あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~

深楽朱夜

文字の大きさ
上 下
102 / 867
第4部 生きる世界に微笑んで 立ち止まったら空を見上げて編

19 幼いドラゴン カタン

しおりを挟む
「ただいまー」
『おかえりなさ……』
「今日から彼とモギもここに住むから、よろしくね」
「ベルンです!よ、よろくお願いします」
「よろしくお願いします、私はナイルと言います…えと」
「私は千眼…」
ナイルも千眼も詠斗達の方を見る、まだ幼いとも言える子供に正体を言っていいのか目で確認すると詠斗は笑顔で頷く、ここで暮らすなら家族…ならばきちんと先に招待は言っておくべきだと思う。
「私はドラゴンですがよろしくお願いしますね、ベルンさん」
「私は序列第3位千眼魔王だ…よろしく…」
「魔王…?ドラゴン?伝説の?すごい!」
子供らしい反応に2人がほっとする、泣かれでもしたら困るしどうしたらいいか分からない。
「よし、まずはお風呂行こう!その後テトラの所で服を…あ、カイネ達が明日の準備が終わったって、迎えに行ってくる」
「はい、先お風呂に行ってますねー」
「うん」
「では、ベルンくん行きましょう」
「私たちもちょうど行こうとしていましたから皆でいきましょう」
「ん…率」
「あ、そうだね…」
チグリスが率に手を差し出す、率は顔を綻ばせその手を取って繋ぐ。チグリスの手は温かく大きかった…。

「ここがお風呂…モギ達!ダメだよー」
「構わないぞ、屋外の風呂はきゅうやハル達用も風呂だから好きに入れば良い」
最近ハル達やきゅう達の為に屋外にアルケールやアゲイル達が作った風呂場、建物に入らずに直行で入れる為きゅう達が仕事した後に入っていく…が次々モギ達が勝手に入っていく。
気持ち良さそうに入ってはいるが、10頭も入ればぎゅうぎゅうなので残りの10頭は大人しく待っている。
「これは、外の風呂を広げた方が良いなー」
「アゲイルさん、レグさん」
「うむ、風呂の前では皆同じだ。風呂を拡げるとしよう」
「アルケールさんも」
「戻ったよーってモギが風呂入っている?風呂入るんだ」
詠斗がカイネとバルタルを連れて戻って来ると、モギ達が風呂に入り寛いでいる姿を見て驚く。
『きゅ』『もぐ!』『もぐ』『もぐぅ』『ぴぃ』『ぱしゃ』
「よーみなさんお揃いでって…え、なにモギ!風呂入ってる!面白ー写真撮ろ」
「俺もー」
きゅう達とラドゥ達も風呂に入りに来たらしく鉢合わせし大所帯で入る事になり、きゅう達もモギ達と一緒に入って寛いでいる上に、身体も洗ってあげている、モギ達も気持ち良さそうにしている。
「俺達も行こう」
紹介しつつ服を脱いで入り方をベルンに教え、皆でゆっくりと入った…。

「詠斗…ベルンとモギをカタンの所に連れて行く、土が必要だから来てくれ…」
「チグリス、カタンの所に行くんですか?私も行きます、食事を持って行きますから」
「私も…茶を持って行こう」
「カタン…?」
風呂が終わりチグリスが詠斗に言うと、ナイルと千眼も一緒に付いて行くらしい…詠斗はカタンと聞いてもピンと来ない、大河達を見てもお互い顔を見合わせた。
「カタンは私たちの群れの中で一番若いドラゴンです、まだ魔力のコントロールが上手く出来ず隠蔽魔法が常時発動して気配を感じにくいんです」
「私でも見失う時がある」
「家からあまり出ないように言っているんです、面倒は主に長様やアルケール様、伴侶様が見ています」
「なら、僕も行きたいですね」
「僕も是非行きます」
「子供のドラゴン見たいな」
「俺もここでお世話になっているので是非挨拶したいです」
「お、俺も挨拶を…」
とういう訳で、チグリス、ベルンwithモギ、ナイル、千眼、詠斗達、カイネ、バルタルでドラゴンの家が集まる外れに向かった。

