あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~

深楽朱夜

文字の大きさ
上 下
167 / 869
第6部 移動は常にマイホームと共に 渡る世間は家さえあればなんとかなる

23 休憩

しおりを挟む
「晴海くん」
「あ、大河さん、どうしたの?」
「紙魔法で紙を出してくれないか?《ガルディア》で絵が上手い子がいたからあげようと思う」
「え?そうたんだ。分かった!」
《ズィーガー商会》の一階の広い場所でゴーテン達が《ガルディア》の住人や、《トイタナ》の所謂主婦層や老人に縫い方を指導していた。
晴海も受けながら皆と作業していると、大河に呼ばれ紙を100枚程大きさ様々な真っ白い紙を生成して渡した。
「ありがとう」
「後で俺にも見せてね」
「ああ、もちろん。後で」
そう言って晴海に見送られ、再び《ガルディア》に戻った。

「お、戻ってきたか」
ランダ達が畑を耕しハル達がせっせと土を混ぜ、苗や種を植えていく、詠斗の肥料や土も混ぜて作る畑はもう昨日植えた種が芽を出しサウが水魔法で水を降らせていく、皆の畑だから皆で作っていこうと言うのが詠斗の考え、土や種や手伝いはするが基本は自分たちで行って貰うように伝えている。
「サウ、アシュー。来てくれ、絵と木彫りの礼だ。使ってくれ」
サウには日本の彫刻刀に小刀、粘土をショルダーバッグに入れて渡してやる。
アシューにも、鉛筆と色鉛筆に鉛筆削り消しゴム、水彩絵の具をショルダーバッグに入れて渡す、画板にスケッチブックと晴海の紙は半分をサウに残りはアシューに手渡した。
「無くなったらまた渡すから自由に使うと良い、水彩絵の具は色を塗りたい絵が完成したら使い方を教える」
「こ、こんな…道具見たこともない…」
「俺も…このナイフすごく小さい…どんな細かい物も彫れそう…」
「お前ら良いもん貰ったな!よし!今日は畑仕事は無しで、それ使ってなんか作れ!」
遣り取りをみていたランダが2人の肩をバンと叩いて豪快な笑みを浮かべる、アシューとサウは互いに顔を見合せ頷き合い元気に返事をして駆けていった。
「じゃ、飯までやるか!」
「ああ…」
大河が2人を見送り他の面子と畑仕事に勤しむ、どんな作品に出会えるか楽しみだった。

「みんな、お疲れ」
「お茶のんでって」
「アンタ達のお陰で作る量も増えたし、売り上げも上がってるありがとうね!」
「はい、《ガルディア》の人達は一休憩済んだら今日の給料受け取って下さい。午後の授業受ける人達はゆっくりしてて下さいね。戻る人は皆さんに給料渡した後で僕が送りますから」
ナットやナティ達が《ガルディア》の住人に礼を言う、皆恥ずかしそうに嬉しそうにしている。
綴から給料を受け取った幾人かは、外にいるベルンに牛乳を売って貰って飲んだりとのんびり過ごしている。
「明日はお店がお休みですから、皆さんもゆっくり休んで下さいね」
「その事なんだが綴さん…皆がパンやナティの作り方教えて欲しいみたいなんだ」
「《ガルディア》でもうりたいんだって!」
「明日休みだから、教えたいんだが構わないか?」
「ええ、もちろん!…そうだ少し待って下さい」
打ち解けて来ているようで喜ばしいと綴は早速大河に連絡して、貴族屋敷の厨房を使えるか確認する。
「あ、大河さん?お店の皆さんが…《ガルディア》の方達にパンやナティの作り方を明日教えたいそうで…はい…貴族屋敷の厨房を使えます?…分かりました、はい。明日希望者の皆さんと貴族屋敷の厨房を使って行いましょう。孤児院の子供達も一緒で構いませんか?」
「おう!もちろん!」
「楽しみね!」
「わーい」
「道具類はこちらで運びますから、明日は貴族屋敷前に集合して下さい」
『はーい』
《ガルディア》の人達も嬉しそうだ益々移動販売車の作成にも力が入る、綴は笑ってそんな光景を眺めた。

