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第一部 不毛の大地開拓 頑張ろう編

15 ムキムキ冒険者ギルドのマスター

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受付嬢が連れて来たのは、厳ついスキンヘッドの筋骨隆々の正にという雰囲気の中年男性だった。

「ギョロリの鱗を持って来た子供ってのは、お前か?」

「え?子供…」 

鱗を持って来たのなら、間違いなく詠斗だが子供と言われ、この世界の成人は確か16歳な筈と思い返していれば痺れを切らした、スキンヘッドが詠斗の顔を覗き込む。

「実力が読めん、まあいい。こっちに来い」

詠斗を置いてさっさと奥に向かってしまう、仕方なく詠斗も着いていき、奥の扉の部屋に通されると内は窓と、革張りの3人掛けのソファ2つの間に木のテーブルが置かれたシンプルな部屋のソファに座るよう促される。

「エイトだっけか、この鱗何処で手に入れた?こいつはC級の怪魚だ。討伐自体は難しくねぇ、この材質の鱗だ1枚剥ぐのも難しい代物だ、しかもキズも殆どねぇ」

ソファの座り心地の悪さに顔をしかめていれば、スキンヘッドは反対側の3人掛けのソファの真ん中にドカッと座る。

「…この鱗はですね、俺が故郷を出る時に皆が餞別でくれた物です」

「それを信じろと…」

疑いの眼差しで見てくる、本当の事を話せば面倒な事になりそうな事になるので、後は笑って誤魔化す。

「チッ、犯罪者とかじゃなきゃいい。買い取り金額は1枚10,000ログ10枚で、100,000ログだ」

「はいっ!大丈夫です」

髪の毛の無い頭をガシガシ掻き、諦めて買い取金額の提示をする、詠斗は纏めて1,000円にでもなればラッキーとしか思って無かったので思わぬ収入に驚く。

「あのよぉーギョロリの身は高級珍味、骨は加工して投擲に、皮は滋養に良く、鱗は防具になる、捨てるところは内臓位しかない魚だ、受け付けには言っておく金を貰え。冒険者は訳ありの奴が多い、いくらギルドマスターでも深く追求しないのが鉄則だ盗品でもない限りはな…依頼は多い受けられそうなら受けてくれ、俺の名前はダンダという」

ソファから立ち上がり、ドアを開け出るように促す。

「分かりました、ありがとうございます」

ペコリと頭を下げ、足取り軽く受け付けへと戻る。



「こちらが、ギョロリの鱗10枚、100,000ログです。確認して下さい」

受付嬢が既に用意していてくれた10,000ログコイン10枚を確認しエコバッグにしまって、冒険者ギルドを後にした。

それを奥から見送ったダンダの目付きは鋭く、「暫く警戒する必要があるな…」呟く、今まで数多くの冒険者や実力者を見ていた男の本能があの子供は普通とは違うと訴え掛けてくる、隙だらけの気配に華奢な剣も握った事もない豆も無い手。

細いあの首、ダンダの腕なら直ぐに折れてしまいそうに感じる、大方どこぞの良い家の坊っちゃんが世間知らずに冒険者の世界に飛び込んだのかもしれない、そんな驕った人間を何人も見て来たダンダだが、はっきり言ってしまえば詠斗は得体が知れない。

魔力もあまり無さそうで頼りないが、底知れない何かがある。

「あいつにも、情報が言っているだろうし、何かわかるかもな…」

髪の毛のない頭をガシガシ乱暴に掻き、奥に引っ込んだ。



「やったーいきなり100,000!魚…ギョロリだっけ様々だな」

ホクホク足取り軽く、次は商業ギルドに向かう、その道中の屋台で買った肉の串焼きは味が薄いが、さっぱりとしていて鶏肉の様で食べやすい、干し肉を買い口の中で柔らかくしながら食べる、それを果実を絞った生温い水(冷やした方が絶対美味しい)こちらも屋台で購入し、それで喉を潤す…せない。

干し肉は逆に塩辛くスープ向きだなーと思っていると、目の前に石造りの二階建ての横長の建物に辿り着く。

「着いた“商業ギルド トタラナ支部”入ろう」

開きっぱなしだが両開きの扉もあひ、今度は出入りする人々も厳つくはなく老若男女年、齢性別服装もバラつきがあり、冒険者ギルドのピリッとした雰囲気はなく室内も窓が多く明るかった。

「すみません、商業人の登録したいんですが」

空いている受け付けの女性に声を掛けると、冒険者ギルドの受付嬢と対照干し肉的な柔らかな声に柔和な笑みを浮かべた女性が対応してくれた。

「ようこそ、“商業ギルド トタラナ支部”へ。まずこちらの内容を読んで頂き署名をお願いします、ペンはあちらです」

渡された紙は質が良く黄ばんでもいない、日本の紙とは比べられないが冒険者ギルドの紙とはレベルが違った。

紙に目を通しながら机に向かおう、トタトタ少し離れた場所から重そうな足音が聞こえる。

「そこの方~お待ち下され~」

ゆっくり姿が近づく、急いでいるのだろうかスローモーションがかかっているようにも見えなくない

近づいてくると詠斗の身長よりやや低い、非常にワガママボディーをした中年男性がはふはふしながら詠斗の目の前で立ち止まる。

「お待ちしていました。ささ、こちらへ」

糸目のムチムチした身体をした中年男性にいきなり、別室に案内される。

「ささ、どうぞ腰掛けてください。あ、申し遅れましたな、私はこの“商業ギルド トタラナ支部”ギルドマスターをズィーガーと申します」
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