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第2部 スタートはゴール地点から 本が読みたければ稼がねば編
9 無欲
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「ここが村か」
テントから移動した3人はさっそく、前方の冒険者ギルドに向かった。
「すみません、冒険者登録をしたいのですが?」
「……」
詠斗の事も先日対応した受付嬢が、大河の顔を見てぼおとしている。
「あの」
「ご、こめんなさい。私ったら、こちらの用紙を読んで署名をお願いしますぅ。分からない事があれば聞いてくださぁい」
「…どうも」
碌々書類に目を通さずさっさとサインし、カードを受けとった。
「説明ですがぁ」
「彼から聞いた、金は置いとくのでそれじゃ」
「あ、あの」
席を立ち尚大河の背に声を掛ける受付嬢を無視し、冒険者ギルドを後にした。
「俺の時は面倒くさそうにしてたけど…流石」
「…時間はあるがあそこに掛ける時間はない。さ、次に行こう」
「はい!」
「おや、この間のお兄さんみとっとくれよ!」
「こんにちは」
村に来て初めて買い物をした露店のおばさんが笑顔でむかえてくれた。
「この果物は?」
「おや、随分男前のお兄さんだね!風が昨日強くておちちまったんだよ。こんな小さくて青いけど他の食材と一緒に焼いたりすると美味しいよ!」
大河が指したのは草で編まれた袋に大量に入れられた、小さな青リンゴの様な果物だった。
「よし、これを全部貰おう。お姉さん買うからまけてくれ」
「あ、あら嫌だよ、お姉さんなんて!売れ残って困ってたからオマケしちゃう」
大河が薄く笑うと、百戦錬磨のおばちゃんも乙女になってしまう、アオリンゴモドキ(仮)を5kgを半分の値段にしてくれた上に野菜も沢山オマケしてくれた。
「大河さん、すごい」
「愛想はこういう場合に使えばいい」
「なるほど…」
「布屋昨日よりも人がすごいなぁ」
「あ、お兄さん待ってたよ!あんたお兄さんきたわ!」
「おー、待ってたぞ!ほら」
キャサナが詠斗達の姿を見つけ奥にいる旦那を呼び、枕を4つ持って出て来る。
「これが詠斗くんが注文した枕か…これは気持ち良さそうだ」
「お、アンタが兄ちゃんの友達か!兄ちゃんのお陰でうちもばあさんとこも大忙しだ!ありがとうな!この枕も注文が来てて他の布屋と組んで作っているぞ!」
「そうそう、昨日商業ギルドに行って巾着の納品やら金額やら決めて来たわよ、そしたら次は枕!本当にありがとうね!」
「それは良かった。じゃあ、4つで6,000ログで」
「おう、毎度!」
「また来てね!」
「はい」
「しかし、君は欲がないな」
「え?」
「巾着も枕も君の発案だろう?アイディア料位貰えば良いだろう」
「はは、良いんですよ。俺の話しを目をキラキラさせてみんな聞いてくれたのが嬉しかったので」
布屋から出た後に大河が詠斗に尋ねる、詠斗は裏表なく屈託のない笑顔で答えた。
「君の長所だな、だが悪い大人に騙されるなよ」
「俺、もう大人です」
「そうか」
「詠斗…肉食いたい」
「はいはい、屋台のでいい?」
「ん…」
少年と青年の間を通り越し、チグリスの腹減ったコールを聞く姿はオカンかな?と大河は思った。
「こんな狭い路地裏でパン屋があるのか」
パン屋に向かう途中でチグリスの為に肉の串焼きを購入、そこでも大河が愛想よくするとオマケで肉串をオマケしてくれた(ちなみに店主はおっさん)食べながら向かうと昨日やりも人が増えていた。
「あ、お兄さん!いらっしゃい!」
赤毛のそばかすの少女がうつむきで悲しそうな顔をしていたが、詠斗達の姿を見つけるとパァっと明るい表情で出迎えてくれる。
「こんにちは、今日もパンあるだけ買ってもいいかな?友達がいや…家族がいるから」
「いいよ!オマケしてあげる!」
「1つ今食べてもいいか?」
「うん!どうぞうちのパン屋は世界一よ!」
大河は小ぶりのパンを1つを手に取り食べる、バターも使っていない硬いパンだが小麦の味がしっかりしておりよく噛めば甘味も出てくる、母親が昔大河によく作ってくれたパンの味に似ている…。
「少し込み入った話しを聞くが、どうしてここに店を?」
チグリスもパンを美味しそうに頬張っている、塊のパンを物ともせず嚙み砕いているのを尻目に尋ねた。
「…この辺りのお店の賃料が最近上がったの…、それに小麦粉やお砂糖の値段も上がって…」
女の子の表情が益々曇っていく、大河はそれを黙って最後まで聞いていた。
