272 / 807
第8部 晴れた空の下手を繋いで…
第3幕 第17話 《名も無き島》 3
しおりを挟む
「ようこそ」
道具屋の商人に案内され最後の店奴隷小屋の前に向かえば、奴隷商人と買い取り屋の商人がまっていた。
「今、現在この島で販売可能の奴隷はこちらです」
大きなテントの幕を被せただけの地面剥き出しの中に案内される、内広く個々に大きめな檻が等間隔でならんでいた。
「静かだな」
「お客様がいらっしゃるので、薬で少々静かにさせています」
杖を突きゆっくりと先頭を歩く、薄暗い檻からはあちらこちらから呻き声が漏れ聞こえる、臭い等は不快になる程は感じなかった。
「どんな奴隷をお求めでしょうか?」
「見させて貰うよ」
「どうぞ」
奴隷商人がにこやかに笑う意外と若いのかもしれないが、能面に口元に孤を描かせた物を張り付けたようにしか見えない。
「グリ?」
グローリーが躊躇いもなく周囲を見渡しながら奥へと進む、懐記とティス、ライガル、ゴーシュが後に続いた。
「………?」
「どうした?」
「グリっち気になるのか?」
「?……」
「ああ、その奴隷ですか?元貴族の方でしてね、喉を潰され喋れないのですよ。廃棄落ちなのですが、見目が良いのでこちらに置いています、そういうのを好むお客様も多いですから」
「いくら?」
「1800万ログです」
「…?この首のなに??」
懐記が奴隷の金額を確認し、檻の中に倒れている灰色のボロ布の様な服を纏う男の首に嵌められた鉄の太い首輪を見て首を傾げる。
「逃走防止の首輪です、奴隷を購入され30日程で自然に首輪が外れる仕組みになっています。購入されてから脱走を計る奴隷が多いのでこの島の奴隷には全て嵌めています」
「そ」
「他に気になる奴隷はございますか?」
「全員購入希望だ」
奴隷商人の背後で大河が答える、ゆっくりと奴隷商人が振り返り微笑む。
「承知しました」
「で、廃棄奴隷も購入希望だ。案内頼む」
「承知しました、こちらの奴隷達締めて13名は2億3000万ログです。では、どなたが行きますか?」
「分かった、このメンバーで行く。皆ここで待っていてくれ」
大河が残る面子に声を掛け、千歳、懐記、トラング、グローリー、ラジカ、ラージュ、チグリスを伴い奴隷商人の後に付いて向かった。
とある貧しい村に産まれた8人兄弟の真ん中に産まれたわたしは、貧しい生活を強いられていたが不満はなかった。
周りが皆同じでそれしか知らないからだ、痩せた身体にボロい服をまとい朝早くから夜まで家族で働き続けても、その日を満足に食べてもいけなかったが、皆が公平に等しく同じだからと受け入れていた。
そしてこのまま、この村でこうして一生を送って行く…筈だった。
その日の事は今でも忘れない、ジラの花が咲く柔らかな昼の終わり2番目の兄弟が結婚し本当に細やかな祝いが行われていたあの日に全て失い得た日。
「みんな…」
小さな国同士の諍いに巻き込まれた貧しい村、私の故郷は一瞬にして死体の山が築き焼け野原となった。
巻き込まれたついでに略奪され、抵抗した者は容赦なく殺された。
私もそのうちの1人だ、村に侵入して来た兵士の面を被った野党に奴隷として馬の上から拐われそうになったのを無我夢中で抵抗したら足を刺され放り出された、その場所が悪く燃えていた元家の板だった。
私の左側は滅茶苦茶になり、後は死ぬだけだった。
みんな死んでいるか連れ去られているか、どちらにせよもう誰にも会えない…。
「ふーんまだ生きてるーしぶといじゃん」
どれくらい時間が経ったのかまだ辛うじて息があった私の元へ誰かか訪れた、若い私と変わらないか少し上位か、足元と陰と声しか分からない。
「なあ?生きたい?死にたい?このままで良い?それとも…復讐したい?」
もう声は出ない、唇を動かしてそのうちの1つを選んだ。
「いいねぇ、それ以外選んだらおもちゃにしようと思った!あはは!」
何が可笑しいのか、楽しそうに笑う声は無邪気に何処までも残酷だった。
