あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~

深楽朱夜

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第8部 晴れた空の下手を繋いで…

第3幕 第21話 首輪

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「そんな…」
「俺が7位の魔王ねー実感ない」
「そんな事が起きていたのか…」
神々とスマホを繋ぎニアと第9魔王とエルダーも合流し事の顛末を聞き、それぞれが考えに耽る。
「神々には奴隷達の首輪の件も頼みたい」
『我々が何処まで干渉出来るか…確認した所、罠の発動はしないようにしました…むごい罠ですね。解除を失敗した場合は首輪をしている側と解除しようとした側が変質するようになっています。構造は首輪を直接分析しないとわかりませんが普通に解除できない代物ですね』
「ラジカさん達がいうには《解き掛けの羅針盤》を使って向かうダンジョンにある物と似た性質のようだけど」
『……そのダンジョンですが、我々が把握していないダンジョンです。その羅針盤があればこちらに送って下さい』
「君たちが把握していないダンジョン?」
『ええ…《アタラクシア》が病に侵されている間に産まれた物は我々は把握出来ていません』
『現在此方から《アタラクシア》を視ていますが…視えない部分が幾つか存在しています』
『どうやら、第12位の魔王が何か細工をしているようだな。お前たちの話しを聞いた限りその子供の方はもう魔王じゃない、我々と同位の存在だ』
『ふむ…もしかすると1位を凌駕しているのかもしれん』
「それは僕も感じた、12位…青年の方は間違いなく魔王だけれど…」
「待って下さい、その少年がそもそも12位の魔王ではないのでは?自分で伝えただけで」
千歳と神々の問答に綴が口を挟む、千眼もまた綴と同意見のようだ。
「あの者は確かに12位と同じ魔力をもっているが…魔王かと言われれば何かが違った…」
『その少年の正体は鑑定が通じなければ、魔神の眼をもってしても視えないのらば我々も同じです』
「分かった、彼の正体は置いておく。首輪の件も後は此方で罠が発動しないならばこちらもやりようがあるだろう」
「そうだね、島での話しは以上かな。彼らの事も気になるから、1度話しを終わらせようか」
『はい…』
神々との通話を切り、それぞれはぁーと深い息を吐いた。
「グリ君辛いだろうね」
「グリっちは大丈夫、諦めてないから」
「グローリー君達の所に戻ろう」
「あ、あのこんな時にすみません!みなさん」
部屋のベッドから腰を上げて大食堂へ戻ろうとすると、第9魔王が呼び止める。
「ぼ、僕名前をニアさんから頂いたので…」
「本当?教えて」
「は、はい。ニト…ニトニアという名前を頂きました。ニトって呼んで下さい」
「ベルンさんやカタンさん達と一緒に考えました」
「よろしく、ニトっち。今度お祝いするわ」
「あ、ありがとうございます!よろしくお願いします!」
『くみゅ』
全員拍手を送ってくれエルダーも嬉しそうにしている、第9魔王もすごく嬉しそうにしている。
「弱いし、自分にどんな力があるかわかりませんが。みなさんのお手伝いが出来ればと思います!」
「俺もグローリーさんとキリングさんを救いたいです…何が出来るかわかりませんが、12位の魔王…?ともお話ししたいです」
「そうだね今、出来る事。これから出来る事を大事にしていこう」
『はい』
ニアとニトが頷く、首輪の件をラジカ達と確認しに大食堂へと戻った。

