あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~

深楽朱夜

文字の大きさ
上 下
218 / 867
第7部 異世界帰りの魔王様はチートで無双したりしなかったり~サラリーマンの1から始める異世界ビジネスプラン~

STAGE.1ー7 悪夢と討伐

しおりを挟む
『そなたが共生眼を発現させた者か』
思い出したくもない悪夢がぞろりと眠るティスの思考に這うように訪れる、ドロドロとした感覚400年経っても何1つ忘れられない…。
『コイツは俺の後継者にする、話はそんだけ。帰るぞティス、ティータ』
謁見の間、初めて訪れた皇城を楽しむ余裕は何処にもティスには無い、共生眼…瞳の中に生き物が棲む特殊な眼、様々な能力を与え瞳に棲みつく、滅多な事で発現しない物、貴重であり希少、ゴーシュが居てくれなければティスもティータも身体が強張りその場から動くことも出来ない。
緋色の黄金の玉座に座する、龍皇国皇帝コーランダー・デスト・バーミルガー・ハゼウォン…外見は愛くるしい12、13歳程の愛らしい少年、白髪に左眼は薄い紫、右眼は赤を混ぜた紫色の中に黒い蜥蜴の様な生物が棲む異様な様相をしていた。
『ライガルお前の伴侶にしろ』
『は』
『承知致しました陛下』
玉座の両脇に控えていたニジェルガとライガル、ニジェルガがその言葉にぴくりと反応するがライガルは髪一筋乱すことなく承知した。
ゴーシュは顔を歪め、ティータは顔を青褪める、ティスは眼が滅茶苦茶に視界を変えていく、城の外、下街、森、皇都…何もかもがぐちゃぐちゃに見える左右両方が別の視界を視界を捉える、話が入ってこない。
『ふざけるな!下の者を弄ぶな!クソ』
『ゴーシュ、下がれ。この国は余の物、そして全て余の物、そこのドラゴンも余の物である、余が在り続ける限り全ては余の掌の中である』
『お前!逃げろティータ!ティス』
ふわりと皇帝…コーランダーがティスの元へと舞う、妖精とドラゴンの混血種は正に奇跡の様に美しく残酷な存在がティスの目の前で指先から己の血をティスの瞳に一滴付着する。
『うわあああ!熱いあつい!ああああああ!!うぐぅあああああ!』
眼が熱く熱く燃え盛るように苦しい耐えられない、灰色のドラゴンの姿へ戻り暴れのたうつ、ゴーシュがティスを眠らせティータが我が子の苦しみに何も出来ない自分の不甲斐なさに涙を溢した。
『すまない…ティス』
『ティス…ティス…』
いつもそこで目が覚める、眼は制御出来るようになった…起きたらライガルの伴侶になっていたそれだけだ…。

「おはよー」
「ふあー」
「おはよ」
懐記達が先に朝食の仕度をしてくれている、ひき肉を葉に包んで煮込んだロールキャベツ風ミルク煮込みにパンとご飯は好きな方で、魚のフライとサラダという組み合わせを頂く。
「おいしー」
「柔らかい!」
「おかわり…」
「俺も!」
他の面子も今日は早めに起き出し朝食を済ませ、カジノチームと皇国チームに向かい分かれた。

「ん」
「あ、ティス!」
龍皇国の下街入り口でニジェルガの遣いと待ち合わせし、討伐と干ばつの対応チームで分かれ転移魔法で連れていく算段になっているが、入り口にはティスがいて晴海が掛けよった。
「おはよ」
「ん、このトランプ他の遊び方教えて」
「いいよ!討伐と干ばつの仕事終わったらね!」
「ティスちょうどいい、ガンドを何頭か持ってきてくれ!」
「はあ?だる」
「肉を煮込むのと、皮とかは使いたいってさ」
いつの間にかティスの横にいたゴーシュに頼まれるがだるそうにそっぽを向く、そうこうしているうちにニジェルガの遣いの者達…先頭にライガル、他数名が馬に乗り向かって来る。
「ドラゴンて馬にも乗れるの?」
「龍皇国とはいえ、無闇に本来の姿になるのは良しとされていないので」 
「皆さん本日はお力を貸して頂けると陛下から伺っています、感謝します」
詠斗がナイルに尋ねるとそう答えが返り、ライガルが馬から降り丁寧に頭を下げる、詠斗達もニジェルガに千華を救出に力を借りたので気にしないで欲しいと伝えた。
「じゃ、転移魔法でいこうか」
「ティスもくるんでしょ?一緒に討伐がんばろう!」
「は?いかねー」
「お、頼むな。解体は任せろ任せろ」
「頑張ったらアイスあげるよ」
「……」
ティスも舌打ちし晴海に手を引かれ、ライガルが指揮する討伐チームに入る事になるが、周り…ライガルの侍従達は密かにざわめく。
「えと、討伐はライガルさん、ティス、ジラ、晴海くんと俺と千眼さんとお付きでいいかな?」
「干ばつは、私、ラウラス、千華様、率さんとライガル様の部下の数名で行きましょう」
「じゃ、また後で」
詠斗が討伐チームを転移魔法で連れ、率が干ばつチームを転移して連れていく…。

