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第3部 歩く路は笑顔で 余裕を持って進んでいこう

5 婚礼パーティ始まります!

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「おはようー朝飯出来てるよー」

「おはようございます」

「おはよう…」

「ん…」

「ああ、おはよう」

「すみません、寝すぎてお手伝いできなくて…」

ゆっくりと率が目を覚ますの同時に大河が起きチグリスが続く、テーブルの上には湯気が出ているおかずやスープが並んでいた。

「気にしないで、食べれそう?」

「はい」

「今日も髪を三つ編みに…」

「ああ」

千眼が大河に髪紐を渡す、毎朝大河に結って貰っているのを率がやらせて欲しいと頼み、千眼の髪を緩い編み込みにしていった。

「可愛いですね!千眼さん写真撮ってもいいですか?」

「似合ってる…」

「本当だ!」

「ああ、緩くするとまた雰囲気が変わるな」

「1度やってみたかったんです、ナイルさんもチグリスも結います?」

「ん…やって」

「いいんですか?ありがとうございます」

チグリスはハーフアップにしダンゴにし、ナイルは両サイドで編み込みにする。

「みんな、可愛いね!写真撮ろうっと」

「撮ったらラインに送って下さい、率さんありがとうございます」

「ん…、ありがと」

「2人とも似合ってますよ」

そのまま写真を皆で何枚か撮り、盛り上がりご飯はちょっと冷めてしまった…。



ほったらかしにしていた布団を片付け椅子にそれぞれ座る、木のコップにお茶と醤油ベースの貝と魚のスープにサラダとキノコと肉の炒め物にパンとさっき作ったらしいミカンモドキ(仮)リンゴモドキ(仮)のジャムが置かれていた。

「それでは、いただきまーす」

『いただきます』

「今日はもう準備が出来ているのを畑の側に出しておけばいいね」

「ケーキは中盤に出すんですよね?」

「それくらいで出す位でいいだろ、俺達が切り分けて盛り付けして渡すんだろう?」

「そうです、チョコも付けて果物も盛り付けして」

「なら、新郎新婦のお2人には特別感があった方がいいですか?」

「いらない」

「チグリス、そんな事言わないでさお祝いだし。特別感かーあ、チョコソースにして掛けてみようか…あと果物凍らせて立体感とか出す?」

「いいですね!パフェっぽくするのも可愛いかもしれないですね」

「ガラスの器も作ったし、そうしようか」

「なら、食べて向かって準備するか、来るのは…」

「もう少し後ですね」

わいわいと今日の計画の打ち合わせを行う、きゅう達もワクワクしているようで張り切っていた。



「よし、こんなもんだ!」

「すごい!ガーデンパーティですね!」

「すごいな」

丸太のテーブルや木をくり抜いて作った台に所狭しとご馳走を並べ、器やコップや皿も沢山用意し酒も樽で用意しその場で調理も出来るように竈や鉄板なども準備、後はスマホでみんなで写真を撮って盛り上がっていた。

「来た…」

「アゲイル様達ですね」

「いよーぅ!わざわざ俺達の祝いをしてくれるって物好きな異界人て…あれ増えてる?」

6人のすぐ後ろから声が聞こえ振り返ると大柄な美形が笑顔で立っていた、神々から貰ったペンダントが点滅していたが写真を撮るのに夢中で全く気付かなかった。

「アゲイル様お久しぶりです」

「ああ、ナイルとチグも元気そうだな!あんたらが異界人と…魔王か…ありがとうな!」

2m近くある長身に腰まである白銀の髪を無造作に括り、黄金の眼青年は笑顔が良く似合う好感が持てるドラゴンだった

「俺は、時永 詠斗です。ご結婚おめでとうございます!」

「俺は、峯尾 大河。大河と呼んでくれ、おめでとう」

「初めまして、昨日 《アタラクシア》に来たばかりです。成澤 率といいます」

「そうか、この世界もそんな悪くはねぇからな。楽しんでってくれ、俺はアゲイル。それでこっちは俺の伴侶の…」

アゲイルの背中からひょこりと出て来たのは、純白の毛に覆われ薄い桜色の瞳の掌サイズのネズミだった。

「今日はお祝いしてくれてありがとう、私はレグ」

地面に降り立つとそのまま人の姿へ転じる、白髪に薄いピンクを混ぜた髪み桜色の瞳の可愛らしい青年が現れた。

「俺の伴侶は美人だろう」

レグの肩を抱きアゲイルがデレデレした表情を浮かべ、レグも満更でもない感じで幸せそうである。

「お、オヤジ達も来たな」

上空をドラゴンが10体以上飛びこちらに降りてくる途中で人へと皆転じる静かな着地だった、アゲイルと同じ白銀の髪と黄金の眼の30代位の男性が最初にこちらに向かって歩いて来る。