「こちらが廃棄奴隷の収容場所です」
「今何人位いるんだろうか?」
「12名程です」
「そうか」
「ゆき…皆…扉が空いたら浄化魔法を…」
「魔王のお客様ですか、どうぞお姿を。この島は人もドラゴンも魔神もドルメキオンも魔王も問わず等しく同じお客様です」
崇幸の左胸の飾りの蝶に変わっていた千眼が声を出す、どうやら先に扉の先を視たらしい、大河と千歳、懐記も頷き千眼が姿を現す。
「では開けますよ」
奴隷商人が扉の前で魔力を込め自動で重厚な扉が開く、グローリーが元合成獣3匹を肩に乗せて懐記の耳元に囁く。
「懐記あの…怪我…痛い…苦しそう…」
「治したいわけ?」
「うん…」
「わかった」
大河が浄化魔法を中に掛けている間にグローリーが治したいと懐記に伝えた人物を懐記が見て、グローリーの願いを受け入れる事にした。
「この下です」
扉の奥はすぐ短い階段が設置され半地下の様になっている、そこを降りるとい薄暗い洞窟の様な場所の正面に牢屋がありそこに廃棄奴隷達が置かれていた。
大河と千歳が顔には出さないが内心の惨状に眉を顰める、浄化を掛けていたお陰か空気や臭いに不快はないが廃棄奴隷の惨状は酷い、顔に大きな傷、火傷、手足の欠損等身体の損失から見ても分かる精神に異常を来たしている者達、崇幸が一歩前へ進む。
「俺達が彼らを買わなければ彼らはどうなる」
「その質問をしてくる時点で分かっているのでは?労働にも玩具にもならなければ最期は死ですね」
奴隷商人が淡々と告げる、崇幸は長く息を吐く。
「全員買う、早く出してくれ。動けるようにしたい此処で治療しても良いか?」
「どうぞ」
奴隷商人が格子にに魔力を注ぐ、扉が無かった格子が開くが中の廃棄奴隷達は誰も出ようとしない虚ろな瞳で虚空を見ていた。
「………」
崇幸と千歳と大河、ラージュとチグリスが中に入り手分けして回復札で治療を始める、欠損した手足も徐々に再生し顔の傷も癒されていったが心は戻らない。
「薬を使っているのか…薬草ダンジョンの気付け薬があるけど」
「今使って混乱されても困るな、戻ったら覚醒させるか」
「鑑定を使っても構いませんよ?状態が分かるでしょう」
「なら、君に使っても何も視れないという事かな?」
「試してみてはいかがです?」
「止めておく、彼らが優先だからね」
奴隷商人が千歳たちに声を掛ける、奴隷商人の言葉に千歳達が鑑定を使い状態を確認していく。
「で、この人達は幾ら?」
「差し上げます」
「何、オマケ扱い?」
「贈り物ですよ皆様への」
「そ、誰からって聞いたら答えてくれんの?金払えば良いの?」
「貴方方が知っている方とだけ」
懐記がその言葉で1人の姿が思い浮かぶ、この島来てからずっとチラつく存在にどうすれば姿を現すのか知りたい所だが、グローリーの願いを優先する。
「これ、うちのグリっちから」
「これは」
「薬草ダンジョンの最終階層の万能薬、それでアンタの身体治るでしょ」
「どうしてこれを私に?」
「さあ、グリっちからだし」
「………」
「受け取り拒否は無しで」
千歳から瓶を受け取り先に釘を刺されてしまう、一体この途方もない価値のある物に何を支払えば良いのか奴隷商人には分からなかった…。
『いいですか、今回彼らがこの島に来た時に貴方たがすべきことは彼らに気持ち良く買い物をさせる事です。多少の無茶や願いは出来る範囲で全て応えて下さい、質問等あれば私の存在を仄めかして構いません』
『承知しました、あの首輪を外したいと言われた場合は』
『あの首輪は彼からのプレゼントです、適当に脱走防止とでも言ってしばらく付けておくようにと、そう簡単には外れませんしね。細工を施してありますから』
『承知しました』
『いい子ですね、決して彼の機嫌を損ねないように…』
『はい』
瓶を眺めながら思い出す、目の前にいる廃棄奴隷を懸命に治す彼らに右目を向けた。
私は復讐を選んだ、残った右目で余すことなく復讐が成就されていく様を見届けた。
