あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~

深楽朱夜

文字の大きさ
上 下
223 / 867
第7部 異世界帰りの魔王様はチートで無双したりしなかったり~サラリーマンの1から始める異世界ビジネスプラン~

第23話 お疲れさまでした

しおりを挟む
「こちらが、ビジネスエリアです。主に会議室の貸し出しを行います」
ラジカがタブレット片手にドラゴン達を連れ案内していく、一番広い会議室、ウォーターサーバーの説明モニターの使い方と料金の説明を行うドラゴン達は感嘆と説明を聞くがここはドラゴン達よりも《ズィーガー商会》等の支社があり離れている従業員達との会議用としての用途が高い。
「ふむ、気分を変える為にこういった場所での話し合いも良いな」
「ええ、是非使わせて頂きたいですね」
ニジェルガやライガルが頷く、補佐官達も同意するがそれ以外のドラゴン達は特に興味なさそうに見ている。
「では、次は商業エリアへ」
千歳がドラゴン達をエレベーターに引き連れ、商業エリアに案内する。

「こちらは、30日10万ログで1店舗をお貸しします、最初の30日は無料です。基本売買等に制限は《アウトランダーズ商会》が設けた指定禁止品と食べ物は未加工品や長期保存が効く物以外は現在販売不可としています」
「ここはこのカードで自由にこれるんだよな?俺は皇都で農家をしているからな是非ここを借りたい」
「はい、契約に則りカードで転移可能です、契約者の方に特典として時間停止収納袋を貸し出し致します。こちらが解放されている時間は朝から夕方までとします」
『おお』
商業エリアの長い廊下の左右に建てられた半露店の店、ドラゴン達が盛り上がりラジカに質問が飛ぶ。
「へえ、立派な店だなよし俺も借りるわ、俺は薬草なんかを売っている」
「俺は、ここに他の国の奴らも店を出すんだよな?買い取りとかもして皇都で売りたいんだけど良い?あのショルダーバッグとか皇都でも売れるし」
「ええ、もちろん。買い取り毎に契約書を用意して双方納得の元成立すればこちらは干渉しませんよ」
「こちらの商業エリアのオープンは少し先ですが、本日より契約可能です。店舗の場所は平等性の為くじで決めさせていただきます」
ラジカの言葉に盛り上がる、この後は店舗契約で残るドラゴン達とそれ以外は皇都に戻るという風に分かれる、最後にナイルや孤児院の子供達からお土産のドーナツを貰い本日の営業は終了となる。

「お疲れさま!」
ドラゴン達との契約も完了し、龍皇国の住人たちは引き揚げていく、残ったのは詠斗達と神々にスタッフたちだけだった。
「俺らもそろそろ戻るわ、楽しかった」
「次回は他の神が来るのなのです」
「今回の招待の礼と、こちらは我々の為に依り代を作ってくれた晴海君に」
「わ!宝石で出来たリンゴ?綺麗ー」
神が晴海の掌に宝石のように煌めく掌大の林檎を渡す、蓋が付いていて取ると小物入れになっていた。
「この中に石とか入れると偽物の宝石…地球でいう所のビーズやおもちゃの宝石に変わります。魔力を込めれば形が変わったりするので服の宝飾等に良いと思いますよ」
「晴海専用アイテムな」
「すごーい!ありがとう神様達!」
晴海の顔が綻ぶ、神々も満足げに頷く。
「後、ここにダンジョンを作りに我々も出入りするので来る時はラインしますから」
「とんでもダンジョンをお願いしますね、楽しみにしてます」
『……』
神々が楽しみにしている千歳のプレッシャーに無言になる、神々は挨拶を交わしVIPルームへと引き上げて行った。
「みんな!お疲れ!お疲れ様会しよう」
『おおー!』
皆諸手を上げて賛成、会議室の一番広い場所でスタッフたちと慰労会が始まる。

「くうー!仕事後の酒は格別だな!」
「お肉も美味しいー!」
「はあ、楽しかったー」
「次回は顔なじみのお店の人達を招くのでよろしく」
「一応3日後を予定しています、皆さんよろしくお願いします」
「今日の様な流れでやって貰えれば問題はない、お疲れ」
「早速、カードにメッセージを送っておきます」
会議室のテーブルに並べられた料理の数々に舌包みを打ち、酒を呑んだり騒いだりと皆心地の良い高揚間に包まれていた。
「みんな良いお客だったな」
「ドラゴンの皆さん優しかった」
「また遊びたいー」
「またすぐ会える…」
「ええ、みんな喜んでいましたよ」
ナイルはやはり人が多いようで畑へと千眼と早々に引き上げて行き、チグリスと千華が孤児院の子供達に応える。
唐揚げや肉串に焼いたチーズを乗せたパン、様々な果物やスープ、炒め物、デザートにはアイスやクッキーやドーナツが並び次から次へと無くっていく。
懐記の食料ストックも大分減ったので明日は仕入れに行こうかと考えながら、明日の朝飯と晩飯の献立を考える、ともかく今日は問題なく終わった、ドラゴンという高度な種のお陰か順調に行き過ぎてしまったという感じだ。
まあ良い、招待+紹介制にしたのでおかしな客は来ないだろう、後は帰って風呂に入って休めば良いと…けれど何故か一抹の不穏な気配を感じつつ懐記は周囲を眺めた…。

