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第6部 移動は常にマイホームと共に 渡る世間は家さえあればなんとかなる
12 龍皇国皇帝
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「鉱物ダンジョンも敵自体は弱いですね、お金は稼げますけど」
「我々基準ではですね弱いかもしれないですが、一般的に見れば魔法が通り難い打撃が有効の時間ばかり消耗されるダンジョンは冒険者は避けがちなので価値が上がりますよ。特に下に行けば行くほど」
「ディオスが下の石が美味しいからいつも人で下ばかりいっちゃう…」
「カルとディオスは仲が良いですね」
こちらは鉱物ダンジョン下層にて、カルの今やその相棒とも言える絶滅種のストーンバレットバードであるディオスと綴達でダンジョンを攻略中だった。
小さな翡翠色の尾の長い小鳥を肩に乗せ鉱物をカルが渡せば、嬉しそうにそれを嘴でつついて砕いて食べ姿は愛らしい。
「無事生まれて良かったです」
ラジカが薄く微笑む、『ぴぴ』と可憐な声でディオスが鳴いた。
「ラジカさんがゲシュレンから買おうとしていた卵が無事孵って良かったんですが…」
「私が個人的に探していただけなので無事ならば良いのです、カルさんから離れませんし」
『ぴぴ』
「転移魔法の札ありがとう、最近ここで色々作って戻るの忘れるから」
晴海から預かった転移魔法の札をカルに何枚か渡す、今はここを拠点に過ごしているようで寝食忘れて作業に没頭するカルの世話もナイルがしているようだった。
「カルさん、洗濯機ありがとうございます。でも無理はしないで下さい」
「うん、ありがと」
「では、そろそろ戻りましょう」
「カルは?戻ります?」
「まだ、いる」
『ぴぴ』
「大分魔法も掴めて来ました、ではもどりましょうか」
綴、ナイル、ラジカは鉱物を、カルに見送られて後にした。
「率…果物」
「はい、チグリスさんどうぞ。ジラさんは食べますか?」
「お、喉が乾いたから貰う」
一方こちらはチーズ買い出しチームの率、チグリス、ジラ。
「沢山、チーズが買えました!明日は孤児院と《ガルディア》の人達に持って行こ」
「ん?なんか騒がしい」
「あの建物は確かベルン君の大家さんの…行ってみましょう」
ガヤガヤと騒がしいベルンの大家の家の前、どうやら周囲の話しを聞くと大家一家は夜逃げをしたらしい、客からの相次ぐ苦情とミルクの質が悪い事に加え新しいミルクに古いミルクを混ぜて売り客達が体調を悪くした挙げ句満足に飼育出来てない痩せたモギ達を置いての逃亡と絵に描いたような転落をしたようだ。
「こんな痩せてミルクも出ないモギは解体して売るか位しかねぇ、ったく」
知り合いなのか中年の男が頭を掻きながらブツクサ文句を言い、周囲は夜逃げした大家の家の中を物色して物を持ち出している、金を貸していたり支払いが滞っている人々らしい、率はその光景を見てすぐさまベルンに電話を掛けた。
「あ、もしもしベルン君あのね…」
ベルンに事情を話せば驚かれはしたものの快く受け入れると言ってくれたので、すぐに大家の家の前に向かう。
「あの、この家のモギ達を買い取らせて頂きたいんですが」
率とチグリス、ジラの顔を見た周囲が肩を竦め物好きだなと表情を浮かべ、1頭10,000ログ計10頭を買い取った。
モギ達の状態は酷く皆痩せて毛艶も悪く、《クイナト》に行くのは止めてすぐにベルンのいる畑へと戻った。
