の英雄の話ししっているんだな」
チグリスが手に取った本赤茶色のかなり年月が経っている物のようで保管状態も悪い、表紙は黒いインクで描かれた2人の男性、タイトルには『英雄と黄金』か書かれていた。
「その本状態も良くないから安くするぞ、その英雄の話しは他にもいくつかある」
「店主その英雄の本全部と、これとこれとこれをくれ」
「毎度ー千年祭には本増やしとくからまた来てくれなー」
「ああ」
大河が早めに購入する本を決め次に移動する、チグリスが何処か遠くを見るような目をしていたのが気なり声を掛けた。
「チグリス、あの本の2人は友人か?」
「違う…ラカンの友人だった…英雄の名はラキュラス…もう1人の名は知らない誰にも教えなかった…」
「ラカンてチグリスの亡くなった婚約者の?」
「ああ…ラカンとラキュラスの打ち合いを見物していた時に…ラカンがラキュラスの腕を折った時の事を思い出した…ラカンは剣鬼師…ラキュラスは剣聖だった…見世物的な意味合いの打ち合いだったが…ラカンが勝った…」
「ラキュラスってやつよりラカンが強かったんだな」
「……そうだ…お互いに本気になった結果だからとラキュラスは笑っていた…腕もすぐに治った…だがもう1人の方は……それを赦さなかった…」
「あの本のもう1人の方ですか?」
「あれは…魔人のなりかけか既に魔人だったのかもな…今思えば…自分の事を犬だと言い…ラキュラスの腕を折ったラカンの腕を木剣で斬り落とした」
『は?』
「ラキュラスが有名な英雄だとするなら…自分を犬だというあの男は歴史に沈んだ英雄だ…ラキュラスが戦場で死んだ後…何時の間にかこの世界から消えていた…その男の顔は思い出せない…ラカンもラキュラスの顔も思い出せるが」
「そいつはよっぽど歴史や人の記憶に残りたくなかったんだろうな」
「ああ…今思えばそうだったのかもな…あの本を見て思い出したそれだけだ」
チグリスの瞳が現在に還ってくる、この話はおしまいという事だろう、大河は本を読んだ後またチグリスに話しを聞いてみようと思った。
無くなった婚約者の話しはあまりしたそうには見えないが、魔人という言葉にひっかかりを大河は感じた…。
「いいじゃんいいじゃん、色々買おう」
「いいですね、中々手に入らない物がいいですよね」
「役立つ物も良いと思います」
こちらはトラング、カトゥーシュカ、ゴーシュ、ティータチームで街の市場の路地裏に入り店を探す、ドラゴンとバウンドランドトーカだ何が起きても問題なしと、躊躇わずに進んでいく。
「お、この店行こ!」
「なんの店~?」
「ここは…何でもありのようですね」
「暗い…」
小さな薄暗い店にゴーシュがウキウキと入っていく、中は雑然としていてごちゃごちゃとしていた。
「いらっしゃい…おやドラゴンと狼と海からのお客様ですかね、どうぞごゆるりと」
「そういうアンタは、ま、やめとくか。見せて貰うぞ」
「どうぞどうぞ、お茶でも淹れましょう…」
奥からゆるりとフードを被った老人が出て来て、ゴーシュ達をじっと見て茶の準備を始める、ゴーシュは店主を見て目を細めたが特に気にもせず店を見ている。
「あ、《解き掛けの羅針盤》じゃんこれまだ数ある~?」
「ええ、66個程。全部まとめて2,000ログでどうです?」
「貰うわ~」
「毎度~」
「このナイフ装飾が美しいな、トラング殿景品にどうだ?」
「いんじゃない~」
「1万ログです」
「この細工されている箱綺麗ですね、幾らです?」
「5,000ログですよ」
「おい、店主安すぎじゃないのか?」
「こちらにあるのは全て一度誰かの手に渡った物、その持ち主がどうなったかは…内緒」
綺麗な宝石が散りばめられた宝石箱をティータが手に取り、値段を聞けばかなり安い代物、ゴーシュが訝しげに店主に尋ねればそんな答えが返ってくるので肩を竦めた。
「呪物があるな…」
「お客さん、古代種のなりかけかい?」
「ああ、もうすぐ」
「なら、プレゼントに店にある物1つあげようか」
「へぇ、何でも?」
「どうぞどうぞ」
「じゃ、お前」
「おや?」
「くれるんだろ?くれくれ」
「いいですよ」
「ゴーシュ殿~そういうのが好み?」
「だから今ままで…」
「それぞれに好みというものがありますから…」
「お前ら…こいつが何に見えてんだ?もっと眼を鍛えろ」
