あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~

深楽朱夜

文字の大きさ
上 下
32 / 867
第一部 不毛の大地開拓 頑張ろう編

31 住まわせてもらうのなら仕事をするのが当たり前なのでは?(魔王様基準)

しおりを挟む
「ふぁ」

「起きたか主」

『きゅ』

「おはよう、千眼さん、きゅう。ナイルさんとチグリスはまだ寝ているね」

無防備な姿で寝る2人を起こさないようにゆっくり起き上がり人型に戻った千眼ときゅうに挨拶する、着替えて朝食の準備を始める。

「主手伝おう、住まわせて貰っている身。最初の話しの通り対価は支払う」

「なんか大げさだなぁ、助かるけど」

寝ている2人から離れた場所で朝食作りを始める、パンの残りと果物や木の実、芋の蒸し焼きと魚の蒸し焼きに、昨日と同じように貝と骨でだしをとりキノコと芋を入れた醤油ベースのスープと献立を決め早速取り掛かる。

「じゃ、千眼さんは皿にパンや果物の盛りつけとお茶の準備をよろしく」

「承った」

魔法というのだろうか、指先を動かし皿に盛り付けをしコップや茶器の準備を瞬く間に整える、後は優雅に丸太に座りお茶の湯を沸かす石に指先を乗せ魔力を使い茶器の湯を後は温めるだけになった。

「それ、魔法?」

「いや、物に私の眼を入れ動かしているだけだ。終われば眼を戻す。私は千眼魔王…千の眼を持つ」

「へぇ、よく分からないけどすごいね」

「そんな言葉で片付けられるのは、異界人たる者達位なものだろう」

「者達…そういえば次の召喚は何時になるんだろう」

「もう、間もなく…」

「え…」

「わあ、ごめんなさい、詠斗さん!寝坊して」

「起きた…」

「あ…おはよう」

千眼の呟きは詠斗の耳には届かず、2人が駆けつける。

「おはよ、後スープだけだから座って、きゅうには貝と骨もあげるぞ」

『きゅ!』

ガリガリ美味しそうに食べている、お茶も出来たようで、千眼が注いでくれている。

「さあ、出来た!」

「じゃ、いただきます」

「ありがとうございます、いただきます」

「ん、いただきます」

「いただきます?」

『きゅ』

「いただきますは、俺の世界の飯を食う前に言う言葉なんだ、食べ終わったらごちそうさまって言うんだ」

「そうか…」

よそったスープを配り食べる前にした、いただきますの挨拶に疑問を浮かべた千眼に、詠斗が応える。

「ならば、いただきます」

千眼が言い直し食事が始まる、温かく笑顔が溢れる。

「今日の予定なんだけど、まず畑の近くに花を植えたいから花壇造りと買い物というか仕入れもしたいんだけど、皆はどうする?」

「私は森で採取をします、きゅうももっと食事が必要でしょうから…」

「私も同行する」

「俺は詠斗と行く」

「わかった、準備してまずは畑に行こう」

「あ、あの詠斗さん!お願いがあります」

「ナイルさん?どうしたの?」

「わ、私も詠斗さんが着ている服を着たいです!」

「私も主の服を着たい」

「えー俺も着る」

「いいけど、チグリスには小さいよ?」

「むー」

顔を赤くして詠斗の服を着たいと言うナイルと、それに続く2人、服は人に贈ったり売れっても手持ちの数は減らないが、チグリスが着るには小さい。

「あ、そうだ。ゴーテンさんに直して貰えるか聞いてみるよ」

「わかった」

チグリスが納得して頷く、他の2人はナイルには長袖パーカーと中に半袖のインナーとダメージジーンズ、千眼には古着屋で購入した青いシャツに黒いスラックス。靴はさすがにサイズが合わない為手持ちの靴にしてもらう。

「着心地がこれもいいです!」

「色がいい…主感謝する」

2人が着ていた服は収納にしまい、畑に転移を行う。



「じゃ、まず花壇をって!もう芋大分育ってる!」

「もうすぐ食べられるのか」

「楽しみですね」

「魔力の流れが良い、主の力だな」

『きゅ、きゅ』

「う、うん。まあ、いっか!早く食べたいよな」

畑には既に種芋から茎と葉が瑞々しく育ち、しっかり地面に根付いていた。

水魔法で水やりを行い、早速花を植える為に園芸ショップを開く。



園芸ショップ: 現在の所持金 2,003,000ログ

(2,003,000円)



おいしいやさいが出来る土 2L 150ログ(150円)



種芋 2kg 500ログ(500円) 各種(メークイン 男爵 )

サツマイモの苗 10本 700ログ(700円)

ダイコンの種 100粒  500ログ(500円)

ミニトマトの種 20粒 500ログ(500円)

良く育つ肥料 中粒 1kg 500ログ(500円) 



花がよく育つ肥料 液肥タイプ(そのまま植えた周辺に撒いて下さい) 1本300ログ(300円)



