あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~

深楽朱夜

文字の大きさ
上 下
16 / 869
第一部 不毛の大地開拓 頑張ろう編

15 ムキムキ冒険者ギルドのマスター

しおりを挟む
受付嬢が連れて来たのは、厳ついスキンヘッドの筋骨隆々の正にという雰囲気の中年男性だった。

「ギョロリの鱗を持って来た子供ってのは、お前か?」

「え?子供…」 

鱗を持って来たのなら、間違いなく詠斗だが子供と言われ、この世界の成人は確か16歳な筈と思い返していれば痺れを切らした、スキンヘッドが詠斗の顔を覗き込む。

「実力が読めん、まあいい。こっちに来い」

詠斗を置いてさっさと奥に向かってしまう、仕方なく詠斗も着いていき、奥の扉の部屋に通されると内は窓と、革張りの3人掛けのソファ2つの間に木のテーブルが置かれたシンプルな部屋のソファに座るよう促される。

「エイトだっけか、この鱗何処で手に入れた?こいつはC級の怪魚だ。討伐自体は難しくねぇ、この材質の鱗だ1枚剥ぐのも難しい代物だ、しかもキズも殆どねぇ」

ソファの座り心地の悪さに顔をしかめていれば、スキンヘッドは反対側の3人掛けのソファの真ん中にドカッと座る。

「…この鱗はですね、俺が故郷を出る時に皆が餞別でくれた物です」

「それを信じろと…」

疑いの眼差しで見てくる、本当の事を話せば面倒な事になりそうな事になるので、後は笑って誤魔化す。

「チッ、犯罪者とかじゃなきゃいい。買い取り金額は1枚10,000ログ10枚で、100,000ログだ」

「はいっ!大丈夫です」

髪の毛の無い頭をガシガシ掻き、諦めて買い取金額の提示をする、詠斗は纏めて1,000円にでもなればラッキーとしか思って無かったので思わぬ収入に驚く。

「あのよぉーギョロリの身は高級珍味、骨は加工して投擲に、皮は滋養に良く、鱗は防具になる、捨てるところは内臓位しかない魚だ、受け付けには言っておく金を貰え。冒険者は訳ありの奴が多い、いくらギルドマスターでも深く追求しないのが鉄則だ盗品でもない限りはな…依頼は多い受けられそうなら受けてくれ、俺の名前はダンダという」

ソファから立ち上がり、ドアを開け出るように促す。

「分かりました、ありがとうございます」

ペコリと頭を下げ、足取り軽く受け付けへと戻る。



「こちらが、ギョロリの鱗10枚、100,000ログです。確認して下さい」

受付嬢が既に用意していてくれた10,000ログコイン10枚を確認しエコバッグにしまって、冒険者ギルドを後にした。

それを奥から見送ったダンダの目付きは鋭く、「暫く警戒する必要があるな…」呟く、今まで数多くの冒険者や実力者を見ていた男の本能があの子供は普通とは違うと訴え掛けてくる、隙だらけの気配に華奢な剣も握った事もない豆も無い手。

細いあの首、ダンダの腕なら直ぐに折れてしまいそうに感じる、大方どこぞの良い家の坊っちゃんが世間知らずに冒険者の世界に飛び込んだのかもしれない、そんな驕った人間を何人も見て来たダンダだが、はっきり言ってしまえば詠斗は得体が知れない。

魔力もあまり無さそうで頼りないが、底知れない何かがある。

「あいつにも、情報が言っているだろうし、何かわかるかもな…」

髪の毛のない頭をガシガシ乱暴に掻き、奥に引っ込んだ。



「やったーいきなり100,000!魚…ギョロリだっけ様々だな」

ホクホク足取り軽く、次は商業ギルドに向かう、その道中の屋台で買った肉の串焼きは味が薄いが、さっぱりとしていて鶏肉の様で食べやすい、干し肉を買い口の中で柔らかくしながら食べる、それを果実を絞った生温い水(冷やした方が絶対美味しい)こちらも屋台で購入し、それで喉を潤す…せない。

干し肉は逆に塩辛くスープ向きだなーと思っていると、目の前に石造りの二階建ての横長の建物に辿り着く。

「着いた“商業ギルド トタラナ支部”入ろう」

開きっぱなしだが両開きの扉もあひ、今度は出入りする人々も厳つくはなく老若男女年、齢性別服装もバラつきがあり、冒険者ギルドのピリッとした雰囲気はなく室内も窓が多く明るかった。

「すみません、商業人の登録したいんですが」

空いている受け付けの女性に声を掛けると、冒険者ギルドの受付嬢と対照干し肉的な柔らかな声に柔和な笑みを浮かべた女性が対応してくれた。

「ようこそ、“商業ギルド トタラナ支部”へ。まずこちらの内容を読んで頂き署名をお願いします、ペンはあちらです」

渡された紙は質が良く黄ばんでもいない、日本の紙とは比べられないが冒険者ギルドの紙とはレベルが違った。

紙に目を通しながら机に向かおう、トタトタ少し離れた場所から重そうな足音が聞こえる。

「そこの方~お待ち下され~」

ゆっくり姿が近づく、急いでいるのだろうかスローモーションがかかっているようにも見えなくない

近づいてくると詠斗の身長よりやや低い、非常にワガママボディーをした中年男性がはふはふしながら詠斗の目の前で立ち止まる。

「お待ちしていました。ささ、こちらへ」

糸目のムチムチした身体をした中年男性にいきなり、別室に案内される。

「ささ、どうぞ腰掛けてください。あ、申し遅れましたな、私はこの“商業ギルド トタラナ支部”ギルドマスターをズィーガーと申します」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界ソロ暮らし 田舎の家ごと山奥に転生したので、自由気ままなスローライフ始めました。

長尾 隆生
ファンタジー
【書籍情報】書籍3巻発売中ですのでよろしくお願いします。  女神様の手違いにより現世の輪廻転生から外され異世界に転生させられた田中拓海。  お詫びに貰った生産型スキル『緑の手』と『野菜の種』で異世界スローライフを目指したが、お腹が空いて、なにげなく食べた『種』の力によって女神様も予想しなかった力を知らずに手に入れてしまう。  のんびりスローライフを目指していた拓海だったが、『その地には居るはずがない魔物』に襲われた少女を助けた事でその計画の歯車は狂っていく。   ドワーフ、エルフ、獣人、人間族……そして竜族。  拓海は立ちはだかるその壁を拳一つでぶち壊し、理想のスローライフを目指すのだった。  中二心溢れる剣と魔法の世界で、徒手空拳のみで戦う男の成り上がりファンタジー開幕。 旧題:チートの種~知らない間に異世界最強になってスローライフ~

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います

霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。 得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。 しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。 傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。 基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。 が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

黒の創造召喚師

幾威空
ファンタジー
※2021/04/12 お気に入り登録数5,000を達成しました!ありがとうございます! ※2021/02/28 続編の連載を開始しました。 ■あらすじ■ 佐伯継那(さえき つぐな)16歳。彼は偶然とも奇跡的ともいえる確率と原因により死亡してしまう。しかも、神様の「手違い」によって。 そんな継那は神様から転生の権利を得、地球とは異なる異世界で第二の人生を歩む。神様からの「お詫び」にもらった(というよりぶんどった)「創造召喚魔法」というオリジナルでユニーク過ぎる魔法を引っ提げて。

【ヤベェ】異世界転移したった【助けてwww】

一樹
ファンタジー
色々あって、転移後追放されてしまった主人公。 追放後に、持ち物がチート化していることに気づく。 無事、元の世界と連絡をとる事に成功する。 そして、始まったのは、どこかで見た事のある、【あるある展開】のオンパレード! 異世界転移珍道中、掲示板実況始まり始まり。 【諸注意】 以前投稿した同名の短編の連載版になります。 連載は不定期。むしろ途中で止まる可能性、エタる可能性がとても高いです。 なんでも大丈夫な方向けです。 小説の形をしていないので、読む人を選びます。 以上の内容を踏まえた上で閲覧をお願いします。 disりに見えてしまう表現があります。 以上の点から気分を害されても責任は負えません。 閲覧は自己責任でお願いします。 小説家になろう、pixivでも投稿しています。

家族で突然異世界転移!?パパは家族を守るのに必死です。

3匹の子猫
ファンタジー
社智也とその家族はある日気がつけば家ごと見知らぬ場所に転移されていた。 そこは俺の持ちうる知識からおそらく異世界だ!確かに若い頃は異世界転移や転生を願ったことはあったけど、それは守るべき家族を持った今ではない!! こんな世界でまだ幼い子供たちを守りながら生き残るのは酷だろ…だが、俺は家族を必ず守り抜いてみせる!! 感想やご意見楽しみにしております! 尚、作中の登場人物、国名はあくまでもフィクションです。実在する国とは一切関係ありません。

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?

はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、 強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。 母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、 その少年に、突然の困難が立ちはだかる。 理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。 一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。 それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。 そんな少年の物語。

~僕の異世界冒険記~異世界冒険始めました。

破滅の女神
ファンタジー
18歳の誕生日…先月死んだ、おじぃちゃんから1冊の本が届いた。 小さい頃の思い出で1ページ目に『この本は異世界冒険記、あなたの物語です。』と書かれてるだけで後は真っ白だった本だと思い出す。 本の表紙にはドラゴンが描かれており、指輪が付属されていた。 お遊び気分で指輪をはめて本を開くと、そこには2ページ目に短い文章が書き加えられていた。 その文章とは『さぁ、あなたの物語の始まりです。』と…。 次の瞬間、僕は気を失い、異世界冒険の旅が始まったのだった…。 本作品は『カクヨム』で掲載している物を『アルファポリス』用に少しだけ修正した物となります。

弟に裏切られ、王女に婚約破棄され、父に追放され、親友に殺されかけたけど、大賢者スキルと幼馴染のお陰で幸せ。

克全
ファンタジー
「アルファポリス」「カクヨム」「ノベルバ」に同時投稿しています。

処理中です...