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第4部 生きる世界に微笑んで 立ち止まったら空を見上げて編
1 更科 綴
しおりを挟む「ここは一体…」
車と共にいきなり全く見覚えのない真っ白な空間に来てしまい呆然とする、人がいるのを確認し車から降りてみる。
「ようこそ…《神の庭》へ…ん?」
「おい、彼は日本人か?」
「気配…違う…人…?…?」
「我々と同じような感じなのです」
「あの、ここはどこですか?」
「こほん…すみません、貴方は我々が召喚した異界人です。まずこの《アタラクシア》の治癒する為に行われた魔法によって貴方はここに来ました…まずは感謝を…」
「異世界…」
《神の庭》…というからには目の前の13名は神様と言うことになるのだろうか、背格好は全員違うが同じ服にフードを目深に被り顔も見えないが声は同じという不思議な神々?だった。
「帰れない…ですよね?」
「はい…」
「そうですか…」
不思議と悲しくはないが心残りはある、神様?達も何故か混乱していた。
「あー、そのなんだ。アンタは日本人か?」
「え?そうですよ、棄てられた孤児だったの本当のところは分かりませんが…」
赤子の時に棄てられ所持品も何も持っていなかった、本当の所はっきりした事はよく分からない。
「………ふむ、我々の鑑定でも不明だ。一旦話しを進めるとしよう。穴も5個も塞がった…先ずは現状の説明をさせて貰おう」
「はい…」
「まず、この世界でどう生きていくか…ステータスオープンと心の中で念じるか、言葉で言ってみてくれ」
「わかりました、ステータスオープン…わ、文字が目の前に…」
更科 綴 : 不老不死 肉体年齢 29歳 掬う者 ????
所持魔法
風魔法 天+空魔法 星夜魔法 縛鎖魔法 浄化魔法 転移魔法
スキル
状態異常無効 無限収納(時間停止) ステータス隠蔽 攻撃無効※ アイテム回収 通知機能
固有スキル
車
善行ポイント
10,000pt
神々はその表示されたステータスに呆然とする、全く知らない予期せぬ項目があったからだった…。
「間違いなく彼は日本人…地球の人間ではないな」
「この見た事もない魔法とこのステータスの名前部分…」
「縛鎖魔法と星夜魔法…」
「天+空…元々ついていた天魔法にこちらの空魔法が足されたようです…」
「引き寄せたのは我々か《アタラクシア》それとも別の何かか…」
「この辺りは我々の知らぬ領域…分かる部分の説明をしましょう、お待たせしました。まずこのステータス画面の、不老不死…貴方はこの世界に召喚された時点で不老不死になりました、死ぬ事はない…我々と《アタラクシア》がある限り」
「えぇ」
「ですが、この生に幕を降ろしたくなった場合は我々に願えば眠る事が出来ます」
「眠る…?」
「終わると同じ意味です」
「…分かりました」
不老不死…ピンとこないしっくりもこない、不快な感じも無い只ああ、そうなんだとういう感じだった。
「ふむ、次は魔法…頭の中で風が吹くイメージをして欲しい」
「はい…風が吹きました…」
「ふむ…それが魔法だ…頭の中でイメージする、浄化魔法魔法も綺麗好きな日本人の為に産み出した物だ、転移魔法もマップの範囲内ならば転移可能だ…魔力も無限底なし…までは良いんだが…」
「何か問題があるんですか?すごい便利ですよね。それに魔力の限界が無いのはいくらでも魔法が使い放題ですよね?」
「そう、そうなんだが…他の天+空魔法と星夜魔法と縛鎖魔法は我々にも分からない、空魔法は飛行などが出来るようになるが…」
歯切れが悪い、綴からしてみれば神様でも分からない事があるんだなーという感じだった。
「そうですか、なら使わないようにしますよ」
「ふむ、そうして貰えればありがたいが…こちらでも調べてみよう」
「なら一旦それは置いて、次のスキルの説明…固有スキルについては我々も分からん。車というのはその後ろのデカブツの事だな、収納も教えるその車に手を翳して収納と言うか念じてみて欲しい」
「はい、収納…車が無くなった」
「次はその逆に車をだすイメージをしてみて欲しい」
「はい…車が元の場所に…」
「これが収納だ、時間停止無限に収納出来る。但し生物は収納出来ない」
「すごいですね」
「してステータス隠蔽を押してくれ」
更科 綴 : 29歳
所持魔法
風魔法
「ステータスはこのままだと人に見られた場合面倒なことになる、その為の措置だと思ってくれれば良い。次の善光ポイントは、この世界に来てくれた事への我々の感謝と誠意だ善行ポイントを押してみてくれ」
善行ポイント
10,000pt
現在交換可能
魔法
風魔法(風弾:50pt)
空魔法(飛行:50pt)
浄化魔法(自動清掃:300pt)
スキル
鑑定:500pt 無限収納(ウィンドウ表示:300pt)
自動マッピング:300pt
「これらは我々が良いと思った行いや、我々からの依頼を受けて達成したりする場合に付与されるポイントなのです。この最初のポイントだけでも十分色々な事が出来ます」
「100,000ポイントって多いですよね」
「我々の感謝の証なのです、来てくれてありがとうなのです」
「僕もこうして皆さんの役に立てて良かったです…世界を救ったなんてピンと来てないですが…」
「救ってくれているのなのです、感謝なのです」