「他にもお店を続けられなくなったみんなとお金を出し合って、1つの工房を借りてパンとか焼き菓子をこうして外で売ったり、小さな屋台を引いて売ったりしているの…」
「そうか、嫌な事を聞いてすまない、ここにあるパン全部買おう。隣のお兄さんが食いしん坊で沢山食べ物が欲しいんだ。そうだ明日も買いに来るからこの倍を用意して欲しい」
「本当!?」
「ああ、これは今日の分と明日の分のお金だ。足りるか?」
「え!こんなに!?」
大河が懐から10,000ログコインを3枚出して渡す、女の子が驚いて何度も大河の顔と手の中のコインを見つめる。
「ああ、明日またこの位にくるから、頼んだ」
「うん、分かった!ありがとう。明日待ってる」
詠斗の収納袋(偽装)にパンを入れて、手を懸命に振る少女の見送られた。
「大河さんも、人が良いじゃないですか」
「ん?」
「女の子の話しを聞いてあげて、パンの注文もしてあげて優しいじゃないですか…」
「ふ…そう思うか?」
「はい!」
「俺もこの世界で金を稼がないとな、その布石だ」
「えー教えて下さいよ」
「後でな」
「このフルーツ水飴というの美味しい」
「綺麗…美味しい…綺麗」
「ウマウマ、可愛いなのです」
「我々もテーブルやら椅子やら創ってちょこやアメや…」
「うめぇ!このびーるうめぇ」
「うむ、ビールびーるとフルーツ水飴合うな」
「いや、合わないです。ビールならちょこです。この一択です」
「いや、酒はつまみが一番、つまみがあって酒がある。酒があってつまみがある」
「今回の返礼は何にします?ちょことほうじ茶一択です」
「そうですね…ポイントに還元します?このウサギのリンゴ可愛いので食べれません」
「なら下さい、私は花の形にしてくれたフルーツ水飴が好ましい、ドラゴン達も喜ぶでしょう。スキルを増やしましょうか少ないポイントで交換できるように、深眼は気に入らなかったようですし」
「お断りします、そうしましょう。鑑定の精度を上げたいのですが…」
「うむ、せめてもう少し有用性がある鑑定が出るようにするか」
『異議なし』
《神の庭》は最近こんな感じで話しが進む、以前に比べたら格段と早く話し合いに決着が着くのは言うまでもない、やはり酒と食べ物が入れば話しは弾むし良い方へ向かう…。
テントから移動した3人はさっそく、前方の冒険者ギルドに向かった。
「すみません、冒険者登録をしたいのですが?」
「……」
詠斗の事も先日対応した受付嬢が、大河の顔を見てぼおとしている。
「あの」
「ご、こめんなさい。私ったら、こちらの用紙を読んで署名をお願いしますぅ。分からない事があれば聞いてくださぁい」
「…どうも」
碌々書類に目を通さずさっさとサインし、カードを受けとった。
「説明ですがぁ」
「彼から聞いた、金は置いとくのでそれじゃ」
「あ、あの」
席を立ち尚大河の背に声を掛ける受付嬢を無視し、冒険者ギルドを後にした。
「俺の時は面倒くさそうにしてたけど…流石」
「…時間はあるがあそこに掛ける時間はない。さ、次に行こう」
「はい!」
「おや、この間のお兄さんみとっとくれよ!」
「こんにちは」
村に来て初めて買い物をした露店のおばさんが笑顔でむかえてくれた。
「この果物は?」
「おや、随分男前のお兄さんだね!風が昨日強くておちちまったんだよ。こんな小さくて青いけど他の食材と一緒に焼いたりすると美味しいよ!」
大河が指したのは草で編まれた袋に大量に入れられた、小さな青リンゴの様な果物だった。
「よし、これを全部貰おう。お姉さん買うからまけてくれ」
「あ、あら嫌だよ、お姉さんなんて!売れ残って困ってたからオマケしちゃう」
大河が薄く笑うと、百戦錬磨のおばちゃんも乙女になってしまう、アオリンゴモドキ(仮)を5kgを半分の値段にしてくれた上に野菜も沢山オマケしてくれた。
「大河さん、すごい」
「愛想はこういう場合に使えばいい」
「なるほど…」
「布屋昨日よりも人がすごいなぁ」
「あ、お兄さん待ってたよ!あんたお兄さんきたわ!」
「おー、待ってたぞ!ほら」
キャサナが詠斗達の姿を見つけ奥にいる旦那を呼び、枕を4つ持って出て来る。
「これが詠斗くんが注文した枕か…これは気持ち良さそうだ」
「お、アンタが兄ちゃんの友達か!兄ちゃんのお陰でうちもばあさんとこも大忙しだ!ありがとうな!この枕も注文が来てて他の布屋と組んで作っているぞ!」
「そうそう、昨日商業ギルドに行って巾着の納品やら金額やら決めて来たわよ、そしたら次は枕!本当にありがとうね!」
