212 / 869
第7部 異世界帰りの魔王様はチートで無双したりしなかったり~サラリーマンの1から始める異世界ビジネスプラン~
STAGE.1-1 平凡なドラゴン
しおりを挟む
ティス…ティスラド・トオン・バーミルガーは至って平凡なドラゴンだった。
龍皇国の下街、アンダーグラウンドで穏やかで呑気者の父親と暮らし、この下街のゴーシュという支配者というか王というかお人好しという長い年月を生きているドラゴンの手伝いをし日々変化するこの下街をこよなく愛するドラゴンだった。
唯一特別を上げるとするならば、古代竜の子供でありゴーシュが名を与え後見人の1人に名を連ねる特別な存在、チグリスの幼馴染みだという事程度。
その気になればここの支配者にも皇国の皇帝にもなれる…がめんど臭がりに怠惰に言う事を聞かない暴君、ティスはそんなチグリスが苦手だった。
そして、今自分は此処にいる、あれだけ愛したこの下街をティスはいつまで好きで居続けられるのだろう…。
ライガル・トオン・バーミルガーは物静かなドラゴンだった。
ニジェルガの弟であり、ニジェルガの父親とバウンドランドトーカーという背中に翼を持つ狼のような生き物の群れの王の間に生まれた高貴な血統のドラゴン、普段は
皇国の北にある皇国を管理する場所のトップとして働いている。
明日は伴侶に1年振りに会う日、この日の為に仕事を調整し…ほんの瞬きする時間程しか会わないが手順は必要だ。
この歪な関係が始まって800年程になる、ライガルも変わらなければ、ティスも変わらない。
800年前から2人は変わらない、ライガルは変化を好まない明日が終わればまた1年後それでいい…。
「では、このビジネスエリアの各会議室は60分1000ログ、広さはは4人用から30人用までそれ以上の人数は魔力で拡張可能。ウォーターサーバー…水とお湯はこの魔法具で飲み放題です此処は受付、清掃で2名体制位で良いでしょう。事前予約制です」
千歳、ラジカ、懐記が説明する此処は言葉遣い物腰、気配りが出来る《ガルディア》の住民達が選ばれた。
「うん、すぐにはここは使わないからまた詳しい説明をするからね。さ、次は商業エリアに行こう」
説明をする為に通されたのは1番広い30人程が入れる大会議室、一面に外の景色が広がり円形のツンドーラの木で作られたテーブルに座り心地が重視された椅子、正面の壁半分がモニター、60分砂時計と入り口に置かれたウォーターサーバーとクリアなグラスが並び良い雰囲気だった。
ビジネスエリアは7階、商業エリアは11階に行くと大河が待っていた。
「ここは基本スタッフはいらないな、掃除等は各店舗に任せる。月10万ログ、食品は加工前の物と調味料や長期保存が効く物だけだ。それ以外はNG」
「他は借り主との契約の際に説明するから、基本ノータッチで大丈夫かな。ここは会員制にはしないけど紹介制にしようか」
長く広く取られた石畳の廊下、その両脇には屋根がある露店がズラリと並ぶ、高く取られた天井は風早の気分によって景色が変わるとの事。
従業員には詠斗からメモ帳とペンが支給されている、驚きよりも仕事がスムーズになると喜んでいる。
「ま、こんなもん。そろそろ稼働させよ」
「そうだね」
「プレオープン日決めるか」
説明を終わらせ皆でカジノタワーを出て解散する、今日以降は《ガルディア》の住民達に渡したカードで各々の職場に向かって貰う事にした。
魔力を込めれば職場に行ける、必ず複数で行動することともし第三者に奪われても機能はしない。
『マスター綴カードの管理も私にお任せ下さい』
「いいのかな?ありがとう、皆さんには安全に過ごして欲しいですからお願いしますね」
『承知しました』
という訳で風早に任せる事になった、《ガルディア》の住民達もこの異常に高度なこの世界には全く無いシステムにも順応している、疑問なども出ない、彼らなら何を起こしても不思議ではないという信用がある。
「次は3日後にオープン日きめるからーよろ」
『はい!』
懐記が伝え住民達のやる気も漲っているのが伝わる、畑へと転移して昼食を摂り龍皇国の下街に行く事にした。
「おい、ティス準備出来たか?」
「……」
「ティス?」
「……」
「こら、ティス返事をしないと。ゴーシュ様すみません、うちの子が」
「ティータのせいじゃないから」
「ほら、行くよティス。来なさい」
「……」
毎年毎年恒例のティスの行きたくない病、父親のティータが困った顔を浮かべている。
「またやってる」
「毎回毎回」
家の外では騒ぎを聞き付けた野次馬が見に来ている、何せこのアンダーグラウンドの支配者と後継者の年に一度の姿だ見物客も多い。
「こんな日になんじゃが、ゴーシュさんわしの家の半分がどっか行っちまった」
「およ、ん、ああ。ここから真っ直ぐ行った先の建物にくっついてるわ」
「おお、助かった。弟子連れていくわ。ありがとな。ティスさんも行くと良いぞ」
「おー、ありがとな」
「……」
ゴーシュがドワーフの家の場所を聞かれ答える、ドワーフに言われ渋々家から出た。
「ん、さ、行こ行こ」
ゴーシュは出てきたティスに嬉しそうに笑う、手を引いて行こうとしてこのアンダーグラウンドのお客…それも結構な人数に魔王もいるし…それに…。
「あー今日は一波乱か…何かあるなあ」
「なんだこの辺な気配?魔王に…この世界の奴じゃない気配複数に…ちっ、この感じは暴君か…」
ティスも舌打ちする、ティスの紺色の瞳に蜘蛛の糸のような模様が入り小さい蜘蛛が瞳の中で蠢いた…。
龍皇国の下街、アンダーグラウンドで穏やかで呑気者の父親と暮らし、この下街のゴーシュという支配者というか王というかお人好しという長い年月を生きているドラゴンの手伝いをし日々変化するこの下街をこよなく愛するドラゴンだった。
唯一特別を上げるとするならば、古代竜の子供でありゴーシュが名を与え後見人の1人に名を連ねる特別な存在、チグリスの幼馴染みだという事程度。
