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第4部 生きる世界に微笑んで 立ち止まったら空を見上げて編
4 プレオープン!
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『おはようございまーす』
詠斗、率、綴、率、ナイル、千眼ときゅう達がテントの中で食事の支度を終わらせ大河達の分をテーブルに並べている所で、大河とチグリスが起きた。
「おはよう…カイネは?」
「ん…」
「カイネは先に行きましたよー」
「僕たちも先に行くので、大河さんとチグリスは後から来て下さいね」
「行ってきます!」
ナイルと千眼に後を任せ、詠斗、率、綴が転移魔法で店に向かった。
「今日の朝は、詠斗さんと綴さん特製卵サンドと腸詰と野菜の炒め物とスープです」
「デザートは果物と飲み物はミルク…茶もある…」
「ミルクティーで…甘くないやつ」
「両方…」
「分かった…」
『いただきす…』
「おはようございます!」
「おう、兄ちゃん…じゃなかった!オーナー!おはようございます!」
「あはは、今までと同じで良いですよー」
店の中は既にパンが並び良い香りが広がる種類は少ないが数を作り、焼き菓子も置かれている。
ショーケースにはパティが3種類、芋が入った物と干した果物が入った物、野菜が入った物が湯気を立てて盛られている、飲み物も1杯100ログお茶と果実水勿論冷蔵庫に入れ冷えた物と温かいものも選べるようになっている。
「今日は招待客しかか来ませんから、緊張せずゆっくりやりましょう」
『はい!』
外ではカイネと綴がポップコーンを作って保温庫に入れて、実を取ってプライパンで作ってまた入れてを繰り返している、見物客が売ってくれと催促してくるが今日は招待客のみの営業と都度丁寧に断りを入れているが、人だかりは中々減らない。
「すぐにでもオープン出来そうだな」
『おはようございまーす』
一斉に店にいた人々が(詠斗達込み)大河とチグリスに挨拶する、やる気がすごい伝わってくるみんな制服が良く似合っている。
「外に見物客もいるが、ドワーフ達や露店の人達も来ているからオープンしよう。レジは最初はパンの方はキッキと率君、ショーケースはナティと詠斗君でレジは皆に慣れて欲しいから全員で回すように。ポップコーンの方はカイネと綴さん、チグリスで。俺はお客様に案内と手伝いで…。では宜しくお願いします」
『お願いしまーす!』
ドアを開けドワーフ達やキャサナや香辛料の店主達が今か今かと待っている、少人数ずつ案内してゆっくり見て貰う。
「すごい素敵!ガラスこんなに外からも見やすくていいわ!」
「俺はこれとこれと!」
「美味しそうな匂い…それにこの道具も面白いわね」
香辛料の店の店主もトレイにパンを乗せていく、レジにむかうと少し緊張気味のキッキと率がレジをこなして、葉にパンを包んで渡す。
「その爪素敵ね…」
「ありがとうございます!率お兄ちゃんにして貰ったの!」
「ありがとうございます」
「私もして欲しいのだけど…」
「なら、今度お店に伺います!」
「待っているわ、これは開店のお祝いよ…少ないけれど。また来るわ」
「外のポップコーン食べて行って下さいね。ささやかですがプレゼントです」
「ありがとう」
率が香辛料の露店の店主から、塩と香辛料の手土産を受け取り丁寧な挨拶で見送る。
「会計頼む!」
「はい、いらっしゃいませ」
次会計はキャサナ達だった、トレイにてんこ盛りのパンをレジカウンターに乗せた。
『いらっしゃいませ!』
「素敵ねー!」
「良い店だな!」
「ありがとうございます、外でポップコーンも食べていって下さい」」
「これ、開店祝いと枕2つな!うちの店にも来てくれ!」
パンを抱えて店を出る、そうして次々と招待客達が買い物と差し入れを持って来てくれる。
「こんにちは、素敵なお店ですね。これお祝いの蜂蜜の飴です。皆さんで召し上がって下さい、数は少ないですが…」
蜂蜜屋の店主クローダーがパンを手にレジに来る、ガラス瓶入れた蜂蜜飴を率に手渡す。
