あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~

深楽朱夜

文字の大きさ
上 下
260 / 867
第8部 晴れた空の下手を繋いで…

第3幕 第4話 海遊

しおりを挟む
「良い人達に会えて良かったな!こいつを頼む!」
「ジャハさんありがとうございます!」
畑とこの町を出る事を伝えてジャハと別れ町を出る、詠斗が海に転移すると誰もいない静かな海が目の前一杯に広がっていた。
「海だー」
「磯臭くないなあ」
「砂浜は冷たい感じですけど、海は空の色で綺麗」
「グリとか千ちゃん達呼ぶわ、ベルンち達も」
「陽が沈む前に船に移動して、皆を呼ぶからね」
『はーい』
トイも一緒に靴を脱ぎ砂浜の感触を確かめる、波打ち際は特に問題がないとの事なので波と触れ合う、千眼、千華、ナイル、《ガルディア》の商業エリアの手伝いから戻ったラウラス、ベルン達とモギ達にグローリー達も訪れ大人数で海を満喫している。

「………」
千眼も靴を脱ぎ波打ち際を歩く、三つ編みにした長い髪がゆるりと動く、白いシャツと飾り下のないスラックス、映画のワンシーンの様な場面、千眼は遥か先の海の彼方を眺めていた。
崇幸はモギときゅうと貝殻を拾いながら、千眼の隣に並ぶ。
「世界が変われば海も変わるな」
「……この海は危険だが…美しいと思える…ゆき…この海は美しいか?」
「ああ、綺麗だと思うよ」
「そうか…」
「さっき拾った巻き貝、耳をあててみてくれ。モギやきゅう達に聞かせたら何か嵌まってたな」
「………」
真珠色の巻き貝を崇幸から貰い耳にあてる、波の音が聞こえてくる、優しい音だった。
「良い音だな…私に何か用か?」
「だろ?いや、なんとなく何か探している様な感じだったから、声をかけたんだが。余計だったか?」
「いや…探していたものは見つかっている…」
「そうか、それなら良かった」
「ああ…モギときゅう達が新しい貝殻を持ってきた…」
「お、き聞き比べするか?懐記くんとグリくんのとこの子」達も」
きゅうが崇幸と世眼の元へ、3匹とアキやウィン達を連れて貝殻を崇幸にあてて欲しいと頼む、千眼もそれに付き合い貝殻をあててやるみんなすっかり聞き入っていた…。

「懐記ーごめ~ん」
「ん、給料天引き」
「えーいきなり借金~」
「自業自得だろ」
来て早々懐記に抱きつくトラングをグローリーとティスが剥がす、もうじき船を出すと告げて少し遊ぼうとなっているので皆貝殻を拾いをしている。
「おい、お前精霊と人と妖精から産まれた奴の子どもだな。よくまともに成長しているな?」
「え?わあ、綺麗な子ですねー」
「ラピス、トイがどうしたんだ?」
「普通なら産まれない何だ?意図的に造ったような…」
「おそらく、《テンランド》の実験で誕生したようですね。経緯はわかりませんが無事で何よりです」
「こいつは、《クイトナ》の王並みに稀な存在だな」
ラピスがトイの存在に声を荒げ、大河と千華にティスがトイの元に寄る、当の本人は綺麗なラピスを見て顔を綻ばせていた。
「ん~複雑ー」
「ま、トイはトイだし。うちの専属造酒家ね」
「ベルンちゃん、カタンちゃんちの近くでカノリとカウン栽培してもいい?あそこがちょうど良いと思う」
「オレはいいですよ、よろしくお願いしますトイさん」
「カタンもいいよー」
『カウン!?』
「育てられるだろうな、魔力が底無しだ」
ティス達の声が重なる、ラピスが冷静に頷きベルンとカタンが喜ぶ。
「ヤバい~ヤバい~」
「はーうちの皇帝カウン好きだから喜ぶけど、あんなややこしい果物?育てようとする奴がいるのか漬けているやつ1本300万ログだよな?皇国で」
「酒飲めるの?幾らでも払う払う」
「父様や長様が好きなのでこちらにも是非」
ドラゴンが食い付く、カタン達は首を傾げていた。
「みなさん、カウンを漬けた酒が好きなんですか?あんまりそれは作ってないですけど、瓶の質が良くなくて…カウンそのままの酒は沢山ありますよ」
『は?』
「あーぁ、ニジェルガ幾らもってくるかな?」
「ライガルもヤバそうだぞ」
「俺~借金で買えないー懐記飲みたい~」
「父様と長様に言ったら大変ですね…」
「いいとは言ったんだが、トイがカノリ酒とカウン酒1樽づつくれたからな今日は船で振る舞うつもりだ」
「大河、カウン酒の樽1つで財産だぞー」
「漬けた酒でも高い高い」
「僕はみなさんが美味しく飲んでくれたら、稼ぎは食べていける分で充分です」
「はあー何処で見つけてくるんだか、こんな逸材」
「たまたま?」
トイの無欲さにティスが関心を通り越し呆れる、懐記が返せばナイルが前に進む。
「トイさん、私はナイルと申します。良ければ私に1本売ってくれますか?父と長に贈りたいので」
「あ、あとえとよければあげます。僕も父を少し前に亡くして…もっと孝行したかったんですが…」
「…そうですか、なら1本は頂いてもう1本は私が買います、アルケール様とレグ様に祝いの品を個人的に渡していなかったので」
「ナイル…俺も出す」
「チグリス?…分かりました。では、トイさんお願いします」
「は、はい!」
「ナイル、瓶は私が造ります。祝いですから」
「ありがとうございます、千華様」
「みんなー陽が落ちて来たから船だすよー集まってー」
『はーい』
ナイルが顔を綻ばせてトイがもじもじとしている、詠斗の掛け声にみんながぞろぞろと集まって船が詠斗の収納から出て来るのを待った。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