その気になればここの支配者にも皇国の皇帝にもなれる…がめんど臭がりに怠惰に言う事を聞かない暴君、ティスはそんなチグリスが苦手だった。
そして、今自分は此処にいる、あれだけ愛したこの下街をティスはいつまで好きで居続けられるのだろう…。
ライガル・トオン・バーミルガーは物静かなドラゴンだった。
ニジェルガの弟であり、ニジェルガの父親とバウンドランドトーカーという背中に翼を持つ狼のような生き物の群れの王の間に生まれた高貴な血統のドラゴン、普段は
皇国の北にある皇国を管理する場所のトップとして働いている。
明日は伴侶に1年振りに会う日、この日の為に仕事を調整し…ほんの瞬きする時間程しか会わないが手順は必要だ。
この歪な関係が始まって800年程になる、ライガルも変わらなければ、ティスも変わらない。
800年前から2人は変わらない、ライガルは変化を好まない明日が終わればまた1年後それでいい…。
「では、このビジネスエリアの各会議室は60分1000ログ、広さはは4人用から30人用までそれ以上の人数は魔力で拡張可能。ウォーターサーバー…水とお湯はこの魔法具で飲み放題です此処は受付、清掃で2名体制位で良いでしょう。事前予約制です」
千歳、ラジカ、懐記が説明する此処は言葉遣い物腰、気配りが出来る《ガルディア》の住民達が選ばれた。
「うん、すぐにはここは使わないからまた詳しい説明をするからね。さ、次は商業エリアに行こう」
説明をする為に通されたのは1番広い30人程が入れる大会議室、一面に外の景色が広がり円形のツンドーラの木で作られたテーブルに座り心地が重視された椅子、正面の壁半分がモニター、60分砂時計と入り口に置かれたウォーターサーバーとクリアなグラスが並び良い雰囲気だった。
ビジネスエリアは7階、商業エリアは11階に行くと大河が待っていた。
「ここは基本スタッフはいらないな、掃除等は各店舗に任せる。月10万ログ、食品は加工前の物と調味料や長期保存が効く物だけだ。それ以外はNG」
「他は借り主との契約の際に説明するから、基本ノータッチで大丈夫かな。ここは会員制にはしないけど紹介制にしようか」
長く広く取られた石畳の廊下、その両脇には屋根がある露店がズラリと並ぶ、高く取られた天井は風早の気分によって景色が変わるとの事。
従業員には詠斗からメモ帳とペンが支給されている、驚きよりも仕事がスムーズになると喜んでいる。
「ま、こんなもん。そろそろ稼働させよ」
「そうだね」
「プレオープン日決めるか」
説明を終わらせ皆でカジノタワーを出て解散する、今日以降は《ガルディア》の住民達に渡したカードで各々の職場に向かって貰う事にした。
魔力を込めれば職場に行ける、必ず複数で行動することともし第三者に奪われても機能はしない。
『マスター綴カードの管理も私にお任せ下さい』
「いいのかな?ありがとう、皆さんには安全に過ごして欲しいですからお願いしますね」
『承知しました』
という訳で風早に任せる事になった、《ガルディア》の住民達もこの異常に高度なこの世界には全く無いシステムにも順応している、疑問なども出ない、彼らなら何を起こしても不思議ではないという信用がある。
「次は3日後にオープン日きめるからーよろ」
『はい!』
懐記が伝え住民達のやる気も漲っているのが伝わる、畑へと転移して昼食を摂り龍皇国の下街に行く事にした。
「おい、ティス準備出来たか?」
「……」
「ティス?」
「……」
「こら、ティス返事をしないと。ゴーシュ様すみません、うちの子が」
「ティータのせいじゃないから」
「ほら、行くよティス。来なさい」
「……」
毎年毎年恒例のティスの行きたくない病、父親のティータが困った顔を浮かべている。
「またやってる」
「毎回毎回」
家の外では騒ぎを聞き付けた野次馬が見に来ている、何せこのアンダーグラウンドの支配者と後継者の年に一度の姿だ見物客も多い。
「こんな日になんじゃが、ゴーシュさんわしの家の半分がどっか行っちまった」
「およ、ん、ああ。ここから真っ直ぐ行った先の建物にくっついてるわ」
「おお、助かった。弟子連れていくわ。ありがとな。ティスさんも行くと良いぞ」
「おー、ありがとな」
「……」
ゴーシュがドワーフの家の場所を聞かれ答える、ドワーフに言われ渋々家から出た。
「ん、さ、行こ行こ」
ゴーシュは出てきたティスに嬉しそうに笑う、手を引いて行こうとしてこのアンダーグラウンドのお客…それも結構な人数に魔王もいるし…それに…。
「あー今日は一波乱か…何かあるなあ」
「なんだこの辺な気配?魔王に…この世界の奴じゃない気配複数に…ちっ、この感じは暴君か…」
ティスも舌打ちする、ティスの紺色の瞳に蜘蛛の糸のような模様が入り小さい蜘蛛が瞳の中で蠢いた…。
11
お気に入りに追加
355
あなたにおすすめの小説
異世界ソロ暮らし 田舎の家ごと山奥に転生したので、自由気ままなスローライフ始めました。
長尾 隆生
ファンタジー
【書籍情報】書籍3巻発売中ですのでよろしくお願いします。
女神様の手違いにより現世の輪廻転生から外され異世界に転生させられた田中拓海。
お詫びに貰った生産型スキル『緑の手』と『野菜の種』で異世界スローライフを目指したが、お腹が空いて、なにげなく食べた『種』の力によって女神様も予想しなかった力を知らずに手に入れてしまう。
のんびりスローライフを目指していた拓海だったが、『その地には居るはずがない魔物』に襲われた少女を助けた事でその計画の歯車は狂っていく。
ドワーフ、エルフ、獣人、人間族……そして竜族。
拓海は立ちはだかるその壁を拳一つでぶち壊し、理想のスローライフを目指すのだった。
中二心溢れる剣と魔法の世界で、徒手空拳のみで戦う男の成り上がりファンタジー開幕。
旧題:チートの種~知らない間に異世界最強になってスローライフ~