「今すごい売れていて、故郷で蜂蜜飴の店を構える話が出ているんです。これも皆さんのお陰です。またうちに店にも来てください」
「ありがとうございます、外でポップコーンも食べていって下さいね」
招待客は残りズィーガー商会の面々となった所でレジの交代をする、今度は兄のセギだがこういう物に興味がるようで覚えも早くレジもすんなりと出来ている。
ここはセギに任せて他の様子を見に行く事にする、隣の詠斗達がいるショーケースから見て行こう。
「パティ…3種類4つずつですね、ありがとうございます」
「うん、はい会計は2,400ログです。はいありがとうございます…ふう、レジも慣れてきたわ!面白いわね」
詠斗がパティを包みナティが会計を行う、皆パティや飲み物を選び外のイスやテーブルに座って出来立てを食べている。
「こんにちは詠斗さん…少し遅くなりました」
「いらっしゃいませ、ズィーガーさん丁度良い時間ですよー」
「手の空いた職員を誘ったら結構な人数になってしまい。今商会やギルドで働いている職員達の手土産も買いたいので多く購入しても良いですかな?」
「はい、どうぞ!ズィーガーさん達が招待客のお客様のラストなのでゆっくりしていって下さい」
「おお、それはこの時間に来れて良かったですな…ちなみにこのパティ良ければ全て売ってくれませんか?職員の間で大評判でして…」
「は、はい!あ、ありがとうございまっす!」
大商会の支配人に褒められ顔を赤くしながらナティが会計を行う、会計をしている機械大きくしたスマホを見てズィーガーの円らな眼がギラリと輝く。
「詠斗さん、そちらの板は?」
「これですか…計算機…みたいなもの…です」
「売るとかは…」
「売る程は作れないですねー」
「そうですか…残念です。店の中も見せてもらいますね」
「はい、どうぞ」
「た、大河殿!あの服は!?」
ズィーガー達よりも先に店内に入ったゴーテンたちが目にしたのは、陳列したパンではなく従業員たちの制服だった。
「制服というものだ」
「清潔感や統一感があって良いですね…我々の商会にも取り入れたいものです…」
「それは構わないが」
「本当ですか!?…」
「ああ…」
「今、詠斗さん達から頂いた服の制作も順調に進んでいますし、その応用が効きそうですね」
「服を見るのも良いが、ここは飲食店だからパンや焼き菓子を見て行ってくれ」
「ゴーテン…大河さんの言う通りだぞ」
「ズィーガー様…そうですね!職業柄気になってしまうとどうも周りが見えなくなってしまいす、お恥ずかしい…」
「他の職員は買い物しているし、パンの在庫も残り僅かだぞ」
「あ…で、では失礼します」
「私も買いますな、しかし面白い仕組みですね。興味深い…是非当商会に取り入れたい所です」
「別に良いが?」
「本当ですか?」
「ああ、便利な方がいいだろう?」
「大河さんも欲がありませんな」
「お宅には稼がせて貰ったからな、その礼だ。」
「そうですか…まだまだ残務がありますよ…お陰さまで…その分稼がせて貰いました」
「また近いうちに頼む」
「はい…では買い物を…」
ズィーガーで招待した客は最後だ、パンの在庫も無くなったので2階の片付けなど手伝い、閉店して今日の問題点や売り上げの話し合いを行うと決めて2階に向かった。
「酒うっちょくれ!!」
「はいはい、どうぞ。1杯300ログです」
「こっちはポップコーンの塩味追加と酒も!」
「こっちにも…蜂蜜酒とお茶のお代わりをお願い」
こちらは外のポップコーン売り場、買い物を終えた招待客達が1部出来上がり、次から次へと作ったポップコーンが消えていく。
「これ、美味いなぁ」
「いくらでも食べれますね」
「塩…酒が進むなー」
「うちのお茶が合うねー」
「こんな美味しいもの何年振りかねぇ」
「こっちにもポップコーン、塩と香辛料のをくださーい」
「はいー」
合流した率が出来たポップコーンを運び、詠斗が飲み物を作って出していく、ドワーフ達にはビールも出してくれと言われたが他の客がいる為、蜂蜜酒や果実酒や《クイナト》で手に入れた酒を1杯300ログで提供している、赤字だが今日はサービスだ。