黒の創造召喚師

幾威空
ファンタジー
※2021/04/12 お気に入り登録数5,000を達成しました!ありがとうございます! ※2021/02/28 続編の連載を開始しました。 ■あらすじ■ 佐伯継那(さえき つぐな)16歳。彼は偶然とも奇跡的ともいえる確率と原因により死亡してしまう。しかも、神様の「手違い」によって。 そんな継那は神様から転生の権利を得、地球とは異なる異世界で第二の人生を歩む。神様からの「お詫び」にもらった(というよりぶんどった)「創造召喚魔法」というオリジナルでユニーク過ぎる魔法を引っ提げて。

異世界ソロ暮らし 田舎の家ごと山奥に転生したので、自由気ままなスローライフ始めました。

長尾 隆生
ファンタジー
【書籍情報】書籍3巻発売中ですのでよろしくお願いします。  女神様の手違いにより現世の輪廻転生から外され異世界に転生させられた田中拓海。  お詫びに貰った生産型スキル『緑の手』と『野菜の種』で異世界スローライフを目指したが、お腹が空いて、なにげなく食べた『種』の力によって女神様も予想しなかった力を知らずに手に入れてしまう。  のんびりスローライフを目指していた拓海だったが、『その地には居るはずがない魔物』に襲われた少女を助けた事でその計画の歯車は狂っていく。   ドワーフ、エルフ、獣人、人間族……そして竜族。  拓海は立ちはだかるその壁を拳一つでぶち壊し、理想のスローライフを目指すのだった。  中二心溢れる剣と魔法の世界で、徒手空拳のみで戦う男の成り上がりファンタジー開幕。 旧題:チートの種~知らない間に異世界最強になってスローライフ~

手乗りドラゴンと行く異世界ゆるり旅  落ちこぼれ公爵令息ともふもふ竜の絆の物語

さとう
ファンタジー
旧題:手乗りドラゴンと行く追放公爵令息の冒険譚 〇書籍化決定しました!! 竜使い一族であるドラグネイズ公爵家に生まれたレクス。彼は生まれながらにして前世の記憶を持ち、両親や兄、妹にも隠して生きてきた。 十六歳になったある日、妹と共に『竜誕の儀』という一族の秘伝儀式を受け、天から『ドラゴン』を授かるのだが……レクスが授かったドラゴンは、真っ白でフワフワした手乗りサイズの小さなドラゴン。 特に何かできるわけでもない。ただ小さくて可愛いだけのドラゴン。一族の恥と言われ、レクスはついに実家から追放されてしまう。 レクスは少しだけ悲しんだが……偶然出会った『婚約破棄され実家を追放された少女』と気が合い、共に世界を旅することに。 手乗りドラゴンに前世で飼っていた犬と同じ『ムサシ』と名付け、二人と一匹で広い世界を冒険する!

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生

野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。 普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。 そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。 そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。 そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。 うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。 いずれは王となるのも夢ではないかも!? ◇世界観的に命の価値は軽いです◇ カクヨムでも同タイトルで掲載しています。

異世界召喚?やっと社畜から抜け出せる!

アルテミス
ファンタジー
第13回ファンタジー大賞に応募しました。応援してもらえると嬉しいです。 ->最終選考まで残ったようですが、奨励賞止まりだったようです。応援ありがとうございました! ーーーー ヤンキーが勇者として召喚された。 社畜歴十五年のベテラン社畜の俺は、世界に巻き込まれてしまう。 巻き込まれたので女神様の加護はないし、チートもらった訳でもない。幸い召喚の担当をした公爵様が俺の生活の面倒を見てくれるらしいけどね。 そんな俺が異世界で女神様と崇められている”下級神”より上位の"創造神"から加護を与えられる話。 ほのぼのライフを目指してます。 設定も決めずに書き始めたのでブレブレです。気楽〜に読んでください。 6/20-22HOT1位、ファンタジー1位頂きました。有難うございます。

はずれスキル念動力(ただしレベルMAX)で無双する~手をかざすだけです。詠唱とか必殺技とかいりません。念じるだけで倒せます~

さとう
ファンタジー
10歳になると、誰もがもらえるスキル。 キネーシス公爵家の長男、エルクがもらったスキルは『念動力』……ちょっとした物を引き寄せるだけの、はずれスキルだった。 弟のロシュオは『剣聖』、妹のサリッサは『魔聖』とレアなスキルをもらい、エルクの居場所は失われてしまう。そんなある日、後継者を決めるため、ロシュオと決闘をすることになったエルク。だが……その決闘は、エルクを除いた公爵家が仕組んだ『処刑』だった。 偶然の『事故』により、エルクは生死の境をさまよう。死にかけたエルクの魂が向かったのは『生と死の狭間』という不思議な空間で、そこにいた『神様』の気まぐれにより、エルクは自分を鍛えなおすことに。 二千年という長い時間、エルクは『念動力』を鍛えまくる。 現世に戻ったエルクは、十六歳になって目を覚ました。 はずれスキル『念動力』……ただしレベルMAXの力で無双する!!

『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる

農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」 そんな言葉から始まった異世界召喚。 呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!? そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう! このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。 勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定 私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。 ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。 他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。 なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。

ペットたちと一緒に異世界へ転生!?魔法を覚えて、皆とのんびり過ごしたい。

千晶もーこ
ファンタジー
疲労で亡くなってしまった和菓。 気付いたら、異世界に転生していた。 なんと、そこには前世で飼っていた犬、猫、インコもいた!? 物語のような魔法も覚えたいけど、一番は皆で楽しくのんびり過ごすのが目標です! ※この話は小説家になろう様へも掲載しています

処理中です...