あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~

深楽朱夜

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第2部 スタートはゴール地点から 本が読みたければ稼がねば編

13 焼き肉パーティ

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「さあてこっちは切っていくだけ、とにかく野菜を切る!後肉!」

「はい!」

「おー」

ハサミや魔法を駆使し購入した野菜と肉を適当な大きさに切っていく、ひたすら…余れば明日の食事に…ひたすら…。

「よし!こんな感じかな、鉄板の準備は…」

「出来てる」

「詠斗くん、鉄板に敷く油はこれを試してくれ、牛脂だと思えばいけるだろう」

『もぐっ』『もぐ』『もぐ』『ぴぃ』『きゅ!』きゅう達も次から次に芋を運んでくる、森でキノコや葉野菜も食べられそうな物を採取し…きゅうの風魔法でまとめて宙に浮かせていた。

「きゅう、魔法使えるの?すごいね」

『きゅ!』「少し教えたら出来るようになりましたね」

ナイルが教えたらしく誇らしげに首を上下にする、持ってきた野菜の汚れを落としナイルとチグリスがキノコを串に刺していく、脂を鉄板に載せヘラで満遍なく塗っていく。

「いい!美味しい肉が焼ける匂い!最高だね!」

「いいな、始めるか」

「はい!みんなー今日の飯は焼きながら食べるスタイルね、自由に出来上がった物を食べて、あ、バランス良く野菜も食べて」

「調味料は、野菜はテーブルに置いてある。この葉物にタレを付けた肉を載せて食べたりするのも良い飲み物は、水、お茶、ビール置いてあるから好きに飲んでくれ、では」

『いただきまーす』『もぐ!』『もぐぅ』『もぐっ』『ぴぃ』『きゅ!』

「鉄板だけじゃ足りないから、フライパンを…」

「詠斗、パン…」

「焚き火で焼いて食え、魚と貝も焼くか」

「なら、この海老みたいな身も…やっぱり魚は」

『醤油だ!』

詠斗と大河が醤油で魚や貝を食べる、千眼は味噌や塩で肉を葉物に巻いて食べている、チグリスは鉄板から離れず出来た端から塩や醤油で味わい、ナイルはきゅう達に食事を食べさせながら丸太のテーブルで、キノコや野菜を美味しく味噌マヨネーズソースで食べていた。

「うん、この腸詰め焼いたパンと一緒だと更に美味しい」

「本当に美味いな」

「これ美味い…」

「チグリスすごい食べてる、ちゃんと焼いて食べてよ」

「んー」

そうして食事はゆっくりと楽しく、わいわいと過ぎていった…。



「あー、食べた」 

食後に丸テーブルに皆で座り千眼が淹れたお茶で、果物や貰ったお茶菓子、ポップコーンで明日以降の話しを始める頃には辺りは暗くなり始めていた。

「まず、千眼に頼みがある。ブルラド商会を調べて欲しい。その眼なら調べられるか?」

『………』

大河と詠斗以外の3人がその名を聞いて黙り込む、嫌な雰囲気が漂う、特に千眼からは嫌悪感を感じた。

「調べるとは?あれと関わるのは…」

「なるほど…なら知っていることを教えてくれ、その後考える。弱味…といえば話しは早いかも知れないが、ブルラド商会がこの世界の法に触れているような事をしているかどうかだ」

「…ブルラド商会の裏にアラルドラという血族がいる…その血族の頂点にいる男はドラゴンと人の混血種だ。その男は私よりも長く生きている…」

「ドラゴンと人って子供作れるの?」

「作れますよ、難しいですが…」

詠斗の言葉にナイルが口淀む、チグリスはお茶を無言で啜る。

「そうか法律はその男の前では無意味か…長く生き、名の知れた商会の頭の上に人間の上の種族、法など役には立たないな」

「そうだな…」

「なら、何故小麦粉等ブルラド商会が独占販売している物のが値上げしたり、所持している土地の賃料の値上げを行っているのか知りたい」

「それは、ブルラド商会が、ではなくアラルドラの血族が支配する神聖王国『テンライズ』が金を集めているからだ」

「テンライズ…神々から貰った知識には貧しき者を受け入れ施し、新たな生を与える国家とあるが」

「俺の知識もそんな感じです、ようは行き場ない人達を信徒にし集団で生活し糧を得る宗教国家のような物だど」

「表向きは…裏では色々やってる」

チグリスが2人の知識に首を横に振る、どこの世界でもそういうキナ臭い場所はあると言うことかと2人は納得する。

「相手は国か…ならそこは今は置いて、明日から少し忙しくなりそうだ。店と商会を作る」

『店?』「俺も手伝いますからね!」

「そう、金とポイントを稼ぐ。せっかく異世界でこうして出逢った同じ世界の詠斗くん、この世界のドラゴンのナイルとチグリス、そして魔王…良ければ手を貸して欲しい。もちろん、対価は払う。俺に出来る事ならば…」 