「明日は貴族屋敷でパンとナティなんかの教室か、ラウラスに声を掛けておくか、懐記くんにも聞いて…それ以外は明日は休みにするか。孤児院の子供達や先生に声を掛けるように、カイネとバルタルにラインして…グループラインで…」
畑仕事が終わり皆で炊き出しの肉串や魚串にスープ、小麦粉を水とミルクで溶いて干した果物を沢山入れて焼いた物を皆で食べながら大河は色々と明日の連絡を行う、率も炊き出しに加わり忙しく立ち回っていた。
ランダに明日の件を伝え希望者を募り、それ以外は明日は休みと伝えて貰った。
明日の食事は今日の給料で好きに食べるように、もしくはランダに渡した収納袋の食料を食べて貰う事にした。
「面白そうだな!俺もいくぞ!」
「大人数になりそうですね!」
率の言葉に大河は頷き大半は行くことになりそうなので、また歓迎会になりそうだと追加のメッセージを送った。

「なら、またズィーガーさん達も誘ってバーベキューにしませんか?」
詠斗は《エットナ》の工房の外でパンや肉串やら食べながら、晴海とスマホを見ていた。
《ガルディア》の住人達も工房の人達と食事をして打ち解けつつある、給料も支払い後はゆっくりして教室に行く住人と戻る住人に分かれる。
「なら、エッジさん達も誘う?」
「お、いいね!なら買い物してカークとエンフから肉沢山貰おう!」
「うん!」      
食事を終わりにして明日の希望者を募ればなんと全員、詠斗と晴海はこの後《クイナト》で色々買い込む事に決めた。

「明日はパンとナティの教室ね。まだこの世界のちゃんとした飯って食ってないし行くか」
「俺も行きます!」
「千ちゃんとナイルっちは?」
「…私は人が多い所は好まない…」
「私は人が怖いので…その代わりお菓子作ります。ドーナツとクッキー焼きますね」
昼食にカレーを4人で食べ、神々にも先にカレーを備えまだまだグツグツといくつもの大鍋でカレーを煮込む、カレーの匂いが広がり何事かとモギ達も見に来るのでミルクを貰ってカレーに入れている。
「俺も手伝うわ」
カレーはラウラスに任せドーナツの支度に取り掛かる、千眼が小豆で粒あんを作ったのでドーナツに入れてみる事にした。
「小豆…奥が深い…」
「何年も修行して和菓子職人と呼ばれるプロがいる位だからな。あんこの扱いは難しい」
「なるほど…」
「飯沢山炊いとかないとな、ドーナツ作りながらまだまだ炊くー」
『はい』 
さて、明日は何を用意しようかと懐記は考えながら米を研ぐ、研ぎ汁は畑に撒くようきゅうに頼んでドーナツの準備を行った。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界ソロ暮らし 田舎の家ごと山奥に転生したので、自由気ままなスローライフ始めました。

長尾 隆生
ファンタジー
【書籍情報】書籍3巻発売中ですのでよろしくお願いします。  女神様の手違いにより現世の輪廻転生から外され異世界に転生させられた田中拓海。  お詫びに貰った生産型スキル『緑の手』と『野菜の種』で異世界スローライフを目指したが、お腹が空いて、なにげなく食べた『種』の力によって女神様も予想しなかった力を知らずに手に入れてしまう。  のんびりスローライフを目指していた拓海だったが、『その地には居るはずがない魔物』に襲われた少女を助けた事でその計画の歯車は狂っていく。   ドワーフ、エルフ、獣人、人間族……そして竜族。  拓海は立ちはだかるその壁を拳一つでぶち壊し、理想のスローライフを目指すのだった。  中二心溢れる剣と魔法の世界で、徒手空拳のみで戦う男の成り上がりファンタジー開幕。 旧題:チートの種~知らない間に異世界最強になってスローライフ~