「今まで見破られた事は無いのですがね」
店主がフードを取ればそこには光の加減によって色が変わる髪、大きな赤、黄色、橙色で彩られた瞳の青年が現れた。
「妖精?」
「ゴーシュ殿~まともに買い物も出来ないわけ~」
「これは失礼を…しかし妖精の領域で正体を見破るのは…」
「ま、何かくれるっていうからな」
ティータが呟きトラングが呆れ、カトゥーシュカが慌てて目を妖精から逸らす、ゴーシュは平然としていた。
「妖精のいたずらなんですがねー色々便利な品物とかあるんですよー」
「いい、この店の中で一番価値が高いのはお前だ、名前名前」
「トーリカと呼んで下さい」
「じゃトーリカ行くぞ」
「仕方ない」
妖精のトーリカが手を叩けば店が無くなり外に出てしまう、引き続きゴーシュは何食わぬ顔で買い物を続けた。
こちらは懐記、グローリー、ティス、ライガルチーム、市場の中央を見て回っていた。
「面白そうなのカジノの景品にするからよろー」
「ここお茶屋か、ここの茶葉5キロずつちょうだい」
「あいよ!沢山買ってくれてありがと、オマケするから!」
「どうも」
懐記がそれぞれに声を掛け近場で自由に買い物をしている、ティスは茶場を買い込みライガルは小物屋を除き、グローリーは香辛料の店を眺めていた。
「グリ、なんか気になるのある?」
「料理…皇国の家でする…懐記がくれるの物も良いけどこういうの使ってみたい…」
「いんじゃない、俺も使うわ。おにーさん俺達この国始めてきたんだけどおススメのってある?」
「お、兄ちゃん達《ホウラク》へようこそ!おすすめはこれだ!男は黙って辛いやーつ!」
店の店主の男性が2人に赤い小さな実を見せる、2人はまじまじそれを眺めた。
「これは、干せば干すほど辛みが増す実だぞ、これは収穫したばかりたからな磨り潰してスープや煮込みに入れるんだ。この実を使った煮込みはこの市場の名物の1つだし、千年祭は赤が縁起の良い色だからな!」
「へえ、千年祭ってでかい祭り?」
「おお、この街が《ホウラク》って街になって約千年だそれを祝う祭りが3日後の昼から始まるからな!」
「そ、じゃその身10キロちょうだい」
「毎度!10日干すとそりゃもう辛くて涙が止まらなくなるからな、2,3日が良いぞ!」
「へえ、どうも」
懐記がコインを渡し商品を受け取り、店主に手を振り隣の店にグローリーと向かった。
「この革のベルトに下げる入れ物良いですね、20個程頂けますか?土産用に」
「あいよ!これはオマケね、腰に下げる入れ物に付けておくお守りみたいな物さ、無くさないようにって」
魔物の革で丁寧に縫われた腰から下げる入れ物を、景品用と土産用にライガルが購入すれば店主水色の石を編み込んだ飾り紐を2つくれる。
「なんか良いのあったのかよ?」
「これを土産と景品用に、ティス1つどうぞ」
「ふうん、いいじゃん」
「後はこれはオマケだそうです」
「似合わねーな、貰うわ」
「はい」
「隣の通路に行こ」
「入り組んでて…楽しい…」
懐記とグローリーも合流しライガルから入れ物を受け取り早速ベルトから下げる、重さも気にならないので丁度良い。
「ん、ありがと。ライガルっち」
「ありがとう…ライガルさん」
「いえ、行きましょうか」
ライガルも微笑みティスは飾り紐を入れ物に付けて、3人の後に付いて行く。
「この辺は日用雑貨と屋台とかかな」
「詠斗…あれ」
「おいしそう!行こう」
こちらは、詠斗、大河、率、チグリスチーム、詠斗とチグリスは食べ物を中心に周り、大河と率は日用品を眺めていた。
「すみません、これ20本下さい!」
「ありがとねーオマケするわー、うちのはちょっと辛いわよ」
「大丈夫です、ありがとうございます!」
肉の串焼き赤いソースに辛めな香辛料を使った匂いが食欲をそそる、おばちゃんが串焼きを焼いているとなりでスープも売っていたのでそれも持って来た鍋に入れて貰う事にし、コインを支払って暫く待つ。
「わ、この髪飾り綺麗ですね!木彫りですか?」
「おう、綺麗だろう腕の良い職人が丹精込めて掘っているからな」
「これとこれ下さい」
「ありがとなー」
露店に並べられた木彫りの細工飾りを率が千眼と千華にお土産として購入する、その隣りで大河が白い石を使って彫った花飾りをいくつか購入した。
「そっちも綺麗ですね」
「ああ、子供達にな」
