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第6部 移動は常にマイホームと共に 渡る世間は家さえあればなんとかなる
プロローグ 6番目も異世界から
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「では、これより、再び我々の世界アタラクシアの病を治癒する為の異界人を召喚する」
『異議なし』
「召喚する異界人は、計8人。《アタラクシア》の治癒の状態により順次行う、担う者 導く者 手を差し出す者 掬う者 与える者 変革する者 もたらす者 そして最後は…××××××を持って召喚を完了とする」
「召喚する異世界は地球」
「召喚する者は日本という場所に生きる者」
「今を生きる世界に未練がない者」
「《アタラクシア》で生きていける者」
「我々の勝手な都合で呼ぶには誠意を持って」
「誓いを」
「心と魂と肉体に」
「我らの出来る限りを以て」
「祈りと願いを」
「ここに示す」
「我ら13の神の誓いを契約とする」
最初に手を挙げた者から時計回りに、1人づつ右手を挙げ誓いを立て一周すると、中央の《アタラクシア》の雲の穴が1つゆっくりと塞がっていく。
「では、招こうこの《神の庭》に6番目の異界人 変革する者を…」
薄暗い店内、独特な匂い、騒がしい音、熱心にメダルを入れてボタンを押しては入れてを繰り返す大人達。
所謂ギャンブル所謂スロットを無機質に行う客達の間でも一際目立つ青年、ホワイトブリーチした髪に長目の前髪、両耳合わせて計13個のピアス、ピアスから唇にダミーのチェーンピアス、細すぎる肢体で長い足を組み気だるげにスロットを打つ。
これが1番短時間で稼げる、働きたくもないし、早く家に帰るにはこれが手っ取り早かった。
週に3日朝から昼前まで打てば、東川 懐記(あずまかわ なつき)には充分だった、彼はギャンブルで1度も負けた事がない。
充分稼いだところでさっさと引き上げる、店を後にしまだ午前とも言える時間に帰路に着く。
「お、懐記ちゃん!今日は鰺の開きがお買得よ」
「おじちゃんおはよう、なら2匹ちょうだい」
「あいよ!」
活気のある魚屋の馴染みの店主に勧められ鰺の開きを買う、懐記が子供の頃からの馴染みの店だピアスが沢山開いていようが髪がホワイトブリーチだろうが口とピアスがチェーンで繋がっていようが大事な常連だった。
「毎度ありがとうねー」
「んー」
「おや、懐記ちゃん。おはよう、今日はキャベツがおすすめよー」
「おばちゃん、おはよう。キャベツとトマトちょうだい」
「あいよ、グループフルーツ1つサービスね。懐記ちゃん好きだろ?」
「うん、ありがと」
魚屋の隣の八百屋の中年女性に声を掛けられキャベツとトマトを1篭購入する、キャベツは浅漬けにトマトは冷やして食べようかと思い歩くと馴染みの小さな花屋に向かった。
「おばちゃんおはよう」
「なっちゃん、今日はどうする?」
「なんか安いの」
「あいよ」
中年の女性に伝え特価品の花から身繕って貰い花束にして貰って、オマケに苺の苗を貰う。
「おばあちゃん、お好きだったでしょう?」
「ん、どうも」
両手荷物だらけになるが気にもせず歩く、途中でタバコを買おうとコンビニに寄った。
「いらっしゃいませー」
いつでもいる目の下に隈が出来ている中年男性のレジで、炭酸水とタバコ2箱を頼む。
「ありがとうございます、これ2箱お買い上げのお客様にプレゼントしてます。ノベルティです」
「どうも」
折り畳まれた銀色の大きめ保冷バッグを貰い、袋の中に入れて店を出た。
「なっちゃん、お買い物?」
