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第8部 晴れた空の下手を繋いで…
第3幕 第30話 小さな冒険家
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「おはようございます、懐記さん、ラウラスさん」
「おはよ」
「おはようございますっす」
昨夜の揚げ物パーティ後の朝、いつものように先に大食堂で朝食の支度をしている懐記きラウラスと挨拶を交わすラジカ、朝食のトーストと目玉焼きにサラダ、具沢山のあっさりスープに果物のトレイを受け取り、温かい紅茶を貰い窓の側のテーブルに着席し食事を食べ始めた。
周囲には奴隷達や、カトゥーシュカや他の客達も朝食の準備の手伝いや朝食を食べ各々寛いでいた。
「ああ、島船綺麗ですね」
窓から離れた場所で並んで並走する完成した島船、生い茂る緑が正しく島の様に雄大に感じた。
崇幸や千眼に千華、ヒュール達やフユーゲルの一族達も今そちらで稼働の確認を行っている。
ゆっくりしたい所だが今日は予定がある、早々に朝食を食べ終わりトレイを厨房に下げに行く。
「懐記さん、ラウラスさん。私用で少し船を離れます、知人に会うのですがこちらに連れて来ようと思います」
「ん、オッケ。千歳っち達に伝えておくわ」
「いってらっしゃいす」
「はい、行ってきます」
ブレスレットの転移魔法が込められた石に魔力を込めて、目的の場所へ移動した。
小さな8歳になったばかりらしい少年は蜂蜜色の髪を揺らし、何処までも濃い青い瞳を煌めかせ編んだ身体に見合わない籠を背負い進もうとする。
「シア!危ないから行っちゃだめ!」
シアと呼ばれた少年よりも少し上の少女が赤い顔でシアを呼び止める、今にでも崩れそうな廃墟のような家のドアに凭れて少女は咳き込んだ。
「ユーリィル、寝てなきゃだめだよ」
「ダメ!危険だから」
「でも、みんな具合わるいし。薬草を採って来ないと…水だってもうないし」
「シア…どうしよう…先生が…」
後ろからまた小さな少年がフラフラと顔をユーリィよりも赤くし出て来る、この貧しい集落のような村の唯一の孤児院のような…場所、大人1人と子供7人のその日もまともに暮らしていけない環境で村人の手助けや自給自足でなんとか凌いでいる状況…そうここ最近までは…。
「元気なのは僕だけだから!それに僕は未来の世界一の探検家だから!薬草と水を持ってくらい出来ないと!少しだけ待っていて!」
この村や周辺の町に蔓延した伝染病…原因は分からないが、高熱にうなされ熱が下がらずに長く苦しむ病だった。
栄養のある食事と睡眠清潔な環境があれば悪化しない病だが、この周辺ではそれも難しい。
「すぐ戻るから!」
たたた…シアは元気に手を振り走り出す、泣きながら行かないでと叫ぶユーリィ、いつもは気丈で明るく年長者として先生を支える側だが熱に侵されそのまま崩れてしまった。
本当はシアだって皆の側にいたいが、側にいて祈ってもお腹は満たされないし、病気も治らない。
ここにいる一番小さな赤ちゃんは昨夜まで熱で苦しんで泣いていたが、今は荒い息遣いしか聞こえない、僅かな水はその赤ちゃんに使い水ももうない、水魔法が使える村人達だった寝込み苦しんでいる、本当にまともに元気なのはシアだけだった。
「早く探さないと…」
村の奥にある森、危険な獣はいないが朝でも暗く陰気で湿っている大人だって1人では近づかない、シアは覚悟を決めて足を踏み入れる、世界一の冒険家になり伝説を作る、歴史に名を残す事を夢に抱くシアこの位で引く訳には行かなった…。
「うんとーこの辺の木の辺りに…あった!」
大きな木の根元湿った個所をじっくりとみると、熱を下げる薬草がありその葉っぱだけ摘み取り籠に入れていく。
「けっこう取ったけどまだ必要だし…水も…」
村人や先生と一緒にしか入った事がない森、これ以上先に進んだ事はないがゴクリと唾を呑み込み進んでいく、シアの宝物、村に捨てられていた際の籠にシアと共に入れられていた多額のログコインと『この子はシア 訳あって育てられません 金はこの子を育ててくれる方に』というメモと『冒険家の心得』と表紙に書いてある古い手帳、何処を指しているか分からない羅針盤がシアの宝物で財産だった。
「冒険家の心得、冒険とは無謀と挑戦は同じではない!よし行くぞぉ」
