あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~

深楽朱夜

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第6部 移動は常にマイホームと共に 渡る世間は家さえあればなんとかなる

1東川 懐記

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「で、ここは?」
宇宙のような空間を抜ければそこは目が痛くなる程の白い空間に、見たこともない白い装束に身を包んで顔も見えない13名…いつのまにかその手の宗教団体に拉致でもされたかと思いながらタバコを吸う、こういう時こそ冷静に祖父からの教えだ。
「ようこそ《アタラクシア》へそして《神の庭》へ」
神々も今回は子供でもないので先ずは一安心、懐記は《アタラクシア》教か?聞いたこともないなと警戒を高めた。
「まずは貴方に感謝を…我々の救世主よ」
「…感謝?先に聞きたいことがあるんだけど、いい?」
「どうぞ」
悪意や殺意はないな、好意的な印象を持ったので一番確認したい事を先に聞く事にした。
「家には?帰りたいんだけど」
「それは…不可の…」
「却下、俺は帰りたい」
神々はそこで狼狽えた、まさか6番目にして家に帰りたいと神々を拒絶し強く感じる意思にどこか狂気染みた物さえ感じる。
「ふむ、それ無理だな」
「断る、おばちゃんやおじいちゃんと両親の仏壇や梅酒とか今日買った食材とか豚汁やおじいちゃんの盆栽……とにかく帰る。いますぐ家に」
「なる程…『家』なる程…貴方は地球、日本ではなく家に帰りたいと」
「ああ、そうかそうだな。アンタは話が通りやすい、ここが地球、日本でない事はわかった。俺は『家』に帰りたい」
「分かりました、先に簡単に説明を貴方は不老不死になり魔法が使えるようになりました。ステータスオープンと口にするか頭の中で唱えて下さい」
「ステータスオープン?」

東川 懐記 : 不老不死 肉体年齢 23歳 変革する者 

所持魔法
風魔法 水魔法 灼熱魔法 土魔法 空魔法 転移魔法

スキル
状態異常無効 無限収納(時間停止) ステータス隠蔽 攻撃無効※ アイテム回収 通知機能 対話

固有スキル
テイマー

善行ポイント
10,000pt

神々が少し騒めき立つ、懐記は興味無さそうにステータスを眺めている。
「ここできたか…」
「ですがこれなら…」
「まあ、本人が家って言っているから」
「自信ないですなのです」
「やってみましょう」
「話すの終わった?どうなる感じ?」
神々が1つの考えに至り頷く、懐記は答えを待つ。
「まず固有スキルは個人の物で我々にも不明な点が多い物なのですが、貴方のテイマーというスキルは《アタラクシア》でかなり貴重なスキルとなります。それを貴方の家に摺り替えます、がそれだけですと足りません、善行ポイント…これは我々が貴方に対しての礼として付与したものです、様々なものと交換する事が出来ますこれを…そうですね」
「ふむ。5000pt…半分とそれに灼熱魔法…これも珍しい魔法だがこれを火魔法にランクを下げる、これで固有スキルを家に問題なく置き換える事が可能となる、構わないか?」
「いいよ、テイマーとか魔法とか分からないし。家が大事」
『………』
神々も少し引くレベルの執着、確かに帰る家は大事だろう。
「ではもう一度ステータスの確認を…」

東川 懐記 : 不老不死 肉体年齢 23歳 変革する者 

所持魔法
風魔法 水魔法 火魔法 土魔法 空魔法 転移魔法

スキル
状態異常無効 無限収納(時間停止) ステータス隠蔽 攻撃無効※ アイテム回収 通知機能 対話

固有スキル

家(状態異常無効 空間拡張 現存物時間停止 消費及び破損物等の無限補充)

善行ポイント
5,000pt

「思いが結実した結果です」
「お見事」
「どうも」
「では、改めて続きを」
「オッケ」
懐記が軽く答えるタバコ片手に余裕綽々な感じだ、魔法の使い方、ステータス隠蔽、スキルの説明を行っていく。
「へえ、収納ねぇ便利だな。引っ越しとか楽そう。転移魔法も楽じゃん」
懐記の感想はそんな物だった、説明しがいのないタイプ。
「先ほど説明した不老不死ですが、この世界で生きるのを終わらせたければ眠る事も可能です、また《アタラクシア》へ行かないという場合はここで14番目の神として貴方を歓迎します」
「無理、家があれば俺は生き続ける。スキルと俺が生きていれば家は存在し続けるんだったらアンタ達に感謝だ」
「そして、依頼の件なのです。既に《アタラクシア》にいる5名が依頼を2回達成しています、善い行いや我々がした依頼を達成すればポイントは増えますなのです。今の…半分になったポイントでも充分様々な事が出来るなのです」
「そう、受ける受けないはその時の気分による」
「それで充分なのです」
「では、今異界人5名がいるのは《アタラクシア》の《不毛の地》にいます。そこで様々な種族と協力し開拓しています。そこに行くのも良し何処に住むも良し、旅をするもよし」
「旅ねぇ、いや、俺インドア派だし。《不毛の地》に行くわ」
「そうですか、では最後に貴方が貯めたお金はそのままこちらの収納に入ってます。貴方の存在は地球では徐々に薄くなり消えていきます」
「そう、そうか。まあどうせもう帰れないならそれでいいのか」
心残りが無い訳ではない、色々やってくれた神々にこれ以上何かを言うつもりもない。
「この世界の知識と知恵を授けます」
神の1人が懐記の額に指先を充てる淡い光が生まれ懐記の額に吸い込まれていく、何かが変わった訳でもない、貰えるものは貰っておく主義だ。
「どうも、アンタ達って飯食うの?」
「嗜好として、《アタラクシア》にいる異界人の皆からもよく供え物として頂きます」
「パン…お菓子…魚…肉…酒…」
「あー雑食ね。ちょっと待ってて」
固有スキル家を使えば、切り取られたかのように馴染みの家が現れ…。
「ね、ちょっと。隣2軒は俺んちじゃないけど?」
空き家だった2軒も一緒に現れ懐記が突っ込むが、神々が皆互いの顔を見合せ…結果。
「ふむ、小さい家だから全部で1つの家と認識したのかもしれん」
「失礼だな、隣誰も住んでないから良いけど」
中に入って暫くすると懐記が戻ってくる、ちゃぶ台をまず収納から出しその上に大きな瓶を幾つか出して、最中や羊羮やせんべいに急須と湯飲みバラバラのデザインの物13個を置ききれない分は神々に持たせ、家は戻した。
「おばちゃん秘蔵の梅酒、ミカン酒、かりん酒。後はお菓子と日本のお茶飲み方は後ろに書いてあるから、酒はそのまま飲んでも、お湯や水で割ってもロックで飲んでも美味いから」
「他に聞きたい事があれば、スマホも《不毛の地》にいる彼らから貰えば連絡取れますし」
「そう、詳しい話しは後で聞く。それじゃいくわ」
「はい、この場所に手を伸ばせば行けます。貴方の他に後2名でこの世界の病の治癒は完了します。大分穴が塞がり良好です」
「感謝だ!」
「へえ、それは良かった。じゃ」
『いってらっしゃい』
「行ってきます」
乾いた大地に手を伸ばす、また宇宙空間に呑まれていった。
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