「なんなんですかこれは…」
「今まで見えていなかった物が露わになるとこうなるのか…」
「ふむ…一体何が起こっているのか…」
「ただいまなのです」
「土産沢山もらったぞ!」
「返礼も喜んでくれました…何かありました?」
《神の庭》に戻った3名、留守番組の神々から不穏な空気を感じる、廻る球体《アタラクシア》の一か所に視線が集中していた。
「不明…不明…謎…」
「ん?なんだこれ?」
「変なのです、何も感じないのです」
「……魔王ですかね…いや違いますね…妖精…でもないですね…」
神々が見つめる箇所は墨汁を零した染みのような箇所…一際濃かった幕が先ほど薄まり神々の眼で見えたのは異様な程の濃い黒。
「依頼…出します?」
「ふむ…なんとも言えぬ」
「《アタラクシア》一体何を考えているのでしょうか」
「病んだ世界の思考は理解できません…」
神々が呟く…、話し合いは久方ぶりに平行線が続くようだ…。

その男は陰気で暗い…、鬱々とした目の下の濃い隈、痩せすぎた痩身体躯、黒…に黒を何度も塗り重ね過ぎた髪色と見ている者の気分を滅入らせる茫洋とした黒に少し赤を入れた瞳、いつも色の無い唇は硬く閉じている。
彼はいつも地面、人と話す時…相手が一方的に話している時も下を見ている、今彼は珍しく空を視ていた。
「おい、グローリー!」
苛立たし気に名を呼ぶのは冒険者パーティののおそらくリーダー格の青年、濃い蜂蜜色の髪に琥珀色の瞳に結晶を散りばめたような美しい瞳をした青年が怒鳴るように何度もグローリーを呼ぶ。
まだ空から目を離さない、グローリーに痺れを切らし腕を掴んで引き摺って連れて行く。
「キリング、もお、そんなやつおいて行こうよ!」
「何考えているか分からなくて気味悪い!」
「怖いですー」
「っち!!仕方ないんだよ、こんなやつでも使い道があるから、な?」
可愛らしい冒険者の少女達3人から罵詈が飛ぶが、キリングと呼ばれた青年が少女達を宥める。
グローリーは何も言わない、いつも周囲からそうやって言われているから何も言わない。
「行くぞ!このダンジョンをクリアすれば俺達もA級パーティの中でも抜きんでる。次はS級だ!」
「そうよ!」
「ええ!」
「がんばります!」
「……」
キリングに連れて行かれながらもグローリーは空を見る、そらから視線を感じるからだ遥か遠い空の上から誰かが…何かが視ているからだった…。

Next Stage…?
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界ソロ暮らし 田舎の家ごと山奥に転生したので、自由気ままなスローライフ始めました。

長尾 隆生
ファンタジー
【書籍情報】書籍3巻発売中ですのでよろしくお願いします。  女神様の手違いにより現世の輪廻転生から外され異世界に転生させられた田中拓海。  お詫びに貰った生産型スキル『緑の手』と『野菜の種』で異世界スローライフを目指したが、お腹が空いて、なにげなく食べた『種』の力によって女神様も予想しなかった力を知らずに手に入れてしまう。  のんびりスローライフを目指していた拓海だったが、『その地には居るはずがない魔物』に襲われた少女を助けた事でその計画の歯車は狂っていく。   ドワーフ、エルフ、獣人、人間族……そして竜族。  拓海は立ちはだかるその壁を拳一つでぶち壊し、理想のスローライフを目指すのだった。  中二心溢れる剣と魔法の世界で、徒手空拳のみで戦う男の成り上がりファンタジー開幕。 旧題:チートの種~知らない間に異世界最強になってスローライフ~

手乗りドラゴンと行く異世界ゆるり旅  落ちこぼれ公爵令息ともふもふ竜の絆の物語

さとう
ファンタジー
旧題:手乗りドラゴンと行く追放公爵令息の冒険譚 〇書籍化決定しました!! 竜使い一族であるドラグネイズ公爵家に生まれたレクス。彼は生まれながらにして前世の記憶を持ち、両親や兄、妹にも隠して生きてきた。 十六歳になったある日、妹と共に『竜誕の儀』という一族の秘伝儀式を受け、天から『ドラゴン』を授かるのだが……レクスが授かったドラゴンは、真っ白でフワフワした手乗りサイズの小さなドラゴン。 特に何かできるわけでもない。ただ小さくて可愛いだけのドラゴン。一族の恥と言われ、レクスはついに実家から追放されてしまう。 レクスは少しだけ悲しんだが……偶然出会った『婚約破棄され実家を追放された少女』と気が合い、共に世界を旅することに。 手乗りドラゴンに前世で飼っていた犬と同じ『ムサシ』と名付け、二人と一匹で広い世界を冒険する!

