あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~

深楽朱夜

文字の大きさ
上 下
235 / 873
第7部 異世界帰りの魔王様はチートで無双したりしなかったり~サラリーマンの1から始める異世界ビジネスプラン~

STAGE.2-8 おりがみする?

しおりを挟む
「3人共風呂入ろ、洗濯するし。パジャマは率っちがくれたのと俺んちの服でいいか。使い方説明するわ」
テントに戻り空き家の中に3人を入れてざっくりとした使い方を説明する、空き家は2つあるので収納の石鹸やらを渡して4人で順番に入る事にした。
「気持ち良かったな」
「ええ」
「服…ありがとう」
「ん、今日はそれで寝て、服は乾いたから。俺も風呂入ってくるわ、暇潰しのトランプおいとくから遊んでてもいいしー」
洗濯機をテントで回し風魔法で乾かす、風呂から出た3人が気持ち良さそうにしているのを確認し懐記も風呂に向かった。

「まーた、グリの勝ちかよ」
「強いですね」
「…面白い遊びです…」
「楽しくやってるじゃん、モギのミルク飲む?」
「頂きます」
「ちょーだい」
「?」
空き家の居間でちゃぶ台を囲みババ抜きをする、ライガル達に収納からグラスとモギのミルクの瓶を出して皆で飲む、グローリーは初めて飲む様で恐る恐る色の薄い舌でペロッと舐めた後に一気に飲み干す、懐記が追加を注ぐと今度はゆっくり飲んでいる。
「寝るのはどする?2、2に分かれる?それとも4人でここで寝る?俺はどっちでもいいし、テントで寝てもいいし」
「ここがいい…です」
『4人で…』
控え目にグローリーが答え、ティスとライガルは言葉を合わせる、上手くいっていない伴侶達、一応懐記なりに気を遣う、問答無用で2人で寝かせる事も出来なくはない、懐記からしたら2人の間に懐記とグローリーが入る形だしと一応確認したまでだった。
「なら、布団敷いとくわ。俺は外で明日の飯の下拵えとかやるから」
「懐記さんスマホ借りても構いませんか?ナイル殿達に渡した仕事の確認をしてから休みます」
「俺は寝る」
「ん、俺のスマホしか繋がらないんだっけ、ほい」
「ありがとうございます」
「…懐記さん…見てもいい?」
「いいけど、懐記って呼べ」
「懐記…いい?」
「ん」
2人で表に出て懐記が色々作り置きする為の道具を収納から出す、その様子をグローリーは興味深く眺めている。
「朝はオムレツとパンとサラダに腸詰めを焼こっか」
「?おにぎり…」
「ん、米も炊くか」
何も無い場所にオープンキッチンのような空間が現れ、グローリーの表情の無い顔が僅かに驚く。
「米磨いで、炊いてみる?」
「……」
グローリーが小さく頷き、懐記の傍らに立った。

「ごめんー野菜炒め少し焦げたー」
「おいしいよー」
こちらは畑、とにかく大所帯なので沢山作る事に集中して野菜炒めが少し焦げてしまったのはご愛嬌、ドラゴン3トリオは仕事の目処を立て一緒に食卓に着いた。
「うう、俺料理人すよーでもご飯美味しいす」
「おかわり…」
「皆さんありがとうございます、お手伝い出来なくてすみません」
「気にするな、俺も野菜切る位しか出来ないしな」
「僕も皮を剥く位しか…役に立てなくてね」
「大丈夫ですよ、明日は《ガルディア》の炊き出しを貰って来ますし」
「朝は簡単な物で…」
「ご飯作るの大変なら、俺カレー作るから!」
「うう…すみませんす、ライガル様の仕事大変で」
野菜炒めと、刺身に味噌汁を食べながら明日の食事の事を考える…大人数の食事を作る懐記はすごいと皆心の中で思った。
「料理の本…読む」
「俺もー今度懐記くんに教わろう」
「先ほどライガル様から仕事の確認と…懐記さんのご飯が美味しかったと連絡がありました…」
「俺も後でラインしよう!」
食事をしながら何処か疲れた表情をするナイル、いつもは3杯以上ご飯をお代わりするチグリスもラウラスと一緒に食事を早々に切り上げ仕事に戻っていった。