ショベル 鍬 各1,000ログ(1,000円)



「ふぁっ!ミニトマトとダイコン!?ヤバい!俺の好きな野菜!帰って来たら育てよう!」

新しく増えたミニトマトとダイコンは詠斗の大好物でもある、ダイコンは特に貧乏人の強い味方、食べられない場所がない野菜。

「よくわからないですが、詠斗さんが嬉しそうで何よりです」

「よし!やる気満々!早速花の種を植えよう!それ用の肥料も出してくれたし!」

花壇の形成に取り掛かる、丸い花壇にしてみようとイメージし土魔法で大地を掘り起こし、土生成を行い土を混ぜ、おいしい野菜が出来る土も買い(他の植物にも流用可能)程よく混ぜ合わせる。

「主の魔法は見事だな」

「確かにな繊細なコントロールが必要だ」

詠斗の背後で3名が関心しながら作業を見守る、土の植え替えがすぐに終わり鑑定で 花壇:花が育つ 良い土 確認し、さっそく窪みを指で作り等間隔で種を埋めていく。

「毎日1回水を与えればいいね」

「はい!ありがとうございます!きっと花が咲きます」

「あの花は千華の魔王の花だな…残っていたのだな…」

「ああ、あれしかない。ナイルが託されてずっと持っていた。きっと花が咲く」

「ああ…ここでなら咲くかもしれない」

詠斗とナイルが植えているのを眺め、チグリスと千眼が白い種を遠き日の出来事に思いを馳せている。

「これでひとまず花壇は終わりと。それじゃ村に行こう。畑は帰って来てから広げるから」

「主、私が広げておく。今やり方を見ていたから出来る」

魔王のスペックの高さが畑仕事に活かされようといしている…瞬間だった。

「助かるけどいいのかなぁ」

「詠斗さん、私も土魔法が使えるので大丈夫ですよ」

「この畑と同じものを作ればいいのだろう?」

「ああ、助かる!ありがとう!」

「私は此処に置かせてもらっている身、労働をこなすのは当然の事」

「……」

「どうかしたのか?主」

「いや、本当に助かる」

「そうか」

「じゃあ、混ぜて欲しい土はここに山にして置いとくよ。お腹空いたらナイルさんのバッグにご飯入れとくからそれを食べて」

「詠斗、それ俺も欲しい」

「ん?良いよ、千眼さんの分も買ってくるよ、じゃ行ってきます!」

「気を付けて!チグリスしっかり守ってくださいね!」

「…分かっている」

「主、楽しみしている」

『きゅっ!きゅ!』

ナイル、千眼、きゅうに見送られ転移魔法を使いまたテントにも戻って、村に出ることにした。



「では、これより次の召喚の儀を行う」

『異議なし』

「始めましょう…」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

黒の創造召喚師

幾威空
ファンタジー
※2021/04/12 お気に入り登録数5,000を達成しました!ありがとうございます! ※2021/02/28 続編の連載を開始しました。 ■あらすじ■ 佐伯継那(さえき つぐな)16歳。彼は偶然とも奇跡的ともいえる確率と原因により死亡してしまう。しかも、神様の「手違い」によって。 そんな継那は神様から転生の権利を得、地球とは異なる異世界で第二の人生を歩む。神様からの「お詫び」にもらった(というよりぶんどった)「創造召喚魔法」というオリジナルでユニーク過ぎる魔法を引っ提げて。

無能な勇者はいらないと辺境へ追放されたのでチートアイテム【ミストルティン】を使って辺境をゆるりと開拓しようと思います

長尾 隆生
ファンタジー
仕事帰りに怪しげな占い師に『この先不幸に見舞われるが、これを持っていれば幸せになれる』と、小枝を500円で押し売りされた直後、異世界へ召喚されてしまうリュウジ。 しかし勇者として召喚されたのに、彼にはチート能力も何もないことが鑑定によって判明する。 途端に手のひらを返され『無能勇者』というレッテルを貼られずさんな扱いを受けた上に、一方的にリュウジは凶悪な魔物が住む地へ追放されてしまう。 しかしリュウジは知る。あの胡散臭い占い師に押し売りされた小枝が【ミストルティン】という様々なアイテムを吸収し、その力を自由自在に振るうことが可能で、更に経験を積めばレベルアップしてさらなる強力な能力を手に入れることが出来るチートアイテムだったことに。 「ミストルティン。アブソープション!」 『了解しましたマスター。レベルアップして新しいスキルを覚えました』 「やった! これでまた便利になるな」   これはワンコインで押し売りされた小枝を手に異世界へ突然召喚され無能とレッテルを貼られた男が幸せを掴む物語。 ~ワンコインで買った万能アイテムで幸せな人生を目指します~