「大分進んだな、ほぼ1階は完成だな」
「おー酒が美味いと仕事が進むじゃ!」
「酒ーうまいぞー!」
「というか増えてないか?」
「おー増えちょるふえちょる。この辺のドワーフ達はみんなきちょる」
大河の足元でわらわらとドワーフ達が酒を飲む、30名程に増えて屋敷の前で宴会が始まっていた。
「今度孤児院の子供達の教室を作るから教師として何か教えてくれないか?」
「ふむぅ、考えとくかの鍛冶や家具造りなら教えられる」
「手に職も大事だからな、その時は頼む」
「酒が給料で良いぞ!」
「酒!」
「考えておく」
「あと2,3日で大体は完成じゃ」
「みんなを連れてくる」
『宴会か!酒か!』
もう、そればっかりだ大河は慣れたので適当にあしらい詠斗と合流するために転移魔法を掛けた。
「久しぶりの《トイタナ》の市場の買い物、やっぱりここが原点て感じだな」
キャサナの店で布団と枕を買い込み、お茶屋のおばあちゃんからお茶を貰いつつ茶葉を買い込み、香辛料の露店でおススメの香辛料や辛めの物も沢山仕入れ、肉屋で腸詰や干し肉や肉の塊を大量に購入、最早業者のように買い漁り蜂蜜屋の前で大河と合流することにして向かった。
「詠斗くん」
「大河さん、蜂蜜屋さん混んでますね」
女性客ばかりの蜂蜜屋で対応に追われているクローダーが詠斗達の姿を見つけ手招きをしてくれる。
「詠斗さん!大河さん、お2人のお陰でこの通り繁盛していますよ!」
クローダーの隣で世話しなく対応している褐色の肌の少年がこちらにぺこりと挨拶をしてまた接客を続ける、クローダーに良く似ているので弟だろうか愛想が良く丁寧に接客をしていた。
「こっちは弟のローグです、今店が忙しいので故郷から来て一緒に店をやっています。詠斗さん達のお陰で売り上げが上がって、こちらに弟を呼んで一緒に暮すことが出来ました。飴の売り上げが凄いんですが、お酒や蜂蜜も一緒に売れていて飴を作っている職人も大忙しです」
「そうなんですね、良かった!」
「何かが良く売れると、他の物も良く売れるようになるからな。飴と酒と蜂蜜を貰いたい」
「はい!酒は樽で買いますか?昨日小隊が着いたので10樽程お売り出来ますよ」
「10樽買います!」
「分かりました」
奥へと通され10樽分の代金と飴と蜂蜜の大量に購入、一通り市場を見て回り食材や服なども購入して畑へと戻った。
「カタン!ベルン!モギを連れて来たぞ!」
「はーい」
「もぎー」
ジラが率の転移魔法で運んだモギをカタンの家の側で休ませる、率が洗浄魔法を掛けて毛並みは綺麗になったが痩せて骨が浮かぶ姿は痛々しい、ベルンのモギ達も心配そうに伺っている。
「大家さん所のモギたち…大丈夫だからね」
「随分痩せてしまっているな」
カラクも出て来て(仕事は?)モギの身体を撫でるベルンとカタンの頭を撫でてやる、率が果物や木の実を沢山置いて新鮮な水と、ベルンのモギのミルクを飲ませ大家の所にいたモギ達は1安心したのか皆身体を休め始めた。
「みんなの身体を拭こう」
「カタンもするー」
「俺もてつだお…」
「げ…」
「成程…でこっちの職務はどうする?カラク団長?」
カタンの家の奥から威圧感が含まれた声が聞こえ、チグリスが嫌そうな声を上げ、カラクの動作が止まり動きの悪い人形のようにぎぎと後ろを振り返った。
「中々に複雑な転移魔法だな…流石は異界人の魔法、後を追うのに時間を要した。では説明を求めるとしようか」
「へ、陛下…」
「あ、へいかー」
「陛下?」
「あー龍皇国の皇帝だな」
