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第5部 ここで生きていく 晴れた日は海を見て編
第1幕
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男は白が好きで黒は嫌いな男だった…
「金か?何が欲しい?な、なんでもやろう、だがら命だけは?」
「欲しい物?それは今現在は貴方の命ですよ、さぁ、さようならをしましょう?この世界に…そうそう私が奪った命って転生しないようなので、本当にこの世界からさようならです、それでは」
「ひぃ、いやいやだ!」
漆黒の剣で容易く命乞いをしていた男の首を跳ねる、転がる男の首が最後に見上げたのは自分の首の無い胴体だった。
「何度も何度も転生してもこの衝動から逃げられませんね、善か悪か、善を殺すならば悪を殺す、自分の思考がまだまともなのが不幸中の幸いですね。いつかはその思考も悪を殺すならば善を殺すに変わるのかもしれませんが」
男はそう言って去って行く、翌朝首と胴体が斬り離された死体が路地裏で見付かるが、その男は老人を12人も殺害し金品を強奪した男だった…。
第1幕 殺人者の衝動 始動 第1話 標的
「ユナイドからラインか…早いな」
「《ロクロル》という街にゲシュレンが移り、見世物小屋を再開するようですね」
「先に見ておくか…」
千眼が黒い蝶の群れを空に向けて放つ、ジラがそれを見上げた。
「《ロクロル》ねぇ、あそこは歓楽街だな…詠斗後で俺を《ロクロル》に運んでくれ、先に千眼の蝶と一緒に街に入る」
「え?危なくないの?」
「俺を誰だと思っているんだ?大丈夫だ」
「これ、ジラさんにもあげるから夜には戻りなよ。カラクさんにもあげようと思って沢山作ったから、転移魔法1枚で1往復。俺が行った事のない場所でも使う人が知っている場所なら大抵行けるって」
孤児院から戻った率達も夕食の手伝いをし、モッカ達のテーブルで作業していた晴海が札を数枚ジラに渡す、固い紙を受け取りジラが懐にしまった。
「すごいもの作るな、しかもほいほい渡して…」
ジラが晴海の髪をくしゃくしゃ掻き回す、晴海はくすぐったそうに笑っている。
「なら、夜はこっちで。俺も見世物小屋の内部を把握したいからな。明日店が終わったら向かう」
「はいよ、詠斗ジャム美味いな!」
「夜、パンに付けて食べようね」
「ああ、じゃ行ってくるわ」
札に魔力を込めて景色が歪む、瞬く間にジラは《ロクロル》に向かう、通常《クイナト》からだと馬車を何度も経由しおよそ14日かかるのがほんの数秒…足らずで着く、便利な物だ。
『きゅ!』『ぱしゃ』
「きゅう達が戻って来たな」
「大漁だなー」
風魔法で宙に浮かせたギョロリやギュロル貝や他の魚達を見て詠斗達が喜ぶ、沢山焼いたら孤児院にもお裾分けしようと腕がなる。
「俺、魚捌くの得意だよ。海育ちだから」
「ほんと?ならこれ包丁ね」
詠斗から包丁を受け取り腕捲りして晴海がきゅう達の魚を受け取る、見た目は大きいし怖いがどうって事はない。
「鱗は風魔法で剥ぎ取れるよー骨も鱗も売れるからズィーガーさんの所に持っていこうね」
「分かった!」
張り切って風魔法で鱗をは剥がしていく、楽しいー日本にいた時はわずかな小遣いを稼ぐ為に何時間も魚を捌いていた。
「はやい!」
「上手ですね」
同じ捌くのでも環境や場所が変われば気持ちも変わる、頑張って皆に自分で捌いた魚を食べて欲しいと思った。
「さぁ、どちらにしましょうか」