「それは良かった。じゃあ、4つで6,000ログで」
「おう、毎度!」
「また来てね!」
「はい」
「しかし、君は欲がないな」
「え?」
「巾着も枕も君の発案だろう?アイディア料位貰えば良いだろう」
「はは、良いんですよ。俺の話しを目をキラキラさせてみんな聞いてくれたのが嬉しかったので」
布屋から出た後に大河が詠斗に尋ねる、詠斗は裏表なく屈託のない笑顔で答えた。
「君の長所だな、だが悪い大人に騙されるなよ」
「俺、もう大人です」
「そうか」
「詠斗…肉食いたい」
「はいはい、屋台のでいい?」
「ん…」
少年と青年の間を通り越し、チグリスの腹減ったコールを聞く姿はオカンかな?と大河は思った。
「こんな狭い路地裏でパン屋があるのか」
パン屋に向かう途中でチグリスの為に肉の串焼きを購入、そこでも大河が愛想よくするとオマケで肉串をオマケしてくれた(ちなみに店主はおっさん)食べながら向かうと昨日やりも人が増えていた。
「あ、お兄さん!いらっしゃい!」
赤毛のそばかすの少女がうつむきで悲しそうな顔をしていたが、詠斗達の姿を見つけるとパァっと明るい表情で出迎えてくれる。
「こんにちは、今日もパンあるだけ買ってもいいかな?友達がいや…家族がいるから」
「いいよ!オマケしてあげる!」
「1つ今食べてもいいか?」
「うん!どうぞうちのパン屋は世界一よ!」
大河は小ぶりのパンを1つを手に取り食べる、バターも使っていない硬いパンだが小麦の味がしっかりしておりよく噛めば甘味も出てくる、母親が昔大河によく作ってくれたパンの味に似ている…。
「少し込み入った話しを聞くが、どうしてここに店を?」
チグリスもパンを美味しそうに頬張っている、塊のパンを物ともせず嚙み砕いているのを尻目に尋ねた。
「…この辺りのお店の賃料が最近上がったの…、それに小麦粉やお砂糖の値段も上がって…」
女の子の表情が益々曇っていく、大河はそれを黙って最後まで聞いていた。
「他にもお店を続けられなくなったみんなとお金を出し合って、1つの工房を借りてパンとか焼き菓子をこうして外で売ったり、小さな屋台を引いて売ったりしているの…」
「そうか、嫌な事を聞いてすまない、ここにあるパン全部買おう。隣のお兄さんが食いしん坊で沢山食べ物が欲しいんだ。そうだ明日も買いに来るからこの倍を用意して欲しい」
「本当!?」
「ああ、これは今日の分と明日の分のお金だ。足りるか?」
「え!こんなに!?」
大河が懐から10,000ログコインを3枚出して渡す、女の子が驚いて何度も大河の顔と手の中のコインを見つめる。
「ああ、明日またこの位にくるから、頼んだ」
「うん、分かった!ありがとう。明日待ってる」
詠斗の収納袋(偽装)にパンを入れて、手を懸命に振る少女の見送られた。
「大河さんも、人が良いじゃないですか」
「ん?」
「女の子の話しを聞いてあげて、パンの注文もしてあげて優しいじゃないですか…」
「ふ…そう思うか?」
「はい!」
「俺もこの世界で金を稼がないとな、その布石だ」
「えー教えて下さいよ」
「後でな」
「このフルーツ水飴というの美味しい」
「綺麗…美味しい…綺麗」
「ウマウマ、可愛いなのです」
「我々もテーブルやら椅子やら創ってちょこやアメや…」
「うめぇ!このびーるうめぇ」
「うむ、ビールびーるとフルーツ水飴合うな」
「いや、合わないです。ビールならちょこです。この一択です」
「いや、酒はつまみが一番、つまみがあって酒がある。酒があってつまみがある」
「今回の返礼は何にします?ちょことほうじ茶一択です」
「そうですね…ポイントに還元します?このウサギのリンゴ可愛いので食べれません」
「なら下さい、私は花の形にしてくれたフルーツ水飴が好ましい、ドラゴン達も喜ぶでしょう。スキルを増やしましょうか少ないポイントで交換できるように、深眼は気に入らなかったようですし」
「お断りします、そうしましょう。鑑定の精度を上げたいのですが…」
「うむ、せめてもう少し有用性がある鑑定が出るようにするか」
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《神の庭》は最近こんな感じで話しが進む、以前に比べたら格段と早く話し合いに決着が着くのは言うまでもない、やはり酒と食べ物が入れば話しは弾むし良い方へ向かう…。
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