あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~

深楽朱夜

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第8部 晴れた空の下手を繋いで…

第3幕 第24話 お説教??

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「ここからの眺めもいいね」
「そうですね、崇幸さんからペットボトルの水とお茶を貰いましたよ。皆さんの世界もすごい技術がありますね」
「ああ、僕達用だね。これは《アタラクシア》には出せないしね」
「混乱は多少するでしょうけど、便利な物ですね」
ベッド等は無く大きな窓から望む海とテーブルと椅子のみの部屋に入り、ショルダーバッグからラジカが水とお茶のペットボトルを2本ずつ取り出しテーブルに並べた。
「便利なのは間違いないね、さ、お説教されようかな」
「そういう態度ではないと思いますが」
「そんな事はないよ、僕の身勝手で君達を外したのだから」
「千歳さんの収納空間は暗くて冷たかったですね、ですが皆さんは千歳さんが守ってくれたのを分かっていますよ。グローリーさんは空間を裂いてしまいましたが」
「あれには参ったね、魔神の力を見くびったつもりはなかったんだけど」
「そうですね、千歳さんの想定をグローリーさんが上回ったという事ですね。皆、それでも引くつもりも無かった。最後まで見届けるつもりだった」
「…すまない」
「次は止めて下さいね、覚悟を持って一緒に行ったんですから」
「約束はしないけどね、分かった」
「今回はこれで引きます」
「お説教にならなかったかな」
「そうですね」
ラジカがペットボトルの蓋を回しお茶を飲む、いつもは優雅にティーカップでお茶を飲む姿を見ていると今の姿に違和感を感じる。
「少しラジカさんの話しを聞きたいのだけど良いかな?」
「答えない話しもありますが、それでも良ければ」
「仕返しをされているのかな?ラジカさんはどれ程強いのかな?」
「程々ですね、冒険者単独A級程度です」
「ご家族は?」
「父がいます」
「何歳?」
「ノーコメント」
「おや、好きな事は?」
「仕事と収集です」
「島で購入していた美術品だね、嫌いな事は?」
「ないです、いえ、父に会う事です」
「なるほど、恋人は?」
「いません」
「僕達の事は好き?」
「ええ」
「良かった。なら、試しに僕と付き合うは気はないかな?」
「は?」
「僕達の中に他に気になる人がいるのかな?」
「皆さんの事は気になりますよ」
「嬉しいね、僕はどうかな?」
「魅力的な方だと思いますが」
「恋人としてはどうかな?」
「魔王を恋人にする程私は豪胆な性格をしていません」
「フラれてしまったのかな?」
「ふ、付き合うという行為には恋愛感情が必要だと思っていましたが?」
「無くても恋人関係になれる場合もあるけれど?」
「なるほど、千歳さん達がいた世界ではそういう関係も普通だと?」
「んー時と場合と人によるかな?」
「こちらでもそういう場合もありますし」
「ラジカさん、因みに恋愛経験は?」
「ノーコメントです、千歳さんは恋人の過去の恋愛経験を気にするタイプですか?」
「誰かと付き合った事も恋愛した事もないから分からないね」
「今、現在もですよね?」
「そうだよ」
「分かりました、返事は保留で」
「残念、自信はあったんだけど」
少しも残念そうにしていない千歳と顔色を変えないラジカ、雰囲気的に恋愛話しをしているように見えない2人。
「千歳さんは私の何に興味を持ったんですか?然程魔王の気を惹くようなタイプではないですが?」
「そんな事はないよ?とても魅力的だと思うよ」
「ありがとうございます」
ラジカは内心誰かー誰かーこの状況を説明してーどうして魔王に目を付けられたのは知っていたけれどー、この状況はなにー何で恋人にならないか誘いを受けているのー状態だった。
「今日はこれで引こうかな、返事はまた今度聞かせて貰うね」
聞かないでー聞かないでーここで断ったらどうなるのか…いや、考えたくない。
「分かりました」
「あ、そうそう僕は意外と気が短い方かもしれない」
「私はとても気が長い方なので、合わないかもしれませんね」
「そうかな?付き合ってみたら分かるよ、相性や好意は後から付いてくるでしょ?」
付き合った事ないって言いましたよねー??ラジカには目の前のいつも温和で柔和で魔王らしさの薄い千歳から、あ、やっぱりこの人魔王だという確信が生まれた。
「保留でお願いします」
「念を押さなくても分かっているよ」
千歳が朗らかに笑う部屋を出る事にし、なるべくこの返事を先延ばしもしくは上手く断る方法を模索する、そして神々にとある頼みをするため後程ラインをする事にした。

「船の構造はこの《アタラクシア号》を基準に、プール部分を生け簀にして食料に困らないように養殖出来るようにして」
「植物も是非!食べるもよし鑑賞もよしに!」
「ならば船内を植物が育つようにしよう…」
『うみゅ』『うみゃ』『うみぅ』
「ただいまー沢山買ってきました!」
「チーズ沢山買いました!」
「戻った…魚沢山」
「肉ダンジョンからも沢山貰ってきましたよ」
続々と買い出しダンジョンチームも大食堂に戻り、賑やかな大食堂で船造りが進む。
「植物園みたいな感じでいいね」
「魚も見れるし!遊びに来てもいい?」
「も、勿論ですよ!皆さまから頂く物ですから」
晴海が尋ねればフユーゲルや一族、ヒュール達も嬉そうにしている。
「千眼、トイの造酒所もあるだろう?無理はするなよ」
「そちらは出来た…畑とカジノタワーにも造った…そちらは風早が管理する…完全自動化だ…工場見学に試飲もするそうだ」
「…すごいな」
「ああ…」
『それ位の勢いでカノリとカウンか育っていますし、カジノタワー緑化計画の一部としてカノリやカウンや詠斗様から頂いた果物の苗や採集して頂いた果物も改良し果樹園も完成しつつありますよ』
「いつの間に」
「風早さんからのラインの遣り取りで色々カジノタワーに出来ていますよ、階層もまた増やすとの事です」
「ラジカ、説教は終わったのか?俺も聞くべきか」
「大河くん、僕がまとめてお説教されたからね」
「そうですか」
「私は今からカジノタワーで果樹園と商業エリアと工場の確認をしてきます、カルさんから鉱物を沢山頂いたので瓶の生産ラインの確認も」
「そちらも出来ている…魔石と魔聖石が役に立つ」
「なら、俺も行こう。いつも任せてばかりだからな」
「私もご一緒してもいいですか?興味あります」
「僕もカジノの視察も兼ねてね」
「分かりました、懐記さん食事はカジノタワーでしてきますので」
「んー」
『うみぅ』『うみゃ』
ヒュール2名が大河の肩に乗りどうやら付いていくようで、他のヒュール達は料理の手伝いに船の制作にと自由にしている。
「来るのか?海はないが大丈夫なのか?」
『うみゃ』『うみぅ』
「ん、海魔法で海出せるからへーきって」
大河が海がない場所で活動出来るのか心配になるが、懐記が教えてくれそのまま肩に乗せておく事にした。
『千歳様よければ収納で海を運んで頂いてもいいですか?タワーに海エリアを作ります』
「それはいいね、勿論運ぶよ。一度外に出ようか」
「はい」
大河達が頷き外に出て大量の海と生物を取り込み、カジノタワーに転移した。
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