「では、この後の話しを…選択肢は2つあります。まず1つは此処に残り14番目の神として我々とも存在し続ける…もう1つは既に3人の異界人…貴方と同じ日本からきた者達が生活している《アタラクシア》に行き生きていくかです。此処に残り14番目の神になるのならば我々は歓迎します」
「え、いえそれはちょっと…止めておきます」
神になりたいと今この時点でも思わない、それに既に他の日本人がいるなら心強い。
「分かりました…《アタラクシア》の病を完全に治癒するには8人の召喚の儀を行う必要があり、貴方で4人目です。《アタラクシア》で生きていくための知恵と知識を貴方に与えます…」
「8人…、額が」
神の白い指先が額に触れる、淡い光が指先に生まれ綴の額の中に吸い込まれて行く、召喚される人がなんとしてでも日本に戻りたいと願わない人たちが召喚される事を願うしかない、心残りはあるが戻れなくても構わないそれが綴の日本に対して抱いた感情だった。
「今《アタラクシア》にいる異界人の方が我々と連絡を取る手段…スマホを我々に与えてくれました。《アタラクシア》に降りるのならば《不毛の地》という場所に最初に行くのが良いと思います、そこに彼らがいますから。スマホもそこで使えるようにしてくれます。行く行かないは自由です、好きに過ごして頂いて構いません」
「なら、まずはそこに行ってみようと思います」
「承知しました、では後は日本から持ち込んだ物は、消費または売るまたは贈る等をすると消費した分増えます。お金も所持していた分はこちらの金額に変えて収納に入っています。《アタラクシア》で確認して下さい」
「ええ!それはすごいですね!!牛乳と卵が無限に増える!お得ですよね!」
更科 綴 29歳: 好きな事 節約 好きな言葉 お得…という青年だった…。
「他の方々も喜んでしました。では最後に心残りはありますか?我々にも出来る事出来ない事はありますが、感謝と誠意を持って貴方を送り出したいと思います」
「そうですか…なら、僕の親代わりの尊敬している人が病で…これから入院になるんです、経営も資金繰りが難しく…育った場所が無くなってしまうのが…それが心残りで…」
「分かりました、その方の身体の病を癒す…生活に支障がない、健康な体にする事は出来ます。無理な寿命の引き延ばしはできませんが如何ですか?」
「は、はい!お願いします」
「資金…金…我々…難しい…」
「なら聞いてみるか、少し待ってくれ」
1人の神が手慣れた操作でスマホを操り誰かに電話を掛けているようだ、すぐに繋がり声が弾む。
「元気そうだな!実は…今…で…ああ、金が必要…こちらから金を…可能だ…あくまで因果に干渉して…整合性を…ああ、そうだな分かった…。電話変わってくれって、金額とかの話しで」
スマホを渡され耳に当てるとなんだか騒がしい気配と、明るい少年の声が耳に届く。
『あ、はじめまして。時永 詠斗って言いますー』
「はじめまして、更科 綴といいます」
『お金を日本に送りたいって事で良いですか?」
「はい、それが心残りで…」
『分かりました、とりあえず3千万程で良いですか?もっと必要ならちょっと時間貰いたいんですが…』
「え、そんな大金…」
『大丈夫ですよ!すぐに稼げますから気にしないで下さい!』
「なら、お借りします。必ず返します」
『良いんですよー神様達に伝えて俺達の所持金から取って貰うように頼みますから。話聞いたらこちらに来ますか?』
「はい、色々教えて頂きたいです」
『分かりましたー待ってますー。あ、神様達に代わってください』
「はい、はい。代わって欲しいそうです。お金は貸していただける事になりました」
「ああ、良かったな!おう、代わった。ああ、そうか…そうだな。定期的に…匿名とやらで…ああ、じゃ。定期的に金を匿名で寄付という体で送金出来る。悪いなこれ位しか出来ん、こちらに来たら日本でのアンタの存在は少しずつ薄れて消えていく…だから名前も残せん…」
通話を切った神が申し訳なさそうに教えてくれる、綴は首を静かに横に振った。
「もう十分です、ありがとうございます。僕を呼んでくれて感謝しています。依頼も是非僕にやらせて下さい…」
気持ちが晴れてすっきりした、電話越しの少年もとても優しそうで良かった、何か神様達にも感謝を示したい。
「神様の皆さんは食事とかしますか?」
「必要はないですが、嗜好品として味わいます」
「そうですかなら、これを…」
車の中からくじで当たった牛乳瓶を持ち出し神様に渡す、冷えているしお高めの牛乳だから気にってくれるだろう。
「ありがとうございます」
「気にっても貰えたら嬉しいです、では僕は行きます」
車を収納し神々に1礼すると神々が道を左右に分かれ開けてくれる、目の前には球体の地球のような《アタラクシア》が薄い膜に巻かれて、ゆっくり自転してる正面に立った。
「ここが皆さんがいる《不毛の地》の場所です、ここの手を翳して下さい。それで行くことが出来ます」
「はい、皆さんありがとうございます。またいつかお会いする時まで…。スマホ頂いたら…」
「連絡して下さい」
「はい、行ってきます」
『行ってらっしゃい』
神々全員に見送られ、宇宙のような空間がこの場所に来た時同様足元に発生し、綴を吸い込んでゆっくりと消えていった…。
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