「なるほど、罠の発動は無しですか」
「それなら少しは気が楽になりますね」
ラジカたユナイドが元貴族らしい奴隷だった青年を座らせ、まずは薬が効れ始めている彼の首輪から外そうという話しになった。
「私が内部を視る…」
「私も視ましょう」
「ぁ、ぁヴ」
「喉の傷は癒えた筈ですが」
「心身的な問題でしょうか?鑑定してみます」
青年が呻く様な声を上げる身体の傷は癒えたが、心に負った傷は癒えずに上手く喋れないのだろう綴が鑑定を行う、……?ロックが掛けられている?いや…すみません鑑定不可能です…どうやら誰かが意図的に彼の精神を破壊したようです…可哀相に、幼児退行しています…。
「酷い事をしますね、誰かがこの人の精神を壊し心を小さな子にしてしまったようです。鑑定不可能と出ました」
「小さい子どもね、ほら」
首輪の付いた青年が一生懸命に必死に何かを喋ろうとする、綴が顔を曇らせ懐記が元合成獣3匹とヒヨコの不変鳥に魔法のヒヨコを膝に乗せてやった。
「ああぅ」
青年はヒヨコ達を嬉しそうに撫でている、無邪気な子供のように屈託なく笑っている。
「この子はこっちで預かるよ、ベルンちゃん達と一緒にいれば傷も癒えるよ」
「ああ、それがいいな。舵さん頼む」
「オッケ」
舵がその青年の頭を撫でると舵の肩にいたヒヨコや達も青年の方へ身を寄せる、それを見たグローリーがカバンから折り紙の子達も出して賑やかにしてくれた。
「あっあぅ」
「喜んでくれていますね」
「この首輪…」
「ええこれは」
「どうかしたのかい?」
「失われた金属に消失した魔法が組み込みれていますね」
「今仕掛けを出す…」
首輪から周囲から細い金属の棒が幾つも出現する、青年がきょとんとしているが千華が目の前に手を置いて眠らせた。
「寝ていてくれた方がやりやすいですね」
「ええ、あのダンジョンにも似たような仕掛けがありましたし寝ていてくれた方が良いですね」
ラジカとユナイドが懐に入れていた布で巻かれた道具を取り出し広げて首輪の仕掛けを見ながら道具を選んだ。
「1つ解錠出来たら、神々の方で残り調べて解錠するそうだよ。羅針盤も送ったから」
「そうですか、それは助かりますね」
「これを何個も解錠するのは骨が折れますから」
首輪から出る細い金属の棒を回したり、道具のモノクルを使い細い針で棒の細かい穴を刺していく。
「この技術は遥か昔に消失した技術です、滅びた国の宝物庫の鍵や民が大切な物を保管する為の鍵ですね」
「作った本人は愚か、所有者のみが解錠の仕方を知る物です」
「だから間違えれば罠が発動するのか?」
「ええ、物によっては中の物もろともに」
ラジカとユナイドが指先に神経を集中させる、大河が尋ねれば首輪を視ている千華が教えてくれた。
「2人共、鍵穴が出ます。全部で3つ…開ける順番を間違えれば本来なら罠が発動しますが、これは最初からのやり直しになるようです。今順番を視ます」
千華の言葉と同時に金属の棒が首輪に戻り、前と左右に1つずつ小さな鍵穴が現れた。
「後少しですね」
「肩痛いですね」
「前、右、前、左、右です」
「私がやりますね」
「ええ」
ラジカがその順次で細い桐の様な物で解錠を行う、首輪が2つに分かれた。
「とれましたね」
「神々に送ろう、2人共お疲れ様」
「ゆっくり休んで、ユナイドさんにはこれ」
「カウン酒ですか?よろしいのですか?」
千歳が首輪を持つとすぐさま消え、詠斗がユナイドにカウン酒を1本渡した。
「ユナイド、疲れただろう。明日は休むと良い、酒でも飲んで船旅を楽しむといい」
「支配人、ではお言葉に甘えます」
「詠斗さん、皆さん私は明日がありますのでこれで。彼らの仕事先に是非《ズィーガー商会》をいつでも人員募集ですぞ」
「はい、ありがとうございます!ズィーガーさんおやすみなさい」
ズィーガーを見送りドラゴンの商人達や、ニジェルガやラージュ、ライガルも奴隷商人の男を連れて皇国へ戻った。
「皆さん、彼らは私と千眼が見ておきますから。今日はおやすみになって下さい」
「ああ…このスマホも調べる」
「そうだな、少し話を…ユナイドもいるし部屋で酒でも飲みながらするか」
「さんせ~」
「明日は旅の続きでまた皆さん来ますから程々に」
『はい』 
奴隷の彼らを千眼と千華が連れて行こうとすると、青年が泣き始め舵から離れないので連れて行く事にし、他の奴隷は風早に部屋を広くして貰い大河達の部屋の隣に寝かせる事にした。
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