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第8部 晴れた空の下手を繋いで…
第3幕 第17話 《名も無き島》 3
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「ようこそ」
道具屋の商人に案内され最後の店奴隷小屋の前に向かえば、奴隷商人と買い取り屋の商人がまっていた。
「今、現在この島で販売可能の奴隷はこちらです」
大きなテントの幕を被せただけの地面剥き出しの中に案内される、内広く個々に大きめな檻が等間隔でならんでいた。
「静かだな」
「お客様がいらっしゃるので、薬で少々静かにさせています」
杖を突きゆっくりと先頭を歩く、薄暗い檻からはあちらこちらから呻き声が漏れ聞こえる、臭い等は不快になる程は感じなかった。
「どんな奴隷をお求めでしょうか?」
「見させて貰うよ」
「どうぞ」
奴隷商人がにこやかに笑う意外と若いのかもしれないが、能面に口元に孤を描かせた物を張り付けたようにしか見えない。
「グリ?」
グローリーが躊躇いもなく周囲を見渡しながら奥へと進む、懐記とティス、ライガル、ゴーシュが後に続いた。
「………?」
「どうした?」
「グリっち気になるのか?」
「?……」
「ああ、その奴隷ですか?元貴族の方でしてね、喉を潰され喋れないのですよ。廃棄落ちなのですが、見目が良いのでこちらに置いています、そういうのを好むお客様も多いですから」
「いくら?」
「1800万ログです」
「…?この首のなに??」
懐記が奴隷の金額を確認し、檻の中に倒れている灰色のボロ布の様な服を纏う男の首に嵌められた鉄の太い首輪を見て首を傾げる。
「逃走防止の首輪です、奴隷を購入され30日程で自然に首輪が外れる仕組みになっています。購入されてから脱走を計る奴隷が多いのでこの島の奴隷には全て嵌めています」
「そ」
「他に気になる奴隷はございますか?」
「全員購入希望だ」
奴隷商人の背後で大河が答える、ゆっくりと奴隷商人が振り返り微笑む。
「承知しました」
「で、廃棄奴隷も購入希望だ。案内頼む」
「承知しました、こちらの奴隷達締めて13名は2億3000万ログです。では、どなたが行きますか?」
「分かった、このメンバーで行く。皆ここで待っていてくれ」
大河が残る面子に声を掛け、千歳、懐記、トラング、グローリー、ラジカ、ラージュ、チグリスを伴い奴隷商人の後に付いて向かった。
とある貧しい村に産まれた8人兄弟の真ん中に産まれたわたしは、貧しい生活を強いられていたが不満はなかった。
周りが皆同じでそれしか知らないからだ、痩せた身体にボロい服をまとい朝早くから夜まで家族で働き続けても、その日を満足に食べてもいけなかったが、皆が公平に等しく同じだからと受け入れていた。
そしてこのまま、この村でこうして一生を送って行く…筈だった。
その日の事は今でも忘れない、ジラの花が咲く柔らかな昼の終わり2番目の兄弟が結婚し本当に細やかな祝いが行われていたあの日に全て失い得た日。
「みんな…」
小さな国同士の諍いに巻き込まれた貧しい村、私の故郷は一瞬にして死体の山が築き焼け野原となった。
巻き込まれたついでに略奪され、抵抗した者は容赦なく殺された。
私もそのうちの1人だ、村に侵入して来た兵士の面を被った野党に奴隷として馬の上から拐われそうになったのを無我夢中で抵抗したら足を刺され放り出された、その場所が悪く燃えていた元家の板だった。
私の左側は滅茶苦茶になり、後は死ぬだけだった。
みんな死んでいるか連れ去られているか、どちらにせよもう誰にも会えない…。
「ふーんまだ生きてるーしぶといじゃん」
どれくらい時間が経ったのかまだ辛うじて息があった私の元へ誰かか訪れた、若い私と変わらないか少し上位か、足元と陰と声しか分からない。