率が首を傾げるとジラが教えてくれる、眩しい程に見事な黄金に緋色を混ぜた髪と金の瞳口角を上げて笑みを浮かべる青年は現龍皇国皇帝二ジェルガ・ラオス・バーミルガー・ハゼウォン陛下だった。
「我々基準ではですね弱いかもしれないですが、一般的に見れば魔法が通り難い打撃が有効の時間ばかり消耗されるダンジョンは冒険者は避けがちなので価値が上がりますよ。特に下に行けば行くほど」
「ディオスが下の石が美味しいからいつも人で下ばかりいっちゃう…」
「カルとディオスは仲が良いですね」
こちらは鉱物ダンジョン下層にて、カルの今やその相棒とも言える絶滅種のストーンバレットバードであるディオスと綴達でダンジョンを攻略中だった。
小さな翡翠色の尾の長い小鳥を肩に乗せ鉱物をカルが渡せば、嬉しそうにそれを嘴でつついて砕いて食べ姿は愛らしい。
「無事生まれて良かったです」
ラジカが薄く微笑む、『ぴぴ』と可憐な声でディオスが鳴いた。
「ラジカさんがゲシュレンから買おうとしていた卵が無事孵って良かったんですが…」
「私が個人的に探していただけなので無事ならば良いのです、カルさんから離れませんし」
『ぴぴ』
「転移魔法の札ありがとう、最近ここで色々作って戻るの忘れるから」
晴海から預かった転移魔法の札をカルに何枚か渡す、今はここを拠点に過ごしているようで寝食忘れて作業に没頭するカルの世話もナイルがしているようだった。
「カルさん、洗濯機ありがとうございます。でも無理はしないで下さい」
「うん、ありがと」
「では、そろそろ戻りましょう」
「カルは?戻ります?」
「まだ、いる」
『ぴぴ』
「大分魔法も掴めて来ました、ではもどりましょうか」
綴、ナイル、ラジカは鉱物を、カルに見送られて後にした。
「率…果物」
「はい、チグリスさんどうぞ。ジラさんは食べますか?」
「お、喉が乾いたから貰う」
一方こちらはチーズ買い出しチームの率、チグリス、ジラ。
「沢山、チーズが買えました!明日は孤児院と《ガルディア》の人達に持って行こ」
「ん?なんか騒がしい」
「あの建物は確かベルン君の大家さんの…行ってみましょう」
ガヤガヤと騒がしいベルンの大家の家の前、どうやら周囲の話しを聞くと大家一家は夜逃げをしたらしい、客からの相次ぐ苦情とミルクの質が悪い事に加え新しいミルクに古いミルクを混ぜて売り客達が体調を悪くした挙げ句満足に飼育出来てない痩せたモギ達を置いての逃亡と絵に描いたような転落をしたようだ。
「こんな痩せてミルクも出ないモギは解体して売るか位しかねぇ、ったく」
知り合いなのか中年の男が頭を掻きながらブツクサ文句を言い、周囲は夜逃げした大家の家の中を物色して物を持ち出している、金を貸していたり支払いが滞っている人々らしい、率はその光景を見てすぐさまベルンに電話を掛けた。
「あ、もしもしベルン君あのね…」
ベルンに事情を話せば驚かれはしたものの快く受け入れると言ってくれたので、すぐに大家の家の前に向かう。
「あの、この家のモギ達を買い取らせて頂きたいんですが」
率とチグリス、ジラの顔を見た周囲が肩を竦め物好きだなと表情を浮かべ、1頭10,000ログ計10頭を買い取った。
モギ達の状態は酷く皆痩せて毛艶も悪く、《クイナト》に行くのは止めてすぐにベルンのいる畑へと戻った。
「大分進んだな、ほぼ1階は完成だな」
「おー酒が美味いと仕事が進むじゃ!」
「酒ーうまいぞー!」
「というか増えてないか?」
「おー増えちょるふえちょる。この辺のドワーフ達はみんなきちょる」
大河の足元でわらわらとドワーフ達が酒を飲む、30名程に増えて屋敷の前で宴会が始まっていた。
