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第6部 移動は常にマイホームと共に 渡る世間は家さえあればなんとかなる

27 宴会!

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「このホーライルホーラスは君の絵から出てきたのか…」
「は、はい!」
ラージュがホーライルホーラスを見つめアシューに尋ねる、アシューもホーライルホーラスの方を見つめる。
「見事なものだ…ホーライルホーラス、とうの過去に種を終わらせた者達よ」
2人の背後でニジェルガもまた嘗ての彼らの姿に思い馳せる、ラージュは一歩下がりホーライルホーラスもまた深く頭を垂れた。
「邪魔をしたか」
「いえ…」
ラージュとニジェルガの視線が重なる、ラージュは内心穏やかではないまさか此処で逢うとは、この世界に現在一頭しか存在しない紅黄金竜…龍皇国皇帝…偶然が重なり偶々玉座に就いた自分とは訳が違う存在、生きた伝説が目の前にいる。
「もて余すようならば余の国で預かろうと考えたが…これをそなたに。何かあればこれを見せよ事は容易い」
ニジェルガが服に付けていた黄金のドラゴンを型どったボタンを1つアシューに渡す、アシューは受け取ったボタンとニジェルガの顔を交互に見て自分が産み出したホーライルホーラスを最後に見て頷いた。
「あ、ありがとうございます!お、俺この子の親としてこの子を守ります」
「ああ…邪魔をしたな。カタン、ベルン、余は大河達の元に行く、楽しむと良い」
「はーい」
「は、はい」
ニジェルガがその場を去り妙な緊張感が解け、子供達もワイワイと殺していた声を上げる。
「アシュー君だったな」
「は、はい!」
「1つ頼みがある」
「お、俺に出来る事なら…」
「良ければ俺に晴海の紙で馬を描いてくれないか?」
「え?でも…」
「先の戦で愛馬を亡くしてね、もう自分の馬を持とうとは思わなかったんだが、君の描いた物があまりに見事な物だから…」
ラージュの目がホーライルホーラスを見て思い出に浸る
、アシューはその目にこの人なら大切にしてくるだろうと確信する、一国の王の願いとしてではなく1人の人の願いとしてアシューは受ける事に決めた。
「はい!描きます!カッコいい馬を!」
「ありがとう、いつでも良い。報酬は…楽しみにしていてくれ」
「わかりました!」
そう伝え気を周囲にも遣わせないようにその場を立ち去る、戦で失った愛馬は3人目の婚約者が贈ってくれた馬だった。
『ラージュ様…この子と共にお戻り下さい…』
国を治める王としてはどうか分からないが、ラージュ個人として手元に残った物は少なかった。

「エイトさんたちのお陰でうちの支店の売り上げがとてもいいです!ナップサックのお陰で雇用も仕事も《ガルディア》からの助っ人の方々もとても熱心です!」
エッジが熱く語る、ズィーガーやゴーテン、フォークナーも同意する、ユナイドはクスリと笑う。
「ええ、私の支店が最も売り上げが上昇してましたね」
「そうだな、噂が呼び水となり他の支店も売り上げが上がっている。これを機に通信機能にもっと予算を組み支店と情報の交換を積極的に行う」
「それは良いことですね!」
「おや、宴の準備が出来たようですね」
「仕事の話しはここまでにして我々も楽しむとしよう」
『はい』

「パンもパティもできましたー、今から宴会始めます!飲んで食べて親睦を深めてくださいーカンパイ!」
『カ、カンパイ?』
「あ、カンパイはコップとコップをならして宴会わ始める合図みたいな物です!」
詠斗と綴がコップをカチリと鳴らし合う、周囲もそれに倣いカチリと鳴らし合う。
ニジェルガはラージュにコップを向ける、ラージュは一瞬驚いた顔をしたが笑ってコップを鳴らした、アシューやライル達ともカンパイして宴を堪能する。

「酒じゃー」
「のむじょー」
「ほら」
大河がビールを大量に渡す小躍りしながらドワーフ達は飲み食いし、ラウラスはバルタルやカイネ達と料理の話しで盛り上がる。
子供達は沢山食べて、《ガルディア》の人々も《トイタナ》の住人達と、交流を深めている。
「まだまだあるから」
詠斗達は飲み物やポップコーンに揚げ物を次から次へと揚げていく、人数が多い分無く勢いも早い。
ドラゴン達も手伝いをし、世話しないながらも各々楽しんでいる。

「作ったし、食べたし」
「みんな、そろそろお開きです。《ガルディア》の人達は俺の所へ」
「ユナイドさん達は僕が送ります」
「エッジさん達は僕が」
「俺と晴海っちはもどるよー」
「ああ」
皆口々に詠斗達に礼を伝え、それぞれの場所へと戻っていった。

「遅いお帰りで陛下」
「ラファラル…」
龍皇国皇城、ニジェルガの寝所、宴から戻り湯浴みを行い戻れば天蓋の豪奢なベッドの上には薄い緑色の髪に薄い黄色の瞳の青年が寝転んでいた。
「どうしたんですか?複雑そうな顔をして」
「いたぞ、お前が予言した余の伴侶」
「へえ、綺麗な方でした?」
「ああ」
「良かったじゃないですか、おめでとうごさいますー」
「…相手は王だったぞ」
「へえ?」
ニジェルガがベッドに腰掛け、宴で出逢ったホワイトゴールドの髪とシャンパンゴールドの瞳のラージュを思い浮かべた。
「陛下の伴侶ならまあ、一国の王位ふつうでしょ?」
「色々な種族の血を持ち、呪いを受けていてもか?」
「へえ?呪いなら解けるでしょ?」
「…寝る、出ろ」
「はいはい、おやすみなさいー」
ラファラルが寝所から出て行く、この国最高峰の実力を誇るニジェルガには警備や守りが必要ない、さてどう動こうかと考えながら眠りに就いた。
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