夜の帳が降りて歓楽街の《ロクロル》が本格的に稼働している、夜の灯り喧騒が男の耳に届く。
廃れた娼館の2階の奥の部屋更に衣装だなに隠された階段で上がった1室で白が好きで黒が嫌いな男は薄く微笑みながら、細身のナイフを弄び壁に差した2枚の紙を眺めて迷う。
「ではこちらを…」
ナイフを軽く投げ紙…似顔絵に刺さる、その似顔絵の下にはゲシュレンと書かれた文字が記されていた…。
「ふぅん、連続殺人ねぇ」
とある質の悪い酒場の一角のカウンターで美味くもない酒で唇をしめらせながら、《ロクロル》でジラは情報を収集する。
さっさと帰って風呂に入りミルクを飲みたい、温い酒と味の薄い肉漬けを肴につまらない話しに耳を傾ける。
「そうそう、この7日で3件!」
「1人は老人殺しをしていた男で首を斬り落とされてる、2人目は新人冒険者を騙して殺していた男四肢を切断、3人目は…」
「首を折られて街外れに棄てられていた…」
「で、3人目は何をやらかしたんだ?」
「まだ分からん、ギルドが調べている」
ジラの隣の客、カウンター越しの店員にちょっとした小遣いを渡しただけでよく喋る。
「まあ、所謂罪人を殺す殺人鬼ってヤツね。たまに表舞台にでてくるよなー」
「《罪人殺し》《罪喰》《悪人斬り》って名前が付いてるが模倣だろう?何せおとぎ話にもなっているし…」
回りの冒険者、傭兵、酔った客、馴染みの客が口々に自分の意見を口にしていく、知りたい情報は大して得られなかったが、この後冒険者ギルドにでも行って話を聞く事にでもするか…おとぎ話を模倣した殺人鬼がこの街にいるとするならば、次の犠牲者はゲシュレンかこの街を任され好きにやっている街長か…それとも両方か…。
「ごちそーさん、金は置いてく。この金で皆好きに飲め、じゃあな」
100,000ログコインを2枚置いて店を出る、沸き立つ店の喧騒から離れ冒険者ギルドにむかった。
「金か?何が欲しい?な、なんでもやろう、だがら命だけは?」
「欲しい物?それは今現在は貴方の命ですよ、さぁ、さようならをしましょう?この世界に…そうそう私が奪った命って転生しないようなので、本当にこの世界からさようならです、それでは」
「ひぃ、いやいやだ!」
漆黒の剣で容易く命乞いをしていた男の首を跳ねる、転がる男の首が最後に見上げたのは自分の首の無い胴体だった。
「何度も何度も転生してもこの衝動から逃げられませんね、善か悪か、善を殺すならば悪を殺す、自分の思考がまだまともなのが不幸中の幸いですね。いつかはその思考も悪を殺すならば善を殺すに変わるのかもしれませんが」
男はそう言って去って行く、翌朝首と胴体が斬り離された死体が路地裏で見付かるが、その男は老人を12人も殺害し金品を強奪した男だった…。
第1幕 殺人者の衝動 始動 第1話 標的
「ユナイドからラインか…早いな」
「《ロクロル》という街にゲシュレンが移り、見世物小屋を再開するようですね」
「先に見ておくか…」
千眼が黒い蝶の群れを空に向けて放つ、ジラがそれを見上げた。
「《ロクロル》ねぇ、あそこは歓楽街だな…詠斗後で俺を《ロクロル》に運んでくれ、先に千眼の蝶と一緒に街に入る」
「え?危なくないの?」
「俺を誰だと思っているんだ?大丈夫だ」
「これ、ジラさんにもあげるから夜には戻りなよ。カラクさんにもあげようと思って沢山作ったから、転移魔法1枚で1往復。俺が行った事のない場所でも使う人が知っている場所なら大抵行けるって」
孤児院から戻った率達も夕食の手伝いをし、モッカ達のテーブルで作業していた晴海が札を数枚ジラに渡す、固い紙を受け取りジラが懐にしまった。