「いいにおい…」
「ん、煮込みをしているから時間出来たわ。寝ないの?」
「?眠くない」
「そ、ならトランプでも。いや、おりがみでもするか」
「?」
グローリーは飲み込み…学習能力が高く家事をすぐ覚えた、試しに卵焼きの作り方を教えると綺麗なだし巻き卵を作り、野菜の皮を薄く向き手本を見せれば野菜も綺麗に切ってくれる、お陰で早く食事の準備が終わりまだ寝る時間でもない懐記がテーブルを出してグローリーにミルクを出して収納からおりがみを出してテーブルに並べた。
「キレイ…」
色取り取りの紙、和柄の物までありグローリーは溜息を付き乍ら眺めている、特に気なったのが金色のおりがみ1セットに1枚しか入っていない金色のおりがみをずっと見ている、それはキリングの色だった。
「この本に色々な折り方が書いてあるんだけど、読めないんだっけ」
「『にほんのおりがみいろいろしゅう』?」
懐記が収納から祖母のおりがみの教本を取り出し見せれば普通に読んでいる、懐記は教えなくてもいいや程度でおりがみを教えていく。
「まずはかんたんなやーつ、俺が折るのを見ていて」
「?」
懐記がおりがみを折りグローリーがその手元を見て同じように折り始める、まずは紙飛行機を折って飛ばして見せる。
「グリっち、綺麗におれたじゃん。どっちが長く飛ぶか勝負しよ」
「うん…」
懐記は緑色、グローリーは黄色の紙飛行機を飛ばす…結果はグローリーの紙飛行機が落ちる事無くくるくると飛行していた。
「へえ、魔法?」
「?」
「まあ、いっか。次はおばけ」
「うん」
懐記は気にせずに他のおりがみをグローリーに教えていく、グローリーも熱心な生徒になり折っていった。

「ん…」
朝だろうかライガルが目を覚ますと隣にはまだ寝ているティスの寝顔が側にあり一瞬で身体を起こす、無防備な顔を暫く眺め、横を見ればライガルとティス以外はいないので一旦外に出ると目の前にはとんでもない光景が広がっていた。
「おはようございます…これはいったい?傀儡魔法…いや固有スキル?」
「おはよ」
「おはよう」
懐記とグローリーは夜通しおりがみを続け、グローリーが折った全ての作品が動き回っていた。
「なんかグリっちが折ったやつ全部動くんだわ、朝飯くう?」
「うん」
「はい、頂きます。その前にお風呂頂いても良いですか?」
「いいよー準備しておくわ」
詳細は後で聞くとしてライガルは風呂場へ向かう、まだまだおりがみを続けるグローリーを尻目に無機物に命…動かす魔法もしくはスキルはこの世界…魔王クラス以上でなければ持ち得ない、流石は魔人と言ったところかと感心した。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

家族で突然異世界転移!?パパは家族を守るのに必死です。

3匹の子猫
ファンタジー
社智也とその家族はある日気がつけば家ごと見知らぬ場所に転移されていた。 そこは俺の持ちうる知識からおそらく異世界だ!確かに若い頃は異世界転移や転生を願ったことはあったけど、それは守るべき家族を持った今ではない!! こんな世界でまだ幼い子供たちを守りながら生き残るのは酷だろ…だが、俺は家族を必ず守り抜いてみせる!! 感想やご意見楽しみにしております! 尚、作中の登場人物、国名はあくまでもフィクションです。実在する国とは一切関係ありません。

転生した体のスペックがチート

モカ・ナト
ファンタジー
とある高校生が不注意でトラックに轢かれ死んでしまう。 目覚めたら自称神様がいてどうやら異世界に転生させてくれるらしい このサイトでは10話まで投稿しています。 続きは小説投稿サイト「小説家になろう」で連載していますので、是非見に来てください!