「待って下さい」
「うぴゃあああ!」
背後から突然声が掛かる、気合を入れたのが台無しだ。
「わざと驚かせました、そんな風に尻込みするなら行かない方がいいでしょう」
「う、うえー」
恐る恐る涙をこぼしながら後ろを振り返る、もうおねしょは卒業したけど今日はしそうな気がする位怖かった。
「あわぁわあぅ」
「泣いていても何も始まりませんよ」
そこにはこんな森立っている事が不釣り合いの高貴な感じの男性が立っていた、、灰青の髪と同じ色の瞳とその瞳の外周は金色、左眼に片眼鏡を掛けた身なりの良い男はシアを見下ろし無表情に立っていた。
「あ、あのぉ」
「はい」
「あなたは妖精ですか?木の精霊ですかー?」
「違います」
「あぅー僕お金とか持ってないですぅ、やせっぽっちだから食べてもおいしくないと…思います」
「私が何に見えるんですか?」
「子どもを食べる悪いひと?」
「だとしたらどうします?」
「うう…先生たちに薬草を届けるまで待ってくださぁい」
「神々も一番面倒なタイミングで見つけてくれましたね、行きましょう。私はラジカです」
「ど、どこいくんですかぁ、僕はシアですぅ」
「孤児院へ」
「で、でも」
「大丈夫です、薬草はありますが、数が足りませんね。助けを呼びます、戻りましょう」
「僕、お金ないです」
「いりません、それよりもっと面倒な事を貴方に押し付けますから」
「うえぇえ」
「戻ります」
ラジカいう男が転移魔法を使い孤児院の前に戻る、入口の側で倒れているユーリィや子供達が目に入りシアが駆け寄った。
「みんな!」
「この村全体とそれ以外もですね、懐記さん私です。すみませんが今すぐ動ける方を連れて転移でこちらへ来て頂けませんか?免疫力の低い子供や舵さんは念の為に船に、ええ、薬草や食べ物もありったけ持ってこちらへ少々面倒な事が、お願いします」
「うぃー了解。みんなラジカっちからSOS。今ここにいる免疫力の高い大人とドラゴンは全員来て」
「おっけ、急ご!」
「わ、私も連れて行ってくれ。借りを返したい」
「ならばこちらも」
『うみぅ』『うみぃ』『うみゃ』
島船から戻った崇幸達やフユーゲルにカトゥーシュカやヒュール達も立ち上がる、その場にいた舵と子供達以外全員詠斗の転移魔法で転移を行った。
「おはよ」
「おはようございますっす」
昨夜の揚げ物パーティ後の朝、いつものように先に大食堂で朝食の支度をしている懐記きラウラスと挨拶を交わすラジカ、朝食のトーストと目玉焼きにサラダ、具沢山のあっさりスープに果物のトレイを受け取り、温かい紅茶を貰い窓の側のテーブルに着席し食事を食べ始めた。
周囲には奴隷達や、カトゥーシュカや他の客達も朝食の準備の手伝いや朝食を食べ各々寛いでいた。
「ああ、島船綺麗ですね」
窓から離れた場所で並んで並走する完成した島船、生い茂る緑が正しく島の様に雄大に感じた。
崇幸や千眼に千華、ヒュール達やフユーゲルの一族達も今そちらで稼働の確認を行っている。
ゆっくりしたい所だが今日は予定がある、早々に朝食を食べ終わりトレイを厨房に下げに行く。
「懐記さん、ラウラスさん。私用で少し船を離れます、知人に会うのですがこちらに連れて来ようと思います」
「ん、オッケ。千歳っち達に伝えておくわ」
「いってらっしゃいす」
「はい、行ってきます」
ブレスレットの転移魔法が込められた石に魔力を込めて、目的の場所へ移動した。
小さな8歳になったばかりらしい少年は蜂蜜色の髪を揺らし、何処までも濃い青い瞳を煌めかせ編んだ身体に見合わない籠を背負い進もうとする。
「シア!危ないから行っちゃだめ!」
シアと呼ばれた少年よりも少し上の少女が赤い顔でシアを呼び止める、今にでも崩れそうな廃墟のような家のドアに凭れて少女は咳き込んだ。
「ユーリィル、寝てなきゃだめだよ」
「ダメ!危険だから」
「でも、みんな具合わるいし。薬草を採って来ないと…水だってもうないし」
「シア…どうしよう…先生が…」
後ろからまた小さな少年がフラフラと顔をユーリィよりも赤くし出て来る、この貧しい集落のような村の唯一の孤児院のような…場所、大人1人と子供7人のその日もまともに暮らしていけない環境で村人の手助けや自給自足でなんとか凌いでいる状況…そうここ最近までは…。