「すごいもの作るな、しかもほいほい渡して…」
ジラが晴海の髪をくしゃくしゃ掻き回す、晴海はくすぐったそうに笑っている。
「なら、夜はこっちで。俺も見世物小屋の内部を把握したいからな。明日店が終わったら向かう」
「はいよ、詠斗ジャム美味いな!」
「夜、パンに付けて食べようね」
「ああ、じゃ行ってくるわ」
札に魔力を込めて景色が歪む、瞬く間にジラは《ロクロル》に向かう、通常《クイナト》からだと馬車を何度も経由しおよそ14日かかるのがほんの数秒…足らずで着く、便利な物だ。
『きゅ!』『ぱしゃ』
「きゅう達が戻って来たな」
「大漁だなー」
風魔法で宙に浮かせたギョロリやギュロル貝や他の魚達を見て詠斗達が喜ぶ、沢山焼いたら孤児院にもお裾分けしようと腕がなる。
「俺、魚捌くの得意だよ。海育ちだから」
「ほんと?ならこれ包丁ね」
詠斗から包丁を受け取り腕捲りして晴海がきゅう達の魚を受け取る、見た目は大きいし怖いがどうって事はない。
「鱗は風魔法で剥ぎ取れるよー骨も鱗も売れるからズィーガーさんの所に持っていこうね」
「分かった!」
張り切って風魔法で鱗をは剥がしていく、楽しいー日本にいた時はわずかな小遣いを稼ぐ為に何時間も魚を捌いていた。
「はやい!」
「上手ですね」
同じ捌くのでも環境や場所が変われば気持ちも変わる、頑張って皆に自分で捌いた魚を食べて欲しいと思った。
「さぁ、どちらにしましょうか」
夜の帳が降りて歓楽街の《ロクロル》が本格的に稼働している、夜の灯り喧騒が男の耳に届く。
廃れた娼館の2階の奥の部屋更に衣装だなに隠された階段で上がった1室で白が好きで黒が嫌いな男は薄く微笑みながら、細身のナイフを弄び壁に差した2枚の紙を眺めて迷う。
「ではこちらを…」
ナイフを軽く投げ紙…似顔絵に刺さる、その似顔絵の下にはゲシュレンと書かれた文字が記されていた…。
「ふぅん、連続殺人ねぇ」
とある質の悪い酒場の一角のカウンターで美味くもない酒で唇をしめらせながら、《ロクロル》でジラは情報を収集する。
さっさと帰って風呂に入りミルクを飲みたい、温い酒と味の薄い肉漬けを肴につまらない話しに耳を傾ける。
「そうそう、この7日で3件!」
「1人は老人殺しをしていた男で首を斬り落とされてる、2人目は新人冒険者を騙して殺していた男四肢を切断、3人目は…」
「首を折られて街外れに棄てられていた…」
「で、3人目は何をやらかしたんだ?」
「まだ分からん、ギルドが調べている」
ジラの隣の客、カウンター越しの店員にちょっとした小遣いを渡しただけでよく喋る。
「まあ、所謂罪人を殺す殺人鬼ってヤツね。たまに表舞台にでてくるよなー」
「《罪人殺し》《罪喰》《悪人斬り》って名前が付いてるが模倣だろう?何せおとぎ話にもなっているし…」
回りの冒険者、傭兵、酔った客、馴染みの客が口々に自分の意見を口にしていく、知りたい情報は大して得られなかったが、この後冒険者ギルドにでも行って話を聞く事にでもするか…おとぎ話を模倣した殺人鬼がこの街にいるとするならば、次の犠牲者はゲシュレンかこの街を任され好きにやっている街長か…それとも両方か…。
「ごちそーさん、金は置いてく。この金で皆好きに飲め、じゃあな」
100,000ログコインを2枚置いて店を出る、沸き立つ店の喧騒から離れ冒険者ギルドにむかった。
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