「どうだ?楽しいか?嬉しいか?気持ち良いか?」
「はい」
私に選択をくれた者にそう応えた、ほんの短い時間の邂逅だが心底恐ろしい化け物を相手にしている、僅かでも気に入らない事を言えば目の前の景色の一部と化すだろう。
村で受けた仕打ちをそっくりそのまま、小さい小競り合いを行う国に返した。
彼は私の復讐に国に住んでいる罪の無い民を省く事は許して貰えなかった、だから国全てを焼き払い誰1人生かす事なく滅ぼした。
すぐに何も知らずに死ねたなら十分幸せだろう、死はしばしの別れと謂われているからこそ死へ逃げられた者達、それを知る私は王族と兵士と戦に関わった全てにそれを許さなかった。
「いいねぇ、お前を選んだ俺は正しい。何処までも正しい」
私は頼んで戦を起こした者、戦で誰かの命を奪った者、戦で有益を味わった者の魂を次へ行けないようにしてくれと頼んだ。
酷く喜んでいたのを覚えている、そしてその通りになった。
「多少の暇つぶしになったな、俺の暇つぶしの礼にあいつが面白いプレゼントを用意したらしい」
「はい」
そして私はこの島にいる…この島に来る者も奴隷も然程変わらない、そして今日彼らが来た。
心底のお人好し偽善者達なのだろう、素性も得体も知れぬ自分にこんな価値のある物を渡してくるとは…。
そういえば生まれて初めて自分だけの贈り物を貰った、この瓶を付き返せばすむ問題なのだろうがなけなしの嘗ての何もかも失う前の自分が心の奥底の果てで微かに微笑んだ…。
この借りは返すべきなのだろうか、いい加減潮時なのだろう…彼らに私は私の幕を降ろして貰う事に決めた…。
道具屋の商人に案内され最後の店奴隷小屋の前に向かえば、奴隷商人と買い取り屋の商人がまっていた。
「今、現在この島で販売可能の奴隷はこちらです」
大きなテントの幕を被せただけの地面剥き出しの中に案内される、内広く個々に大きめな檻が等間隔でならんでいた。
「静かだな」
「お客様がいらっしゃるので、薬で少々静かにさせています」
杖を突きゆっくりと先頭を歩く、薄暗い檻からはあちらこちらから呻き声が漏れ聞こえる、臭い等は不快になる程は感じなかった。
「どんな奴隷をお求めでしょうか?」
「見させて貰うよ」
「どうぞ」
奴隷商人がにこやかに笑う意外と若いのかもしれないが、能面に口元に孤を描かせた物を張り付けたようにしか見えない。
「グリ?」
グローリーが躊躇いもなく周囲を見渡しながら奥へと進む、懐記とティス、ライガル、ゴーシュが後に続いた。
「………?」
「どうした?」
「グリっち気になるのか?」
「?……」
「ああ、その奴隷ですか?元貴族の方でしてね、喉を潰され喋れないのですよ。廃棄落ちなのですが、見目が良いのでこちらに置いています、そういうのを好むお客様も多いですから」
「いくら?」
「1800万ログです」
「…?この首のなに??」
懐記が奴隷の金額を確認し、檻の中に倒れている灰色のボロ布の様な服を纏う男の首に嵌められた鉄の太い首輪を見て首を傾げる。
「逃走防止の首輪です、奴隷を購入され30日程で自然に首輪が外れる仕組みになっています。購入されてから脱走を計る奴隷が多いのでこの島の奴隷には全て嵌めています」
「そ」
「他に気になる奴隷はございますか?」
「全員購入希望だ」
奴隷商人の背後で大河が答える、ゆっくりと奴隷商人が振り返り微笑む。
「承知しました」
「で、廃棄奴隷も購入希望だ。案内頼む」
「承知しました、こちらの奴隷達締めて13名は2億3000万ログです。では、どなたが行きますか?」
「分かった、このメンバーで行く。皆ここで待っていてくれ」
大河が残る面子に声を掛け、千歳、懐記、トラング、グローリー、ラジカ、ラージュ、チグリスを伴い奴隷商人の後に付いて向かった。
とある貧しい村に産まれた8人兄弟の真ん中に産まれたわたしは、貧しい生活を強いられていたが不満はなかった。
