あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~

深楽朱夜

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第3部 歩く路は笑顔で 余裕を持って進んでいこう

17 設置するよ

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「おはようございます」
「おはよう…」
「ん…」
今日も今日とてチグリス、大河は起きるのが一番遅かった。
「畑にいきましょう、朝ごはん出来てます」
「分かった…」
「飯…」

「お茶を飲んだら店に行こ!」
「楽しみです、お昼は庭で鉄板焼きにしましょう」
「ん、肉焼く」
「そうだな、収納があるしガラスの資材も収納に入れたし。すぐ終わるだろう」
「あ、僕の雑貨店にハンドソープや石鹸やアルコールが入荷されたんですよ!飲食店にピッタリです!」
「それは、店が出来たら供えろって事か」
「もちろん供えますよ」
「あ、千眼さんおかえりー」
「水道を受け取って来た…4台ある」
「仕事早いな」
「今はガラスの瓶や皿やコップを作っている、主がくれた差し入れと茶を置いてきた…」
「ありがとう」
千眼がカルの所から戻り茶を飲む、物作りに没頭し過ぎて食べるのを忘れない様に、サンドイッチや焼き菓子、干した果物や肉を渡しておいた。
「アルケールさん達も何かすごい勢いで銭湯作っているね」
「止めても無駄…」
少し離れた場所視界の端でアルケールやアゲイル、レグやナイデル達が木を加工し土を掘りどんどん小屋やしき物を建てていた。
「俺達も店の設置なんかが済んだら手伝うか、風呂も久々に入りたい」
「そうしましょう」
テーブルを片付け収納し、6人で店の裏側へ転移魔法で移動した。

「ここがお店ですか…」
ナイルが店先を楽しそうに見ている、入り口隣のショーケース等のガラスがまだ入っていないところ置いた立て板を外し収納して役割分担を決めていく。
「2階は詠斗くんと千眼で窓ガラスの嵌め込みと水道とレンジ等の設置、一階はナイルと率くんで水道と冷蔵庫等の設置。俺とチグリスは外周りの洗濯機や倉庫の改修、各自早く終わったら他の所も手伝ってくれ」
『はい』

「まず、2階の窓から…鉱物を出してと…はい千眼さん」
「ああ…」
拳大の鉱物に魔力を注ぎ薄く伸ばしていく、ある程度伸ばしたらガラス部分と窓枠の壁にナフの蜘蛛糸を貼っていく、貼り終わったら窓枠よりやや大きめのガラスを壁に接着させれば、継ぎ目のない窓が出来上がる、更に糸を真ん中縦に張り付け魔石を付けれると、内側の魔石に魔力を流さなければ開かない窓が完成した。
「後は2階入り口ドアと、2階の階段の所…」
「主、こちらの窓は終了…」
「わかったー、ならドアと階段の窓頼んでもいい?水道とレンジとか置くから」
「分かった…」
ドアに千眼が向かい、詠斗は水道とレンジや調理器具に大容量業務用冷蔵庫に魔力を流し稼働させる、後は冷蔵庫の素材に組み込まれた細かい魔石が上手くかどうしていく、氷も出来るし大変便利だ。
「水道は、水よし…お湯も本当に出てる、カルさんすごいなー」
まんま日本のキャンプ場の蛇口水道そのものだった、隣には作業台があり、洗い物や野菜を切るのに重宝するだろう、後は率から貰った石鹸とアルコールスプレー(ガラスボトル)とハンドソープ(ガラスボトル)を置く。
「そうだ、従業員用に小さい冷蔵庫も休憩室に置こうか、空調と灯りもちょっと薄暗いか…」
色々必要な部分を考え一度浄化魔法と自動清掃をして、千眼の所に行くとそちらも丁度作業が完了していた。
「よし、綺麗に出来た!他の所へ行こう」
「ああ…」

作業開始直後の率、ナイルチームも順調に進んでいた。
「窓ガラスはこんな感じ、軽くて丈夫ですぐ終わる。裏口の扉にもガラスを嵌めて…よし、ナイルさんは?」
「外から見えるパンの陳列棚側のガラスは完了しました、三ヶ所に区切って開くように糸で分けて魔石を付けてます」
「うわぁ、綺麗っですね。そっちの窓が自由に開くと大きい物や重たい物も入れ易いですね」
「はい、次はどうしますか?」
「レンジと水道と冷蔵庫を入れて魔力を流します」
「分かりました、では率さんが置いた物に魔力を注ぎますね」
「お願いします、後はパンのトレイとトング…あっ、あると良いもの…忘れてた…」
パンの陳列棚からパンを取って貰うのにトレイ(木材)とトング(取っ手は木先端は鉱物)を収納から出していた率がハッと大事な物を思い出した…。