異世界ソロ暮らし 田舎の家ごと山奥に転生したので、自由気ままなスローライフ始めました。

長尾 隆生
ファンタジー
【書籍情報】書籍3巻発売中ですのでよろしくお願いします。  女神様の手違いにより現世の輪廻転生から外され異世界に転生させられた田中拓海。  お詫びに貰った生産型スキル『緑の手』と『野菜の種』で異世界スローライフを目指したが、お腹が空いて、なにげなく食べた『種』の力によって女神様も予想しなかった力を知らずに手に入れてしまう。  のんびりスローライフを目指していた拓海だったが、『その地には居るはずがない魔物』に襲われた少女を助けた事でその計画の歯車は狂っていく。   ドワーフ、エルフ、獣人、人間族……そして竜族。  拓海は立ちはだかるその壁を拳一つでぶち壊し、理想のスローライフを目指すのだった。  中二心溢れる剣と魔法の世界で、徒手空拳のみで戦う男の成り上がりファンタジー開幕。 旧題:チートの種~知らない間に異世界最強になってスローライフ~

手乗りドラゴンと行く異世界ゆるり旅  落ちこぼれ公爵令息ともふもふ竜の絆の物語

さとう
ファンタジー
旧題:手乗りドラゴンと行く追放公爵令息の冒険譚 〇書籍化決定しました!! 竜使い一族であるドラグネイズ公爵家に生まれたレクス。彼は生まれながらにして前世の記憶を持ち、両親や兄、妹にも隠して生きてきた。 十六歳になったある日、妹と共に『竜誕の儀』という一族の秘伝儀式を受け、天から『ドラゴン』を授かるのだが……レクスが授かったドラゴンは、真っ白でフワフワした手乗りサイズの小さなドラゴン。 特に何かできるわけでもない。ただ小さくて可愛いだけのドラゴン。一族の恥と言われ、レクスはついに実家から追放されてしまう。 レクスは少しだけ悲しんだが……偶然出会った『婚約破棄され実家を追放された少女』と気が合い、共に世界を旅することに。 手乗りドラゴンに前世で飼っていた犬と同じ『ムサシ』と名付け、二人と一匹で広い世界を冒険する!

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生

野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。 普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。 そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。 そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。 そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。 うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。 いずれは王となるのも夢ではないかも!? ◇世界観的に命の価値は軽いです◇ カクヨムでも同タイトルで掲載しています。

異世界へ五人の落ち人~聖女候補とされてしまいます~

かずきりり
ファンタジー
望んで異世界へと来たわけではない。 望んで召喚などしたわけでもない。 ただ、落ちただけ。 異世界から落ちて来た落ち人。 それは人知を超えた神力を体内に宿し、神からの「贈り人」とされる。 望まれていないけれど、偶々手に入る力を国は欲する。 だからこそ、より強い力を持つ者に聖女という称号を渡すわけだけれど…… 中に男が混じっている!? 帰りたいと、それだけを望む者も居る。 護衛騎士という名の監視もつけられて……  でも、私はもう大切な人は作らない。  どうせ、無くしてしまうのだから。 異世界に落ちた五人。 五人が五人共、色々な思わくもあり…… だけれど、私はただ流れに流され……

異世界召喚?やっと社畜から抜け出せる!

アルテミス
ファンタジー
第13回ファンタジー大賞に応募しました。応援してもらえると嬉しいです。 ->最終選考まで残ったようですが、奨励賞止まりだったようです。応援ありがとうございました! ーーーー ヤンキーが勇者として召喚された。 社畜歴十五年のベテラン社畜の俺は、世界に巻き込まれてしまう。 巻き込まれたので女神様の加護はないし、チートもらった訳でもない。幸い召喚の担当をした公爵様が俺の生活の面倒を見てくれるらしいけどね。 そんな俺が異世界で女神様と崇められている”下級神”より上位の"創造神"から加護を与えられる話。 ほのぼのライフを目指してます。 設定も決めずに書き始めたのでブレブレです。気楽〜に読んでください。 6/20-22HOT1位、ファンタジー1位頂きました。有難うございます。

はずれスキル念動力(ただしレベルMAX)で無双する~手をかざすだけです。詠唱とか必殺技とかいりません。念じるだけで倒せます~

さとう
ファンタジー
10歳になると、誰もがもらえるスキル。 キネーシス公爵家の長男、エルクがもらったスキルは『念動力』……ちょっとした物を引き寄せるだけの、はずれスキルだった。 弟のロシュオは『剣聖』、妹のサリッサは『魔聖』とレアなスキルをもらい、エルクの居場所は失われてしまう。そんなある日、後継者を決めるため、ロシュオと決闘をすることになったエルク。だが……その決闘は、エルクを除いた公爵家が仕組んだ『処刑』だった。 偶然の『事故』により、エルクは生死の境をさまよう。死にかけたエルクの魂が向かったのは『生と死の狭間』という不思議な空間で、そこにいた『神様』の気まぐれにより、エルクは自分を鍛えなおすことに。 二千年という長い時間、エルクは『念動力』を鍛えまくる。 現世に戻ったエルクは、十六歳になって目を覚ました。 はずれスキル『念動力』……ただしレベルMAXの力で無双する!!

処理中です...