「カタン…入るぞ」
テトラやカル達の家の奥の小さめな家、その周辺には木の柵に魔石を埋め込んでいるようだった。
チグリスが中に入るともぞりと布の塊が動き小さな7,8歳程の子供が起き上がってチグリスに向かってくる。
「この家の中と柵の中でしたら、カタンを認識出来ますが…カタンが制御出来ないとこの中でも見失います」
「特殊な結界を張っている…」
ナイル達は外で待ちカタンの家周辺の事情の説明を聞く、魔力が高く龍皇国騎士団の団長の1人カラクの1人息子でここで預かっているとの事。
「カタン…客だ」
「あーチグチグー抱っこしてー」
「…行くぞ」
チグリスが溜息をついてカタンを抱いて家の外に出ると、一瞬ナイル、千眼以外がポカンとして口を開けるが無言でスマホで写真を撮り始めた。
「それースマホーカタンも持ってるーとるー」
「かわいいドラゴンの子ですねー」
自分の身長よりも長い蒼緑の髪と宝石のように輝くエメラルドの瞳、頬はバラ色のとても可愛らしい子供が巾着袋からチグリスが小さくしたであろうスマホで写真を撮ってはしゃいでいた。
「ベルンこいつはカタン…カタンは魔力制御が出来ない…この結界はカタンの魔力を吸収してカタンの気配を定着させている…こいつは寒いのが苦手で結界の余分な魔力で周辺を温かくしている。モギもこの辺りなら過ごしやすいだろう」
「確かにこの辺りは温かいですね」
「そうなの?」
「俺達は状態異常無効が付いているからな、寒さや暑さに耐性があるんだな」
カイネの言葉に詠斗が反応する、そういえばいつも快適に過ごしているのがスキルのお陰かと改めて関心した。
「モギ達も寛いでます。でも、良いんですか?」
「カタン、モギをお前の家周りに住まわせても構わないか?」
「いいよー」
「あ、ありがとうございます!カタンさん!」
「カタンでいいよー」
大河が確認を取り、ベルンが快く返事をする。
「よし、今日はここでご飯にしよう。カタンは何を食べたい?」
「んー」
「カタンは草食なので私と同じ物が良いですね」
「お、おれのモギのミルクも飲んでください!」
「ミルクー?」
「カタン、長様やアゲイル様が持って来てくれる牛乳ですよ。ミルクはベルンさんのモギから出た物です、飲みますか?」
「のむー」
「はい。ベルン、コップ」
「ありがとうございます!」
すぐに傍にいたモギのミルクを絞り、カタンに渡すとゆっくり1口飲み目を輝かせゴクゴクと一気に飲み干した。
「おいしいー」
ニコニコと笑うカタンにベルンも嬉しそうだった、モギ達はさっさとカタンの家周辺で各々寛げる場所を見つけて休んでいる。
詠斗達は早速鉄板を出して肉や野菜を焼き始め、カルやテトラも呼んで服や小麦粉を混ぜる魔法具の相談もしつつ、カタンとベルンも仲を深めていった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

黒の創造召喚師

幾威空
ファンタジー
※2021/04/12 お気に入り登録数5,000を達成しました!ありがとうございます! ※2021/02/28 続編の連載を開始しました。 ■あらすじ■ 佐伯継那(さえき つぐな)16歳。彼は偶然とも奇跡的ともいえる確率と原因により死亡してしまう。しかも、神様の「手違い」によって。 そんな継那は神様から転生の権利を得、地球とは異なる異世界で第二の人生を歩む。神様からの「お詫び」にもらった(というよりぶんどった)「創造召喚魔法」というオリジナルでユニーク過ぎる魔法を引っ提げて。

無能な勇者はいらないと辺境へ追放されたのでチートアイテム【ミストルティン】を使って辺境をゆるりと開拓しようと思います

長尾 隆生
ファンタジー
仕事帰りに怪しげな占い師に『この先不幸に見舞われるが、これを持っていれば幸せになれる』と、小枝を500円で押し売りされた直後、異世界へ召喚されてしまうリュウジ。 しかし勇者として召喚されたのに、彼にはチート能力も何もないことが鑑定によって判明する。 途端に手のひらを返され『無能勇者』というレッテルを貼られずさんな扱いを受けた上に、一方的にリュウジは凶悪な魔物が住む地へ追放されてしまう。 しかしリュウジは知る。あの胡散臭い占い師に押し売りされた小枝が【ミストルティン】という様々なアイテムを吸収し、その力を自由自在に振るうことが可能で、更に経験を積めばレベルアップしてさらなる強力な能力を手に入れることが出来るチートアイテムだったことに。 「ミストルティン。アブソープション!」 『了解しましたマスター。レベルアップして新しいスキルを覚えました』 「やった! これでまた便利になるな」   これはワンコインで押し売りされた小枝を手に異世界へ突然召喚され無能とレッテルを貼られた男が幸せを掴む物語。 ~ワンコインで買った万能アイテムで幸せな人生を目指します~