お茶や果実水はとポップコーンは最初の1回は無料、それ以降は200ログで提供しているせいかどんどん無くなっていく。
「今日用意した、ポップコーン分の在庫もうすぐ終わりです」
「ん…今取ったので終わりだ…」
「分かりましたー」
カイネ、チグリス、詠斗が連携してポップコーン作りを行う、その間綴が見物客の対応をしていた。
「また、来てください。今日は練習の為の開店なので」
「いつ始めるんだ?」
「私も食べたいわ、売ってよ」
「店の中見せてよ」
「ママ、あれ食べたい」
「いいじゃない、少しくらい」
「だめじゃ今日は店じまいじゃ。もう売りもんはない」
綴の側に達ドリィーガンも赤ら顔で一緒に対応してくれる、さすがドワーフ威厳と迫力があるので見物客もしぶしぶ引き下がって散っていく。
「これで今日の分終わりですねー。楽しかった」
「パティも全部売れたわよー。片付けも終わりー」
「お疲れ様です、2階で休んでて下さい」
ナティがショーケース越しに声を掛けてくれる、パン屋の方もズィーガー達で完売したようだ。
まだ業務が残っているズィーガー達に、残りのポップコーンを葉に包んだものを手土産代わりに渡して見送った。
「私たちもお暇するわー」
「また買いに来るぞ!店にも来てくれ!」
「うちの塩も買いに来て」
「蜂蜜飴や酒も入って来るのでまたうちにもよって下さい」
「お茶のみにきて頂戴」
「お兄さん達のお陰で、店に沢山人が来てくれて毎日楽しいのよー顔だしてね。髪紐巾着袋のお陰で沢山売れているの」
「はい、また伺います」
「店が始まったら宜しくお願いしますね」
呑んでいるドワーフ達は放って置いて、満足していた客達を見送り店仕舞いを行う、急遽カイネに作って貰った店仕舞い木の看板を入口ドアに掛けて置いて皆で2階に上がった。
「遅くなったが、軽く摘まんでくれ」
休憩室のテーブルに大河が取りに行ったナイル達お手製の昼食が並ぶ、みんなわぁっとサンドイッチをにありついて疲れた身体を癒す。
「美味しい…」
「この魚を揚げたのが入ったのおいしいわぁ」
「うめぇ」
「ゆっくり食べてくれ」
「ポップコーンの売り場の飲み代…主にドワーフさん達からの売り上げが…」
「パン屋の売り上げは…」
「パティ代は…」
詠斗達が売り上げの計算を行い発表をする、設備などが整い作り易さもあり招待客しかいない日だがどの店も売り上げを更新したようだった。
「どうだった?」
「作り易かったです!」
「今までで一番の売り上げだ!」
「飲み物も沢山売れて」
「みんなよろこんでたよー」
「この量なら無理なく売り上げも取れそうだな?」
『はい!』
「次の営業日は…」
『明日で!』
皆一体となって次の営業日が決まる、まだ少し昼が過ぎた位の時間で営業が終わり利益が取れるなら良いだろうとオーナーとして了承する。
「良いだろう、但し休みはしっかり取る事」
『はい!』
「問題点とか改善点はありますか?」
「包む葉が足りないかも…」
「確かに…」
詠斗の問い掛けに買い物袋代わりの葉っぱが足りないとまず出る、一般的に《トタラナ村》で袋代わりや保存袋の代わりが葉っぱだった、地面に落ちた物ではなく木に生っている瑞々しい葉を使う。
「葉…それはツンドーラの葉でも良いのか?」
「良いけどツンドーラの葉を包むのに使うって…贅沢だぞ?普通の風魔法でも中々落ちないし、登るのも難しい、梯子を使うと揺らしてきて危ない」
「あてがある、ツンドーラの葉が使えるならそこは問題ない、他は?」
「1度に入れる客の数は4,5人にしましょうか、狭いですし」
「今日のあの見物人の数を見るとしばらくは結構な客が来るな」
「なら俺が客の相手するよ。パティは下ごしらえすれば、後は焼くだけだし」
「そうして貰えると助かりますね」
と昼食を摘まみながら話し合いが進み大体の問題をクリアすると明日の分の下ごしらえをするとの事なので、カイネを残し皆で一度畑に戻る事にした…。
詠斗、率、綴、率、ナイル、千眼ときゅう達がテントの中で食事の支度を終わらせ大河達の分をテーブルに並べている所で、大河とチグリスが起きた。
「おはよう…カイネは?」
「ん…」
「カイネは先に行きましたよー」