「なあ?生きたい?死にたい?このままで良い?それとも…復讐したい?」
もう声は出ない、唇を動かしてそのうちの1つを選んだ。
「いいねぇ、それ以外選んだらおもちゃにしようと思った!あはは!」
何が可笑しいのか、楽しそうに笑う声は無邪気に何処までも残酷だった。
「こちらが廃棄奴隷の収容場所です」
「今何人位いるんだろうか?」
「12名程です」
「そうか」
「ゆき…皆…扉が空いたら浄化魔法を…」
「魔王のお客様ですか、どうぞお姿を。この島は人もドラゴンも魔神もドルメキオンも魔王も問わず等しく同じお客様です」
崇幸の左胸の飾りの蝶に変わっていた千眼が声を出す、どうやら先に扉の先を視たらしい、大河と千歳、懐記も頷き千眼が姿を現す。
「では開けますよ」
奴隷商人が扉の前で魔力を込め自動で重厚な扉が開く、グローリーが元合成獣3匹を肩に乗せて懐記の耳元に囁く。
「懐記あの…怪我…痛い…苦しそう…」
「治したいわけ?」
「うん…」
「わかった」
大河が浄化魔法を中に掛けている間にグローリーが治したいと懐記に伝えた人物を懐記が見て、グローリーの願いを受け入れる事にした。
「この下です」
扉の奥はすぐ短い階段が設置され半地下の様になっている、そこを降りるとい薄暗い洞窟の様な場所の正面に牢屋がありそこに廃棄奴隷達が置かれていた。
大河と千歳が顔には出さないが内心の惨状に眉を顰める、浄化を掛けていたお陰か空気や臭いに不快はないが廃棄奴隷の惨状は酷い、顔に大きな傷、火傷、手足の欠損等身体の損失から見ても分かる精神に異常を来たしている者達、崇幸が一歩前へ進む。
「俺達が彼らを買わなければ彼らはどうなる」
「その質問をしてくる時点で分かっているのでは?労働にも玩具にもならなければ最期は死ですね」
奴隷商人が淡々と告げる、崇幸は長く息を吐く。
「全員買う、早く出してくれ。動けるようにしたい此処で治療しても良いか?」
「どうぞ」
奴隷商人が格子にに魔力を注ぐ、扉が無かった格子が開くが中の廃棄奴隷達は誰も出ようとしない虚ろな瞳で虚空を見ていた。
「………」
崇幸と千歳と大河、ラージュとチグリスが中に入り手分けして回復札で治療を始める、欠損した手足も徐々に再生し顔の傷も癒されていったが心は戻らない。
「薬を使っているのか…薬草ダンジョンの気付け薬があるけど」
「今使って混乱されても困るな、戻ったら覚醒させるか」
「鑑定を使っても構いませんよ?状態が分かるでしょう」
「なら、君に使っても何も視れないという事かな?」
「試してみてはいかがです?」
「止めておく、彼らが優先だからね」
奴隷商人が千歳たちに声を掛ける、奴隷商人の言葉に千歳達が鑑定を使い状態を確認していく。
「で、この人達は幾ら?」
「差し上げます」
「何、オマケ扱い?」
「贈り物ですよ皆様への」
「そ、誰からって聞いたら答えてくれんの?金払えば良いの?」
「貴方方が知っている方とだけ」
懐記がその言葉で1人の姿が思い浮かぶ、この島来てからずっとチラつく存在にどうすれば姿を現すのか知りたい所だが、グローリーの願いを優先する。
「これ、うちのグリっちから」
「これは」
「薬草ダンジョンの最終階層の万能薬、それでアンタの身体治るでしょ」
「どうしてこれを私に?」
「さあ、グリっちからだし」
「………」
「受け取り拒否は無しで」
千歳から瓶を受け取り先に釘を刺されてしまう、一体この途方もない価値のある物に何を支払えば良いのか奴隷商人には分からなかった…。
『いいですか、今回彼らがこの島に来た時に貴方たがすべきことは彼らに気持ち良く買い物をさせる事です。多少の無茶や願いは出来る範囲で全て応えて下さい、質問等あれば私の存在を仄めかして構いません』
『承知しました、あの首輪を外したいと言われた場合は』