「だる、あーだる。あそこの先に2頭、そこの傭兵王やれよ」
「べんりなおめめねー」
「あちらに3頭いますね、私が行きます」
「私も…」
付いた早々ティスが少し先にいるガンドを2頭を共生眼で補足し、感心しているジラに行かせればライガルが別のガンドを補足し千眼が蝶を舞わせ動きを鈍らせた所をライガルの雷撃魔法で仕留める。
「んだよ、持ち帰って来いって言われたんだよ。剣で倒せ」
「承知しました」
ティスがガンドを黒焦げにしたライガルに舌打ちする、ライガルは涼しげな顔で奥の1頭を腰に携えた剣で首から一刀両断する、ガンドの悲鳴も血も溢す事なく事切れた。
「なんか、サイみたいな感じ」
「狂暴で固いけど動き鈍い感じかー」
詠斗、晴海は特にする事はないのでガンドの死体を回収する、全長3m程の大きさにサイのような体躯…聞いていたよりも固いか?という程度に見えるのは、ジラやライガルの腕故の結果だ、ライガルの部下達は数名で1頭を打撃で倒していく。
「ん、あっちに3」
「こちらには2頭ですね」
ジラが反応魔剣と聖剣を使い切り伏せ、ライガルも音も気配も無く斬り、率と晴海が死体を回収…ものの20分足らずで終わってしまった。
「これで完了です、皆さん感謝致します」
「大した事全然してないよ?」
「いえ、此処まで早く討伐が完了したのは初めてですから」
「あー終わったなら、晴海トランプしよ。早く下街に戻るぞ」
「えー」
「早すぎじゃない?あ、ライガルさんお昼一緒にどうですか?」
「いえ、私は…はい」
ライガルは表情無く断わろうとするが、兄…ニジェルガからのくれぐれも丁重にと魔王もいるし友人だと言われていたのでその言葉を飲み込んだ。
「じゃ、ナイルさん達の所にいこっか」
詠斗がにこりと笑い、転移魔法でナイル達の所へ向かった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

黒の創造召喚師

幾威空
ファンタジー
※2021/04/12 お気に入り登録数5,000を達成しました!ありがとうございます! ※2021/02/28 続編の連載を開始しました。 ■あらすじ■ 佐伯継那(さえき つぐな)16歳。彼は偶然とも奇跡的ともいえる確率と原因により死亡してしまう。しかも、神様の「手違い」によって。 そんな継那は神様から転生の権利を得、地球とは異なる異世界で第二の人生を歩む。神様からの「お詫び」にもらった(というよりぶんどった)「創造召喚魔法」というオリジナルでユニーク過ぎる魔法を引っ提げて。

異世界ソロ暮らし 田舎の家ごと山奥に転生したので、自由気ままなスローライフ始めました。

長尾 隆生
ファンタジー
【書籍情報】書籍3巻発売中ですのでよろしくお願いします。  女神様の手違いにより現世の輪廻転生から外され異世界に転生させられた田中拓海。  お詫びに貰った生産型スキル『緑の手』と『野菜の種』で異世界スローライフを目指したが、お腹が空いて、なにげなく食べた『種』の力によって女神様も予想しなかった力を知らずに手に入れてしまう。  のんびりスローライフを目指していた拓海だったが、『その地には居るはずがない魔物』に襲われた少女を助けた事でその計画の歯車は狂っていく。   ドワーフ、エルフ、獣人、人間族……そして竜族。  拓海は立ちはだかるその壁を拳一つでぶち壊し、理想のスローライフを目指すのだった。  中二心溢れる剣と魔法の世界で、徒手空拳のみで戦う男の成り上がりファンタジー開幕。 旧題:チートの種~知らない間に異世界最強になってスローライフ~