「おばちゃん」
「これ、仏壇にお供えするのと、なっちゃんが食べるの。今届けに行こうと思ったのよ」
「ありがとう、この最中おじいちゃんとおばあちゃんが好きなヤツ。俺も後で食べるよ」
「なっちゃん、細くてちゃんと食べてるか心配になっちゃう」
「食べる食べてる」
懐記が笑う最中を受け取り別れて自宅に向かう、みんな祖父母の知り合いで懐記を子供の頃から知っている人達、気心も知れて買い物もしやすい。
昔ながらの平屋が3軒並ぶ一番左端、真ん中と右端の家にはもう誰も住んでいない。
高齢者が住んでいたが2軒共に借り主が亡くなり今は借りても無くそこに在る、今はこういう家は中々借りても付かないと大家が言っていた。
今の高齢の大家が引退すれば、更地にしてマンションが直ぐにでも建つだろう、その時はその時だと懐記は思っていた。
鍵を開けて中に入り、手洗いうがいを行い買って来た鰺の開きを冷凍庫に、キャベツとトマトは冷蔵庫の野菜室、花は萎れかけの花を花瓶から抜き水を入れ換え新しい花を活けた。
萎れかけの花は紐で結び風通しのよい場所に干してドライフラワーにする。
貰った最中を持って仏壇を置いた部屋で最中を供えて線香を立てて置く、残りは後で食べようかと濃い緑茶をが飲みたくなった。
「これ、おばちゃんがくれたから。俺も後で食べるよ」
そう言って居間に行きちゃぶ台に無造作に財布とスマホを放り、手巻き式のラジオを掛けて電子タバコを縁側で吸い始める、軽い爽やかな清涼のあるフレーバーを吸いながら縁側から祖父の趣味だった盆栽を眺めるのが懐記のルーティンだった。
どんな場所にも行かずなるだけ家にいる、その代わりこの祖父母と両親が暮らした場所、この家が取り壊されるならば思い出1つ欠ける事なく持っていく。
そう思っていると足に宇宙のような空間が広がり、懐記は滑るように落ちていく、この時彼はこう思った今夜の飯は昨日の豚汁とキャベツの浅漬けに賞味期限が迫った卵でだし巻き玉子と冷やしトマトにしようと…。
『異議なし』
「召喚する異界人は、計8人。《アタラクシア》の治癒の状態により順次行う、担う者 導く者 手を差し出す者 掬う者 与える者 変革する者 もたらす者 そして最後は…××××××を持って召喚を完了とする」
「召喚する異世界は地球」
「召喚する者は日本という場所に生きる者」
「今を生きる世界に未練がない者」
「《アタラクシア》で生きていける者」
「我々の勝手な都合で呼ぶには誠意を持って」
「誓いを」
「心と魂と肉体に」
「我らの出来る限りを以て」
「祈りと願いを」
「ここに示す」
「我ら13の神の誓いを契約とする」
最初に手を挙げた者から時計回りに、1人づつ右手を挙げ誓いを立て一周すると、中央の《アタラクシア》の雲の穴が1つゆっくりと塞がっていく。
「では、招こうこの《神の庭》に6番目の異界人 変革する者を…」
薄暗い店内、独特な匂い、騒がしい音、熱心にメダルを入れてボタンを押しては入れてを繰り返す大人達。
所謂ギャンブル所謂スロットを無機質に行う客達の間でも一際目立つ青年、ホワイトブリーチした髪に長目の前髪、両耳合わせて計13個のピアス、ピアスから唇にダミーのチェーンピアス、細すぎる肢体で長い足を組み気だるげにスロットを打つ。
これが1番短時間で稼げる、働きたくもないし、早く家に帰るにはこれが手っ取り早かった。
週に3日朝から昼前まで打てば、東川 懐記(あずまかわ なつき)には充分だった、彼はギャンブルで1度も負けた事がない。
充分稼いだところでさっさと引き上げる、店を後にしまだ午前とも言える時間に帰路に着く。
「お、懐記ちゃん!今日は鰺の開きがお買得よ」