「僕たちも先に行くので、大河さんとチグリスは後から来て下さいね」
「行ってきます!」
ナイルと千眼に後を任せ、詠斗、率、綴が転移魔法で店に向かった。
「今日の朝は、詠斗さんと綴さん特製卵サンドと腸詰と野菜の炒め物とスープです」
「デザートは果物と飲み物はミルク…茶もある…」
「ミルクティーで…甘くないやつ」
「両方…」
「分かった…」
『いただきす…』
「おはようございます!」
「おう、兄ちゃん…じゃなかった!オーナー!おはようございます!」
「あはは、今までと同じで良いですよー」
店の中は既にパンが並び良い香りが広がる種類は少ないが数を作り、焼き菓子も置かれている。
ショーケースにはパティが3種類、芋が入った物と干した果物が入った物、野菜が入った物が湯気を立てて盛られている、飲み物も1杯100ログお茶と果実水勿論冷蔵庫に入れ冷えた物と温かいものも選べるようになっている。
「今日は招待客しかか来ませんから、緊張せずゆっくりやりましょう」
『はい!』
外ではカイネと綴がポップコーンを作って保温庫に入れて、実を取ってプライパンで作ってまた入れてを繰り返している、見物客が売ってくれと催促してくるが今日は招待客のみの営業と都度丁寧に断りを入れているが、人だかりは中々減らない。
「すぐにでもオープン出来そうだな」
『おはようございまーす』
一斉に店にいた人々が(詠斗達込み)大河とチグリスに挨拶する、やる気がすごい伝わってくるみんな制服が良く似合っている。
「外に見物客もいるが、ドワーフ達や露店の人達も来ているからオープンしよう。レジは最初はパンの方はキッキと率君、ショーケースはナティと詠斗君でレジは皆に慣れて欲しいから全員で回すように。ポップコーンの方はカイネと綴さん、チグリスで。俺はお客様に案内と手伝いで…。では宜しくお願いします」
『お願いしまーす!』
ドアを開けドワーフ達やキャサナや香辛料の店主達が今か今かと待っている、少人数ずつ案内してゆっくり見て貰う。
「すごい素敵!ガラスこんなに外からも見やすくていいわ!」
「俺はこれとこれと!」
「美味しそうな匂い…それにこの道具も面白いわね」
香辛料の店の店主もトレイにパンを乗せていく、レジにむかうと少し緊張気味のキッキと率がレジをこなして、葉にパンを包んで渡す。
「その爪素敵ね…」
「ありがとうございます!率お兄ちゃんにして貰ったの!」
「ありがとうございます」
「私もして欲しいのだけど…」
「なら、今度お店に伺います!」
「待っているわ、これは開店のお祝いよ…少ないけれど。また来るわ」
「外のポップコーン食べて行って下さいね。ささやかですがプレゼントです」
「ありがとう」
率が香辛料の露店の店主から、塩と香辛料の手土産を受け取り丁寧な挨拶で見送る。
「会計頼む!」
「はい、いらっしゃいませ」
次会計はキャサナ達だった、トレイにてんこ盛りのパンをレジカウンターに乗せた。
『いらっしゃいませ!』
「素敵ねー!」
「良い店だな!」
「ありがとうございます、外でポップコーンも食べていって下さい」」
「これ、開店祝いと枕2つな!うちの店にも来てくれ!」
パンを抱えて店を出る、そうして次々と招待客達が買い物と差し入れを持って来てくれる。
「こんにちは、素敵なお店ですね。これお祝いの蜂蜜の飴です。皆さんで召し上がって下さい、数は少ないですが…」
蜂蜜屋の店主クローダーがパンを手にレジに来る、ガラス瓶入れた蜂蜜飴を率に手渡す。
「今すごい売れていて、故郷で蜂蜜飴の店を構える話が出ているんです。これも皆さんのお陰です。またうちに店にも来てください」
「ありがとうございます、外でポップコーンも食べていって下さいね」
招待客は残りズィーガー商会の面々となった所でレジの交代をする、今度は兄のセギだがこういう物に興味がるようで覚えも早くレジもすんなりと出来ている。
ここはセギに任せて他の様子を見に行く事にする、隣の詠斗達がいるショーケースから見て行こう。
「パティ…3種類4つずつですね、ありがとうございます」