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生

野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。 普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。 そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。 そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。 そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。 うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。 いずれは王となるのも夢ではないかも!? ◇世界観的に命の価値は軽いです◇ カクヨムでも同タイトルで掲載しています。

異世界召喚?やっと社畜から抜け出せる!

アルテミス
ファンタジー
第13回ファンタジー大賞に応募しました。応援してもらえると嬉しいです。 ->最終選考まで残ったようですが、奨励賞止まりだったようです。応援ありがとうございました! ーーーー ヤンキーが勇者として召喚された。 社畜歴十五年のベテラン社畜の俺は、世界に巻き込まれてしまう。 巻き込まれたので女神様の加護はないし、チートもらった訳でもない。幸い召喚の担当をした公爵様が俺の生活の面倒を見てくれるらしいけどね。 そんな俺が異世界で女神様と崇められている”下級神”より上位の"創造神"から加護を与えられる話。 ほのぼのライフを目指してます。 設定も決めずに書き始めたのでブレブレです。気楽〜に読んでください。 6/20-22HOT1位、ファンタジー1位頂きました。有難うございます。

はずれスキル念動力(ただしレベルMAX)で無双する~手をかざすだけです。詠唱とか必殺技とかいりません。念じるだけで倒せます~

さとう
ファンタジー
10歳になると、誰もがもらえるスキル。 キネーシス公爵家の長男、エルクがもらったスキルは『念動力』……ちょっとした物を引き寄せるだけの、はずれスキルだった。 弟のロシュオは『剣聖』、妹のサリッサは『魔聖』とレアなスキルをもらい、エルクの居場所は失われてしまう。そんなある日、後継者を決めるため、ロシュオと決闘をすることになったエルク。だが……その決闘は、エルクを除いた公爵家が仕組んだ『処刑』だった。 偶然の『事故』により、エルクは生死の境をさまよう。死にかけたエルクの魂が向かったのは『生と死の狭間』という不思議な空間で、そこにいた『神様』の気まぐれにより、エルクは自分を鍛えなおすことに。 二千年という長い時間、エルクは『念動力』を鍛えまくる。 現世に戻ったエルクは、十六歳になって目を覚ました。 はずれスキル『念動力』……ただしレベルMAXの力で無双する!!

『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる

農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」 そんな言葉から始まった異世界召喚。 呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!? そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう! このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。 勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定 私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。 ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。 他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。 なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。

ペットたちと一緒に異世界へ転生!?魔法を覚えて、皆とのんびり過ごしたい。

千晶もーこ
ファンタジー
疲労で亡くなってしまった和菓。 気付いたら、異世界に転生していた。 なんと、そこには前世で飼っていた犬、猫、インコもいた!? 物語のような魔法も覚えたいけど、一番は皆で楽しくのんびり過ごすのが目標です! ※この話は小説家になろう様へも掲載しています

世界最強で始める異世界生活〜最強とは頼んだけど、災害レベルまでとは言ってない!〜

ワキヤク
ファンタジー
 その日、春埼暁人は死んだ。トラックに轢かれかけた子供を庇ったのが原因だった。  そんな彼の自己犠牲精神は世界を創造し、見守る『創造神』の心を動かす。  創造神の力で剣と魔法の世界へと転生を果たした暁人。本人の『願い』と創造神の『粋な計らい』の影響で凄まじい力を手にしたが、彼の力は世界を救うどころか世界を滅ぼしかねないものだった。  普通に歩いても地割れが起き、彼が戦おうものなら瞬く間にその場所は更地と化す。  魔法もスキルも無効化吸収し、自分のものにもできる。  まさしく『最強』としての力を得た暁人だが、等の本人からすれば手に余る力だった。  制御の難しいその力のせいで、文字通り『歩く災害』となった暁人。彼は平穏な異世界生活を送ることができるのか……。  これは、やがてその世界で最強の英雄と呼ばれる男の物語。

処理中です...