「元気なのは僕だけだから!それに僕は未来の世界一の探検家だから!薬草と水を持ってくらい出来ないと!少しだけ待っていて!」
この村や周辺の町に蔓延した伝染病…原因は分からないが、高熱にうなされ熱が下がらずに長く苦しむ病だった。
栄養のある食事と睡眠清潔な環境があれば悪化しない病だが、この周辺ではそれも難しい。
「すぐ戻るから!」
たたた…シアは元気に手を振り走り出す、泣きながら行かないでと叫ぶユーリィ、いつもは気丈で明るく年長者として先生を支える側だが熱に侵されそのまま崩れてしまった。
本当はシアだって皆の側にいたいが、側にいて祈ってもお腹は満たされないし、病気も治らない。
ここにいる一番小さな赤ちゃんは昨夜まで熱で苦しんで泣いていたが、今は荒い息遣いしか聞こえない、僅かな水はその赤ちゃんに使い水ももうない、水魔法が使える村人達だった寝込み苦しんでいる、本当にまともに元気なのはシアだけだった。
「早く探さないと…」
村の奥にある森、危険な獣はいないが朝でも暗く陰気で湿っている大人だって1人では近づかない、シアは覚悟を決めて足を踏み入れる、世界一の冒険家になり伝説を作る、歴史に名を残す事を夢に抱くシアこの位で引く訳には行かなった…。
「うんとーこの辺の木の辺りに…あった!」
大きな木の根元湿った個所をじっくりとみると、熱を下げる薬草がありその葉っぱだけ摘み取り籠に入れていく。
「けっこう取ったけどまだ必要だし…水も…」
村人や先生と一緒にしか入った事がない森、これ以上先に進んだ事はないがゴクリと唾を呑み込み進んでいく、シアの宝物、村に捨てられていた際の籠にシアと共に入れられていた多額のログコインと『この子はシア 訳あって育てられません 金はこの子を育ててくれる方に』というメモと『冒険家の心得』と表紙に書いてある古い手帳、何処を指しているか分からない羅針盤がシアの宝物で財産だった。
「冒険家の心得、冒険とは無謀と挑戦は同じではない!よし行くぞぉ」
「待って下さい」
「うぴゃあああ!」
背後から突然声が掛かる、気合を入れたのが台無しだ。
「わざと驚かせました、そんな風に尻込みするなら行かない方がいいでしょう」
「う、うえー」
恐る恐る涙をこぼしながら後ろを振り返る、もうおねしょは卒業したけど今日はしそうな気がする位怖かった。
「あわぁわあぅ」
「泣いていても何も始まりませんよ」
そこにはこんな森立っている事が不釣り合いの高貴な感じの男性が立っていた、、灰青の髪と同じ色の瞳とその瞳の外周は金色、左眼に片眼鏡を掛けた身なりの良い男はシアを見下ろし無表情に立っていた。
「あ、あのぉ」
「はい」
「あなたは妖精ですか?木の精霊ですかー?」
「違います」
「あぅー僕お金とか持ってないですぅ、やせっぽっちだから食べてもおいしくないと…思います」
「私が何に見えるんですか?」
「子どもを食べる悪いひと?」
「だとしたらどうします?」
「うう…先生たちに薬草を届けるまで待ってくださぁい」
「神々も一番面倒なタイミングで見つけてくれましたね、行きましょう。私はラジカです」
「ど、どこいくんですかぁ、僕はシアですぅ」
「孤児院へ」
「で、でも」
「大丈夫です、薬草はありますが、数が足りませんね。助けを呼びます、戻りましょう」
「僕、お金ないです」
「いりません、それよりもっと面倒な事を貴方に押し付けますから」
「うえぇえ」
「戻ります」
ラジカいう男が転移魔法を使い孤児院の前に戻る、入口の側で倒れているユーリィや子供達が目に入りシアが駆け寄った。
「みんな!」
「この村全体とそれ以外もですね、懐記さん私です。すみませんが今すぐ動ける方を連れて転移でこちらへ来て頂けませんか?免疫力の低い子供や舵さんは念の為に船に、ええ、薬草や食べ物もありったけ持ってこちらへ少々面倒な事が、お願いします」
「うぃー了解。みんなラジカっちからSOS。今ここにいる免疫力の高い大人とドラゴンは全員来て」
「おっけ、急ご!」
「わ、私も連れて行ってくれ。借りを返したい」
「ならばこちらも」
『うみぅ』『うみぃ』『うみゃ』
島船から戻った崇幸達やフユーゲルにカトゥーシュカやヒュール達も立ち上がる、その場にいた舵と子供達以外全員詠斗の転移魔法で転移を行った。
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