『あの首輪は彼からのプレゼントです、適当に脱走防止とでも言ってしばらく付けておくようにと、そう簡単には外れませんしね。細工を施してありますから』
『承知しました』
『いい子ですね、決して彼の機嫌を損ねないように…』
『はい』
瓶を眺めながら思い出す、目の前にいる廃棄奴隷を懸命に治す彼らに右目を向けた。
私は復讐を選んだ、残った右目で余すことなく復讐が成就されていく様を見届けた。
「どうだ?楽しいか?嬉しいか?気持ち良いか?」
「はい」
私に選択をくれた者にそう応えた、ほんの短い時間の邂逅だが心底恐ろしい化け物を相手にしている、僅かでも気に入らない事を言えば目の前の景色の一部と化すだろう。
村で受けた仕打ちをそっくりそのまま、小さい小競り合いを行う国に返した。
彼は私の復讐に国に住んでいる罪の無い民を省く事は許して貰えなかった、だから国全てを焼き払い誰1人生かす事なく滅ぼした。
すぐに何も知らずに死ねたなら十分幸せだろう、死はしばしの別れと謂われているからこそ死へ逃げられた者達、それを知る私は王族と兵士と戦に関わった全てにそれを許さなかった。
「いいねぇ、お前を選んだ俺は正しい。何処までも正しい」
私は頼んで戦を起こした者、戦で誰かの命を奪った者、戦で有益を味わった者の魂を次へ行けないようにしてくれと頼んだ。
酷く喜んでいたのを覚えている、そしてその通りになった。
「多少の暇つぶしになったな、俺の暇つぶしの礼にあいつが面白いプレゼントを用意したらしい」
「はい」
そして私はこの島にいる…この島に来る者も奴隷も然程変わらない、そして今日彼らが来た。
心底のお人好し偽善者達なのだろう、素性も得体も知れぬ自分にこんな価値のある物を渡してくるとは…。
そういえば生まれて初めて自分だけの贈り物を貰った、この瓶を付き返せばすむ問題なのだろうがなけなしの嘗ての何もかも失う前の自分が心の奥底の果てで微かに微笑んだ…。
この借りは返すべきなのだろうか、いい加減潮時なのだろう…彼らに私は私の幕を降ろして貰う事に決めた…。
道具屋の商人に案内され最後の店奴隷小屋の前に向かえば、奴隷商人と買い取り屋の商人がまっていた。
「今、現在この島で販売可能の奴隷はこちらです」
大きなテントの幕を被せただけの地面剥き出しの中に案内される、内広く個々に大きめな檻が等間隔でならんでいた。
「静かだな」
「お客様がいらっしゃるので、薬で少々静かにさせています」
杖を突きゆっくりと先頭を歩く、薄暗い檻からはあちらこちらから呻き声が漏れ聞こえる、臭い等は不快になる程は感じなかった。
「どんな奴隷をお求めでしょうか?」
「見させて貰うよ」
「どうぞ」
奴隷商人がにこやかに笑う意外と若いのかもしれないが、能面に口元に孤を描かせた物を張り付けたようにしか見えない。
「グリ?」
グローリーが躊躇いもなく周囲を見渡しながら奥へと進む、懐記とティス、ライガル、ゴーシュが後に続いた。
「………?」
「どうした?」
「グリっち気になるのか?」
「?……」
「ああ、その奴隷ですか?元貴族の方でしてね、喉を潰され喋れないのですよ。廃棄落ちなのですが、見目が良いのでこちらに置いています、そういうのを好むお客様も多いですから」
「いくら?」
「1800万ログです」
「…?この首のなに??」
懐記が奴隷の金額を確認し、檻の中に倒れている灰色のボロ布の様な服を纏う男の首に嵌められた鉄の太い首輪を見て首を傾げる。
「逃走防止の首輪です、奴隷を購入され30日程で自然に首輪が外れる仕組みになっています。購入されてから脱走を計る奴隷が多いのでこの島の奴隷には全て嵌めています」
「そ」
「他に気になる奴隷はございますか?」
「全員購入希望だ」
奴隷商人の背後で大河が答える、ゆっくりと奴隷商人が振り返り微笑む。