「うん、はい会計は2,400ログです。はいありがとうございます…ふう、レジも慣れてきたわ!面白いわね」
詠斗がパティを包みナティが会計を行う、皆パティや飲み物を選び外のイスやテーブルに座って出来立てを食べている。
「こんにちは詠斗さん…少し遅くなりました」
「いらっしゃいませ、ズィーガーさん丁度良い時間ですよー」
「手の空いた職員を誘ったら結構な人数になってしまい。今商会やギルドで働いている職員達の手土産も買いたいので多く購入しても良いですかな?」
「はい、どうぞ!ズィーガーさん達が招待客のお客様のラストなのでゆっくりしていって下さい」
「おお、それはこの時間に来れて良かったですな…ちなみにこのパティ良ければ全て売ってくれませんか?職員の間で大評判でして…」
「は、はい!あ、ありがとうございまっす!」
大商会の支配人に褒められ顔を赤くしながらナティが会計を行う、会計をしている機械大きくしたスマホを見てズィーガーの円らな眼がギラリと輝く。
「詠斗さん、そちらの板は?」
「これですか…計算機…みたいなもの…です」
「売るとかは…」
「売る程は作れないですねー」
「そうですか…残念です。店の中も見せてもらいますね」
「はい、どうぞ」
「た、大河殿!あの服は!?」
ズィーガー達よりも先に店内に入ったゴーテンたちが目にしたのは、陳列したパンではなく従業員たちの制服だった。
「制服というものだ」
「清潔感や統一感があって良いですね…我々の商会にも取り入れたいものです…」
「それは構わないが」
「本当ですか!?…」
「ああ…」
「今、詠斗さん達から頂いた服の制作も順調に進んでいますし、その応用が効きそうですね」
「服を見るのも良いが、ここは飲食店だからパンや焼き菓子を見て行ってくれ」
「ゴーテン…大河さんの言う通りだぞ」
「ズィーガー様…そうですね!職業柄気になってしまうとどうも周りが見えなくなってしまいす、お恥ずかしい…」
「他の職員は買い物しているし、パンの在庫も残り僅かだぞ」
「あ…で、では失礼します」
「私も買いますな、しかし面白い仕組みですね。興味深い…是非当商会に取り入れたい所です」
「別に良いが?」
「本当ですか?」
「ああ、便利な方がいいだろう?」
「大河さんも欲がありませんな」
「お宅には稼がせて貰ったからな、その礼だ。」
「そうですか…まだまだ残務がありますよ…お陰さまで…その分稼がせて貰いました」
「また近いうちに頼む」
「はい…では買い物を…」
ズィーガーで招待した客は最後だ、パンの在庫も無くなったので2階の片付けなど手伝い、閉店して今日の問題点や売り上げの話し合いを行うと決めて2階に向かった。
「酒うっちょくれ!!」
「はいはい、どうぞ。1杯300ログです」
「こっちはポップコーンの塩味追加と酒も!」
「こっちにも…蜂蜜酒とお茶のお代わりをお願い」
こちらは外のポップコーン売り場、買い物を終えた招待客達が1部出来上がり、次から次へと作ったポップコーンが消えていく。
「これ、美味いなぁ」
「いくらでも食べれますね」
「塩…酒が進むなー」
「うちのお茶が合うねー」
「こんな美味しいもの何年振りかねぇ」
「こっちにもポップコーン、塩と香辛料のをくださーい」
「はいー」
合流した率が出来たポップコーンを運び、詠斗が飲み物を作って出していく、ドワーフ達にはビールも出してくれと言われたが他の客がいる為、蜂蜜酒や果実酒や《クイナト》で手に入れた酒を1杯300ログで提供している、赤字だが今日はサービスだ。
お茶や果実水はとポップコーンは最初の1回は無料、それ以降は200ログで提供しているせいかどんどん無くなっていく。
「今日用意した、ポップコーン分の在庫もうすぐ終わりです」
「ん…今取ったので終わりだ…」
「分かりましたー」
カイネ、チグリス、詠斗が連携してポップコーン作りを行う、その間綴が見物客の対応をしていた。
「また、来てください。今日は練習の為の開店なので」
「いつ始めるんだ?」
「私も食べたいわ、売ってよ」
「店の中見せてよ」
「ママ、あれ食べたい」
「いいじゃない、少しくらい」
「だめじゃ今日は店じまいじゃ。もう売りもんはない」
