上 下
222 / 807
第7部 異世界帰りの魔王様はチートで無双したりしなかったり~サラリーマンの1から始める異世界ビジネスプラン~

第22話 ようこそカジノへ

しおりを挟む
「うわ、お前強いな!もっかいやろうぜ」
『……』
モギの目が細まる、やれやれと言わんばかりにリースに付き合って神経衰弱を始めた。
風魔法でカードを捲る、他のモギやドラゴン達もやって来て1対1の勝負、簡略化されていない52枚の神経衰弱を見守った。

「テトラ、久しぶりだな」
「お兄ちゃん、おひさー」
テトラは両腕にフールフとリプとシシ、ヤヤを抱き抱え、背中にナフとカフと家族総出でカジノを楽しんでいた所に、テトラに良く似た青年が声を掛けてくる。
「なんだ?小人族と一緒なのか?」
「そうそ、家族ー」
「テトラの旦那のお兄さんはじめまして!オイラはフールフです!」
「は、はじめましてーボクゥはリプといいますぅ」
「そうか、私はテトラの兄のテルドだ。よろしく」
「お兄ちゃん、お腹減らない?ラウンジで飲み物とポップコーン食べれるから行かない?」
「そうだな、久しぶりに話もしたいし行こう」
テルドと数名のドラゴンを連れてエレベーターでラウンジに向かった。

「うお、なんだこのメダルゲームおもろ!」
「やばくね!」
「お、メダル出てきたわ!」
「もっかい!」
「数字揃った!」
「沢山出てくるわ」
このカジノの最大の目玉最大20名遊べるメダルゲーム機、満員で皆楽しんでいる、それを千眼が満足げに眺めている、1人で楽しむメダルゲームも用意しそちらも上場、他のメダルゲームも作ろうかと思案していた。

「こんな美しい方が魔王とは」
「ふふ…私の勝ちですね」
ババ抜きの卓の1つ、ニジェルガやチグリス、千華とニジェルガの側近でババ抜きを行っている…が先に千華が手元のカードを無くして上がった。
「おや、残念。もう少し楽しみたかったのですが」
「また遊びましょう」
柔らかく微笑み千華が1位抜けし、コインを貰いすと席を立つ、その背中を見送り千華を美しいと褒めたドラゴンはぼそりと「花がない」と呟いた。
「花は無いが勝負はまだ終わってないぞ」
「ん…」
「はいはい、次であがりますよと」

「んー、うまいし景色も良いしさいこー!」
「どう?カナン」
「兄さんありがとう!」
「喜んでくれて良かった」
『ピピ』
ラウンジにはカルや弟のカナンがソファに座り談笑する、他にも孤児院の子供達もお手伝いしながら食事したり、お菓子を食べている、アルケールやナイデル達も一緒に過ごしている。
「懐記が焼いた肉!こうやって食べてみたかったんだ!」
ビール片手に酒を飲み食いしながら、ラウンジのカウンターで本日特別に懐記が肉を焼いてくれそこの正面に座る神々、肉の臭いが広がり肉ダンジョンに住んで(?)るカーク、エンフやその友人達も熱心に懐記の手元を見ている。
チーズやミルク、ポップコーンが飛ぶように売れ、詠斗や率、綴に晴海達も大忙しだった。
「良い感じだね」
「後1時間程でビジネスエリアと商業エリアの説明して、本日は終了です」
ラジカが腕時計を確認し、タブレットで残りの予定を確認した。
「オッケ」
「はーい」
「了解」
肉が次々焼けていく、神々もドラゴンも詠斗達もここでは1人の人、差別や区別や階級は無いそんな場所だ。

「ハル、ミルク美味いし景色もいいよな」
『もぐ』
「ナツさん、この木の実の蜂蜜掛け美味しいですね」
『もぐう』
オリガ、ラドゥとナツ、ハル達もラウンジで景色を楽しみながら軽くおやつの時間を楽しむ。
アキとウィンときゅうやふーはカジノエリアでメダルゲームをしている、のんびりとした時間を4名は過ごす中々良い雰囲気で率や晴海はこっそり見守っていた。