周りが皆同じでそれしか知らないからだ、痩せた身体にボロい服をまとい朝早くから夜まで家族で働き続けても、その日を満足に食べてもいけなかったが、皆が公平に等しく同じだからと受け入れていた。
そしてこのまま、この村でこうして一生を送って行く…筈だった。
その日の事は今でも忘れない、ジラの花が咲く柔らかな昼の終わり2番目の兄弟が結婚し本当に細やかな祝いが行われていたあの日に全て失い得た日。
「みんな…」
小さな国同士の諍いに巻き込まれた貧しい村、私の故郷は一瞬にして死体の山が築き焼け野原となった。
巻き込まれたついでに略奪され、抵抗した者は容赦なく殺された。
私もそのうちの1人だ、村に侵入して来た兵士の面を被った野党に奴隷として馬の上から拐われそうになったのを無我夢中で抵抗したら足を刺され放り出された、その場所が悪く燃えていた元家の板だった。
私の左側は滅茶苦茶になり、後は死ぬだけだった。
みんな死んでいるか連れ去られているか、どちらにせよもう誰にも会えない…。
「ふーんまだ生きてるーしぶといじゃん」
どれくらい時間が経ったのかまだ辛うじて息があった私の元へ誰かか訪れた、若い私と変わらないか少し上位か、足元と陰と声しか分からない。
「なあ?生きたい?死にたい?このままで良い?それとも…復讐したい?」
もう声は出ない、唇を動かしてそのうちの1つを選んだ。
「いいねぇ、それ以外選んだらおもちゃにしようと思った!あはは!」
何が可笑しいのか、楽しそうに笑う声は無邪気に何処までも残酷だった。
「こちらが廃棄奴隷の収容場所です」
「今何人位いるんだろうか?」
「12名程です」
「そうか」
「ゆき…皆…扉が空いたら浄化魔法を…」
「魔王のお客様ですか、どうぞお姿を。この島は人もドラゴンも魔神もドルメキオンも魔王も問わず等しく同じお客様です」
崇幸の左胸の飾りの蝶に変わっていた千眼が声を出す、どうやら先に扉の先を視たらしい、大河と千歳、懐記も頷き千眼が姿を現す。
「では開けますよ」
奴隷商人が扉の前で魔力を込め自動で重厚な扉が開く、グローリーが元合成獣3匹を肩に乗せて懐記の耳元に囁く。
「懐記あの…怪我…痛い…苦しそう…」
「治したいわけ?」
「うん…」
「わかった」
大河が浄化魔法を中に掛けている間にグローリーが治したいと懐記に伝えた人物を懐記が見て、グローリーの願いを受け入れる事にした。
「この下です」
扉の奥はすぐ短い階段が設置され半地下の様になっている、そこを降りるとい薄暗い洞窟の様な場所の正面に牢屋がありそこに廃棄奴隷達が置かれていた。
大河と千歳が顔には出さないが内心の惨状に眉を顰める、浄化を掛けていたお陰か空気や臭いに不快はないが廃棄奴隷の惨状は酷い、顔に大きな傷、火傷、手足の欠損等身体の損失から見ても分かる精神に異常を来たしている者達、崇幸が一歩前へ進む。
「俺達が彼らを買わなければ彼らはどうなる」
「その質問をしてくる時点で分かっているのでは?労働にも玩具にもならなければ最期は死ですね」
奴隷商人が淡々と告げる、崇幸は長く息を吐く。
「全員買う、早く出してくれ。動けるようにしたい此処で治療しても良いか?」
「どうぞ」
奴隷商人が格子にに魔力を注ぐ、扉が無かった格子が開くが中の廃棄奴隷達は誰も出ようとしない虚ろな瞳で虚空を見ていた。
「………」
崇幸と千歳と大河、ラージュとチグリスが中に入り手分けして回復札で治療を始める、欠損した手足も徐々に再生し顔の傷も癒されていったが心は戻らない。
「薬を使っているのか…薬草ダンジョンの気付け薬があるけど」
「今使って混乱されても困るな、戻ったら覚醒させるか」
「鑑定を使っても構いませんよ?状態が分かるでしょう」
「なら、君に使っても何も視れないという事かな?」
「試してみてはいかがです?」
「止めておく、彼らが優先だからね」
奴隷商人が千歳たちに声を掛ける、奴隷商人の言葉に千歳達が鑑定を使い状態を確認していく。
「で、この人達は幾ら?」