一方作業開始直後の大河、チグリスチームはまず裏手にの洗濯機と乾燥機の設置から始めた。
「ここで良いな、外にも水道を置いて…。乾燥機も良いが物干し台もいるか…これは店が始まってからでもいいな。後は詠斗君達が作った丸太のテーブルとイスとベンチをいくつか置いて…」
「大河、屋根はこんな感じで良いか?」
「ああ、良いな」
大河がテーブルやイスを用意している間、チグリスが鉱物に魔力を注長いポールの用な物を地面に打ち込み、更に鉱物を薄く伸ばした物をポールの先端に付けたカフの糸で接着し屋根のような物を作る。
千眼が得意ではないが結界を張り人々の認識を逸らせるようにしている為、少々(?)目立つことをしても問題はない、ドワーフ達が改装している間は頻繁に何が出来るのか問い合わせが結構あったらしい、都度今は教えれられないと答えて貰っている。
「ここはこんなものかな、次は倉庫だ」
「ん…」
倉庫は店の裏手に元からあった小屋をドワーフ達に立て変えて貰い、使い勝手を良くして貰った。
「中は薄暗いな…ランプを置いて…よし」
千眼が作ったガラス瓶に魔石を入れた物、魔力を注げば明るくなるようにして貰った物を置いておく。
「涼しいな、これならいいか」
棚には砂糖、蜂蜜、塩を並べ、茣蓙を引いた地面には買った草で編まれた袋に入った小麦粉全てを並べて置く。
「こんなものか、後は敷地内の柵を立てるだけだ」
「ん…」
「大河さん、チグリスこっちは終わりましたー」
「ああ、こっちも後は柵を立てれば終わりだ」
「じゃ、皆でやっちゃいましょう」
一旦外に出てそれぞれ銭湯作りのついでにアルケール、アゲイル達に作って貰った50cm程の細い木の先端をい三角に加工し繋ぎ合わせた物を地面に挿していった。
「大河さ~ん、詠斗さ~ん。大事な物忘れていましたー」
「え、他に何か忘れてるものある?」
「大分出来て来ただろう?」
「レジ…お会計どうします?いくつかの店が入っているから売り上げ混ぜていいんですか?」
『あ』
店を作り商品も固まった、その後の会計の部分を失念していた。

皆で柵を打ち込んで店内に戻る、ショーケースはそこで会計出来るが、こっちは会計カウンターがそもそも無かった。
「置くとするなら、階段の所でいいですか?」
「2階は従業員しか行かないから丁度いいな、木を加工するより鉱物を加工した方が早い…」
鉄とガラスと他の鉱物を出し、お客側に見えないスピーチ台のような長めの台を置く、ガラスで作ると目立つので外観は鉄を用いて暗めの色にしてみると少し周辺から浮くので布を巻いて誤魔化した。
「値札は…日本のパン屋さんみたくパンが置いているトレイに紙で値段を書いて貼るか置くかで良いですか?」
「お客さんにはそれでいいね、こっちは…スマホの操作を教えて計算できるようにする?でも小さいかな」
「スマホを大きくすればいいのか?」
大河が出したスマホにチグリスが手を翳し、きゅう達用に用意した小さなスマホの要領で大きく20cm程にしてくれた、ショーケースのレジ用にもう1つ大きくして貰った。
「まんまタブレット!」
「これは便利だな」
「チグリス、すごい!」
「礼は肉で」
「後は価格と計算か…」
「ならこれで…」
千眼がスマホに手を翳し蝶を2羽ずつ入れていく、1羽は皆のスマホと同じように電波の所に止まりもう1羽は中で動き電卓と商品名の一覧画面を提示してくれる。
『はっ?』
3人の目が点になった、もう魔王って何なんだろうか、綺麗な便利屋さんなのかな?状態だった。
「ここをタップして商品名と金額を入力する、会計はこの電卓を使えば良い、大量購入の時は商品名を長押しすると数が入れられる。最後にどの店の物がどのくらい売れたのか分かるようにするにはメニュー画面を開けば分かる、レジの金も最初に設定した金額と合計で差異が分かるようになっている。これは主の雑誌や本の情報から得てみた。使えるか?」
「はい、千眼さんてすごい…」
「何か凄すぎて僕には何が何だか…」
「異世界の文明を知った魔王…」
「すごいのは主達だろう…?元々これがある世界から来ているのだから…」
『………』
「た、確かに…。でもいくら俺達が魔法を使えてもこんな事できないよ」
「そうです!すごいんですよ!沢山出来て!千眼さんはすごいです」
「ああ、感謝している」
「千眼さんがいるから、ここまで簡単に進める事が出来ているんだと思います」
「すごい、感謝」
詠斗、率、大河、ナイル、チグリスが口々に千眼を褒め感謝する、千眼は薄くほほ笑む綺麗な笑顔だった…。
「なら、美味しい食事をしたい…」
「任せて欲しい!」
「美味しいの用意します!」
「俺も焼こう」
「私も焼きますよ」
「俺は食いたい…」
笑い声が溢れる、種別を超え世界も超えた友情…笑い声が交わり響く、心地の良い時間だった…。






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