「承知しました」
「で、廃棄奴隷も購入希望だ。案内頼む」
「承知しました、こちらの奴隷達締めて13名は2億3000万ログです。では、どなたが行きますか?」
「分かった、このメンバーで行く。皆ここで待っていてくれ」
大河が残る面子に声を掛け、千歳、懐記、トラング、グローリー、ラジカ、ラージュ、チグリスを伴い奴隷商人の後に付いて向かった。
とある貧しい村に産まれた8人兄弟の真ん中に産まれたわたしは、貧しい生活を強いられていたが不満はなかった。
周りが皆同じでそれしか知らないからだ、痩せた身体にボロい服をまとい朝早くから夜まで家族で働き続けても、その日を満足に食べてもいけなかったが、皆が公平に等しく同じだからと受け入れていた。
そしてこのまま、この村でこうして一生を送って行く…筈だった。
その日の事は今でも忘れない、ジラの花が咲く柔らかな昼の終わり2番目の兄弟が結婚し本当に細やかな祝いが行われていたあの日に全て失い得た日。
「みんな…」
小さな国同士の諍いに巻き込まれた貧しい村、私の故郷は一瞬にして死体の山が築き焼け野原となった。
巻き込まれたついでに略奪され、抵抗した者は容赦なく殺された。
私もそのうちの1人だ、村に侵入して来た兵士の面を被った野党に奴隷として馬の上から拐われそうになったのを無我夢中で抵抗したら足を刺され放り出された、その場所が悪く燃えていた元家の板だった。
私の左側は滅茶苦茶になり、後は死ぬだけだった。
みんな死んでいるか連れ去られているか、どちらにせよもう誰にも会えない…。
「ふーんまだ生きてるーしぶといじゃん」
どれくらい時間が経ったのかまだ辛うじて息があった私の元へ誰かか訪れた、若い私と変わらないか少し上位か、足元と陰と声しか分からない。
「なあ?生きたい?死にたい?このままで良い?それとも…復讐したい?」
もう声は出ない、唇を動かしてそのうちの1つを選んだ。
「いいねぇ、それ以外選んだらおもちゃにしようと思った!あはは!」
何が可笑しいのか、楽しそうに笑う声は無邪気に何処までも残酷だった。
「こちらが廃棄奴隷の収容場所です」
「今何人位いるんだろうか?」
「12名程です」
「そうか」
「ゆき…皆…扉が空いたら浄化魔法を…」
「魔王のお客様ですか、どうぞお姿を。この島は人もドラゴンも魔神もドルメキオンも魔王も問わず等しく同じお客様です」
崇幸の左胸の飾りの蝶に変わっていた千眼が声を出す、どうやら先に扉の先を視たらしい、大河と千歳、懐記も頷き千眼が姿を現す。
「では開けますよ」
奴隷商人が扉の前で魔力を込め自動で重厚な扉が開く、グローリーが元合成獣3匹を肩に乗せて懐記の耳元に囁く。
「懐記あの…怪我…痛い…苦しそう…」
「治したいわけ?」
「うん…」
「わかった」
大河が浄化魔法を中に掛けている間にグローリーが治したいと懐記に伝えた人物を懐記が見て、グローリーの願いを受け入れる事にした。
「この下です」
扉の奥はすぐ短い階段が設置され半地下の様になっている、そこを降りるとい薄暗い洞窟の様な場所の正面に牢屋がありそこに廃棄奴隷達が置かれていた。
大河と千歳が顔には出さないが内心の惨状に眉を顰める、浄化を掛けていたお陰か空気や臭いに不快はないが廃棄奴隷の惨状は酷い、顔に大きな傷、火傷、手足の欠損等身体の損失から見ても分かる精神に異常を来たしている者達、崇幸が一歩前へ進む。
「俺達が彼らを買わなければ彼らはどうなる」
「その質問をしてくる時点で分かっているのでは?労働にも玩具にもならなければ最期は死ですね」
奴隷商人が淡々と告げる、崇幸は長く息を吐く。
「全員買う、早く出してくれ。動けるようにしたい此処で治療しても良いか?」
「どうぞ」
奴隷商人が格子にに魔力を注ぐ、扉が無かった格子が開くが中の廃棄奴隷達は誰も出ようとしない虚ろな瞳で虚空を見ていた。