「うわ、タータイルクッガにジャックポット入れられたわ!」
「マジかよ、なんだこの枚数」
「えー俺時間停止収納袋狙ったんだけどー」
「俺はショルダーバッグ!」
「うわあ!」
「おめでとう…きゅう…ふーアキ…ウィン達…本日トップのメダル保持者だ」
『きゅ』『ぱしゃ』『もぐ』『ぴぃ』
千眼が仕込んだ本日最大のメダル2,000枚払い出しは、きゅう達動物チームだった。
「そうか…貯めとくか?景品はまだまだ変わるから…」
払い出しされたコインを風魔法で浮かせフロントで各々メダルを分売して会員カードに収納した。
「お、何あれ」
「いいな!」
「メダル最高保持者に与えられるペンダントだ…回復魔法札が入った首飾り…」
「記録を塗り替えれば貰える…」
千眼がきゅう達に首飾りを贈る、チグリスが追加説明をする。
傷に強いドラゴンだが、通常の人々冒険者達からしてみれば喉から手が出る程欲しい一品だろうがきゅう達はキラキラしたそれに嬉しそうにしているだけだった。
『もう間も無くカジノ及びラウンジの営業を終了致します、景品交換しないメダルはフロントにて保管致します。この後はビジネスエリアと商業エリアの案内しますので参加ご希望の方はそのままお待ち下さい、次回営業に関しましては会員カードにてご案内します。カジノのラウンジに関しましては完全紹介制と致しますのでご友人、ご家族様のご利用お待ちしております。本日はカジノ、ラウンジご利用頂き誠にありがとうございます』
天井からラジカの抑揚のないアナウンスが流れ、遊び足りないドラゴン達から不満の声やら聞こえては来たが終わりは終わり、商業エリアとビジネスエリアに興味津々の様で誰も帰らずカジノに集まった。
詠斗達も集まり、折角だからと神々も残って説明を聞くことにした…。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

元万能技術者の冒険者にして釣り人な日々

於田縫紀
ファンタジー
俺は神殿技術者だったが過労死して転生。そして冒険者となった日の夜に記憶や技能・魔法を取り戻した。しかしかつて持っていた能力や魔法の他に、釣りに必要だと神が判断した様々な技能や魔法がおまけされていた。 今世はこれらを利用してのんびり釣り、最小限に仕事をしようと思ったのだが…… (タイトルは異なりますが、カクヨム投稿中の『何でも作れる元神殿技術者の冒険者にして釣り人な日々』と同じお話です。更新が追いつくまでは毎日更新、追いついた後は隔日更新となります)

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。

sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。 目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。 「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」 これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。 なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?

お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。 飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい? 自重して目立たないようにする? 無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ! お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は? 主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。 (実践出来るかどうかは別だけど)

やさしい異世界転移

みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公 神洞 優斗。 彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった! 元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……? この時の優斗は気付いていなかったのだ。 己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。 この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。

リリゼットの学園生活 〜 聖魔法?我が家では誰でも使えますよ?

あくの
ファンタジー
 15になって領地の修道院から王立ディアーヌ学園、通称『学園』に通うことになったリリゼット。 加護細工の家系のドルバック伯爵家の娘として他家の令嬢達と交流開始するも世間知らずのリリゼットは令嬢との会話についていけない。 また姉と婚約者の破天荒な行動からリリゼットも同じなのかと学園の男子生徒が近寄ってくる。 長女気質のダンテス公爵家の長女リーゼはそんなリリゼットの危うさを危惧しており…。 リリゼットは楽しい学園生活を全うできるのか?!

異世界でお取り寄せ生活

マーチ・メイ
ファンタジー
異世界の魔力不足を補うため、年に数人が魔法を貰い渡り人として渡っていく、そんな世界である日、日本で普通に働いていた橋沼桜が選ばれた。 突然のことに驚く桜だったが、魔法を貰えると知りすぐさま快諾。 貰った魔法は、昔食べて美味しかったチョコレートをまた食べたいがためのお取り寄せ魔法。 意気揚々と異世界へ旅立ち、そして桜の異世界生活が始まる。 貰った魔法を満喫しつつ、異世界で知り合った人達と緩く、のんびりと異世界生活を楽しんでいたら、取り寄せ魔法でとんでもないことが起こり……!? そんな感じの話です。  のんびり緩い話が好きな人向け、恋愛要素は皆無です。 ※小説家になろう、カクヨムでも同時掲載しております。

異世界に召喚されたけど、聖女じゃないから用はない? それじゃあ、好き勝手させてもらいます!

明衣令央
ファンタジー
 糸井織絵は、ある日、オブルリヒト王国が行った聖女召喚の儀に巻き込まれ、異世界ルリアルークへと飛ばされてしまう。  一緒に召喚された、若く美しい女が聖女――織絵は召喚の儀に巻き込まれた年増の豚女として不遇な扱いを受けたが、元スマホケースのハリネズミのぬいぐるみであるサーチートと共に、オブルリヒト王女ユリアナに保護され、聖女の力を開花させる。  だが、オブルリヒト王国の王子ジュニアスは、追い出した織絵にも聖女の可能性があるとして、織絵を連れ戻しに来た。  そして、異世界転移状態から正式に異世界転生した織絵は、若く美しい姿へと生まれ変わる。  この物語は、聖女召喚の儀に巻き込まれ、異世界転移後、新たに転生した一人の元おばさんの聖女が、相棒の元スマホケースのハリネズミと楽しく無双していく、恋と冒険の物語。 2022.9.7 話が少し進みましたので、内容紹介を変更しました。その都度変更していきます。

処理中です...