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第8部 晴れた空の下手を繋いで…

第3幕 第13話 夜の船内宝探しイベント

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「はー肉ダンジョンのボス肉美味ー」
「魚も美味しい」
「やっぱりお好み焼きはいつ食べても美味しいねー」
夕食はプールサイドわいわいガヤガヤと酒を放出しての宴が開かれ、日本人の詠斗達には馴染みのソースの匂いと醤油の匂いが夜の船上に広がっていた。
「千眼さんと崇幸さんやラジカさんと大河さん千歳さん、カノリとカウンがもう出来ててさっき回収したんだけど、早めに造酒所を作って消費しようって話でベルン達の家に行ったんだけど…」
「何かあるんですか?」
詠斗がお好み焼きを食べながら考えていると、率がチーズお好み焼きを食べきり尋ねた。
「んー、明日の《名も無き島》の話しとかするのかもね」
「そうかもしれませんね…僕達みたいなタイプには見せたくない物があるみたいですから」
「そうだろうね、明日俺も行くつもりだったけど…」
「詠斗君もお留守番一緒にしますか?」
綴がダンジョン肉とカウンの煮込みを食べ、綴も詠斗の隣に並ぶ、立食式だが各自自由な姿で楽しんでいる。
「そうしよう、よし船の安全は俺が守るよ!」
「僕も守ります!」
「俺もー!」
詠斗に率と晴海が続く綴が微笑んで頷く、舵はダンジョンに潜った面子とヒヨコに囲まれ楽しそうに過ごしている、馴染んでいるようで何よりだと綴は思った。

「これはすごいね」
「言ってる傍からきゅうやモギ達が葉や茎を一掃しているぞ、美味いのなら良かったな」
「今まで以上に大きくなってしまって…」
「時間停止のショルダーバッグにラピスもいるから良いけど」
「…3日以内に造る…」
「あ、いやそこまで急がなくても…」
「問題ない…知識はある…」
収納から千眼が大河から借りた世界の造酒所を特集した雑誌
をトイに見せて、これを参考にほぼ自動の造酒所をここに造るという、トイはそこの管理と畑の管理の代表として働く事になった。
「さ、もうベルン君達が船で待っているよ。舵君も一緒に戻るかい?」
「はーい、トイちゃん戻ろ。今夜は子供達と夜の船宝探しツアーがあるから」
「は、はい!」
今夜は孤児院の子供達と風早主催の夜のイベントがあるのでそれの手伝いに、舵がブレスレットの転移札入りの石を使って船へと戻った。
「さて、明日の件だけど」
「崇幸さん、レグから傷の回復札とナイルと千華ときゅうに頼んで薬草ダンジョンの薬を手に入れて貰ったのでどうぞ」
「ああ、助かる」
舵とトイを見送り残った面子で明日の件を話し合う、大河から崇幸が薬と札を貰い収納ショルダーバッグに入れておく。
「金は《ズィーガー商会》や他の商会に買い取りして現金化した物と鉱物ダンジョンのドロップ品もあるし奴隷を買うには十分だと思いますが」
「私の方からも出しますし、この話を持ち込んだのはこちらですから」 
「関わると決めたのは俺だからな」
千歳の話しにラジカが崇幸の方を見て、崇幸が力強く頷く。
「懐記君には廃棄奴隷の買い取りの件は通してあるから、俺達が抜けても誤魔化してくれるからな」
「他の子達にはなるべく綺麗な姿で会って欲しい…」
崇幸の言葉に大河、千歳、ラジカが頷く、懐記から家を何軒か貰い風呂や着替えも布団も用意している、食べ物も懐記に消化に良いものを作って貰った、一応準備は万端な筈ではある。
「ラージュ陛下も護衛として来て下さるそうです、戦場で慣れている方なので」
「そうか…心強いな」
初めラジカは崇幸と千眼とで行くつもりだった、千歳と大河と綴と懐記には他の面々の気を反らして欲しいと言うだけだったが、綴が率、晴海、舵と留守番を買って出てくれ、懐記が詠斗の気を反らすと言ってくれたが、残る2人は付いて来ると言って聞かなかった。
「今詠斗君からラインで明日は留守番をするそうだ、気を使わせたか」
「彼は優しいからね、さ僕達も手伝いに戻ろうか」
「そうだな」
ラジカは内心貴方達もですよとため息を吐きながら、千歳が転移魔法を発動させそれで船へと戻った。