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。
黒の創造召喚師
幾威空
ファンタジー
※2021/04/12 お気に入り登録数5,000を達成しました!ありがとうございます!
※2021/02/28 続編の連載を開始しました。
■あらすじ■
佐伯継那(さえき つぐな)16歳。彼は偶然とも奇跡的ともいえる確率と原因により死亡してしまう。しかも、神様の「手違い」によって。
そんな継那は神様から転生の権利を得、地球とは異なる異世界で第二の人生を歩む。神様からの「お詫び」にもらった(というよりぶんどった)「創造召喚魔法」というオリジナルでユニーク過ぎる魔法を引っ提げて。

【ヤベェ】異世界転移したった【助けてwww】
一樹
ファンタジー
色々あって、転移後追放されてしまった主人公。
追放後に、持ち物がチート化していることに気づく。
無事、元の世界と連絡をとる事に成功する。
そして、始まったのは、どこかで見た事のある、【あるある展開】のオンパレード!
異世界転移珍道中、掲示板実況始まり始まり。
【諸注意】
以前投稿した同名の短編の連載版になります。
連載は不定期。むしろ途中で止まる可能性、エタる可能性がとても高いです。
なんでも大丈夫な方向けです。
小説の形をしていないので、読む人を選びます。
以上の内容を踏まえた上で閲覧をお願いします。
disりに見えてしまう表現があります。
以上の点から気分を害されても責任は負えません。
閲覧は自己責任でお願いします。
小説家になろう、pixivでも投稿しています。

家族で突然異世界転移!?パパは家族を守るのに必死です。
3匹の子猫
ファンタジー
社智也とその家族はある日気がつけば家ごと見知らぬ場所に転移されていた。
そこは俺の持ちうる知識からおそらく異世界だ!確かに若い頃は異世界転移や転生を願ったことはあったけど、それは守るべき家族を持った今ではない!!
こんな世界でまだ幼い子供たちを守りながら生き残るのは酷だろ…だが、俺は家族を必ず守り抜いてみせる!!
感想やご意見楽しみにしております!
尚、作中の登場人物、国名はあくまでもフィクションです。実在する国とは一切関係ありません。

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?
はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、
強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。
母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、
その少年に、突然の困難が立ちはだかる。
理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。
一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。
それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。
そんな少年の物語。

~僕の異世界冒険記~異世界冒険始めました。
破滅の女神
ファンタジー
18歳の誕生日…先月死んだ、おじぃちゃんから1冊の本が届いた。
小さい頃の思い出で1ページ目に『この本は異世界冒険記、あなたの物語です。』と書かれてるだけで後は真っ白だった本だと思い出す。
本の表紙にはドラゴンが描かれており、指輪が付属されていた。
お遊び気分で指輪をはめて本を開くと、そこには2ページ目に短い文章が書き加えられていた。
その文章とは『さぁ、あなたの物語の始まりです。』と…。
次の瞬間、僕は気を失い、異世界冒険の旅が始まったのだった…。
本作品は『カクヨム』で掲載している物を『アルファポリス』用に少しだけ修正した物となります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる