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第一部 不毛の大地開拓 頑張ろう編
17 テントとエコバッグと買い物
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「こちらはテントです」
「え?これが…」
「そうなんですが、このテント実はある意味失敗作と言いますか…失敗作をお渡しするのは気が引けるんですが、我が商会で結構な予算をつぎ込んで作った物なのでよければ…」
「はぁ…」
ズィーガーの歯切れの悪い言葉に鑑定をしてみる 大容量テント:この大きさのテントを長時間維持できる魔力を持つ者がいない為 長い間埃を被っていた この機会に是非使ってみては ちなみにすごく高価 とある魔力底なしの自分にとってはかなり便利な代物だが裏を感じずにいられないが流石に何時までも洞窟で暮らし続けるのも…そもそもズィーガーはこの価値も広さも言ってない、彼なりの気遣いなのかもしれない、ならここはありがたく貰っておこうと腹を決めた。
「ありがとうございます、頂きます」
「どうぞどうぞ、テントはこの袋から取り出し魔力を注げば勝手に組み立てられますので。後はこちらを…」
脇に置いてある収納袋を詠斗に渡す、詠斗は首を傾げマジマジと収納袋を眺めた。
「そちらは収納袋に偽装した只の袋です、実際の収納袋は我が商会で貸し出しをしたりもしています。その袋を使って買い物をすればエイトさんが収納魔法を持っているとは思わないでしょう、それに入れた振りをすれば買い物も大分楽になりますな」
「あ…ありがとうございます!」
そこまで考えて提案してくれるとは、流石は商業ギルドのマスターであり商会のトップにいるだけはある、少ない情報で最大限の利益を獲得する姿勢は詠斗にとっても勉強になる。
「それでですね1つお願いが…ありましてな」
「はい、俺に出来ることがあれば」
「エイトさんがお持ちのそのカバンを是非わが商会で売り出したくてですな」
エイトの脇に置かれたオマケで貰った布のエコバッグを手に取り、ズィーガーに渡す。
「これは…軽くて手触りも良くこの絵も神秘的で美しい…」
しげしげとじっくりエコバッグを眺め、感想を伝えるズィーガーの円らな目はまさに歴戦の商人と呼ばれているものだろう。
「型をとって我が商会の職人に作らせても?勿論売れた分の利益は…」
「どうぞー利益は俺はいらないです。充分テントとこの袋で頂きましたから…」
「エイトさんは商売人に向いてないですぞ、もっとガツガツこないといけませんな。では今職人を呼んでも?」
「はい、どうぞ」
「少しお待ちください」
いそいそ場を後にするそれを見送り、今日のこの後の予定を考えているとすぐにノックされズィーガーの後ろに線の細い男が入ってくる。
「彼は我が商会が誇る制作部の主任を任している…」
「ゴーテンと申します、お見知りおきを…エイト殿」
神経質そうの面差しに方眼鏡を掛けたゴーテンが深々と頭を下げる、詠斗も立ち上がり頭を下げた。
ズィーガーがお茶の追加を土の陶器で出来たピッチャーの様な物で注いで、ゴーテンの分まで用意する。
「会長それでは早速…」
「これをどうぞー」
「こ、これは…」
詠斗からエコバッグを受け取り固まってしまう、雷に打たれたようなと言うべき衝撃を受けている感じだった。
「あのー」
「大丈夫ですよ放っておいて。お茶をどうぞ、茶菓子もお持ちしました」
気の皿に置かれたクッキーの様な物を食べてみる、木の実がふんだんに使われざくざくとした食感が詠斗好みの味で何枚も食べてしまう、お茶もさっきとは違う香りがし夢中になってしまう。
「はっ、私とした事が…エイト殿このカバンを我が商会で販売しても良いんですね!」
「ふ、ふぁい…」
ゴーテンの迫力に押され気味になる、紙とペンと平たい木の棒のような定規らしきものを使い物凄い速さでエコバックの図面を描き込んでいく。
「うあ…すご」
「こんな完璧な縫い目など見た事はないですな、人が縫った物とは思えません。ですがこれに近い物でしたら作り上げられます。エイト殿ご意見を頂戴したいですな」
「いや…これでエコバッグ作れるし色々なバッグにも応用が…あ、外や内側にポケットがあれば嬉しいです」
「これは“エコバッグ”というものなのですね、してポケットとは?」
「ポケットは別に布地を用意して、細かい物を分けられるように…」
「なるほど…これは!詠斗殿明日もいらしてください!今日中に試作を作ります!」
「わ、分かりました。楽しみにしてます。俺はそろそろ」
「長い時間お付き合い頂きありがとうございます、見送らせて頂きますので参りましょう」
部屋を出てズィーガーとゴーテンに見送られ、次は市場に向かう、その間際にさっきの茶菓子を葉に包んだものを土産に渡され、頭を下げて商業ギルドを後にした。
「ズィーガー様、彼は神々が遣わした使者なのでしょうか?あの知識は一体…」
「ふふ、かもしれんな。だが過ぎた好奇は時に毒となる、深淵を覗いても1ログの得にもならんだろう。さて、私はギョロリの卸し作業やらで忙しい」
「私も急いで作業場に戻らないとなりません」
「新しい風が吹きそうだ…忙しくなる」
詠斗の姿が見えなくなるまで見送り、それぞれの作業へと戻った…。
「こごが市場かあー活気あるなぁー」
露天と人がひしめき合う様は、東京上野の某横丁を思い出す。
「さて、欲しい物見つかるかな」
お金もしっかり稼いできた、多少の無駄遣いも今日は解禁し、いざ市場へと繰り出した。
「え?これが…」
「そうなんですが、このテント実はある意味失敗作と言いますか…失敗作をお渡しするのは気が引けるんですが、我が商会で結構な予算をつぎ込んで作った物なのでよければ…」
「はぁ…」
ズィーガーの歯切れの悪い言葉に鑑定をしてみる 大容量テント:この大きさのテントを長時間維持できる魔力を持つ者がいない為 長い間埃を被っていた この機会に是非使ってみては ちなみにすごく高価 とある魔力底なしの自分にとってはかなり便利な代物だが裏を感じずにいられないが流石に何時までも洞窟で暮らし続けるのも…そもそもズィーガーはこの価値も広さも言ってない、彼なりの気遣いなのかもしれない、ならここはありがたく貰っておこうと腹を決めた。
「ありがとうございます、頂きます」
「どうぞどうぞ、テントはこの袋から取り出し魔力を注げば勝手に組み立てられますので。後はこちらを…」
脇に置いてある収納袋を詠斗に渡す、詠斗は首を傾げマジマジと収納袋を眺めた。
「そちらは収納袋に偽装した只の袋です、実際の収納袋は我が商会で貸し出しをしたりもしています。その袋を使って買い物をすればエイトさんが収納魔法を持っているとは思わないでしょう、それに入れた振りをすれば買い物も大分楽になりますな」
「あ…ありがとうございます!」
そこまで考えて提案してくれるとは、流石は商業ギルドのマスターであり商会のトップにいるだけはある、少ない情報で最大限の利益を獲得する姿勢は詠斗にとっても勉強になる。
「それでですね1つお願いが…ありましてな」
「はい、俺に出来ることがあれば」
「エイトさんがお持ちのそのカバンを是非わが商会で売り出したくてですな」
エイトの脇に置かれたオマケで貰った布のエコバッグを手に取り、ズィーガーに渡す。
「これは…軽くて手触りも良くこの絵も神秘的で美しい…」
しげしげとじっくりエコバッグを眺め、感想を伝えるズィーガーの円らな目はまさに歴戦の商人と呼ばれているものだろう。
「型をとって我が商会の職人に作らせても?勿論売れた分の利益は…」
「どうぞー利益は俺はいらないです。充分テントとこの袋で頂きましたから…」
「エイトさんは商売人に向いてないですぞ、もっとガツガツこないといけませんな。では今職人を呼んでも?」
「はい、どうぞ」
「少しお待ちください」
いそいそ場を後にするそれを見送り、今日のこの後の予定を考えているとすぐにノックされズィーガーの後ろに線の細い男が入ってくる。
「彼は我が商会が誇る制作部の主任を任している…」
「ゴーテンと申します、お見知りおきを…エイト殿」
神経質そうの面差しに方眼鏡を掛けたゴーテンが深々と頭を下げる、詠斗も立ち上がり頭を下げた。
ズィーガーがお茶の追加を土の陶器で出来たピッチャーの様な物で注いで、ゴーテンの分まで用意する。
「会長それでは早速…」
「これをどうぞー」
「こ、これは…」
詠斗からエコバッグを受け取り固まってしまう、雷に打たれたようなと言うべき衝撃を受けている感じだった。
「あのー」
「大丈夫ですよ放っておいて。お茶をどうぞ、茶菓子もお持ちしました」
気の皿に置かれたクッキーの様な物を食べてみる、木の実がふんだんに使われざくざくとした食感が詠斗好みの味で何枚も食べてしまう、お茶もさっきとは違う香りがし夢中になってしまう。
「はっ、私とした事が…エイト殿このカバンを我が商会で販売しても良いんですね!」
「ふ、ふぁい…」
ゴーテンの迫力に押され気味になる、紙とペンと平たい木の棒のような定規らしきものを使い物凄い速さでエコバックの図面を描き込んでいく。
「うあ…すご」
「こんな完璧な縫い目など見た事はないですな、人が縫った物とは思えません。ですがこれに近い物でしたら作り上げられます。エイト殿ご意見を頂戴したいですな」
「いや…これでエコバッグ作れるし色々なバッグにも応用が…あ、外や内側にポケットがあれば嬉しいです」
「これは“エコバッグ”というものなのですね、してポケットとは?」
「ポケットは別に布地を用意して、細かい物を分けられるように…」
「なるほど…これは!詠斗殿明日もいらしてください!今日中に試作を作ります!」
「わ、分かりました。楽しみにしてます。俺はそろそろ」
「長い時間お付き合い頂きありがとうございます、見送らせて頂きますので参りましょう」
部屋を出てズィーガーとゴーテンに見送られ、次は市場に向かう、その間際にさっきの茶菓子を葉に包んだものを土産に渡され、頭を下げて商業ギルドを後にした。
「ズィーガー様、彼は神々が遣わした使者なのでしょうか?あの知識は一体…」
「ふふ、かもしれんな。だが過ぎた好奇は時に毒となる、深淵を覗いても1ログの得にもならんだろう。さて、私はギョロリの卸し作業やらで忙しい」
「私も急いで作業場に戻らないとなりません」
「新しい風が吹きそうだ…忙しくなる」
詠斗の姿が見えなくなるまで見送り、それぞれの作業へと戻った…。
「こごが市場かあー活気あるなぁー」
露天と人がひしめき合う様は、東京上野の某横丁を思い出す。
「さて、欲しい物見つかるかな」
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