あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~

深楽朱夜

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第8部 晴れた空の下手を繋いで…

第3幕 第5話 《アタラクシア》号

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「魔力を注げば大きさを弄れる…」
「わかった!じゃいくよ」
模型サイズの船に詠斗と大河が魔力を込める、たちまちに巨大な豪華客船が姿を現した。
『おー』
海に静かに座すその姿にとりあえず皆スマホで写真を撮り、はしゃぎ一通り外観を楽しみ転移魔法で中に移動した。

『ようこそ、《アタラクシア》号』風早の声が歓迎を示す、転移した場所は、大広間明るい絢爛なシャンデリアに床は薄いガラスの様な素材、そして何よりも見事なのは両側の壁一面が窓になり海が一望出来る。
誰もが皆その景色に見惚れため息が出る、先に動いたのは《アウトランダーズ商会》の主要メンバー達だった。
「じゃ、受付します。今回は皆様に癒しの空間を提供という事で《アウトランダーズ商会》から細やかなプレゼントです」
「今から他の方々も招待しますねー」
「じゃ、俺らは厨房な」
「うん!」
「頑張りますっすー」
大河とラジカジラがラインで合図を送信、詠斗と率が案内、千歳が空間歪曲で各地を繋げ、懐記、綴、晴海、ラウラス、千は、千眼達が厨房に向かい、崇幸、舵が客室の鍵を渡す係となり招待を開始した。

『ようこそ、皆様《アタラクシア》号へ、こちらは受付です。約10日程の海上での旅をお楽しみ下さい、出入りはゲート及び転移札、また《アウトランダーズ商会》の皆様にお声掛け下さい。当客船には各客室に浴室が備えられていますが、1階の最奥には男女分かれた海を展望出来る大浴場、1日中に好きな時間にご利用下さい。また1階の中央には大食堂があり、お食事は朝から夜お好きな時間にご利用下さい、真夜中から早朝は利用不可となっております。2階屋上にはプール、こちらは朝から夕方まで利用可能となっています。地下1階は客室及び遊技場と地下2階は全て客室となっており快適な空間をお約束します』
『おおー』
広間に転移してきた人々が風早のナビとモニターに写される、《アタラクシア》号の地図や画像案内に何度も歓声が溢れた。
「はい、受付こちらです」
「鍵と部屋着受け取ってくれ、部屋は使わない場合は館内着とロッカーの鍵持っててくれ、案内はこの子達がしてくれるからなー」
舵がパネルで空室の状況とカードキーを渡し、崇幸が館内着と部屋を使用しない客達にロッカーキーを渡していく、おりがみの子達が客の荷物等を持って案内してくれる。
「あ、レグ!アルケールさんは特別室ね!」
ナイデルやアゲイル達と共にやって来た、新婚(?)の2人には気合いを入れて造ったスイートルームを案内する事になっている。
「特別室?」
「あ、晴海これ!回復札」
「ありがとう!レグさん!」
いつもはアゲイル達と孤児院で過ごしている、2人を晴海と率で案内する、モッカやナイデル、アゲイルや今合流したばかりのニジェルガやライガルは何処かそわそわしていた。
「皆、招待ありがとう。すごい船だな、仕事も片付けたので一泊させ…」
ラージュも到着したが、ドラゴン勢のただならぬ雰囲気に言葉が止まる。
「大河、千歳…今しがたナイルとティスから連絡が来たのだか」
「こちらにあるとは本当ですか?」
「幾らだ?」
「この後のパーティーで皆に飲んで貰うからその後でな」
「味見は?」
「ニジェルガさん、珍しいですね。ここまで食い付くなんて」
「それはそうだろう、何せ俺の好物だからな」
ニジェルガとライガルが大河と千歳に詰め寄る、いつもは賢君として穏やかなニジェルガも冷静沈着を体現したライガルも穏やかではない。
「ふぉふぉ、珍や珍や。ワシはモッカという、珍やお前さんは数奇な存在じゃの」
「あ、はじめまして、トイです」
「ふぉふぉ、よいよい。彼らの側におると良い」
「?はい」
モッカがトイの眼を優しく見つめ笑う、トイはその優しい眼差しに戸惑いながら頭を下げた。

「懐記…魚」
「ん、でかいな」
「任せて下さい!捌きますよー」
「懐記さん、肉ダンジョンから追加来ましたー」
「チーズの盛り合わせオッケです」
「スープももうじきです」
「ん、カウンのチャンプルーも美味いわ」
「天ぷらも最高です」
「果物足りますかね」
「カノリ追加しとくわ」
一方厨房ではビッフェ式として提供する事になり、グリと千眼とナイルとチグリスで魚釣り(?)を行い大漁の魚を水魔法で運んでくる。
嬉々としてライガルや龍皇国の料理人達が捌き、懐記はカウンの苦味を塩揉みや酒に漬けて取り除き薄くスライスした物を厚手のハムと炒めた物を次々作っては大食堂におりがみの子達やヒヨコや鳥達に運んで貰う。
捌いた魚は大食堂でグリルか刺し身で出す事にし、片っ端から裁き鱗や内臓はきゅうが食べている。
またまだ料理は続いている、足りなければ転移魔法で屋台等で買い込む予定だ。

「これが特別室か!」
「スイートルームですよー」
「すごいな!海の中に風呂があるようだ」
「冷蔵庫の中の物好きに食べてね!」
「ありがとう!こんなすごい部屋いいのか?」
率と晴海に案内されたのは地下2階の最奥、数部屋分の広さを誇るスイートルームだった。
特大サイズのベッド、ドアの先には全面に海の中が見える風呂、壁には巨大モニタに舵提供のゲーム機とソフトと千眼のメガネに冷蔵庫にはミルク、お茶、果物に冷凍庫にはアイス、率の雑貨屋のアメニティ類を揃え、青を基調としたデザインの室内に2人は喜んだ。
「今日はパーティーだから放送掛かるまでゆっくりしてね!」
説明を終えて晴海と率が室内を後にする、2人とも子供の様に無邪気に笑っていた。
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