「おめでとうございます、こちらが景品です」
「わ、綺麗なペーパーナイフ!」
「ありがとうございます、ライガルさん」
「いえ、次のゲームも頑張って下さい」
『はい』
夜の船内宝探しゲーム、風早主催で誰でも参加可能船内に隠された宝を探すついでにプラカードを持っている人物とのゲームに勝てば更に景品が貰えるイベント、現在獲得数が多いのはライル・ラキチームとユラヴィカ・キッキチームだった。
プラカードを持っていたライガルとのじゃんけん勝負に勝ち、ペーパーナイフを貰い次のゲームへ向かった。

「ん…神経衰弱…先にペア3組作っ方の勝ち」
「負けませんわ!」
「勝ちます!」
「ん…」
テーブルと椅子を用意しプラカードを壁に立て掛け気だるげなチグリスとの神経衰弱勝負、あっさりユラヴィカとキッキがペアを勝ち小さな包みをチグリスから受け取った。
「クッキー…飯の前は食べない…食べる時は大人?に聞いて…次のゲーム頑張って…」
「ありがとうございます!」
「ありがとうございます」
ユラヴィカとキッキが嬉しそうに次のゲームに向かう、チグリスはナイルが作ったクッキーを食べながら次の挑戦者を待つ。

「この魔法石に魔力込めて火魔法を発動させ、蝋燭に火を灯したらクリアです」
ナイデルがにこやかに微笑み、ユラヴィレオとメルガドールのチームが挑戦している(ユラヴィカからのお願い)この世界の人には少々難しい、魔法石に魔力を込めて魔法を発動させ蝋燭に火を灯す、属性は関係ないので気にせず挑戦出来るが魔力を込める力が足りなければ火も出て来ないが、最近《トイタナ》の教室で魔法を学んでいる2人は楽に火を灯せた。
「お疲れさまです、こちらが大人の景品です。カノリ酒です」
「高価な景品ですね」
「全くだ」
「ふふ、ゆっくり味わって下さい」
ナイデルに見送られ何だかんだ楽しんでいる2人は、次のゲームに向かった。

「わーお魚の絵だ!」
「この魚釣ってね、ここは1人1個だよー」
ライトアップされたプールサイドの地面に海の絵の紙を引き、先端にクリップを付け足た釣竿を詠斗と晴海から子供たちが受け取り魚の絵の口に付いた磁石で魚を釣り上げる。
中にはお菓子と真珠とノートとペンが入っている。
「はーい、こっちは大人用ー」
「魚つかみ取りですよー魚掴めたら魚ダンジョンの黒い真珠一個プレゼントです」
《ズィーガー商会》や《ガルディア》の面々ががやがやと生け簀に腕を入れて魚を掴む、ぬりぬると滑るが早速ズィーガーが捕まえ黒真珠をティスから受けとる。
「さすがです!」
「こっちも捕まえたぞ!」
「おめでとうございます」
大人達は大人達でかなりの白熱した、盛り上がりを見せ魚を掴んでいた。

「ここがゴールお疲れさま、かき氷用意したから食べてけ」
大食堂にヒュール達ジラ、ラウラス、カイネ、バルタルが迎えてくれかき氷を出されゲームを終えた者達が一堂に賑やかに過ごしていた。
「お、もうゲーム終わってる人達がいるな」
「おかえり、ラジカと崇幸もかき氷食うか?カノリのシロップと蜂蜜とミルクを甘くしたやつ」
「俺はミルク」
「私はカノリのシロップを」
「あいよ」
ジラがやけに慣れた手つきで懐記提供のペンギンかき氷機で氷を削り、ヒュール達がシロップを掛けて渡してくれる。
「大河達は?」
「カジノの様子見だな、昨日トラングがやらかしているし」
「あーニジェルガとゴーシュもそっちに行ってる」
「それはそれは面白そうな物が見れそうですね」
「かき氷食ったら行くかい?」
「ええ」
崇幸がミルク氷を食べながらニヤリとラジカに笑い掛ければ、ラジカも意味ありげに薄く微笑んだ。
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