あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~

深楽朱夜

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第5部 ここで生きていく 晴れた日は海を見て編

7 異世界流夜の過ごし方8

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「明日もある、そろそろ寝よう」
「明日は分かれて行動します?」
「だったら孤児院行くのと、改築と…」
「《クイナト》に在庫を取りに行きましょうか、後食料の買い出し」
「俺は孤児院に行くわ、様子を確認したい」
「…買い出し」
「私は改築の手伝いを…」
「なら、こちらはきゅうと卵の状態について調べます」
「俺は孤児院では話しと今後を…カイネと綴さんも」
「俺は手伝いするよ」
「僕が《クイナト》で買い出しします、チグリスさんよろしくお願いします」
「俺はカル達と千眼さんで改築と補修する」
「お、俺はテントで食事を用意します」
大河、綴、ジラ、カイネ、バルタルで孤児院の人々がいるテントへ、詠斗、千眼は改築補修作業、率とチグリスは《クイナト》への仕入れと食料の買い出しへ。
「ユナイドさんの所でツンドーラの買い取りとゲシュレンの話しも聞いておきます」
「だったらツンドーラを率くんの収納にいれておくね」
「はい」
「さあ、そろそろ寝ましょう…布団何組今あるんですか?」
「…明日布団も追加で買ってきます」
「えと、ほとんど出したから…6組?」
「敷布も布団代わりに敷けばいいか」
「そうしましょう」
「私はベルンとカタンの所に自分の布団ありますから戻ります、明日の朝食にカタンとベルンを連れて来ますね。おやすみなさい」
『おやすみー』
「僕の車の中で寝ます?僕ともう1人位ならシート倒せば横になれますよ」
収納から綴の車を出す、詠斗達から見れば見慣れた物だがこの世界の者達から見ると…。
「お、大河の本でみた。カッコいいな」
「これが本で読んだ車…」
「乗りたい…」
「箱?みたいな硬い…これが走るんですか?」
「カッコいい…」
愛用の車5人乗りの何の変哲もないが、固有スキルで色々と使い勝手がよくなっているようだった。
「フルフラットになるし…あ…中が広い」
綴が乗り込んでシートを倒すと後ろが広がりフルフラットになる、そして空間も内部で広がるテントと同じ仕組みのようだった。
「いいなー俺、18になったら絶対免許取るって…」
晴海の笑顔が固まるこの世界に車は綴の物しかない、取ることも出来なければ運転も出来ない。
「晴海くん、僕が教えますから運転しますか?この世界に免許はないのでこの際年齢はいいでしょう」
「いいの!?」
「もちろん」
「俺も教えるよ免許あるし、フォークとかも持ってるよー」
「俺も免許は持ってるからな」
「僕も教え下さい」
「はいはい!俺も乗りたい!」
「俺も…」
「…私も」
「はい、いいですよ。広い布団代わりにいいですね、今日は皆でこの中で寝ますか?」
『さんせーい』
敷布と布団を敷けるだけ敷き各々眠りに付く…千眼だけは図書スペースで本を読み耽った…。

「ん…」
喉が渇きを感じ、隅で寝ていた晴海が目を覚まし開けているドアから出て、欠伸1つと背伸びをした。
「茶でも飲むか?それともミルクか牛乳か…」
「…お茶、冷たいの」
「分かった」
声に誘われ図書スペースのソファに座る、身体が沈み込み座り心地の良い物だった。
「氷は入れるか?」
「うん」
木のコップに千眼が淹れたばかりの茶を注ぎ風魔法で冷やし、図書スペースの側の冷蔵庫から氷をいれて晴海に渡した。
「おいしい…」
「そうか…」
「それ『不思議の国のアリス』※?」
千眼が読んでいた文庫本を見ると少女とウサギとシルクハットの男が茶会をしている表紙、有名な物語だった。
「ああ…面白い…気に入っている…アリス同じだな…」
「そう、呼びたかったら呼べば?」
「では…そうしよう」
「うん…魔王なんでしょ?強いの?」
「いや…アリス達より弱い…」
「ふぅん」
千眼の飾り気の無い言葉が不思議と落ち着く、自分もアリスのように不思議の国…異世界に来た、帰れないが…別に構わなかった。
「千眼さんにも名前はあるの?」
「ある…が私は知らない…我々の真名を知るのは序列第1位と第13位の魔王だけだ…」
「どこにいるの?」
「さあ…存在しているのかも産まれているのかも知らない…」
「ふーん、会いたくないの?」
「…会いたくないと言えば違うな…だがいつ現れるのかは神も知らない…」
「会えるといいね」
「…ああ…そうだな」
「ふぁ…また眠くなってきた、いつも早く起きて手伝いしていたのに…明日はやることがあるから…学校も勉強も…明日の食べ物の事も手伝いも、もう無くなったし…」
「そうだな…もう日本にいた時にやっていた事は考えなくてもいいだろう…まだ夜は終わらない…また寝ればいい…」
「そうだね…もうここは日本じゃないんだよね。おやすみ…」
「おやすみ」
晴海は立ち上がりまた車に戻る、まだ自分が異世界に来た事を実感できないのかもしれない、だが間違いなくここは日本人ではない、千眼は本に視線を戻してページを捲る。
千眼のお気に入りの絵、帽子屋とウサギとアリスのお茶会を眺めて過ごしていた。
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