「今度孤児院の子供達の教室を作るから教師として何か教えてくれないか?」
「ふむぅ、考えとくかの鍛冶や家具造りなら教えられる」
「手に職も大事だからな、その時は頼む」
「酒が給料で良いぞ!」
「酒!」
「考えておく」
「あと2,3日で大体は完成じゃ」
「みんなを連れてくる」
『宴会か!酒か!』
もう、そればっかりだ大河は慣れたので適当にあしらい詠斗と合流するために転移魔法を掛けた。
「久しぶりの《トイタナ》の市場の買い物、やっぱりここが原点て感じだな」
キャサナの店で布団と枕を買い込み、お茶屋のおばあちゃんからお茶を貰いつつ茶葉を買い込み、香辛料の露店でおススメの香辛料や辛めの物も沢山仕入れ、肉屋で腸詰や干し肉や肉の塊を大量に購入、最早業者のように買い漁り蜂蜜屋の前で大河と合流することにして向かった。
「詠斗くん」
「大河さん、蜂蜜屋さん混んでますね」
女性客ばかりの蜂蜜屋で対応に追われているクローダーが詠斗達の姿を見つけ手招きをしてくれる。
「詠斗さん!大河さん、お2人のお陰でこの通り繁盛していますよ!」
クローダーの隣で世話しなく対応している褐色の肌の少年がこちらにぺこりと挨拶をしてまた接客を続ける、クローダーに良く似ているので弟だろうか愛想が良く丁寧に接客をしていた。
「こっちは弟のローグです、今店が忙しいので故郷から来て一緒に店をやっています。詠斗さん達のお陰で売り上げが上がって、こちらに弟を呼んで一緒に暮すことが出来ました。飴の売り上げが凄いんですが、お酒や蜂蜜も一緒に売れていて飴を作っている職人も大忙しです」
「そうなんですね、良かった!」
「何かが良く売れると、他の物も良く売れるようになるからな。飴と酒と蜂蜜を貰いたい」
「はい!酒は樽で買いますか?昨日小隊が着いたので10樽程お売り出来ますよ」
「10樽買います!」
「分かりました」
奥へと通され10樽分の代金と飴と蜂蜜の大量に購入、一通り市場を見て回り食材や服なども購入して畑へと戻った。
「カタン!ベルン!モギを連れて来たぞ!」
「はーい」
「もぎー」
ジラが率の転移魔法で運んだモギをカタンの家の側で休ませる、率が洗浄魔法を掛けて毛並みは綺麗になったが痩せて骨が浮かぶ姿は痛々しい、ベルンのモギ達も心配そうに伺っている。
「大家さん所のモギたち…大丈夫だからね」
「随分痩せてしまっているな」
カラクも出て来て(仕事は?)モギの身体を撫でるベルンとカタンの頭を撫でてやる、率が果物や木の実を沢山置いて新鮮な水と、ベルンのモギのミルクを飲ませ大家の所にいたモギ達は1安心したのか皆身体を休め始めた。
「みんなの身体を拭こう」
「カタンもするー」
「俺もてつだお…」
「げ…」
「成程…でこっちの職務はどうする?カラク団長?」
カタンの家の奥から威圧感が含まれた声が聞こえ、チグリスが嫌そうな声を上げ、カラクの動作が止まり動きの悪い人形のようにぎぎと後ろを振り返った。
「中々に複雑な転移魔法だな…流石は異界人の魔法、後を追うのに時間を要した。では説明を求めるとしようか」
「へ、陛下…」
「あ、へいかー」
「陛下?」
「あー龍皇国の皇帝だな」
率が首を傾げるとジラが教えてくれる、眩しい程に見事な黄金に緋色を混ぜた髪と金の瞳口角を上げて笑みを浮かべる青年は現龍皇国皇帝二ジェルガ・ラオス・バーミルガー・ハゼウォン陛下だった。
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