綴の側に達ドリィーガンも赤ら顔で一緒に対応してくれる、さすがドワーフ威厳と迫力があるので見物客もしぶしぶ引き下がって散っていく。
「これで今日の分終わりですねー。楽しかった」
「パティも全部売れたわよー。片付けも終わりー」
「お疲れ様です、2階で休んでて下さい」
ナティがショーケース越しに声を掛けてくれる、パン屋の方もズィーガー達で完売したようだ。
まだ業務が残っているズィーガー達に、残りのポップコーンを葉に包んだものを手土産代わりに渡して見送った。
「私たちもお暇するわー」
「また買いに来るぞ!店にも来てくれ!」
「うちの塩も買いに来て」
「蜂蜜飴や酒も入って来るのでまたうちにもよって下さい」
「お茶のみにきて頂戴」
「お兄さん達のお陰で、店に沢山人が来てくれて毎日楽しいのよー顔だしてね。髪紐巾着袋のお陰で沢山売れているの」
「はい、また伺います」
「店が始まったら宜しくお願いしますね」
呑んでいるドワーフ達は放って置いて、満足していた客達を見送り店仕舞いを行う、急遽カイネに作って貰った店仕舞い木の看板を入口ドアに掛けて置いて皆で2階に上がった。
「遅くなったが、軽く摘まんでくれ」
休憩室のテーブルに大河が取りに行ったナイル達お手製の昼食が並ぶ、みんなわぁっとサンドイッチをにありついて疲れた身体を癒す。
「美味しい…」
「この魚を揚げたのが入ったのおいしいわぁ」
「うめぇ」
「ゆっくり食べてくれ」
「ポップコーンの売り場の飲み代…主にドワーフさん達からの売り上げが…」
「パン屋の売り上げは…」
「パティ代は…」
詠斗達が売り上げの計算を行い発表をする、設備などが整い作り易さもあり招待客しかいない日だがどの店も売り上げを更新したようだった。
「どうだった?」
「作り易かったです!」
「今までで一番の売り上げだ!」
「飲み物も沢山売れて」
「みんなよろこんでたよー」
「この量なら無理なく売り上げも取れそうだな?」
『はい!』
「次の営業日は…」
『明日で!』
皆一体となって次の営業日が決まる、まだ少し昼が過ぎた位の時間で営業が終わり利益が取れるなら良いだろうとオーナーとして了承する。
「良いだろう、但し休みはしっかり取る事」
『はい!』
「問題点とか改善点はありますか?」
「包む葉が足りないかも…」
「確かに…」
詠斗の問い掛けに買い物袋代わりの葉っぱが足りないとまず出る、一般的に《トタラナ村》で袋代わりや保存袋の代わりが葉っぱだった、地面に落ちた物ではなく木に生っている瑞々しい葉を使う。
「葉…それはツンドーラの葉でも良いのか?」
「良いけどツンドーラの葉を包むのに使うって…贅沢だぞ?普通の風魔法でも中々落ちないし、登るのも難しい、梯子を使うと揺らしてきて危ない」
「あてがある、ツンドーラの葉が使えるならそこは問題ない、他は?」
「1度に入れる客の数は4,5人にしましょうか、狭いですし」
「今日のあの見物人の数を見るとしばらくは結構な客が来るな」
「なら俺が客の相手するよ。パティは下ごしらえすれば、後は焼くだけだし」
「そうして貰えると助かりますね」
と昼食を摘まみながら話し合いが進み大体の問題をクリアすると明日の分の下ごしらえをするとの事なので、カイネを残し皆で一度畑に戻る事にした…。
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なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。

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千晶もーこ
ファンタジー
疲労で亡くなってしまった和菓。
気付いたら、異世界に転生していた。
なんと、そこには前世で飼っていた犬、猫、インコもいた!?
物語のような魔法も覚えたいけど、一番は皆で楽しくのんびり過ごすのが目標です!
※この話は小説家になろう様へも掲載しています
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