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生

野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。 普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。 そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。 そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。 そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。 うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。 いずれは王となるのも夢ではないかも!? ◇世界観的に命の価値は軽いです◇ カクヨムでも同タイトルで掲載しています。

異世界召喚?やっと社畜から抜け出せる!

アルテミス
ファンタジー
第13回ファンタジー大賞に応募しました。応援してもらえると嬉しいです。 ->最終選考まで残ったようですが、奨励賞止まりだったようです。応援ありがとうございました! ーーーー ヤンキーが勇者として召喚された。 社畜歴十五年のベテラン社畜の俺は、世界に巻き込まれてしまう。 巻き込まれたので女神様の加護はないし、チートもらった訳でもない。幸い召喚の担当をした公爵様が俺の生活の面倒を見てくれるらしいけどね。 そんな俺が異世界で女神様と崇められている”下級神”より上位の"創造神"から加護を与えられる話。 ほのぼのライフを目指してます。 設定も決めずに書き始めたのでブレブレです。気楽〜に読んでください。 6/20-22HOT1位、ファンタジー1位頂きました。有難うございます。

『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる

農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」 そんな言葉から始まった異世界召喚。 呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!? そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう! このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。 勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定 私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。 ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。 他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。 なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。

ペットたちと一緒に異世界へ転生!?魔法を覚えて、皆とのんびり過ごしたい。

千晶もーこ
ファンタジー
疲労で亡くなってしまった和菓。 気付いたら、異世界に転生していた。 なんと、そこには前世で飼っていた犬、猫、インコもいた!? 物語のような魔法も覚えたいけど、一番は皆で楽しくのんびり過ごすのが目標です! ※この話は小説家になろう様へも掲載しています

屑スキルが覚醒したら追放されたので、手伝い屋を営みながら、のんびりしてたのに~なんか色々たいへんです

わたなべ ゆたか
ファンタジー
タムール大陸の南よりにあるインムナーマ王国。王都タイミョンの軍事訓練場で、ランド・コールは軍に入るための最終試験に挑む。対戦相手は、《ダブルスキル》の異名を持つゴガルン。 対するランドの持つ《スキル》は、左手から棘が一本出るだけのもの。 剣技だけならゴガルン以上を自負するランドだったが、ゴガルンの《スキル》である〈筋力増強〉と〈遠当て〉に翻弄されてしまう。敗北する寸前にランドの《スキル》が真の力を発揮し、ゴガルンに勝つことができた。だが、それが原因で、ランドは王都を追い出されてしまった。移住した村で、〝手伝い屋〟として、のんびりとした生活を送っていた。だが、村に来た領地の騎士団に所属する騎馬が、ランドの生活が一変する切っ掛けとなる――。チート系スキル持ちの主人公のファンタジーです。楽しんで頂けたら、幸いです。 よろしくお願いします! (7/15追記  一晩でお気に入りが一気に増えておりました。24Hポイントが2683! ありがとうございます!  (9/9追記  三部の一章-6、ルビ修正しました。スイマセン (11/13追記 一章-7 神様の名前修正しました。 追記 異能(イレギュラー)タグを追加しました。これで検索しやすくなるかな……。

世界最強で始める異世界生活〜最強とは頼んだけど、災害レベルまでとは言ってない!〜

ワキヤク
ファンタジー
 その日、春埼暁人は死んだ。トラックに轢かれかけた子供を庇ったのが原因だった。  そんな彼の自己犠牲精神は世界を創造し、見守る『創造神』の心を動かす。  創造神の力で剣と魔法の世界へと転生を果たした暁人。本人の『願い』と創造神の『粋な計らい』の影響で凄まじい力を手にしたが、彼の力は世界を救うどころか世界を滅ぼしかねないものだった。  普通に歩いても地割れが起き、彼が戦おうものなら瞬く間にその場所は更地と化す。  魔法もスキルも無効化吸収し、自分のものにもできる。  まさしく『最強』としての力を得た暁人だが、等の本人からすれば手に余る力だった。  制御の難しいその力のせいで、文字通り『歩く災害』となった暁人。彼は平穏な異世界生活を送ることができるのか……。  これは、やがてその世界で最強の英雄と呼ばれる男の物語。

処理中です...