「おじちゃんおはよう、なら2匹ちょうだい」
「あいよ!」
活気のある魚屋の馴染みの店主に勧められ鰺の開きを買う、懐記が子供の頃からの馴染みの店だピアスが沢山開いていようが髪がホワイトブリーチだろうが口とピアスがチェーンで繋がっていようが大事な常連だった。
「毎度ありがとうねー」
「んー」
「おや、懐記ちゃん。おはよう、今日はキャベツがおすすめよー」
「おばちゃん、おはよう。キャベツとトマトちょうだい」
「あいよ、グループフルーツ1つサービスね。懐記ちゃん好きだろ?」
「うん、ありがと」
魚屋の隣の八百屋の中年女性に声を掛けられキャベツとトマトを1篭購入する、キャベツは浅漬けにトマトは冷やして食べようかと思い歩くと馴染みの小さな花屋に向かった。
「おばちゃんおはよう」
「なっちゃん、今日はどうする?」
「なんか安いの」
「あいよ」
中年の女性に伝え特価品の花から身繕って貰い花束にして貰って、オマケに苺の苗を貰う。
「おばあちゃん、お好きだったでしょう?」
「ん、どうも」
両手荷物だらけになるが気にもせず歩く、途中でタバコを買おうとコンビニに寄った。
「いらっしゃいませー」
いつでもいる目の下に隈が出来ている中年男性のレジで、炭酸水とタバコ2箱を頼む。
「ありがとうございます、これ2箱お買い上げのお客様にプレゼントしてます。ノベルティです」
「どうも」
折り畳まれた銀色の大きめ保冷バッグを貰い、袋の中に入れて店を出た。
「なっちゃん、お買い物?」
「おばちゃん」
「これ、仏壇にお供えするのと、なっちゃんが食べるの。今届けに行こうと思ったのよ」
「ありがとう、この最中おじいちゃんとおばあちゃんが好きなヤツ。俺も後で食べるよ」
「なっちゃん、細くてちゃんと食べてるか心配になっちゃう」
「食べる食べてる」
懐記が笑う最中を受け取り別れて自宅に向かう、みんな祖父母の知り合いで懐記を子供の頃から知っている人達、気心も知れて買い物もしやすい。
昔ながらの平屋が3軒並ぶ一番左端、真ん中と右端の家にはもう誰も住んでいない。
高齢者が住んでいたが2軒共に借り主が亡くなり今は借りても無くそこに在る、今はこういう家は中々借りても付かないと大家が言っていた。
今の高齢の大家が引退すれば、更地にしてマンションが直ぐにでも建つだろう、その時はその時だと懐記は思っていた。
鍵を開けて中に入り、手洗いうがいを行い買って来た鰺の開きを冷凍庫に、キャベツとトマトは冷蔵庫の野菜室、花は萎れかけの花を花瓶から抜き水を入れ換え新しい花を活けた。
萎れかけの花は紐で結び風通しのよい場所に干してドライフラワーにする。
貰った最中を持って仏壇を置いた部屋で最中を供えて線香を立てて置く、残りは後で食べようかと濃い緑茶をが飲みたくなった。
「これ、おばちゃんがくれたから。俺も後で食べるよ」
そう言って居間に行きちゃぶ台に無造作に財布とスマホを放り、手巻き式のラジオを掛けて電子タバコを縁側で吸い始める、軽い爽やかな清涼のあるフレーバーを吸いながら縁側から祖父の趣味だった盆栽を眺めるのが懐記のルーティンだった。
どんな場所にも行かずなるだけ家にいる、その代わりこの祖父母と両親が暮らした場所、この家が取り壊されるならば思い出1つ欠ける事なく持っていく。
そう思っていると足に宇宙のような空間が広がり、懐記は滑るように落ちていく、この時彼はこう思った今夜の飯は昨日の豚汁とキャベツの浅漬けに賞味期限が迫った卵でだし巻き玉子と冷やしトマトにしようと…。
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