「差し上げます」
「何、オマケ扱い?」
「贈り物ですよ皆様への」
「そ、誰からって聞いたら答えてくれんの?金払えば良いの?」
「貴方方が知っている方とだけ」
懐記がその言葉で1人の姿が思い浮かぶ、この島来てからずっとチラつく存在にどうすれば姿を現すのか知りたい所だが、グローリーの願いを優先する。
「これ、うちのグリっちから」
「これは」
「薬草ダンジョンの最終階層の万能薬、それでアンタの身体治るでしょ」
「どうしてこれを私に?」
「さあ、グリっちからだし」
「………」
「受け取り拒否は無しで」
千歳から瓶を受け取り先に釘を刺されてしまう、一体この途方もない価値のある物に何を支払えば良いのか奴隷商人には分からなかった…。
『いいですか、今回彼らがこの島に来た時に貴方たがすべきことは彼らに気持ち良く買い物をさせる事です。多少の無茶や願いは出来る範囲で全て応えて下さい、質問等あれば私の存在を仄めかして構いません』
『承知しました、あの首輪を外したいと言われた場合は』
『あの首輪は彼からのプレゼントです、適当に脱走防止とでも言ってしばらく付けておくようにと、そう簡単には外れませんしね。細工を施してありますから』
『承知しました』
『いい子ですね、決して彼の機嫌を損ねないように…』
『はい』
瓶を眺めながら思い出す、目の前にいる廃棄奴隷を懸命に治す彼らに右目を向けた。
私は復讐を選んだ、残った右目で余すことなく復讐が成就されていく様を見届けた。
「どうだ?楽しいか?嬉しいか?気持ち良いか?」
「はい」
私に選択をくれた者にそう応えた、ほんの短い時間の邂逅だが心底恐ろしい化け物を相手にしている、僅かでも気に入らない事を言えば目の前の景色の一部と化すだろう。
村で受けた仕打ちをそっくりそのまま、小さい小競り合いを行う国に返した。
彼は私の復讐に国に住んでいる罪の無い民を省く事は許して貰えなかった、だから国全てを焼き払い誰1人生かす事なく滅ぼした。
すぐに何も知らずに死ねたなら十分幸せだろう、死はしばしの別れと謂われているからこそ死へ逃げられた者達、それを知る私は王族と兵士と戦に関わった全てにそれを許さなかった。
「いいねぇ、お前を選んだ俺は正しい。何処までも正しい」
私は頼んで戦を起こした者、戦で誰かの命を奪った者、戦で有益を味わった者の魂を次へ行けないようにしてくれと頼んだ。
酷く喜んでいたのを覚えている、そしてその通りになった。
「多少の暇つぶしになったな、俺の暇つぶしの礼にあいつが面白いプレゼントを用意したらしい」
「はい」
そして私はこの島にいる…この島に来る者も奴隷も然程変わらない、そして今日彼らが来た。
心底のお人好し偽善者達なのだろう、素性も得体も知れぬ自分にこんな価値のある物を渡してくるとは…。
そういえば生まれて初めて自分だけの贈り物を貰った、この瓶を付き返せばすむ問題なのだろうがなけなしの嘗ての何もかも失う前の自分が心の奥底の果てで微かに微笑んだ…。
この借りは返すべきなのだろうか、いい加減潮時なのだろう…彼らに私は私の幕を降ろして貰う事に決めた…。
10
お気に入りに追加
294
あなたにおすすめの小説
元万能技術者の冒険者にして釣り人な日々
於田縫紀
ファンタジー
俺は神殿技術者だったが過労死して転生。そして冒険者となった日の夜に記憶や技能・魔法を取り戻した。しかしかつて持っていた能力や魔法の他に、釣りに必要だと神が判断した様々な技能や魔法がおまけされていた。
今世はこれらを利用してのんびり釣り、最小限に仕事をしようと思ったのだが……
(タイトルは異なりますが、カクヨム投稿中の『何でも作れる元神殿技術者の冒険者にして釣り人な日々』と同じお話です。更新が追いつくまでは毎日更新、追いついた後は隔日更新となります)
勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。
今日も聖女は拳をふるう
