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第7部 異世界帰りの魔王様はチートで無双したりしなかったり~サラリーマンの1から始める異世界ビジネスプラン~

第2幕 第14話 開始

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「…結果を張った…これで少しはマシだ…」
「ありがとう、チグリス。吹雪すごいねー」
出た早々視界が雪に潰されそうになるが、チグリスが結果を張り吹雪を遮ってくれる、状態異常無効がなければすぐさま凍り付き死を招くような危険地帯…千歳が目の前の山というよりも鉱物のような光沢を放つ山に触れる。
《ベストレア山脈》:魔王の封印と魔神の封印そして魔神が吸収した魔力が循環され進化した山とは謂えぬもの、窪み等はなく硬い…あらゆる侵入者も許さない場所…鑑定がまともに仕事を行う、千歳はこの山を攻略する為の案を幾つか考えている先ずは…。
「うん、この山を普通に登るのは難しいね、窪みが一切ない。破壊魔法がいけるのか試してみるよ」
山全体を破壊するイメージではなく、山の表面を破壊し道もしくは階段のような物を作り登っていく作戦をまず試す、手を山に当て破壊魔法を発動する…弾かれてしまう。
「僕の魔力…力を越えている…か。次は…」
「僕の縛鎖魔法を上に伸ばし、引き上げていくプランですね」
綴が前に出て縛鎖魔法を上に向かって発動させる…鎖は上に向かず地面に広がり、うねうねと蠢いていた。
「なら時間は掛かるけれど、ナイルさん、チグリス君、率君、晴海君。頼んだよ」
『はい』
「雪魔法発動」
結果の外の雪とを制御し集約していく、魔力が無限に有るため出来る魔法に率とチグリス、ナイルの氷魔法で雪を固め梯子のような物を作り山壁に張り付ける、横長のそれは一気に詠斗達、チグリス、ナイル、千眼、ジラ、ラジカ、ラウラス、ニジェルガ、ラージュに詠斗の背中にしがみつくラピスという面子が横並びで登れる幅の物を繰り出す事に成功した。
「時間は掛かるけど足元に雪と氷の台を作って…」
「それを空魔法で浮かして落下防止にすれば」
「時間は食うが…安全だな」
「何時間かかるか分からんが、台に座って休憩を挟んで進むぞ」
「チグリスさん、結果きついなら無理しないで下さい」
「ん…」
「さ、行こう」
そこから先は単純な工程を安全に進む、途中何度か休憩を挟みひたすら晴海の雪魔法と率達の氷魔法で作り続けられる梯子を昇る。
「あ、雪が止んだ…」
「頂上か…」
「約6時間か…疲労感はないけどね疲れたかもね、晴海君達お疲れ様」
「頂上に向かう前に装備を整えるぞ!」
『ああ!』
ジラ達が収納袋から各自装備を整えていく、ナイル、チグリス、ラウラスも大河から《天空ダンジョン》のドロップ品の中から武器を選んで貰う。
「ん…これ」
「私はこれにします」
「俺はこれにしますー」
チグリスは魔剣、ナイルは聖剣、ラウラスは飛び道具のナイフ一式を収納袋に入れた。
「こちらも完了した」
ラージュも剣を携え使い慣れた鎧、ニジェルガとジラは剣を携え頂きに降り立つ。
「ここから先は…魔王が踏み込めば魔神が目覚め襲い来る…」
「その間にラピスや千眼と千歳さんで…封印を、すまないなニアと第9魔王は…」
「良い…危険すぎる」
大河が千眼を見つめる、魔王に襲い来る魔神をジラ達で足止めしその間に封印の解除という流れだ。
ニア達も最後まで来ると言っていたが神々からも格好の的になると止められカタン達と共に留守番に回る事になった。
「行こうか…ここからが本番だ」
『はい!』

マオウノシンニュウヲカクニンジョレツダイサンイトダイヨンイヲタダチニハイジョセヨ…
《ベストレア山脈》頂上の洞窟の最奥、千華の魔王が施した魔神…アシュア・デイル・アストリガーの封印が解ける、少年の姿をした魔神が目覚めた…。

「起きた…あの洞窟に入れば来る」
「あの洞窟では、暴れるには少々窮屈ですね。入った瞬間にフィールドを戦い易い場に変更しましょう、以前入手したアイテムを使います、油断しないように」
千眼とラジカが早口に伝え、全員頷いてジラを先頭に中へと入る。

「ジョレツサンイトヨンイノマオウトハンテイハイジョスル」
洞窟の中は鍾乳洞の様な突起物に囲まれ、アシュアと水晶の様な鉱物に封じられた千華の魔王、ラジカが懐から出したアイテム虹色に輝く掌サイズの玉に魔力を込めてアイテムを発動させる。
「それは…妖精国のだぞ!」
「細かい事は言いっこなしですよ、これで暴れ易くなりますね。ジラさん達に後は頼んで千華の魔王の所に皆さん行きましょう」
洞窟が広大な青い空が広がる場に変わっていく、ラピスがそのアイテムを指して声を出すが大河が連れて走り出す、ラジカは詠斗達を連れて千華の元へ走り出した。
「おっと、アンタはこっちだ!」
アシュアが千眼と千歳に目を向けるがジラが1撃目を入れるが、闇色に鈍く輝くアシュアの剣が軽くそれを弾く。
「傭兵王の一撃を軽く払うか、ではこちらはどうだ」
ニジェルガが雷魔法を乗せた一閃を放つがアシュアの持つ剣が雷を喰らう、すかさずラージュが背後から剣を振りかざしそれも紙一重で交わされ、ラウラスが離れた場所から魔力を乗せたナイフを十数本放つが薙ぎ払われた。
「一発目でこれか、化け物だな」
「死角が無い…」
「本気でも無いな、魔法ダメージは無効か…」
ジラ、ラージュ、二ジェルガが並びアシュアから距離を取る、再び3人が目を合わせ散り3方向からの攻撃、チグリスは足を狙い、ナイルも陽動として一撃放つ、アシュアの右手にの剣が3撃受け切り左手から生み出される魔法がナイルとチグリスの攻撃を防御する。
「向こうもこちらの実力を伺っていますね」
「多勢に無勢で申し訳ないすけど、こちらは勝つのが目的じゃないですからねー」
「あの剣の吸収できない以上の魔力をぶつける…」
チグリスが魔剣にチグリスが持つ属性全ての魔法を乗せぶん投げた…アシュアは剣でその剣を薙ぎ払おう接触した瞬間凄まじい音と爆発が起き、豪風が吹き荒れた。
「何してんだよ!チグリス!」
「チグリス…無茶苦茶をするな…」
「これはやばい…」
「チグリス…」
「あちゃー」
「結界を張った…問題ない」
『ある』
「ほーらあちあらさん、ちゃんと無事だぞーって剣が壊れたかよし」
「ほらな…」
チグリスの無茶苦茶により、アシュアの剣が折れたのを好機とみなしジラが再度接近を試みる、それにラージュと二ジェルガも続いた。
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