「………」
崇幸と千歳と大河、ラージュとチグリスが中に入り手分けして回復札で治療を始める、欠損した手足も徐々に再生し顔の傷も癒されていったが心は戻らない。
「薬を使っているのか…薬草ダンジョンの気付け薬があるけど」
「今使って混乱されても困るな、戻ったら覚醒させるか」
「鑑定を使っても構いませんよ?状態が分かるでしょう」
「なら、君に使っても何も視れないという事かな?」
「試してみてはいかがです?」
「止めておく、彼らが優先だからね」
奴隷商人が千歳たちに声を掛ける、奴隷商人の言葉に千歳達が鑑定を使い状態を確認していく。
「で、この人達は幾ら?」
「差し上げます」
「何、オマケ扱い?」
「贈り物ですよ皆様への」
「そ、誰からって聞いたら答えてくれんの?金払えば良いの?」
「貴方方が知っている方とだけ」
懐記がその言葉で1人の姿が思い浮かぶ、この島来てからずっとチラつく存在にどうすれば姿を現すのか知りたい所だが、グローリーの願いを優先する。
「これ、うちのグリっちから」
「これは」
「薬草ダンジョンの最終階層の万能薬、それでアンタの身体治るでしょ」
「どうしてこれを私に?」
「さあ、グリっちからだし」
「………」
「受け取り拒否は無しで」
千歳から瓶を受け取り先に釘を刺されてしまう、一体この途方もない価値のある物に何を支払えば良いのか奴隷商人には分からなかった…。
『いいですか、今回彼らがこの島に来た時に貴方たがすべきことは彼らに気持ち良く買い物をさせる事です。多少の無茶や願いは出来る範囲で全て応えて下さい、質問等あれば私の存在を仄めかして構いません』
『承知しました、あの首輪を外したいと言われた場合は』
『あの首輪は彼からのプレゼントです、適当に脱走防止とでも言ってしばらく付けておくようにと、そう簡単には外れませんしね。細工を施してありますから』
『承知しました』
『いい子ですね、決して彼の機嫌を損ねないように…』
『はい』
瓶を眺めながら思い出す、目の前にいる廃棄奴隷を懸命に治す彼らに右目を向けた。
私は復讐を選んだ、残った右目で余すことなく復讐が成就されていく様を見届けた。
「どうだ?楽しいか?嬉しいか?気持ち良いか?」
「はい」
私に選択をくれた者にそう応えた、ほんの短い時間の邂逅だが心底恐ろしい化け物を相手にしている、僅かでも気に入らない事を言えば目の前の景色の一部と化すだろう。
村で受けた仕打ちをそっくりそのまま、小さい小競り合いを行う国に返した。
彼は私の復讐に国に住んでいる罪の無い民を省く事は許して貰えなかった、だから国全てを焼き払い誰1人生かす事なく滅ぼした。
すぐに何も知らずに死ねたなら十分幸せだろう、死はしばしの別れと謂われているからこそ死へ逃げられた者達、それを知る私は王族と兵士と戦に関わった全てにそれを許さなかった。
「いいねぇ、お前を選んだ俺は正しい。何処までも正しい」
私は頼んで戦を起こした者、戦で誰かの命を奪った者、戦で有益を味わった者の魂を次へ行けないようにしてくれと頼んだ。
酷く喜んでいたのを覚えている、そしてその通りになった。
「多少の暇つぶしになったな、俺の暇つぶしの礼にあいつが面白いプレゼントを用意したらしい」
「はい」
そして私はこの島にいる…この島に来る者も奴隷も然程変わらない、そして今日彼らが来た。
心底のお人好し偽善者達なのだろう、素性も得体も知れぬ自分にこんな価値のある物を渡してくるとは…。
そういえば生まれて初めて自分だけの贈り物を貰った、この瓶を付き返せばすむ問題なのだろうがなけなしの嘗ての何もかも失う前の自分が心の奥底の果てで微かに微笑んだ…。
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