「初めまして異界人の…方々よ。我はこの群れの長アルケールと申す、此度は我が息子の婚礼を異界人の方が祝して頂けるということで、こちらからも親愛の証としての品を用意させて頂いた、納めて頂きたい」

「お気遣いありがとうございます、俺は時永 詠斗と言います」

「ご子息の婚礼おめでとうございます、俺は峯尾 大河と言います」

「ご結婚おめでとうございます、お祝いの席に参加出来て嬉しく思います。僕は成澤 率と申します」

「ではこちらの品を…私はナイルの父…ナイデルと申します。息子がお世話になっております、ご迷惑をおかけしてると思いますが…」

『え、お父さん??』

詠斗と大河と率3人に声が被る、目の前のナイルの父親はナイルの兄弟位にしか見えない外見だった、よく似た面差しに微笑みを浮かべる姿は大河位の年齢にしか見えない。

「ドラゴンだから、こんなものだ…」

横からチグリスがぼそりと教えてくれる、3人ともそれで納得…する事にした。

「ナイルさんにはいつも助けて貰ってます!」

「ああ、頼りにしている」

「この世界に来たばかりの僕にもとても優しいです」

「皆さま…不肖な息子ですが何卒…」

「ちょっ、パ…父様止めて下さい!」

深々と頭を下げるナイデルに止めるようナイルが縋る、その2人の前を薄い紫色の髪と眼の青年が立って話を進めていく。

「話しが進まないようですので、品の説明は私タタルがさせて頂きます。まず親愛の証として群れのドラゴン全員の鱗を…」

「詠斗殿、大河殿、率殿に贈ろう」

「承知しました…鱗は後ほど用意致します、次は100年物の花酒こちらは酒に花を漬け込んだ物です、我々ドラゴンが好む物です、人が飲む分には水等で薄めるといいかもしれませんね、次は《翼ある者》にしか行く事が出来ない島ユライナでしか採れない鉱物とその島のダンジョンの最終階層のボスドロップ品である聖剣と食物はどれも大変美味です。どれも貴重な品ですお納め下さい」

「あ、ありがとうございます」

神経質そうな面差しのタタルが持っていた収納袋から出て来た品々に、3人とも笑顔で受けるが内心は三者三様である。

(酒と食べ物と鉱物は嬉しいなぁ…鱗は飾ろうかな、聖剣て…聖剣てゲームとかの?うん、大河さんにあげよう)

(酒と食べ物と鉱物は助かる…鱗は飾るか…、聖剣…聖剣…俺向きではないな、よし詠斗くんに渡そう)

(ドラゴンからのお返し?なんかすごいな鱗綺麗だな…せっかくだから交換した鑑定…詠斗さん達はちょっと使えないって言ってたけど鑑定してみようか ドラゴンの鱗:神々から売らないで欲しいとストップ掛かってます…使い道は飾るか武器の素材とか?あ、後粉にしてマニュキュアに混ぜると良いかも…意外に思ったよりも仕事している気がする…もったいないけどやってみようかな…後は聖剣…聖剣て…うん詠斗さんと大河さんに任せておけばいいかな)

「こんなすごい物をどうも」

「やっぱりドラゴンの皆さんが持って来るものって違いますねー」

「気に入って貰えたようで何より」

「そろそろ、食事にしましょうか…お皿やコップやフォークなどはあそこにあるので、料理や飲み物を好きに取って食べて貰う方式です。よければ最初の一杯は乾杯してからにしようかと…俺達のいた世界ではお祝い事があると最初の一杯目はみんなでグラスを合わせてカンパイっていうんです」

「おお。それはいい!まさに今日に相応しい!」

ドラゴン達もワイワイと喜んでやろうと口々に言っている、チグリスはもう早く食べたいという感じだ。

「では、料理や飲み物の説明等もするのでお皿とグラスを準備してください」

パーティが始まる、今回の係の割り振りは千眼が飲み物や食器類の提供、ナイルがパンやスープやサラダの係、チグリスがひたすら味見をしながら肉と魚等を焼く係、詠斗が揚げ物係、大河がポップコーンと炒め物等の係、率が果物やテーブルを回る係と分担決めを行い、先頭はもちろんアゲイルとレグから好きな物を取って行って貰う。

歴史に残る婚礼の幕が上がった、このやり方が後に評判に評判を呼び大変な事になっていくのはまだ先の話し…。

『悪役令嬢は王子さまより執事がお好き』※作者の考えたタイトルです
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