あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~

深楽朱夜

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第7部 異世界帰りの魔王様はチートで無双したりしなかったり~サラリーマンの1から始める異世界ビジネスプラン~

第2幕 第1話

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《ベストレア山脈》…ありとあらゆる生物を拒む高い山、頂上は遥か彼方白く雪積もるそれは王たる風格を備え聳え立つ、通称《魔王の墓標》の頂上の洞穴の奥深く…水晶のような鉱物に封印されし序列第2位千華の魔王とかつて自らの身を持って魔王を封印したとされる《ロメンスギル》の王族の少年も共に水晶の中に存在している。
その水晶の前には禍々しい闇色に輝く剣が地面に突き立てられ、封印を守り助けを排除しようとしているかのように在る。
見る者が見れば奇跡のように美しく、見る者が見れば神々しくも禍々しく、見る者が見ればやはりそこは墓標とされる凍てつく場所にて真実を闇の水底に葬られた魔王と少年は沈黙していた…。

  第2幕 魔神戦線 始動 第1話 千華の白い花


「あの赤ちゃん、ベルン達から離れないから魔王くんとエルダがカタンの家に行っちゃたねー」
詠斗が食後のお茶を啜りながら先ほどの光景を思い出す、赤ん坊は孤児院に預ける事にしベルンから預かろうとした所何かを察知したのか大泣きしベルンから離れなくなってしまい、ベルンとカタンが面倒を見ると言ってくれたので魔王の少年達もお手伝いとして暫くカタンの所で過ごす事にした。
「後で様子を見に行来ますね」
「僕も行きます!」
綴と率が様子を見に行く事にし、一先ず赤ん坊の件は落ち着き千眼が口を開いた。
「主達…話しを聞いて欲しい…現在この場所には魔王が4体いる…だがニア…序列第1位の魔王は弱体化し…第9位の魔王も弱体化の為本来の力が使えない状況の上で神聖王国にいる魔王の状況も不明…そこで先に第2位の千華の魔王を奪還したい…力を貸して欲しい…」
「もちろん!一緒に助けに行こう」
「こちらはそれを待っていた」
「はい!千眼さん、皆で助けに行きましょう!」
「僕に出来る事は何でもしますよ、絶対に助けましょう」
「俺も!千眼さんたちの大切な人を助けるよ!」
「んー、千ちゃん達の家族助けて皆でうまい飯くうか」
「何が来ても、何が起きても、皆となら千華さんを救える」
「ああ…」
詠斗達は力強く笑う全員がこの面子なら救えると信じている、ジラ達もナイル達も勿論異論は無い。
「詳しくは明日話し合おう、先ずは寝て頭を整理してからだ。明日は住民を転移したらここへ戻って来てくれ」
「店は休みですね、移動販売もお休みにしましょう」
大河が切り出し綴が明日の予定をざっくり決めて、皆各々の細かい雑務を片付けテントで眠りに就いた。

穂高 千歳は人…この世界《アタラクシア》の人が酷く恋しかったのを自覚している、だからまあ、チグリスの布団に潜り込んで寝ている(動かないしひんやりしているからでもある)元々は懐記位短時間の睡眠で生活していた。
たがこの世界では良く眠れる、誰にも言った事は無いが千歳は夢を見た事が無い、夢は起きればすぐ忘れる物だが千歳は本当に1度も夢を見た事がない、目を閉じ眠れば最初から最後まで闇しかない、そんな彼も生まれて初めて夢を見る。
「はじめまして、序列第2位の千華の魔王」
「会えて嬉しいです、おかえりなさい」
既に彼は用意された白い椅子に座り千歳もまた椅子に座る、白と銀と黄金で彩られた千華の魔王は美しく、可憐で華やかな印象を受け千歳は千眼とは対象的だと思った。
「貴方を救いたい…のですが」
「……このままにしておくというのは…」
「それ嫌ですよ、僕は魔王全て等しく愛していますから。魔王全員それこそ敵かもしれない子でも笑っていて欲しいですよ」
「愛ですか…」
「ええ、そこに魔神がいようとも…ね。詠斗君達と皆で貴方を迎えに行きますよ」
「………ならば1つ《ロメンスギル》城に…」
「なるほど」
「選択を間違えないように…どうか…」
そして千華の魔王は消えていく、彼は助けて欲しいとは決して言わない千眼はそれが哀しいのだろう、千歳は助けたいから助けるだけだと再び闇の眠りへと戻った…。

「おはよう」
「千歳さん!千華様の花が咲きましたよ!」
テントからチグリスと大河と畑に出ればナイルが興奮した様子で3人に駆け寄る、子供の様に無邪気で可愛らしいナイルに手を引かれ畑の花壇に向かえば可憐な白い彼の魔王を思い出させる花が咲いていた。
「ああ…可愛らしい花だね」
「はい!私も千華様の奪還に尽力を尽くします」
「皆で協力すれば取り戻せるさ、朝食はまだ食べていないかな?行こうか」
「はい」
嬉しそうに笑うナイルに優しく微笑む千歳、懐記達が用意してくれたスープとサンドイッチとサラダに蒸した肉のフルーツソース掛けを食べながら、《ガルディア》に向かった詠斗達とベルンの所に向かった綴を待った。

「大変でしたよ、カラクさんか赤ちゃんを見て『カタンとベルンから赤ちゃんが産まれたー』って今はカラクさんもお世話しているのでエルダ君達と戻りました」
「親馬鹿なカラクの言いそうな事だ…おかわり…」
「ん、肉サンドな」
「ただいま!」
「ただいまー」
詠斗達も戻り朝食が終われば、千眼が用意したお茶を手元に置き『千華の魔王奪還作戦』の会議へと移る。
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