異世界ソロ暮らし 田舎の家ごと山奥に転生したので、自由気ままなスローライフ始めました。

長尾 隆生
ファンタジー
【書籍情報】書籍3巻発売中ですのでよろしくお願いします。  女神様の手違いにより現世の輪廻転生から外され異世界に転生させられた田中拓海。  お詫びに貰った生産型スキル『緑の手』と『野菜の種』で異世界スローライフを目指したが、お腹が空いて、なにげなく食べた『種』の力によって女神様も予想しなかった力を知らずに手に入れてしまう。  のんびりスローライフを目指していた拓海だったが、『その地には居るはずがない魔物』に襲われた少女を助けた事でその計画の歯車は狂っていく。   ドワーフ、エルフ、獣人、人間族……そして竜族。  拓海は立ちはだかるその壁を拳一つでぶち壊し、理想のスローライフを目指すのだった。  中二心溢れる剣と魔法の世界で、徒手空拳のみで戦う男の成り上がりファンタジー開幕。 旧題:チートの種~知らない間に異世界最強になってスローライフ~

手乗りドラゴンと行く異世界ゆるり旅  落ちこぼれ公爵令息ともふもふ竜の絆の物語

さとう
ファンタジー
旧題:手乗りドラゴンと行く追放公爵令息の冒険譚 〇書籍化決定しました!! 竜使い一族であるドラグネイズ公爵家に生まれたレクス。彼は生まれながらにして前世の記憶を持ち、両親や兄、妹にも隠して生きてきた。 十六歳になったある日、妹と共に『竜誕の儀』という一族の秘伝儀式を受け、天から『ドラゴン』を授かるのだが……レクスが授かったドラゴンは、真っ白でフワフワした手乗りサイズの小さなドラゴン。 特に何かできるわけでもない。ただ小さくて可愛いだけのドラゴン。一族の恥と言われ、レクスはついに実家から追放されてしまう。 レクスは少しだけ悲しんだが……偶然出会った『婚約破棄され実家を追放された少女』と気が合い、共に世界を旅することに。 手乗りドラゴンに前世で飼っていた犬と同じ『ムサシ』と名付け、二人と一匹で広い世界を冒険する!

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生

野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。 普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。 そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。 そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。 そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。 うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。 いずれは王となるのも夢ではないかも!? ◇世界観的に命の価値は軽いです◇ カクヨムでも同タイトルで掲載しています。

異世界へ五人の落ち人~聖女候補とされてしまいます~

かずきりり
ファンタジー
望んで異世界へと来たわけではない。 望んで召喚などしたわけでもない。 ただ、落ちただけ。 異世界から落ちて来た落ち人。 それは人知を超えた神力を体内に宿し、神からの「贈り人」とされる。 望まれていないけれど、偶々手に入る力を国は欲する。 だからこそ、より強い力を持つ者に聖女という称号を渡すわけだけれど…… 中に男が混じっている!? 帰りたいと、それだけを望む者も居る。 護衛騎士という名の監視もつけられて……  でも、私はもう大切な人は作らない。  どうせ、無くしてしまうのだから。 異世界に落ちた五人。 五人が五人共、色々な思わくもあり…… だけれど、私はただ流れに流され……

異世界召喚?やっと社畜から抜け出せる!

アルテミス
ファンタジー
第13回ファンタジー大賞に応募しました。応援してもらえると嬉しいです。 ->最終選考まで残ったようですが、奨励賞止まりだったようです。応援ありがとうございました! ーーーー ヤンキーが勇者として召喚された。 社畜歴十五年のベテラン社畜の俺は、世界に巻き込まれてしまう。 巻き込まれたので女神様の加護はないし、チートもらった訳でもない。幸い召喚の担当をした公爵様が俺の生活の面倒を見てくれるらしいけどね。 そんな俺が異世界で女神様と崇められている”下級神”より上位の"創造神"から加護を与えられる話。 ほのぼのライフを目指してます。 設定も決めずに書き始めたのでブレブレです。気楽〜に読んでください。 6/20-22HOT1位、ファンタジー1位頂きました。有難うございます。

はずれスキル念動力(ただしレベルMAX)で無双する~手をかざすだけです。詠唱とか必殺技とかいりません。念じるだけで倒せます~

さとう
ファンタジー
10歳になると、誰もがもらえるスキル。 キネーシス公爵家の長男、エルクがもらったスキルは『念動力』……ちょっとした物を引き寄せるだけの、はずれスキルだった。 弟のロシュオは『剣聖』、妹のサリッサは『魔聖』とレアなスキルをもらい、エルクの居場所は失われてしまう。そんなある日、後継者を決めるため、ロシュオと決闘をすることになったエルク。だが……その決闘は、エルクを除いた公爵家が仕組んだ『処刑』だった。 偶然の『事故』により、エルクは生死の境をさまよう。死にかけたエルクの魂が向かったのは『生と死の狭間』という不思議な空間で、そこにいた『神様』の気まぐれにより、エルクは自分を鍛えなおすことに。 二千年という長い時間、エルクは『念動力』を鍛えまくる。 現世に戻ったエルクは、十六歳になって目を覚ました。 はずれスキル『念動力』……ただしレベルMAXの力で無双する!!

処理中です...