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第7部 異世界帰りの魔王様はチートで無双したりしなかったり~サラリーマンの1から始める異世界ビジネスプラン~

6 壁

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「この魔石を砕いて…僕の砂魔法に混ぜて」
「水魔法で固めて…何か黒い土…かっこいい!」
「火魔法で焼き付けて、板状態にするか」
「お、いいじゃん。適当に模様も焼き付けて」
「完璧ですね!後は風魔法で地面に嵌めて込んで」
わいわいと詠斗達総出で薄い4m程の波状の模様が焼き付いた壁をどんどん地面に嵌め込んでいく、円形に壁を固めた其処は正しく要塞とも言うべき街が出来上がった。
「次はカジノの土地だね」
「いいんじゃない、壁ができたら1回建物出したいんだけど」
「楽しみ!」
カジノの土地にに移動し土地周辺を先ほどの容量で囲み、そのタイミングで食事を終えた晴海が壁を見て首を傾げた。
「?入り口どこ?」
『あ』
「ふふ、大丈夫。晴海君名刺サイズの紙のカードを住民の皆分作ってくれるかい?それに魔鉄を混ぜればどの壁からでも入れるから」
「わかった!」
「なるほど、それで入る人間を限定するんですね」
「カードキー代わりにね、フォークナーさん達にも渡せば自由に入れるから。入る人間を限定させたい訳ではなく、嫌がらせなどの対応措置だから、この壁なら火も防げるからね」
「ひと休みしましょうか」
綴の一声で千眼がお茶の準備を始める、今日のお茶菓子はプリンだった。
「わ!プリンだ!」
「ナイルっち達と作ってみた、カラメルはないけど食べてみて」
「千歳さん、はいカード!俺のアイスもあるよ!みんなで作った」
「ありがとう、ひと休みしたら皆に配ろうか」
プリンに舌鼓を打ち、甘さ控えめのシンプルなプリンは何処か懐かしい味がした…。

「本当、アンタらすげえわ」
プリンを食べながらランダが心の底からそう思っている、驚きながら本当に彼らについて良かったと思う、我ながらいい判断だ。
「皆でやるからすごいんだ」
大河が熱いお茶を飲み、昔母親が作ってくれたプリンの味を思い出し少し笑う。
「じゃ、俺は出すわ」
「ああ」
懐記が立ち上がりカジノの土地の中心よりやや左に小さい模型のような建物をし魔力を注げば遥か高い建物というかビルが瞬く間に聳え立つ。
「なんだこりゃ!」
「どうした!?」
「すげー」
「なにこれ!城!」
貧民街の住民達の驚きの声が上がる、見上げても近くからでは上を見ても終わりは見えない。
「中々、これからここが職場だから皆入って」
「わービルだー」
「こちらの世界に高い建物は無いからより高く感じますね」
「すごいの出来たね!」
「早くはいりましょう!」
「中を見てよりイメージを固めたいな」
「ほら、入るぞ」
懐記、晴海、綴、詠斗、率、千歳、大河に続きチグリス、ジラやラジカに抱えられたフルーフ、リプも入る。
ランダや住民達も戸惑いとりあえず身体の汚れを払い後に続く、中に何があるか住民達の誰もが想像できなかった。

「入り口に噴水があると気分があがるね!」
「天井のシャンデリアも素敵です」
「豪華な感じを出してみた、入り口だしー」
「な、なんだこりゃ」
「入り口、エントランスかな。うん、高級感あっていいね」
「そーそー、でもまだ噴水豪華にするわ。じゃ、まだカジノスペース出来てないし、住居スペースにいこ」
「エレベーターはこっちだな」
自動で開く扉の中にはまばゆい高い天井に付けられたシャンデリアとまだ水は出ていないが噴水が出迎えてくれる、左右両方の壁にはエレベーターが二基ずつあり、詠斗達が分散して皆を連れて行く。
動く階段…エスカレーターも左右にあり2階へと続いている、皆の口は開きっぱなしだがエレベーターもまた驚きの連続だった。

「嘘だろ…空を昇ってるぞ」
「地面がもうあんなに遠い」
「こわいーけどすごいー」
「なんかぞわぞわする」
自動で開く扉と階数が表示されたボタン、押せば扉が締まりエレベーターが昇っていく。
ガラス張りのエレベーターの外側は景色が良く見える、住民達は興奮したり戦々恐々としたり祈ったりとしているが、すぐに住居エリア25階に着いた。
「ま、試しに1部屋開けるから」
エレベーターが開くと円形のエリアに等間隔に扉が設置され、懐記がドア隣の板にカードをタッチさせる、人数がいる為分散して部屋を見せる事にした。
「使い方は今住んでる家とおんなじ、高い場所にあるだけ」
扉を開けると彼らにとってそこは異世界でした、目の前には景色が望める広い窓、入り口ドア横には脱衣場の洗面台と風呂、風呂の反対側にはトイレ。
廊下の扉を開ければミニキッチンとテーブル、その奥には備え付けのベッドとクローゼットがあり、オーソドックスな2DKを意識した造りの部屋を作った(楽しかったby懐記、千眼、大河、綴)
「まだ完成じゃないからな、出来たらカードキーを…」
『まった!!!』(住民一同)
「ん?」
「あーいや、そのーまあなんだな」
「えーはい気持ちは嬉しいです」
「いやーこんな高い所…」
「素敵な部屋ですけどー今の家もすごく気に入ってるからー」
「そうだよ!今のあの家最高だ!」
「だから」
『今の家でいいです!』(住民一同)
「そうなの?」
「んー本当?」
『はい!』(住民一同)
懐記的には嬉しい祖父母の残した家だ、懐記も大切だし愛着もある、皆がそう言ってくれるのも嬉しい。
「懐記君、それなら今のままでいいんじゃないかな。ここはホテルに使うかまた誰かに住んで貰うとしようか」
「んーオーケー」
千歳が懐記の肩に手を置き、ランダ含む皆はホット胸を撫で下ろす。
地に足を着いていたい、千歳がくれた家は今はもう住民達の大切な宝だ、無くてはならない物なのだ。
「じゃ、戻ろうか」
『はーい』
詠斗の掛け声でエレベーターに皆乗り込む、地上に着いて懐記が魔力でまた縮小させ収納にしまう、後は微調整と必要な物を足して行けば完成となる。
「な、何事ですか!」
フォークナーや冒険者ギルドが総出で壁の外で驚愕している彼らへの説明に追われ羽目になった、壁や巨大な建造物がいきなり出現し消えれば誰しも驚くのは当たり前だ。
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