あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~

深楽朱夜

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第2部 スタートはゴール地点から 本が読みたければ稼がねば編

7 異世界流夜の過ごし方その2

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峯尾 大河 : 不老不死 肉体年齢 27歳 導く者



所持魔法

水魔法 火魔法 浄化魔法 転移魔法



スキル

状態異常無効 無限収納(時間停止) ステータス隠蔽 攻撃無効※



固有スキル

書店(※只今準備中 ごめんなさい)



善行ポイント

7,000pt

現在交換可能

水魔法(水弾:50pt)

火魔法(火矢:50pt) 

浄化魔法(自動清掃:300pt)



スキル

鑑定:500pt 無限収納(ウィンドウ表示:300pt)



「まだ、使えないのか?」書店(す、すません。頑張ってますぅ) 

「…む」

「固有スキルと会話…中々面白いな」

「楽しみにしているからな、それに待たされるのは好きじゃない」

ページをゆっくり読み進めている千眼がクスリと笑う、ステータス画面を突っつくのを止め大河は腕を組み次の、善光ポイントの確認を行う。

「全部交換しとくか」

ポイントと金は稼ぐつもりだから全て交換しておく、特にウィンドウ表示は便利だ、自分の持っている本が表示されれば何を持っていたかすぐ分かる。

貯金は300万程あったものが半分…、詠斗が森や湖の物が高く売れると教えてくれたので稼ぎようは幾らでもある。

こんなものかとそろそろ寝る準備を始めると言っても、歯を磨く位で終わりだが。

「それは?」

「歯を磨く道具、使うか?」

「面白そうだ」

買ったばかりの歯ブラシセットを千眼に渡し使い方を教え、2人揃って磨く。

『きゅっ!きゅ』

「きゅうもやりたいのか、なら1つあげよう。磨き終わるまで待て」

『きゅ』

「変わった風味だ」

「歯を磨く為の物だからな、水で口をすすいで吐き出せ、自動清掃掛けるから」

自分の口元と千眼の口元に水を運び、濯いで清掃する。

「ほら、きゅう、磨くぞ」

『きゅ』

ハミガキ粉が気に入ったのか、円らな瞳を細めて、嬉しそうにしている。

「口の中が気持ちいいな」

「やるから、使え。ダメになったらまたやる」

「ありがとう」

詠斗から貰った薄紫のショルダーバッグに入れてまた読書に戻る、大河は欠伸1つし詠斗達の方へ行く。

「詠斗くん、俺はそろそろね…すごいな」

「大河さん、どうです?貰った飴も飾りにしてみました」

「芸術品のようです」

目の前の氷なの塊の窪みには先ほどよりも、豪華なフルーツ水飴が置かれていた。

リンゴモドキ(仮)はウサギにし、大河が渡した飴も添え固めた物、ビワモドキは花びらのように切り中心に木苺を置き鮮やかな花にして固めた物、ミカンモドキは皮を剥いてそのまま水飴で固めて立体的にしている物、計3種36個用意していた。

「供え物という感じだな、華やかだ」

「では、神様達どうぞ…」

詠斗が祈ると目の前からふぅと消えていく、詠斗もハミガキをし、ナイルもやりたいと言うので1つハミガキセットを渡しやり方を教える。

「さっぱりしていいですね」

「飯食べた後や夜と朝に磨いたりするよ」

「明日もやります」

「俺は寝るよ、おやすみ…端で寝る」

「はい、おやすみなさい」

「おやすみなさい」

『きゅ』

チグリスを挟み右側にナイル、左側に詠斗と大河の並びで敷き布に入る、千眼は皆と離れた場所で読書をするので布団は1人1組となった。

「この布すごいな、気持ちが良い」

「はい、寝心地抜群で枕も良いです、明日布屋に行って追加を…」

そのまま詠斗は寝入り大河も目を閉じる、こんな人数で寝るのは何時振りか…すぐには思い出せない。



「大河、面白いか?」

「面白いよ、おじいちゃん」

「そうかそうか、お前は俺に似たな」

子供の頃よく祖父の膝の上で本を読んでいた記憶、暖かい手で頭を撫でてくれる。

「おじいちゃんは、そとで遊べって言わないね」

「言って欲しいのか?」

「やだ」

「好きにしたらいい、外で遊びたくなったら行くと良い」

「うん」

「じいちゃんは大河が楽しく過ごせれば良い」

「うん」

おじいちゃん、今俺は異世界に来たよ、楽しんで生きていくよ…。

『そうかそうか、楽しめ大河…』

「…夢か…」

目を開ければまだ皆寝ていた、腕時計は寝てから2時間程過ぎた時刻を示す、この世界は時間の概念がざっくりとしていて時間感覚が狂わない様に時刻を設定しておいた。

「読み進んでいるか?」

「中々面白いな、この映像というものの井戸から女が出てくる物語は(※)…」

最初に選んだのはホラーのらしく1/3程読んでいる、丸太の椅子に座り千眼が用意したらしいお茶を、詠斗から貰った木のコップに貰い飲み干す、程よく冷めていて美味しかった。

「続編もあるから、ほら、読み終わったら感想教えてくれ」

「分かった」

『きゅ!』

「ああ、きゅうそうだな。行こう」

「こんな時間にどこに?」

「森に、きゅうと歩く」

「散歩か俺も行って良いか?」

「構わない」

千眼が手を出すと多くの蝶が舞いながら、3人を包み森へと転移した。



「夜の森か…静かだな」

「獣や鳥が少ない」

『きゅっ』

きゅうがゆっくり歩き出す、花や草や木の実を食べて自由に進む。

「飯足りないのか?」

「歩くついでに食べているだけらしい、タータイルクッガは食欲に終わりはない、動けば食べるのが本能だからだろう、詠斗が出す食事できゅうの場合は充分だ」

「言葉通じるのか?」

「全てではないな」

「ふぅん」

詠斗達をどう思っているか聞くだけ野暮か、きゅうの様子を見ていれば分かる、みんなが好きでいるのが伝わってくる。

「…何故名前ではなく主と詠斗くんを呼ぶ?」

「…名前と言うものは良くも悪くも生き物を縛りつける、主達には真名が無い。この世界の生き物には真名がある、きゅうもそうだ。ステータスに載っているが普通の眼では視られない」

「なるほど、だから呼ばないと言う訳か」

千眼の鑑定をする、千眼魔王:序列第3位 …これ以上はむりです、すみません…固有スキルと同じヤツか?と突っ込む、千眼の顔を横目で見る、夜の中なら更に美しさが増す妖しい存在、何も知らずに出逢えば魂毎取り込まれそうな存在。

「主達には真名は無いがその名は強い、良い名だ。神迂闊には口にしないだろう、力在る存在が呼べば何が起こるかわからない」

「そうか、なら俺を呼ぶ時ミネと呼べ。子供の時のあだ名だ、峯尾だからミネ。それなら呼べるだろう?」

「……呼べる」

「主2人はややこしいからな、せっかく出来た読書仲間だ、よろしく」

「ああ…」

『ほらね、いつか受け入れてくれる人達に出逢えるって言ったでしょう…』

随分前に離れ離れになってしまった存在が語りかけてくれる、声はどこか弾んで嬉しそうだ、それに千眼はそうだなと小さく答えた。

『きゅ』

「そろそろ帰るか?きゅう?」

『きゅ!』

「戻ろう」

大河が手招く、千眼は薄く笑い皆がいる場所へと戻った…。





※鈴木光司先生著 「リング」からあらすじを引用しています
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