『もぐ!』『もぐぅ!』『もぐっ!』『ぴぃ』『きゅ!』

「お前達も力を貸してくれるのか?ありがとう」

「俺も入りたいです!大河さんの商会是非雇って下さい!」

「わ、私も…人が怖いですが…私に出来る事があれば頑張ります!」

「俺は飯…」

「私も入れて欲しい、出来る事は何でもしよう」

5人の視線が交わる、全員の目が活き活きとしている。

「大河これ…」

チグリスがテーブルの上に透き通った紅の美しい輝きを放つ平らな石の様な物を置く、ナイルも藍色の透き通った宝石の様な輝きを放つ平らな石を置いた。

「これは、綺麗だな」

「うわぁ、宝石みたい透き通っていてすごい綺麗…」

「鱗です、売れるようなので売って資金にして下さい」

「俺のも…よく飯と交換するから…何か交換すればいい…」

「ではこれは私から…」

最後に千眼がテーブルの上に小さなゴツゴツとした突起のがある石を出してくる、大河はラノベ等ではこういう場合とてつもなくやばい物が出ると知っている、ドラゴンの鱗も価値が全く分からないので鑑定してみる 鱗:高く売れますが…神々からストップ掛かったので売らないでください 代わりの物用意するそうです あ、あと魔王が出してきたのは星の欠片です…これも売ると…後々面倒な話になりそうなんで売らないで欲しいそうです 価値は…魔王が持って来るもの何で察してください… 後書店はもう少しお待ちください すみません …鑑定???おい鑑定???大河は額を押さえ下を向く。

「どうしたんですか?大河さん?」

「いや…鑑定が鑑定の仕事をせずに他の仕事をしている…」

「鑑定…あんまり仕事してないですもんねー他の仕事も回ってくるんですかね」

「そうかもな、すまない皆。気持ちと物は受け取る、これは俺の宝だ…千眼この石は?」

「星の欠片というものだ死んだ星が降って来たのを拾った。これを集めるのが好きだから1つ譲る、珍しい物だから売れると思った」

死んだ星…隕石か、まさかの隕石コレクターだった千眼からのプレゼント…人前に出すのは止めておこうと誓った。

「この石…変わった形していて面白い」

「主にも譲ろう」

「私の鱗も是非詠斗さんに、どうぞ」

「俺もやる」

「わ、ありがとう大事にするね」

「……」

詠斗は売ったりはしないだろう、嬉しそうに巾着袋にしまう詠斗を眺め、もう1つ決めた事を皆に伝える。

「商会の名前だが『アウトランダーズ商会』にしようと思う」

「聞いたことある言葉ですね!意味は知りませんが、カッコいいです。大河さんに似合う言葉だと思います」

「それなら、詠斗くんも似合うな。意味は外の国から来た人達、ここではそういう意味を込めて複数系にした。後6人来るからな…」

話し込んでいたらすっかり夜になる、空を見上げると星も月もないが更に目を凝らすとそのもやの先に、白い月と13の星が静かに輝いているのが見えた。

「そうですね…いつか会えますね…」

詠斗が笑うこの世界なら大丈夫、いつか会える日を楽しみにしていますと心の中で呟いた…。



「流れ星…」

日本…東京のとある住宅地、口元に殴られた跡がある青年が偶々見上げた夜空で流れ星を見つけた。

「生まれて初めて見ました…願い事早すぎて言えません…。でももし叶うなら…僕が楽に息が出来る場所へ連れて行って下さい」

言葉に出して自嘲気味に笑う、そんなこと出来る訳無いのにと…。



「あ、流れ星。初めて見た…願い事…やっぱりお金かな…」

日本…東京…金があれば大抵の事は叶う、そうだがそれが難しい…。

「良いもの見れた…よし頑張ろう」

気合を入れ直し行かなければならない所はまだあると、自分に発破を掛けて歩き出した。



「流れ星…っ」

とある漁が盛んな港町、夜空を見上げてたまたま見えた流れ星に歯を食いしばる、痩せた体を小さく丸め夜の砂浜で波の音を聞く、家にいたくない帰りたくない気持ちが溢れて堪らない。

「死んじまえクソ×××、くたばれ×××!」

傍らにあった石を海に向けて投げる、ちゃぽんと暗闇の中で海に吞み込まれていった。

「早く大人になりたい…」

そう言って少年は静かに泣いていた、頼りないその背中はいつまでも小さく震えていた…。



「へえ、流れ星…良い事あるかも…明日打ちに行こうか…どうせ勝つけど」

帰り道上を見上げたら流れ星が流れタイミングが良く見る事が出来た、ブリーチしすぎて痛んだ髪、ピアスだらけの両耳と口に開いたピアス、ハイブランドの黒のジャケットにビンテージ物のジーンズと適当に店で購入したブランドの靴に、見る人が見ればすぐに分かるシルバーのアクセサリー、恵まれていると言えば恵まれているであろう青年。

「あーつまんない」

道端の石を蹴飛ばし家に戻る、退屈…言ってしまえばその一言で片付く程度の感情だがそれがずぅっと続いて、常に乾いていた…。



「あ、流れ星…いや止めておこう、らしくない」

会社からの帰りふと見上げた夜空に流れた流れ星…、らしくもなく願いを口にしようとして首を横に振る。

「奇跡は起こらない今を楽しめ…」

自分に言い聞かせ笑顔を浮かべたが覇気はない、顔色も良くない、只体を動かす、只歩く、それが少し今は辛い…。



「ん、流れ星か…何年ぶりだろう」

コンビニの外の掃除とゴミ袋の交換を行っている途中で、偶然見上げた夜空に流れた星。

「ふう、あー腰と足がいてぇ。明日シフトに穴が空きませんように…たまには定時にあがりてぇなぁ」

腕を伸ばし背筋を伸ばして体を解す、若くもなければただの深夜のコンビニバイト…別に現状に不満はない、満足も勿論していないが…。

「ふぅ、おっとレジが混んでるわ」

早足で中に戻る今はこれでいい、自分で選んでこうしてここにいるのだから…。
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