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います

霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。 得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。 しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。 傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。 基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。 が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

黒の創造召喚師

幾威空
ファンタジー
※2021/04/12 お気に入り登録数5,000を達成しました!ありがとうございます! ※2021/02/28 続編の連載を開始しました。 ■あらすじ■ 佐伯継那(さえき つぐな)16歳。彼は偶然とも奇跡的ともいえる確率と原因により死亡してしまう。しかも、神様の「手違い」によって。 そんな継那は神様から転生の権利を得、地球とは異なる異世界で第二の人生を歩む。神様からの「お詫び」にもらった(というよりぶんどった)「創造召喚魔法」というオリジナルでユニーク過ぎる魔法を引っ提げて。

【ヤベェ】異世界転移したった【助けてwww】

一樹
ファンタジー
色々あって、転移後追放されてしまった主人公。 追放後に、持ち物がチート化していることに気づく。 無事、元の世界と連絡をとる事に成功する。 そして、始まったのは、どこかで見た事のある、【あるある展開】のオンパレード! 異世界転移珍道中、掲示板実況始まり始まり。 【諸注意】 以前投稿した同名の短編の連載版になります。 連載は不定期。むしろ途中で止まる可能性、エタる可能性がとても高いです。 なんでも大丈夫な方向けです。 小説の形をしていないので、読む人を選びます。 以上の内容を踏まえた上で閲覧をお願いします。 disりに見えてしまう表現があります。 以上の点から気分を害されても責任は負えません。 閲覧は自己責任でお願いします。 小説家になろう、pixivでも投稿しています。

家族で突然異世界転移!?パパは家族を守るのに必死です。

3匹の子猫
ファンタジー
社智也とその家族はある日気がつけば家ごと見知らぬ場所に転移されていた。 そこは俺の持ちうる知識からおそらく異世界だ!確かに若い頃は異世界転移や転生を願ったことはあったけど、それは守るべき家族を持った今ではない!! こんな世界でまだ幼い子供たちを守りながら生き残るのは酷だろ…だが、俺は家族を必ず守り抜いてみせる!! 感想やご意見楽しみにしております! 尚、作中の登場人物、国名はあくまでもフィクションです。実在する国とは一切関係ありません。

【書籍化決定】俗世から離れてのんびり暮らしていたおっさんなのに、俺が書の守護者って何かの間違いじゃないですか?

歩く魚
ファンタジー
幼い頃に迫害され、一人孤独に山で暮らすようになったジオ・プライム。 それから数十年が経ち、気づけば38歳。 のんびりとした生活はこの上ない幸せで満たされていた。 しかしーー 「も、もう一度聞いて良いですか? ジオ・プライムさん、あなたはこの死の山に二十五年間も住んでいるんですか?」 突然の来訪者によると、この山は人間が住める山ではなく、彼は世間では「書の守護者」と呼ばれ都市伝説のような存在になっていた。 これは、自分のことを弱いと勘違いしているダジャレ好きのおっさんが、人々を導き、温かさを思い出す物語。 ※書籍化のため更新をストップします。

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?

はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、 強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。 母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、 その少年に、突然の困難が立ちはだかる。 理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。 一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。 それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。 そんな少年の物語。

~僕の異世界冒険記~異世界冒険始めました。

破滅の女神
ファンタジー
18歳の誕生日…先月死んだ、おじぃちゃんから1冊の本が届いた。 小さい頃の思い出で1ページ目に『この本は異世界冒険記、あなたの物語です。』と書かれてるだけで後は真っ白だった本だと思い出す。 本の表紙にはドラゴンが描かれており、指輪が付属されていた。 お遊び気分で指輪をはめて本を開くと、そこには2ページ目に短い文章が書き加えられていた。 その文章とは『さぁ、あなたの物語の始まりです。』と…。 次の瞬間、僕は気を失い、異世界冒険の旅が始まったのだった…。 本作品は『カクヨム』で掲載している物を『アルファポリス』用に少しだけ修正した物となります。

処理中です...