「良いですねー、あっちは蜂蜜屋みたいですね!詠斗さん達と行きましょうよ」
「珍しいな、行こう」
「詠斗さん、向こうに蜂蜜屋さんがありますよ!いきましょう!」
「いいね!もうちょっと待ってて、はい2人とも腸詰の串焼き」
「美味しそうですね、ありがとうございます」
「ありがとう」
「詠斗…もう1本」
「はいはい」
肉串を待っている間に買った腸詰の串焼きを食べつつ、肉串を受け取り蜂蜜屋に向かった。
「ここの蜂蜜屋も種類豊富ー」
「いらっしゃいませ、お茶を出すのでゆっくりしていって下さい」
「どうもー」
「この白い蜂蜜美味しそう」
「ここは蜂蜜酒は無いのか?」
「ございますよ、瓶が用意出来ないので樽でし売れないんですが」
白い肌に灰色の髪、黄色の瞳の青年が柔和に出迎えてくれお茶を出してくれた。
「今樽はいくつある?」
「3つ程です」
「全部買いたいが構わないか?」
「ええ、千年祭で明日商隊が来ますから倉庫が空くのは助かります、商人の方々ですか?」
「ああ、そんな所だ」
「3日後の昼から千年祭が始まりますから、色々な国の商人達が集まって珍しい品物が沢山見れますから楽しみですよね」
「そうだな」
祭りがあるとは知らないが商人としてならば知らない訳はないだろうと、話しを合わせておくことにした。
「10日間で品物が大分変りますから、またいらして下さい」
「ありがとうございます!また来ます!」
「お茶ごちそうさまです、美味しかったです」
「蜂蜜…美味い」
「ああ、また寄らせて貰う」
倉庫に置かれた樽の蜂蜜酒を全て購入し、蜂蜜も全種類購入して蜂蜜屋を後にし奥に進む途中で露店の本屋を見かけ大河が足を止めた。
「見ましょう!」
「うん」
「……」
「ああ、店主少し見させて貰う」
「あいよー」
詠斗と率は乗り気だがチグリスは時間が掛かるなと思いながら目線を向けていると、気になる本を見つけ手に取った。
「チグリスその本気になる?買うよ?」
「……この2人知っている」
「お、兄ちゃん随分昔の英雄の話ししっているんだな」
チグリスが手に取った本赤茶色のかなり年月が経っている物のようで保管状態も悪い、表紙は黒いインクで描かれた2人の男性、タイトルには『英雄と黄金』か書かれていた。
「その本状態も良くないから安くするぞ、その英雄の話しは他にもいくつかある」
「店主その英雄の本全部と、これとこれとこれをくれ」
「毎度ー千年祭には本増やしとくからまた来てくれなー」
「ああ」
大河が早めに購入する本を決め次に移動する、チグリスが何処か遠くを見るような目をしていたのが気なり声を掛けた。
「チグリス、あの本の2人は友人か?」
「違う…ラカンの友人だった…英雄の名はラキュラス…もう1人の名は知らない誰にも教えなかった…」
「ラカンてチグリスの亡くなった婚約者の?」
「ああ…ラカンとラキュラスの打ち合いを見物していた時に…ラカンがラキュラスの腕を折った時の事を思い出した…ラカンは剣鬼師…ラキュラスは剣聖だった…見世物的な意味合いの打ち合いだったが…ラカンが勝った…」
「ラキュラスってやつよりラカンが強かったんだな」
「……そうだ…お互いに本気になった結果だからとラキュラスは笑っていた…腕もすぐに治った…だがもう1人の方は……それを赦さなかった…」
「あの本のもう1人の方ですか?」
「あれは…魔人のなりかけか既に魔人だったのかもな…今思えば…自分の事を犬だと言い…ラキュラスの腕を折ったラカンの腕を木剣で斬り落とした」
『は?』
「ラキュラスが有名な英雄だとするなら…自分を犬だというあの男は歴史に沈んだ英雄だ…ラキュラスが戦場で死んだ後…何時の間にかこの世界から消えていた…その男の顔は思い出せない…ラカンもラキュラスの顔も思い出せるが」
「そいつはよっぽど歴史や人の記憶に残りたくなかったんだろうな」
「ああ…今思えばそうだったのかもな…あの本を見て思い出したそれだけだ」
チグリスの瞳が現在に還ってくる、この話はおしまいという事だろう、大河は本を読んだ後またチグリスに話しを聞いてみようと思った。
無くなった婚約者の話しはあまりしたそうには見えないが、魔人という言葉にひっかかりを大河は感じた…。
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