異世界ソロ暮らし 田舎の家ごと山奥に転生したので、自由気ままなスローライフ始めました。

長尾 隆生
ファンタジー
【書籍情報】書籍3巻発売中ですのでよろしくお願いします。  女神様の手違いにより現世の輪廻転生から外され異世界に転生させられた田中拓海。  お詫びに貰った生産型スキル『緑の手』と『野菜の種』で異世界スローライフを目指したが、お腹が空いて、なにげなく食べた『種』の力によって女神様も予想しなかった力を知らずに手に入れてしまう。  のんびりスローライフを目指していた拓海だったが、『その地には居るはずがない魔物』に襲われた少女を助けた事でその計画の歯車は狂っていく。   ドワーフ、エルフ、獣人、人間族……そして竜族。  拓海は立ちはだかるその壁を拳一つでぶち壊し、理想のスローライフを目指すのだった。  中二心溢れる剣と魔法の世界で、徒手空拳のみで戦う男の成り上がりファンタジー開幕。 旧題:チートの種~知らない間に異世界最強になってスローライフ~

聖女の力を隠して塩対応していたら追放されたので冒険者になろうと思います

登龍乃月
ファンタジー
「フィリア! お前のような卑怯な女はいらん! 即刻国から出てゆくがいい!」 「え? いいんですか?」  聖女候補の一人である私、フィリアは王国の皇太子の嫁候補の一人でもあった。  聖女となった者が皇太子の妻となる。  そんな話が持ち上がり、私が嫁兼聖女候補に入ったと知らされた時は絶望だった。  皇太子はデブだし臭いし歯磨きもしない見てくれ最悪のニキビ顔、性格は傲慢でわがまま厚顔無恥の最悪を極める、そのくせプライド高いナルシスト。  私の一番嫌いなタイプだった。  ある日聖女の力に目覚めてしまった私、しかし皇太子の嫁になるなんて死んでも嫌だったので一生懸命その力を隠し、皇太子から嫌われるよう塩対応を続けていた。  そんなある日、冤罪をかけられた私はなんと国外追放。  やった!   これで最悪な責務から解放された!  隣の国に流れ着いた私はたまたま出会った冒険者バルトにスカウトされ、冒険者として新たな人生のスタートを切る事になった。  そして真の聖女たるフィリアが消えたことにより、彼女が無自覚に張っていた退魔の結界が消え、皇太子や城に様々な災厄が降りかかっていくのであった。

【完結】平凡な容姿の召喚聖女はそろそろ貴方達を捨てさせてもらいます

ユユ
ファンタジー
“美少女だね” “可愛いね” “天使みたい” 知ってる。そう言われ続けてきたから。 だけど… “なんだコレは。 こんなモノを私は妻にしなければならないのか” 召喚(誘拐)された世界では平凡だった。 私は言われた言葉を忘れたりはしない。 * さらっとファンタジー系程度 * 完結保証付き * 暇つぶしにどうぞ

魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します

怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。 本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。 彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。 世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。 喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。

【ヤベェ】異世界転移したった【助けてwww】

一樹
ファンタジー
色々あって、転移後追放されてしまった主人公。 追放後に、持ち物がチート化していることに気づく。 無事、元の世界と連絡をとる事に成功する。 そして、始まったのは、どこかで見た事のある、【あるある展開】のオンパレード! 異世界転移珍道中、掲示板実況始まり始まり。 【諸注意】 以前投稿した同名の短編の連載版になります。 連載は不定期。むしろ途中で止まる可能性、エタる可能性がとても高いです。 なんでも大丈夫な方向けです。 小説の形をしていないので、読む人を選びます。 以上の内容を踏まえた上で閲覧をお願いします。 disりに見えてしまう表現があります。 以上の点から気分を害されても責任は負えません。 閲覧は自己責任でお願いします。 小説家になろう、pixivでも投稿しています。

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生

野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。 普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。 そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。 そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。 そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。 うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。 いずれは王となるのも夢ではないかも!? ◇世界観的に命の価値は軽いです◇ カクヨムでも同タイトルで掲載しています。

処理中です...