こう7
ファンタジー
この世界オーロラルでは、12歳になると各国の各町にある教会で洗礼式が行われる。
その際、神様から聖女の称号を承ると、どんな傷も病気もあっという間に直す回復魔法を習得出来る。
そんな称号を手に入れたのは、小さな小さな村に住んでいる1人の女の子だった。
女の子はふと思う、「どんだけ怪我しても治るなら、いくらでも強い敵に突貫出来る!」。
これは、男勝りの脳筋少女アリスの物語。
やさしい異世界転移
みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公
神洞 優斗。
彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった!
元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……?
この時の優斗は気付いていなかったのだ。
己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。
この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。
リリゼットの学園生活 〜 聖魔法?我が家では誰でも使えますよ?
あくの
ファンタジー
15になって領地の修道院から王立ディアーヌ学園、通称『学園』に通うことになったリリゼット。
加護細工の家系のドルバック伯爵家の娘として他家の令嬢達と交流開始するも世間知らずのリリゼットは令嬢との会話についていけない。
また姉と婚約者の破天荒な行動からリリゼットも同じなのかと学園の男子生徒が近寄ってくる。
長女気質のダンテス公爵家の長女リーゼはそんなリリゼットの危うさを危惧しており…。
リリゼットは楽しい学園生活を全うできるのか?!
転生してしまったので服チートを駆使してこの世界で得た家族と一緒に旅をしようと思います
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
俺はクギミヤ タツミ。
今年で33歳の社畜でございます
俺はとても運がない人間だったがこの日をもって異世界に転生しました
しかし、そこは牢屋で見事にくそまみれになってしまう
汚れた囚人服に嫌気がさして、母さんの服を思い出していたのだが、現実を受け止めて抗ってみた。
すると、ステータスウィンドウが開けることに気づく。
そして、チートに気付いて無事にこの世界を気ままに旅することとなる。楽しい旅にしなくちゃな
転生貴族の移動領地~家族から見捨てられた三子の俺、万能な【スライド】スキルで最強領地とともに旅をする~
名無し
ファンタジー
とある男爵の三子として転生した主人公スラン。美しい海辺の辺境で暮らしていたが、海賊やモンスターを寄せ付けなかった頼りの父が倒れ、意識不明に陥ってしまう。兄姉もまた、スランの得たスキル【スライド】が外れと見るや、彼を見捨ててライバル貴族に寝返る。だが、そこから【スライド】スキルの真価を知ったスランの逆襲が始まるのであった。
異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。
sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。
目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。
「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」
これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。
なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる